有価証券報告書-第50期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/25 11:42
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【項目】
109項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度は、国内では、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費は底堅く推移し、年度末にかけては耐久消費財に加えて日用品でも消費税率引き上げ前の駆け込み需要が本格化しました。公共投資も復興需要や緊急経済対策の効果から高い伸びが続きました。海外では、米国において自動車販売や住宅投資が高水準で推移し改善基調が続きましたが、財政問題や進まぬ雇用環境の改善が課題となり、欧州ではゆるやかな回復基調が続くなか内需も持ち直し、回復の裾野も広がりつつありますが、南欧諸国では失業問題が依然深刻となっています。また、中国を始めとする新興国では経済成長率の伸びに減速傾向がみられました。
この様な状況のなか、当企業集団は、デジタル化が推進される国内市場に向けて陸上業務用デジタル無線通信機器等の提案を進めるとともに、新しい操作性を提案したアマチュア用無線通信機器の新製品を投入し、また海外市場に対して、成長が続くアジア市場の販路拡充に努め、無線通信のデジタル化、システム化を製品開発、販売の両面から推進しました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は262億8千3百万円と、前年同期に比べ4億3千1百万円(1.7%増)の増収となりました。営業利益は試験研究費を含む販売費及び一般管理費が増加しましたが22億5百万円と前年同期に比べ2千7百万円(1.3%増)の増益となり、為替差益の減少から経常利益は28億7千2百万円と前年同期に比べ2億8千4百万円(9.0%減)の減益、子会社の事務所移転に伴う固定資産売却益を計上し当期純利益は22億3千7百万円と前年同期に比べ9百万円(0.4%増)の増益となりました。
売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期純利益
(百万円)
当連結会計年度
(平成26年3月期)
26,2832,2052,8722,237
前連結会計年度
(平成25年3月期)
25,8512,1773,1562,228
前年同期比増減率1.7%1.3%△9.0%0.4%

当連結会計年度におけるセグメントの業績は、次のとおりであります。
① 日本[当社、和歌山アイコム㈱、アイコム情報機器㈱]
国内市場向けでは、新製品効果のあったアマチュア用無線通信機器が増収となり、デジタル化の進行と防災需要並びに消費税率引き上げ前の駆け込み需要も寄与したことからデジタル簡易無線通信機器や特定小電力無線通信機器等の販売も底堅く推移しました。また、海外市場向けでは、為替レートが円安で推移し、アジア市場において販路の整備拡大と積極的な営業活動を実施したことも大きく奏効したことから、前年度における特需の反動から減額となった陸上業務用無線通信機器を除く全てのカテゴリーで増収となりました。
外部顧客に対する売上高は163億3千5百万円(前年同期比1.9%増)、営業利益は21億9千1百万円(前年同期比11.7%増)となりました。
② 北米[Icom America,Inc.、ICOM CANADA HOLDINGS INC.、ICOM DO BRASIL RADIOCOMUNICACAO LTDA. ]
米国市場で陸上業務用無線通信機器は政府予算の削減等から減収となり、アマチュア用無線通信機器は新製品効果があったものの通期では前年並みとなりましたが、海上用無線通信機器は景気回復に伴い増収となりました。
外部顧客に対する売上高は76億2千1百万円(前年同期比0.9%減)となり、円換算ベースでの販売費及び一般管理費の増加により6千9百万円の営業損失 (前年同期は3億3千8百万円の営業利益)となりました。
③ ヨーロッパ[Icom(Europe)GmbH、Icom Spain, S.L.]
市場の低迷から陸上業務用無線通信機器及び海上用無線通信機器は減収となりましたが、新製品効果のあったアマチュア用無線通信機器は好調を持続してそれを補い、また円安の影響もあり円換算での外部顧客に対する売上高は9億8千6百万円(前年同期比31.1%増)となりましたが、円換算ベースでの販売費及び一般管理費の増加により5千4百万円の営業損失(前年同期は5千万円の営業損失)となりました。
④ アジア・オセアニア[Icom(Australia)Pty.,Ltd.、Asia Icom Inc.]
主力市場となるオーストラリアでは、鉱山向け等で陸上業務用デジタル無線通信機器が大幅な増収となり、新製品効果のあったアマチュア用無線通信機器も増収となりましたが、景気減速の影響を受けて他のカテゴリーは減収となり、外部顧客に対する売上高は13億3千9百万円(前年同期比2.9%減)、営業利益は1億2千6百万円(前年同期比22.2%減)となりました。
(2)キャッシュ・フロ-の状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ36億4千1百万円増加し、274億1千9百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により増加したキャッシュ・フローは、50億7千7百万円(前年同期は2億8千1百万円の減少)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益33億6千9百万円、売上債権の減少27億3千8百万円、減価償却費8億8千2百万円、一方で主な減少要因は、法人税等の支払額14億6千2百万円、受取利息及び受取配当金2億2千9百万円、営業活動その他の減少1億7千8百万円であります。
なお、営業活動その他の減少1億7千8百万円の主な内訳は、退職給付引当金の減少8億7千6百万円等の減少要因と退職給付に係る負債の増加額6億4千9百万円等の増加要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少したキャッシュ・フローは、11億5千8百万円(前年同期は16億7千1百万円の減少)となりました。主な減少要因は、預入期間3ヶ月超定期預金の増加10億1千万円、有形固定資産の取得による支出8億1千5百万円、投資有価証券の取得による支出3億1千万円、一方で主な増加要因は、投資活動その他の増加7億4千6百万円、利息及び配当金の受取額2億2千6百万円であります。
なお、投資活動その他の増加7億4千6百万円の主な内訳は、有形固定資産の売却による収入7億6千6百万円等の増加要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により減少したキャッシュ・フローは、5億1千8百万円(前年同期は2億9千6百万円の減少)となりました。主な内訳は、配当金の支払額であります。