有価証券報告書-第57期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/27 15:00
【資料】
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【項目】
140項目

事業等のリスク

以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性についての事項を記載しております。また、当社グループとしては必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資判断上、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。当社グループは、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項目以外の記載内容も併せて、慎重に検討したうえで行われる必要があります。
なお、本文中における将来に関する事項は、本書提出日(2020年3月27日)現在において、当社グループが判断したものであります。
1.品質に関するリスク
当社グループでは、ISO9001やISO14001の認証を取得した工場又はそれらに準じるシステムで生産を行う工場が生産主力工場として稼動しております。しかし、全ての製品について、不良、不具合が無く、将来に亘ってリコールが発生しないという保証はありません。これらの不良、不具合及びリコールが、多額の費用発生や当社グループの信用低下に繋がった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
2.災害・事故のリスク
当社グループの国内生産工場は、山梨県山梨市、京都市伏見区、福岡県大野城市、福岡県小郡市、福岡県朝倉郡筑前町、島根県松江市の6ケ所に位置しております。大規模な自然災害や事故が発生した場合、同一業種のバックアップ生産は他地域でも可能と当社グループでは考えておりますが、特定製品については、特定の地域にしか生産工場が無いため、バックアップ生産が不可能となります。このような特定製品の生産拠点が自然災害等に見舞われた場合には、生産活動への支障等が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルスの感染症が拡大した場合にも、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
3.カントリーリスク
当社グループは、海外8カ国に12工場(うちアジア7カ国に11工場)を有しております。これらの海外工場毎に生産する製品は異なっておりますが、多くの海外工場が政治及び経済的に不安定な国に所在していることから、それらのカントリーリスクが顕在化した場合には、生産活動への支障等が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルスの感染症が拡大した場合にも、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
4.保有技術に関するリスク
当社グループでは創業以来、50有余年にわたり生産等に関する様々な技術を蓄積し、伝承し、それらをもとに精密金型技術を基盤とした現在の事業を展開しております。また、当社グループでは常に時代に先行した新技術にも取り組んでおりますが、当社グループの予測の範囲を超えた技術革新がなされた場合には、当社グループの技術競争力が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
5.知的財産権に関するリスク
当社グループは、創業以来の精密金型技術をベースにした、コネクタ等の電気・電子部品、センサー類等の自動車部品、そして半導体製造装置等々に関する様々な技術を有しています。これらの技術について、特許申請、意匠登録などを行って知的財産権の保護に注力しておりますが、技術流出を防止するために特許出願を意図的に行っていないものもあります。これらの特許未取得技術については、特許未取得であるがゆえに、万一これらの技術が流出した場合には、当社グループの技術が侵害され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
一方、当社グループでは、他社の所有する知的財産権を侵害しないよう努めておりますが、当社グループの事業分野における知的財産権の現況を完全に把握することは困難であり、当社グループが把握できていないところで、他社の所有する知的財産を侵害する可能性もあります。かかる事態により損害賠償請求を受けた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
6.競合リスク
当社グループの事業は、同業他社と技術面、価格面、納期面において競合があります。当社グループでは、製品機能向上、生産技術の開発、生産ラインの効率化を図っておりますが、今後競合が激化した場合には、当社グループ製品の優位性の低下、販売価格の下落等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
7.多額の設備投資に関するリスク
当社グループは生産能力増強を図るため積極的な設備投資を実施しております。
設備投資の決定は極めて重要な経営判断事項であることから、当社グループでは市場動向、競合他社動向等を熟慮しつつ、事業戦略及び当該投資の収益性等を総合的に勘案し、実施していく方針であります。しかしながら経済動向や市場動向を正確に予測することは困難であり、多額の設備投資に対して製品需要が当社グループの想定どおりに拡大しなかった場合には、減価償却費負担が収益性を圧迫し、使用設備の除却や減損が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
8.原材料、購入部品の価格変動リスク
当社グループが製造・販売している製品の主原料は、プラスチック成形材料、金属材料(銅、鉄)、めっき材料(金)であります。原油価格の上昇によるプラスチック材料の調達コストの増加、銅材や鉄材の価格上昇、金価格の上昇や為替変動により、これらの価格が上昇する可能性があります。
また、当社グループでは、機械設備の外販や内製化を行っております。これらの機械設備は、鋼材の基盤に様々な電気部品、機械部品を組み付けて作られていますが、需要の逼迫等によって、これらの電気部品、機械部品の購入価格が上昇する可能性があります。
当社グループでは、これらに対応するために、生産技術力等を中心とした技術力によって、生産効率改善及び原価低減に努めるとともに、必要に応じて販売価格への転嫁を図る場合もあります。しかしながら、これらの施策により原材料及び購入部品の価格上昇分を吸収できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
9.在庫品に関するリスク
当社グループの電気・電子部品事業及び自動車部品事業に係る金型・製造設備及び設備事業に係る半導体製造装置は顧客からの短納期が要求されることから、顧客より入手する仕入の内示情報等に基づき、汎用部分の見込製造を一部採用しております。ただし、顧客からの正式受注時において内示情報等との間に差異が生じる場合もあり、数量的、仕様的差異によっては余剰在庫、滞留在庫として残り、その結果、評価損、廃棄損等に繋がる可能性もあります。このように在庫品について多額の評価損等が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
10.法的規制に関するリスク
当社グループは、製造分野における特許関連法規、工場運営における環境関連法規、人事労務における労務法関連法規、財務・税務分野における会計税務関連法規その他の法的規制を受けております。
当社グループが各種の法的規制を遵守できなかった場合、又は各種の法的規制の変更や新たな法的規制の制定が当社グループの予想を超えて実施された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
11.為替リスク
当社グループの生産及び販売は海外にも及んでおり、11カ国の他国通貨を取り扱い保有しております。国内にも外貨建ての取引があるため、為替相場の変動による影響を受けます。当社グループは、このリスクを縮小するための対策を講じておりますが、すべてのリスクを排除することは不可能であり、急激に為替が変動した場合には当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
12.特定販売先への依存リスク
当社グループ製品の販売対象顧客は広範囲にわたっておりますが、2019年12月期の連結売上高の25.9%が自動車部品事業の主要顧客である株式会社デンソー及び同一の企業集団向けとなっており、今後も取引拡大を計画しております。現状、当社グループでは同社との良好な関係を保持しているものと認識しておりますが、今後同社で取り扱う部品構成の変更や協力会社との取引方針の変更等により、当社グループの部品供給が大きく減少した場合には、当社グループの事業展開に変化が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
13.与信リスク
当社グループでは、販売先との取引開始にあたっては、訪問調査、業界情報の収集又は銀行からのヒアリング、外部調査機関調査あるいは取引の進展状況、信用度、経営成績、資産内容等の調査を実施しており、継続販売先についても一定の業績確認やヒアリングにより、与信管理を行っております。
しかしながら、販売先の急激な業績悪化等により、債権が回収不能となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
14.当社製品需要動向に係るリスク
当社グループの取り扱うコネクタは、パソコン、スマートフォン・携帯電話、デジタル家電、AV 機器などの最終製品にて使用されております。そのため、景気変動全般の影響を受けるほか、最終製品の新モデルの発売時期や最終製品市場の成長鈍化、及びそれらに伴う取引先顧客の購買動向、部品調達動向の変化により、当社売上に悪影響が及ぶ可能性があります。今後経済環境の悪化が進んだ場合、当社グループの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
15.過去の経営成績の動向
当社個別財務諸表の経営成績の推移
(単位:百万円)

2015年12月期2016年12月期2017年12月期2018年12月期2019年12月期
売上高40,78838,17847,39444,82144,773
営業損失(△)△551△1,718△132△1,279△550
経常利益又は
経常損失(△)
2,755△7641,286△626△283
当期純利益又は当期純損失(△)3,477△6741,012△1,780△365
関係会社からの受取配当金3,2951,1591,380912324

当社個別財務諸表の経営成績については、連結財務諸表での経営成績に比して損益の振幅が大きく、また、関係会社からの受取配当金の損益に与える影響が大きいことから、経営成績の推移を分析する際に留意が必要です。
当社が製造する電気・電子部品及び自動車部品は、ノートパソコンや自動車等に組み込まれるものであることから、最終製品の需要に左右され、ひいては景気動向全般の影響を受けます。また設備事業は、半導体業界の設備投資動向等の影響を受けます。
2016年12月期及び2018年12月期に営業損失を計上した主な要因は、売上総利益率の低下であります。電気・電子部品事業における主力製品の受注が減少し、設備稼働率が低下したことによるものであります。
2015年12月期、2017年12月期及び2019年12月期に営業損失を計上した主な要因は、販売管理費の増加であります。新規製品開発に伴う研究開発費の増加によるものであります。
2018年12月期に当期純損失を計上した主な要因は、今後の事業環境等を踏まえ、生産設備等の固定資産の回収可能性について慎重に検討を行った結果、一部固定資産の減損処理を行ったことに加え、繰延税金資産を取り崩したことによるものであります。
また、関係会社からの配当につきましては、関係会社が稼得した利益は、親会社である当社が関係会社側の資金繰り事情等を総合的に勘案しながら、配当として受領する方針であります。