有価証券報告書-第95期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/20 14:30
【資料】
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【項目】
62項目

事業等のリスク

連結会社の事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しています。連結会社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めていきます。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2018年6月20日)現在において連結会社が判断したものです。
(1) 経済状況
連結会社の全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、連結会社が製品を販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本、北米、欧州、アジアを含む連結会社の主要市場における景気後退及びそれに伴う自動車需要の縮小は、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、連結会社の事業は、競合他社が製造を行う地域の経済状況から間接的に影響を受ける場合があります。例えば、競合他社が現地でより低廉な人件費の労働力を雇用した場合、連結会社と同種の製品をより低価格で提供できることになり、その結果、連結会社の売上が悪影響を受ける可能性があります。さらに、部品や原材料を製造する地域の現地通貨が下落した場合、連結会社のみならず他のメーカでも、製造原価が下がる可能性があります。このような傾向により、輸出競争や価格競争が熾烈化し、いずれも連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになります。
(2) 為替レートの変動
連結会社の事業には、全世界における製品の生産と販売が含まれています。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されています。換算時の為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。一般に、他の通貨に対する円高(特に連結会社の売上の重要部分を占める米ドル及びユーロに対する円高)は連結会社の事業に悪影響を及ぼし、円安は連結会社の事業に好影響をもたらします。
連結会社が日本で生産し、輸出する事業においては、他の通貨に対する円高は、当社製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。連結会社は、通貨ヘッジ取引を行い、米ドル、ユーロ及び円を含む主要通貨間の為替レートの短期的な変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、中長期的な為替レートの変動により、計画された調達、製造、流通及び販売活動を確実に実行できない場合があるため、為替レートの変動は連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 原材料や部品の供給による影響
連結会社は、製品の製造に使用する原材料や部品を複数のグループ外供給元から調達しています。これらのグループ外供給元とは、基本取引契約を締結し、安定的な取引を行っていますが、市況の変化による価格の高騰や品不足、さらには供給元の不慮の事故等、原材料や部品の不足が生じないという保証はありません。その場合、連結会社製品の製造原価の上昇、さらには生産停止を招く等、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 新製品開発力
連結会社は継続して斬新で魅力ある新製品を開発できると考えていますが、新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。
・新製品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。
・長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新製品又は新技術の創造へつながる保証はありません。
・連結会社が顧客からの支持を獲得できる新製品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの製品の販売が成功する保証はありません。
・技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、連結会社製品が時代遅れになる可能性があります。
・現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要について行けなくなる可能性があります。
上記のリスクをはじめとして、連結会社が業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 価格競争
自動車業界における価格競争は大変厳しいものとなっています。特に、完成車メーカからの価格引き下げ要請は、近年、強まってきています。
また、連結会社は、連結会社が属している各製品市場と地域市場において、競争の激化に直面すると予想されます。競合先には他自動車部品メーカがあり、その一部は連結会社よりも低コストで製品を提供しています。さらに、自動車のカーエレクトロニクス化の進展に伴い、民生用エレクトロニクス製品メーカ等、新しい競合先又は既存競合先間の提携が台頭し、市場での大きなシェアを急速に獲得する可能性があります。
連結会社は、技術的に進化した高品質で高付加価値の自動車関連製品を送り出す世界的なリーディングメーカであると考える一方で、将来においても有効に競争できるという保証はありません。価格面での圧力又は有効に競争できないことによる顧客離れは、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 国際的活動及び海外進出に潜在するリスク
連結会社の生産及び販売活動において、北米や欧州、並びにアジアの発展途上市場や新興市場等の日本国外に占める割合は、年々、高まる傾向にあります。これらの海外市場への事業進出には以下に掲げるようないくつかのリスクが内在しており、これらの事態が発生した場合には、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
・予期しない法律又は規制の変更
・不利な政治的又は経済的要因の発生
・人材の採用と確保の難しさ
・社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる事業活動への悪影響
・潜在的に不利な税影響
・テロ、戦争、疾病、その他の要因による社会的又は経済的混乱
(7) 知的財産権
連結会社は他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してきましたが、これらの技術とノウハウの一部は、特定の地域及び国では法的制限のため知的財産権として完全な保護が不可能な状況にあり、第三者が連結会社の知的財産権を使って類似した製品を製造することを効果的に防止できない可能性があります。また、連結会社の製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、将来的に第三者の知的財産権を侵害しているとされる可能性があります。
(8) OEM(※)顧客企業の業績への依存
連結会社の事業の大部分を占めるOEM事業は、世界中の自動車メーカを対象としており、提供する製品は、自動車部品におけるパワトレインシステム、エレクトリフィケーションシステム、電子システム、サーマルシステム、モビリティシステム等多岐にわたります。これらの分野における顧客企業への売上は、その顧客企業の業績や連結会社が管理できない要因により影響を受ける可能性があります。また、顧客の価格引き下げ要請は、連結会社の利益率を低下させる可能性があります。顧客企業の業績不振、予期しない契約の打ち切り、OEM顧客の調達方針の変化、大口顧客の要求に応じるための値下げは、連結会社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
連結会社の売上の約半分を、トヨタグループ向け売上が占めています。これらの特定の顧客グループへの売上は、その顧客企業の業績により大きな影響を受ける可能性があります。
※OEM:Original Equipment Manufacturing(自動車メーカ向けの部品供給)
(9) 製品の欠陥
連結会社は世界中の工場で世界的に認められている品質管理基準に従って各種の製品を製造しています。しかし、全ての製品について欠陥が無く、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。さらに、引き続き連結会社がこのような保険に許容できる条件で加入できるとは限りません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや連結会社の評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、連結会社の業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
(10) 災害や停電等による影響
連結会社は製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために、全ての設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行っています。しかし、連結会社の生産施設及び連結会社の顧客企業、仕入先企業で発生する災害、停電又はその他の中断事象による影響を完全に防止又は軽減できる保証はありません。例えば、連結会社の事業所の多くは東海地震防災対策強化地域に所在しており、この地域で大規模な地震が発生した場合、生産・納入活動が停止する可能性があります。
(11) 退職給付債務
連結会社の従業員退職給付費用、退職給付債務及び制度資産は、割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、将来の連結会社の業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
(12) 法的手続
連結会社はビジネス活動において、継続的なコンプライアンスの実践に努めています。それにも関わらず、様々な訴訟及び規制当局による法的手続の当事者となる可能性があり、その場合には連結会社の業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
なお、連結会社は、2012年1月に米国司法省と締結した司法取引契約等に関連して、米国等で提起された民事訴訟に対応しているほか、一部の自動車メーカとの間で和解交渉を行っております。その結果を予測することは困難ですが、連結会社の業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。