訂正内部統制報告書-第125期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2021/03/15 15:40
【資料】
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財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項

取締役会長兼社長戴正呉は、当社の財務報告に係る内部統制を整備及び運用する責任を有しており、企業会計審議会の公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)」及び「同実施基準の改訂について(意見書)」に示されている内部統制の基本的枠組みに準拠して内部統制を整備及び運用し、当社の財務報告の適正性を担保しています。
なお、内部統制は、内部統制の各基本的要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで、その目的を合理的な範囲で達成しようとするものであり、このため、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性があります。

評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項

当社の財務報告に係る内部統制の評価は、当事業年度の末日である2019年3月31日を基準日としており、評価に当たっては、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠し実施しました。
本評価においては、連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす全社的な内部統制の評価を行った上で、その結果を踏まえて評価対象とする業務プロセスを選定しています。評価の対象とした業務プロセスについては、それぞれのプロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を選定し、関連文書の閲覧、当該内部統制に関係する適切な担当者への質問、内部統制の実施記録の検証等の手続を実施することにより、当該統制上の要点の整備及び運用状況を評価しました。
財務報告に係る内部統制の評価の範囲は、会社並びに連結子会社及び持分法適用会社について、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性の観点から必要な範囲を決定しました。財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性は、金額的及び質的影響の重要性を考慮して決定しており、会社及び連結子会社を対象として行った全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を合理的に決定しました。なお、一部の連結子会社及び持分法適用関連会社については、金額的及び質的重要性の観点から僅少であると判断し、全社的な内部統制の評価範囲に含めていません。
また、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲については、財務報告に対する金額的及び質的影響の重要性を考慮し、上記の全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、連結売上高の上位構成比率を指標に、その概ね2/3程度の割合に達している事業拠点を「重要な事業拠点」として選定しました。
それらの事業拠点においては、当社の事業目的に大きく関わる勘定科目として、「売上高」・「売掛金」・「たな卸資産(製品、原材料、仕掛品)」に至る業務プロセスを評価の対象としました。さらに、リスクの観点から財務報告への影響を勘案して、重要性の大きい特定の取引又は事象に関する業務プロセスや、見積りや予測を伴う重要な勘定科目に係る業務プロセスを当社の事業経営における重要性の大きい業務プロセスとして、一部の業務プロセスについては個別に評価の対象に追加しました。

評価結果に関する事項

下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。したがって、当事業年度の末日時点の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断しました。

当社は、当社の連結子会社であるカンタツ株式会社(以下、カンタツ社)に対する内部監査により、注文がないまま売上が計上されていること、通常売上計上が許されない状況で売上が計上されていることを把握しました。そこで、2020年12月25日付の当社取締役会において、案件の複雑性等から外部専門家が主体的・主導的に調査を行う調査委員会の設置を決議し、事実の解明及び原因の究明に着手しました。
当社は、2021年3月12日、調査委員会から調査報告書を受領し、過年度の決算を訂正し、本日、2019年3月期及び2020年3月期の有価証券報告書並びに2019年3月期第2四半期から2021年3月期第2四半期までの四半期報告書について、訂正報告書を提出しました。
当社は、調査委員会により認定された不適切な会計処理が生じた原因としては、以下のとおり、カンタツ社において信頼性ある財務報告を実現するための内部統制が無効化されたことにより生じたものと考えております。
・カンタツ社経営幹部が、カンタツ社が当社へ報告していた売上・利益等に関する経営計画について、それを達成すること(達成しているように見せかけること)を優先して、適切な会計処理、特に収益認識に関するルールを知らずにあるいは意図的にこれを軽視・無視したこと
・カンタツ社経営幹部の指示またはこれらに対する忖度により、カンタツ社従業員の間にも経営幹部と同様の意識が醸成され、不正ではないかとの疑問を持った者も具体的な行動(例えば、カンタツ社の監査役に対する相談や内部通報の利用等)がなされなかったこと
・カンタツ社において、取引の実行に関する適切な手続が無視され(与信申請、契約書締結、売上計上、仕訳承認のプロセス等)、十分な相互牽制が働かず、実体のない取引あるいは売上計上要件を満たさない取引について売上を計上する等、不適切な会計処理が実行されたこと
・売掛金の滞留が生じている取引について、取引条件や回収遅延の状況、経緯や原因等について取締役会へ報告がなされていない等、取締役会の機能が形骸化したこと
・会計処理その他業務に関する不適切な処理に関して、カンタツ社やその子会社の内部通報制度の周知徹底が不十分で、その利用がなされなかったこと
また、当社が親会社として、カンタツ社における不適切な会計処理を防止できなかったことについては、以下のような原因があったものと考えております。
・当社グループの行動規範及び公正妥当な会計基準やこれに基づく当社グループのルールについて、役職員に対する徹底が不十分であったこと
・子会社を管理する体制や子会社の経営状況をモニタリングする体制が不十分であったこと
・当社グループの内部通報制度等の周知徹底が不十分であり、カンタツ社の従業員から通報がなされなかったこと
当社は、これらの内部統制の不備が財務報告に重要な影響を及ぼしており、全社的な内部統制及び全社的な観点で評価する決算・財務報告プロセス並びに業務プロセスに関する内部統制について開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。
上記の開示すべき重要な不備については、訂正事項の判明が当該事業年度の末日以降であったため、当該事業年度の末日までに是正することができませんでした。
なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は、全て財務諸表及び連結財務諸表に反映しています。
当社といたしましては、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、以下のとおり、開示すべき重要な不備を是正するための再発防止策を実行して内部統制の整備・運用を図るとともに、本件を機に当社グループにおける内部統制の充実を図ってまいります。
1 当社グループ役職員に対するコンプライアンス意識の徹底(内部通報制度の周知、徹底を含む)
2 当社グループ役職員に対する会計処理に対する理解の醸成
3 カンタツ社における業務プロセスの見直し・徹底による適切な権限分配と牽制関係の構築・運用
4 カンタツ社における監査役、本社部門等への通報の奨励、内部通報制度の周知徹底
5 当社管理部門・監査部門による管理(滞留債権等のモニタリングを含む)・監督・監査の強化(そのための人材確保)及び当社が子会社を管理する体制の見直し
以上