有価証券報告書-第98期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 15:23
【資料】
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【項目】
145項目

研究開発活動

当社グループは、「オンリーワン・カンパニーの実現」を経営スローガンに、タムラならではの「オンリーワン技術」で市場ニーズに応える製品づくりを目指して、研究開発活動を推進しております。
当連結会計年度における研究開発活動は、当社グループの中期経営計画で成長戦略に掲げる「車載」・「パワーエレクトロニクス」・「IoT・次世代通信」という3つの市場で期待される技術開発を中心に実施いたしました。
当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動は、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)
電子部品関連事業130
電子化学実装関連事業266
情報機器関連事業221
報告セグメント計618
全社(共通) (注)256
合計874

(注)「全社(共通)」の区分は、各セグメントに配分できない未来開発研究費用であります。
① 電子部品関連事業
電子部品関連事業は、車載・パワーエレクトロニクス関連において、将来の市場拡大が期待される製品の開発を強化しております。
主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。
・世界的に市場拡大の著しい電動化車両用途として、宇宙用途等で長年培ってまいりました高信頼性製品のノウハウが応用され、ハイブリッド自動車・プラグインハイブリッド車・燃料電池車・電気自動車などの基幹システムである昇降圧チョッパー回路に適用される「車載用リアクトル」の開発を進めております。また、リアクトル用途に特化した自社開発コア(鉄心)を使用した小型・高性能・低損失なリアクトルを開発し、様々な電動化車両への採用が進展しております。
`・電動化の進む車載市場に向けて、電流センサの開発を進めております。電流レンジ・精度レンジの充実したラインナップを揃えて、省エネ・創エネ・蓄エネなどの場面で使用されることを想定しております。
・インバータなどで使用される大電力パワースイッチング半導体の駆動に使用する「ゲートドライバモジュール」を開発しております。IGBT、SiC-MOSFETのどちらにも対応可能で、機器の設計を大幅に簡素化します。風力発電や鉄道などでの需要の拡大を見込んでおります。
研究開発費用は、1億3千万円であります。
② 電子化学実装関連事業
電子化学実装関連事業は、車載市場・IoT市場を中期成長戦略に掲げ、電子化学材料から実装装置まで、エレクトロニクス実装における幅広い分野においてコア技術開発・製品開発を推進しております。
主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。
・厳しいヒートサイクル基準が求められるハイブリッド自動車・電気自動車のECU/PCU向けに、高耐熱Pbフリー合金「#287」を開発いたしました。
・実装業界では放熱改善のためのQFN下面電極のボイド低減やBGAの未融合改善、酸化が進行した電子部品へのぬれ性の確保など、多種多様な要求がお客様から寄せられてきております。一般実装向けPbフリーソルダーペースト「TLF-204シリーズ」は、こうした様々なニーズにこたえる製品ラインナップを取りそろえました。
・既存の印刷工法では位置合わせの難しいFPC基板、印刷難度の高いキャビティを有する基板、立体的な基板のはんだ付といった用途において、非接触のはんだ塗布としてジェットディスペンス工法の適用が検討されております。「JDSシリーズ」は、塗布径に合わせてSAC305で2種のソルダーペーストを製品化し、ジェットディスペンスにおける吐出安定性と飛び散り低減に対応しております。
・フレキシブル基板用写真現像型白色液状ソルダーレジスト「RPW-300シリーズ」は先進樹脂設計技術により優れた折り曲げ性能、高反射率、高解像性、低露光量を実現した白色ソルダーレジストです。ミニLEDバックライト基板などの次世代ディスプレイ用途や高意匠性車載LED用途に適しております。
・リフロー装置「TNV VersionⅢ」は、炉内の汚れを大幅に低減し、メンテナンスサイクルの延長・改善を実現いたしました。最新の革新技術により、生産機会損失を大幅に低減いたします。
研究開発費用は、2億6千6百万円であります。
③ 情報機器関連事業
情報機器関連事業では、ネットワーク化や多様化する情報サービスのニーズに対応した開発を推進しております。
主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。
・フルIP対応音声調整卓「NTXシリーズ」を開発いたしました。IP伝送規格「SMPTE ST 2110」に対応しており、コンソールサーフェースのサイズは「NTX800」・「NTX600」・「NTX300」の3サイズを用意。フルIPシステムを採用し、使用用途に合わせて柔軟なシステム運用の提案が可能な製品であります。
研究開発費用は、2億2千1百万円であります。
④ 未来開発関連事業
未来開発関連事業では、当社のカーブアウトベンチャーであり、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の技術移転ベンチャーとしての認定会社である、㈱ノベルクリスタルテクノロジーと共同で酸化ガリウムを用いたパワーデバイスの開発を推進しております。
主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。
・β-Ga2O3を使ったパワーデバイスは低コストと高性能を両立できる製品であり、省エネ型社会の実現に向け、その期待は益々高まっております。超低損失大電流のパワーデバイスの実現を可能とするβ-Ga2O3の4インチエピタキシャルウエハの高品質化及び量産の立ち上げ、並びに2022年度販売開始予定のショットキーバリアダイオードの製品開発を進めております。
研究開発費用は、2億5千6百万円であります。