有価証券報告書-第96期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/26 15:32
【資料】
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【項目】
157項目

研究開発活動

当社グループは、「オンリーワン・カンパニーの実現」を経営スローガンに、タムラならではの「オンリーワン技術」で市場ニーズに応える製品づくりを目指して、研究開発活動を推進しております。
当連結会計年度における研究開発活動は、車載・IoT・エネルギー関連など、当社グループの中期経営計画で成長戦略に掲げ、市場で期待される技術開発を中心に積極的に進めました。
当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動は、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)
電子部品関連事業192
電子化学実装関連事業339
情報機器関連事業168
報告セグメント700
全社(共通) (注)366
合計1,067

(注)「全社(共通)」の区分は、各セグメントに配分できない未来開発研究費用であります。
① 電子部品関連事業
電子部品関連事業は、車載関連・エネルギー関連など、将来の市場拡大が期待される製品の開発を強化しております。
主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。
・世界的に市場拡大の著しい電動化車両用途として、ハイブリッド自動車・プラグインハイブリッド車・燃料電池車・電気自動車などの基幹システムである昇降圧チョッパー回路に適用される「車載用リアクトル」の開発を進めております。また、リアクトル用途に特化した自社開発コア(鉄心)を使用した小型・高性能・低損失なリアクトルを開発し、様々な電動化車両への採用が進展しております。
・電動化の進む車載市場に向けて、電流センサの開発を進めております。車載充電器用に開発した「磁気平衡式フラックスゲートVF03PxxxS05シリーズ」は、計測器にも使用されるフラックスゲート回路方式を採用し、超高精度・低温度ドリフトを実現しました。電動化車両のインバータ制御、充電制御用に開発した「磁気比例式VL06PxxxS05シリーズ」は、高信頼性ASICを採用し、高速応答性・高耐dv/dtノイズ性能を実現しております。
・昨今普及が加速しているSiC・IGBTパワーモジュールを駆動させるための「ゲートドライバ」について、当社従来製品2DMシリーズの製品バリエーション拡大し、よりお客様のニーズに適した新規製品の開発を進めております。高耐圧・低寄生容量化した低背型ゲートドライバ「2DMB/2DUBシリーズ」、再生可能エネルギー市場向けに普及が拡大している大容量次世代パワーモジュールに対応したゲートドライバ「4DUC/2DUDシリーズ」は、ゲート駆動回路設計に掛かる工数を大幅に削減する当社新製品です。
研究開発費用は、1億9千2百万円であります。
② 電子化学実装関連事業
電子化学実装関連事業は、車載市場・IoT市場を中期成長戦略に掲げ、電子化学材料から実装装置まで、エレクトロニクス実装における幅広い分野においてコア技術開発・製品開発を推進しております。
主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。
・ハイブリッド自動車・電気自動車などの機電一体化ECU向けに開発した高信頼性ソルダーペースト「TLF‐GTS‐VR6シリーズ」は、-40⇔125℃/3000Cycleの過酷な条件でも連結亀裂の未発生を達成しました。合金組成は、SAC305及び高耐熱はんだ組成をラインナップ化しており、新規高耐熱はんだでは、
-40⇔125℃/3000CycleにてSAC305比較で亀裂進展を大幅に抑制しています。
・過酷環境下において信頼性が要求される車載機器基板向けに開発した、高信頼性アルカリ現像タイプ液状ソルダーレジスト「DSR‐2200ACRシリーズ」は、高温低温の過酷環境下での塗膜のクラックの発生を抑え、更に耐熱性及び絶縁信頼性、密着性などの長期信頼性を向上させております。
・ウェアラブル実装に適した「可逆伸縮性接合材REシリーズ」を開発いたしました。低温実装(150℃)や高密度実装(0201Chip、0.15㎜P-WLP)にも対応可能であり、接合部に金属接合を導入していますが可逆伸縮性(5%:当社比)を実現しています。繰り返し曲げ環境での高信頼性を実現した可逆伸縮性接合材です。
・炉内の汚れを大幅に低減し、メンテナンスサイクルの延長・改善を実現する「リフローTNV VersionⅢ」を開発いたしました。最新の革新技術により、生産機会損失低減への貢献を目指す製品です。
研究開発費用は、3億3千9百万円であります。
③ 情報機器関連事業
情報機器関連事業では、2018年12月に開始された4K/8K本放送や、国際的スポーツイベントに向けた放送関連設備の設備投資需要や、多様化する情報サービスのニーズに対応した開発を推進しております。
主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。
・新たなDECT方式(ARIB STD-T101 2.0版) に準拠した「DECT規格インターカムシステム」を開発いたしました。直観的に使用できる操作性はそのままに、利便性の向上と大規模なシステムの構築が可能となります。1システムに4グループの音声系統を組むことが可能です。
・DSPエンジンを搭載した汎用性のあるオーディオインターフェイスユニットの新製品「NT MATRIX」を開発いたしました。純粋な音声信号の分配やルーティングマトリックスだけでなく、ミックス及び信号処理も可能です。専用のアプリケーションソフトを使用することで、お客様のニーズに合わせたシステム構築を実現いたします。
研究開発費用は、1億6千8百万円であります。
④ 未来開発関連事業
未来開発関連事業では、当社のカーブアウトベンチャーであり、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の技術移転ベンチャーとしての認定会社である、㈱ノベルクリスタルテクノロジーと共同で酸化ガリウムを用いたパワーデバイスの開発を推進しております。
主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。
・㈱ノベルクリスタルテクノロジー及び佐賀大学と共同で、β型酸化ガリウムエピタキシャル膜の高品質化技術を新開発いたしました。今回、ハライド気相成長法を応用した独自の酸化ガリウム膜形成技術及びその評価手法を開発し、酸化ガリウム膜中の結晶欠陥を当社従来品の1/100に低減することに成功しました。これにより、酸化ガリウムパワーデバイスのリーク電流が大幅に減少し、数10A級の大電流素子の製造が可能になりました。
研究開発費用は、3億6千6百万円であります。