有価証券報告書-第95期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 14:18
【資料】
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【項目】
167項目

研究開発活動

当社グループは、お客様にとっての価値創造を原点に発想し、世界のベストパートナーとともに、優れた独自技術により、確かな品質・性能と高い利便性をもつ商品・サービスをタイムリーに提供することを基本理念として、グループ各社の研究部門及び開発設計部門とが密接に連携しながら先行技術開発、要素技術開発、製品開発に鋭意取り組んでおります。
当連結会計年度の研究開発費の総額は26,866百万円であり、各報告セグメントの研究開発活動は次のとおりであります。
(リテールソリューション事業)
当事業分野では、POSシステム、電子レジスター、画像スキャナ、データソリューションなどの研究開発を行っております。主な研究開発の成果は以下のとおりであり、研究開発費は11,981百万円となりました。
・店舗の運用に応じて自在に設置できる小型スキャナを開発。カート型セルフレジ用のカート取付けタイプを2019年9月に、スタンド・手持ち・平置きが可能な汎用タイプを同年12月に発売。カート取付けタイプは、従来のハンドスキャナの運用と比べてハンズフリーでスピーディな運用が可能となり、スキャン効率を高めることができます。汎用タイプは、スタンドを取外すことで平置きが可能となり、商品スキャンに加えて、お客様のスマートフォンに表示されたバーコードやQRコードをスキャンする端末としても利用できます。また、本スキャナは、当社の値引きシールの読取りにも対応しています。
・食品スーパーなどの量販店向けに、2019年12月にカート型セルフレジを、2020年3月にスマートフォン用セルフレジを発売。カート型では、お客様が店内を移動しながら商品を買物カゴに入れる際に、付属のスキャナで商品のバーコードを読取ることで、読取った商品の情報と合計金額が画面に表示され、リアルタイムで買上情報の確認ができます。さらに、画面に割引商品情報等が表示され、お得な買物ができます。スマートフォン用では、お客様自身のスマートフォンへ予めダウンロードした専用アプリ上で、商品の登録・会計を済ませることができます。これらの新しいセルフレジで、レジ待ちのない快適な買物を実現し、お客様1人当たりの会計にかかる時間を大幅に短縮します。
・飲食店向けハンディターミナルと無線オーダーシステムを開発し、2019年9月に発売。ハンディターミナルは、タッチパネルを採用し、スマホライクな操作性を実現するとともに堅牢性を高めました。無線オーダーシステムは、ハンディターミナルのカメラを使用した値引き券の事前読込み機能を搭載することで、お客様のレジでの会計時間を短縮できます。また、自動単価切替え機能を搭載しており、時間帯による対象メニュー単価の変動を自動的に反映することで注文業務の効率化を進められますので、人材確保が困難な中でも、機械操作に不慣れなオペレーターをサポートすることが可能となります。
・グローバルな成長市場においてもセルフチェックアウト商品の需要が拡大しており、これに対して日本向けモデルをベースにした海外向けセルフチェックアウト商品を開発し、2020年1月に発売。制御部、画面、スキャナとプリンタを一体型にし、カウンターなどの上に設置可能な小型セルフチェックアウトターミナルとなっており、既存のセルフチェックアウトターミナルに比べ小型化を実現したことで、コンビニエンスストアなどの小型店舗向けに設置することが可能となります。
・グローバルに展開する当社POSアプリケーション及びビジネスパートナー向けの当社プラットフォームの機能拡充とともに、エコシステムプログラムを整備し、パートナーソリューションとの連携を進めております。2019年10月にアメリカの宝くじ販売サービス業者のシステムと接続し、POS端末からでも決済時に宝くじの販売が可能になりました。今後、買物体験の向上を支えるパートナーソリューション連携の拡充を図っていきます。
・POS端末管理の業務効率を向上させるため、店舗従業員向けの海外モバイルアプリケーションを2019年11月からリリース。従業員が手元のモバイルデバイスから、いつでもどこでもアプリケーションのダッシュボートファンクションで機器の稼働状況をビジュアルに確認でき、容易に端末の設定を変更することや、迅速に潜在問題を把握することが可能となりました。
・当社の子会社が運営する当社大崎事務所内の売店にて、スマートフォン、タブレット及び各種センサーを活用した小規模店向け無人店舗ソリューションの実証実験を2019年8月から2020年3月にかけて実施。当社グループ従業員を対象に、スマートフォン及びタブレットを利用したセルフレジ、各種センサー及びカメラを利用したウォークスルー決済並びに人工知能を活用した行動検知等、各種サービスの有用性を検証しました。このうち、ウォークスルー決済については、2020年2月に幕張メッセで行われたスーパーマーケット・トレードショーに「RushWalk」として参考展示を行いました。
(プリンティングソリューション事業)
当事業分野では、デジタル複合機、オートIDシステム、プリンタなどの電子写真技術、光学設計技術、原稿送り機構技術、プリントコントローラ技術、画像形成技術、インクジェットヘッドなどの研究開発を行っております。主な研究開発の成果は以下のとおりであり、研究開発費は14,884百万円となりました。
・中小規模オフィス向けモデルの超小型・軽量A3モノクロ低速レンジ複合機を2019年8月に発売。A3サイズ仕様ながらコンパクトな筺体で省スペースを実現し、ウォーミングアップタイムを従来機に比べて8%短縮しました。また、モバイル端末から印刷することや、クラウドにスキャンデータを保存することができます。さらに、社内ネットワークに入れない端末からも印刷が可能です。これら機能により、お客様の業務効率化や働き方改革をサポートします。
・オフィス環境において大きなシェアを持つGoogle LLCが提供する汎用クラウドサービスとの連携を実現する「e-BRIDGE Plusシリーズ」を発売。G Suiteと連携し、クラウドストレージへのスキャンデータのアップロード、クラウドストレージからファイルへのダウンロード及び印刷、並びにスキャンデータのメールへの添付及び送信が可能な複合機用アプリケーションを開発し、これらの機能により、パソコンを介さず複合機の操作だけでクラウドストレージサービスの利用が可能となり、業務の効率化が図れます。
・カスタマーエクスペリエンス向上のためのクラウドベース複合機カスタマイズプラットフォームについて、グローバル展開を開始。これを用いることにより、複合機ディーラーを含めた営業の方々が顧客のニーズに合わせたパーソナライズUIを作成し配信することができます。複雑な設定を必要とするワークフローをワンステップ操作で実行可能となり、お客様の業務効率向上に寄与します。
・製造業、物流業、小売業など様々な業種で利用可能なラベルプリンタを2019年5月に発売。従来機に対し最大印字速度を30%向上し、作業時間の短縮に貢献します。また、消耗部品の交換時期アラート機能搭載により、計画的にメンテナンスを行うことが可能で、ダウンタイム短縮による業務効率改善にも貢献します。さらに、オプション設定のRFID機能により、ラベル出力と同時にRFIDタグへのデータの書込みが可能です。
・製造業、物流業、小売業向けにポータブルプリンタを2020年1月に発売。従来機に対し処理能力の改善により最大印字速度が50%向上し、作業時間の短縮に貢献します。また、耐落下、防滴防塵性能を向上し、より現場での使用環境に適した仕様となっています。さらに、消耗部品の交換時期アラート機能搭載により、計画的にメンテナンスを行うことが可能で、ダウンタイム短縮による業務効率改善に貢献します。
(注)1.QRコードは㈱デンソーウェーブの登録商標、G SuiteはGoogle LLCの登録商標です。
2.G Suiteは、メール、文書作成やファイル保管、カレンダ、ビデオ会議等の機能をビジネス向けにパッケージングした、Google LLCが提供するクラウドサービスです。