四半期報告書-第99期第3四半期(平成27年10月1日-平成27年12月31日)

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2016/02/10 15:14
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、米国では雇用拡大を背景とした景気拡大が続いた一方、個人消費が堅調に推移した欧州経済も緩やかな回復が持続し、中国は成長ペースの鈍化が顕著になるなどの変化はあったものの底堅く推移し、全体としては緩やかな回復基調にありました。しかし当該累計会計期間の後半にかけては、米金利引き上げに伴う資金移動の懸念、原油価格下落の資源国経済への影響、更に欧州・中東での地政学的リスクの高まりなど先行きの不透明感を強めつつ推移しました。また日本経済においては、個人消費マインドに足踏みが見られることや中国向け等の輸出に力強さを欠くなど、一部に弱さがあるものの、総じて景気は緩やかな回復基調で推移しました。
これらの経済情勢のもと、当社製品への需要は、グローバルな半導体市況サイクルの下降局面にあったこともあり、オフィス機器・産業機械向け市場などで低調な分野があったほか、自動車向け市場や白物家電向け市場なども総じて計画を下回って推移しました。
当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、半導体デバイス・セグメントにおいて、当社が購入し使用していた半導体ウエハ処理工程に用いる薬液(過酸化水素水)に品質上の問題があったため、その影響を受けたウエハは所期の性能を発揮できなくなったことから、これらウエハの廃却を想定せざるを得ず、当第3四半期連結決算におきまして、棚卸資産に対する引当金として、特別損失11億3百万円を計上いたしました。加えて、5月の基幹業務用ITシステム移行に伴い一部顧客がリスク回避を念頭に納期前倒しを行い売上が昨年度にシフトしたことの影響、更にはグローバルな半導体業界全体の業況サイクルが下降局面にあったこと、中国経済における成長鈍化の傾向が継続したことなどから、売上は計画を下回って推移し、為替レートが円安で推移したにも関わらず売上高は前年同四半期に比べ微増にとどまりました。
PMセグメントでは売上高は為替の影響もあり前年同四半期に比べ堅調に推移したものの、原価改善に遅れが生じたため利益改善の実績を挙げることは出来ませんでした。またPSセグメントでは、新エネルギー市場向け製品の売上が伸び悩み、携帯基地局関連の設備投資縮小による売上減少を補うまでには至りませんでした。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は1,136億75百万円と、前年同四半期に比べ22億4百万円(1.9%)減少いたしました。利益面においては、上記の半導体ウエハ廃却を想定した引当金の計上に加え、売上高減少に伴う利益の減少も発生しました。これにより営業利益は38億65百万円と、前年同四半期比33億9百万円(46.1%)減少し、経常利益は22億31百万円と、前年同四半期比47億99百万円(68.3%)減少し、親会社株主に帰属する四半期純損失は4億28百万円(前年同四半期 親会社株主に帰属する四半期純利益49億32百万円)となり、最終損失を計上することとなりました。
事業セグメント別の概況につきましては、次の通りです。
半導体デバイス事業では、為替レートの円安傾向による押し上げもあり、自動車向け製品の売上高は前期比で増加いたしました。一方で、エアコンや冷蔵庫など白物家電向け製品の売上は横ばいで推移し、オフィス機器・産業機械向けやAV向け製品の売上は減少したことから、当事業の連結売上高は920億15百万円と、前年同四半期比2億45百万円(0.3%)の微増にとどまりました。利益面では、売上が伸び悩んだことに加え、ウエハ廃却を想定した引当金の計上、新基幹システム関連及びアレグロのタイ工場立上げ関連の経費増加があったこと等が影響し、連結営業利益につきましては61億34百万円と、前年同四半期に比較し25億51百万円(29.4%)の減少となりました。
PM事業では、オフィス用プリンター向け製品及び産業機械向け製品の販売は概ね前期と同水準での推移でしたが、TV向け等のアダプター製品の販売が拡大しました。この結果、当事業の連結売上高は122億97百万円と、前年同四半期比で10億55百万円(9.4%)増加いたしました。その一方で損益面につきましては、製品ミックスの変化などにより、連結営業損失6億94百万円(前年同四半期 営業損失5億34百万円)を計上することとなりました。
PS事業では、携帯電話を中心とした通信設備投資が縮小したことに伴い同市場に向けた製品の販売が減少したこと、および増加が期待された新エネルギー分野での製品販売が伸び悩んだことなどから、売上は低調に推移しました。この結果、当事業の連結売上高は93億63百万円と、前年同四半期比35億4百万円(27.2%)減少いたしました。損益面につきましては、連結営業利益3億38百万円と、前年同四半期比3億78百万円(52.8%)の減少となりました。
(2) 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末における資産の部は、1,924億29百万円となり、前連結会計年度末より8億38百万円減少いたしました。これは主に、棚卸資産が50億22百万円増加し、受取手形及び売掛金が67億2百万円減少したことなどによるものであります。
負債の部は、1,311億41百万円となり、前連結会計年度末より8億96百万円増加いたしました。これは主に、社債が109億円増加し、支払手形及び買掛金が42億44百万円、コマーシャル・ペーパーが20億円減少したことなどによるものであります。
純資産の部は、612億87百万円となり、前連結会計年度末より17億34百万円減少いたしました。これは主に、利益剰余金が12億77百万円、為替換算調整勘定が3億62百万円減少したことなどによるものであります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社では、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を次の通り定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次の通りです。
① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
上場会社である当社の株式については、株主及び投資家の皆様による自由な取引が認められているため、当社取締役会としては、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方は、最終的には株主の皆様の意思により決定されるべきであり、当社株式に対する大規模な買付行為に応じて当社株式を売却するかどうかの判断も、最終的には当該株式を保有する株主の皆様の意思によるべきものと考えます。
しかしながら、当社及び当社グループの経営にあたっては、独自のウエーハプロセスや半導体デバイスの製造技術、また回路技術を駆使した電源システムとオプティカルデバイスの組み合わせなど、幅広いノウハウと豊富な経験が必要になります。更に、お客様・取引先及び従業員等のステークホルダーとの間に築かれた関係等への十分な理解が不可欠であり、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者に、これらへの理解が無い場合、将来実現することのできる株主価値を適正に判断することはできず、当社の企業価値及び株主共同の利益が著しく損なわれる可能性があります。
また、大規模な買付行為の中には、高値で株式を会社関係者に引き取らせる行為など、株主共同の利益を著しく損なうと判断される場合もあります。この様な場合、当社は当該大規模買付行為の是非に関し、株主の皆様に適切にご判断いただくため、大規模買付行為を行おうとする者に対し、必要な情報の提供を求めるとともに、適切な情報開示や株主の皆様が検討に必要とする時間確保にも努め、また、金融商品取引法、会社法その他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講ずるべきと考えております(以下「基本方針」といいます。)。
② 基本方針実現のための企業価値向上に向けた取組み
当社では、経営理念に則り、半導体をコアビジネスに技術力と創造力の革新に努め、独自技術によるグローバルな事業展開を進めるとともに、企業に対する社会的要請や環境調和への着実な対応を通じて、企業価値を最大限に高めるべく、確固たる経営基盤の確保に邁進しております。更に、中長期的な会社の経営戦略として、3ヶ年にわたる中期経営計画を策定しており、その実現に向け、グループを挙げて取組んでおります。
また、当社では、独立系パワー半導体メーカーというポジションと、それを最大限活用する経営方針・経営計画へのご理解を深めて頂くため、各ステークホルダーとの対話を緊密化させ、企業価値への適正な評価が得られるように努めております。
コーポレート・ガバナンス体制の強化としては、独立社外取締役の選任により取締役会の監督機能を強化するとともに、執行役員制度を通じ機動的な業務執行体制の構築、マネジメント機能の強化を推進しております。加えて、経営環境の変化に迅速に対応できる経営体制の実現と、事業年度における取締役の経営責任の明確化を図るため、取締役の任期を1年としております。
当社取締役会は、これら取組みが、当社の企業価値を向上させるとともに、当社株主共同の利益を著しく損なう様な大規模買付行為の可能性を低減させると考えております。従って、これら取組みは基本方針に沿ったものであり、当社株主共同の利益に資するものであると考えております。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は131億78百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 従業員の状況
当第3四半期連結累計期間におきまして、PM事業の連結従業員数が前連結会計年度末と比べて294名減少しております。これは主に、連結子会社であるピーティー サンケン インドネシアの生産性向上及び生産金額の減少に伴う人員調整によるものであります。