有価証券報告書-第63期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/25 14:16
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【項目】
136項目

研究開発活動

当民生用電気機器業界におきましては、既存製品のコモディティ化と若者を中心とするライフスタイルの変化に伴い、求められる製品市場も急激に変化しております。このため、当社を含めた国内電機メーカーにおける開発戦略にも大きな変革が求められております。
こうした市場の動きを背景に、新たなライフスタイルにあった付加価値の高い製品とコモディティ化の進む既存製品とのバランスを適切に見極め、また、顧客との強力なパートナーシップに応える製品開発も進めてまいります。
主要製品であるデジタルテレビは、インターネット環境の充実とデジタルコンテンツの配信技術の進化により、更に楽しみ方の幅が広がってまいりました。当社としましては、デジタルテレビとユーザとの新たな親和性に変革を起こす絶好のチャンスと考えており、独自性のある新しい製品群の展開が可能になってまいりました。
また当社は、高齢化、核家族化という社会環境の変化に応えるために、国家プロジェクトや産学連携の更なる強化により、スマートライフの新規ビジネスに向け、車載分野、医療分野、美容分野も含めた技術開発を行っております。
この研究開発につきましては、当社(セグメントの名称:日本)の開発技術本部及び各事業部に所属する技術部門並びに、海外の開発拠点(セグメントの名称:米州及びアジア)が推進しており、当連結会計年度の研究開発費の総額は7,535百万円でありました。
当社グループの事業は、電気機械器具の製造販売であり、事業区分はしておりませんが、当連結会計年度における主要な研究開発活動の概要は、次のとおりであります。
(1)映像機器関連技術
映像機器製品につきましては、第2世代デジタルテレビ時代を迎え、4K2Kディスプレイを主軸に、HDR(High Dynamic Range)、Wide Color、4K超解像技術及び膨大なコンテンツ数への視聴対応や利便性向上技術(例えば、音声検索機能、マルチビジョングラフィック技術、広帯域QoS(※)ワイヤレスやマルチDRM(デジタル著作権管理)処理)などの技術の進化を図っております。
小型・軽量化、薄型化、狭額縁、省エネ化、低コスト化につきましては、引き続き重要なテーマとして開発を進めております。
(※)ネットワーク上で、ある特定の通信のための帯域を予約し、一定の通信速度を保証する技術
(2)ネットワーク関連技術
スマートフォンの普及によりモバイル端末でのコンテンツ操作が求められており、いつでも、どこでも、あらゆる機器への対応を念頭に開発を行っております。特に、プリンターでのホームネットワーク・クラウドプリントは、家庭内にあるプリンターとモバイル端末をインターネットで接続し、簡単且つ、素早くどこからでも印刷を可能にするため、インクジェットプリンターの開発を介し、当社固有の技術として差別化を図っております。
(3)新製品
来るべき高齢化社会に向けた新たなライフスタイルへの対応に加え、安全・快適性が求められる車載機器など成長市場にも焦点を絞った製品開発、デバイス開発・ソフトウェア開発を進めております。
また、従来の民生用製品に加えて、業務用製品、車載用製品、システム製品の開発についても、民生機器開発の応用や横展開の有効活用により、安定したビジネスユニットとなるべく開発体制を整えてまいります。具体的には、前年度に取得したインクジェットプリンターの基本技術とカートリッジの製造技術の応用展開を目指し、広範な高収益ビジネス展開に向けた開発を推進しております。
(4)研究
京都大学や九州大学のCOI(センターオブイノベーション)を始めとした大学との共同研究、産業総合研究所との連携等、事業化に向けたテーマ選定と産学協同研究などの連携開発を実施しております。
これにより、研究から開発、製品化及びソフト・要素技術デバイスから製品化に至る年度別マイグレーションを実現してまいります。
(5)知的財産戦略
自社研究開発、自社製品開発において、戦略的知的財産権の獲得、他社の特許を侵害しない特許の出願を確実に進めることにより、特許収支の改善を図ります。一方で、研究機関や他社との協業、他社特許の獲得を効率的に進めることにより、即効性のある総合的な特許戦略を進めております。