有価証券報告書-第69期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 17:15
【資料】
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【項目】
122項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、以下の重要な会計方針が、当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
① 貸倒引当金
当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
② たな卸資産
当社グループは、たな卸資産の市場状況に基づく時価の見積額が原価を下回った場合に評価損を計上しております。
③ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を評価するにあたっては、将来の課税所得を合理的に見積って検討しております。
④ 退職給付に係る負債
退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などが含まれます。当社の年金制度においては、割引率は優良社債の市場利回りを在籍従業員に対する支給年数で調整して算出しております。
長期期待運用収益率は、年金資産の現在及び予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率を考慮しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に退職給付費用の一部として計上されます。
⑤ 減損損失
当社グループは、主に管理会計上の区分を考慮して資産グループを決定し、将来キャッシュ・フローの回収額を見積った結果、十分な将来キャッシュ・フローが見込めない事業用資産、将来の使用が見込まれていない遊休資産等について回収可能価額まで減額し、特別損失に計上しております。
(2) 財政状態の分析
① 資産
総資産は、前連結会計年度末比3.4%増(以下の比較はこれに同じ)の160,452百万円となりました。このうち流動資産は、主に東京ビル売却による収入により現金及び預金が増加したことにより、21.7%増の96,699百万円で、総資産に占める割合は前連結会計年度の51.2%から60.3%となりました。一方、固定資産は、東京ビル売却により有形固定資産が減少したことにより15.8%減の63,753百万円で、総資産に占める割合は前連結会計年度の48.8%から39.7%となりました。
② 負債
負債は、2.9%減の41,709百万円となりました。このうち流動負債は、主に短期借入金の返済により5.0%減の31,116百万円となりました。これによって流動比率は3.1倍に、また流動資産との差額である手持ち資金は65,583百万円となりました。一方、固定負債は、4.1%増の10,593百万円となりました。
③ 純資産
純資産は、前連結会計年度末より6,469百万円増加し、118,743百万円となりました。主に配当金の支払いを4,994百万円したものの、当期純利益が6,820百万円であったことにより利益剰余金が増加したこと、為替換算調整勘定が3,867百万円増加したことによるものです。一方、自己資本比率は71.4%から72.8%となりました。
(3) キャッシュ・フローの分析
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より902百万円減少の5,926百万円の収入となりました。これは、たな卸資産の減少額が前連結会計年度より1,873百万円増加したことにより収入が増加した一方、仕入債務の増減による影響が前連結年会計年度は251百万円の収入だったものが当連結会計年度は1,955百万円の支出に転じたことによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度より18,835百万円増加の17,827百万円の収入となりました。これは、東京ビルなどの有形固定資産の売却による収入が前連結会計年度より20,350百万円増加した一方、有価証券・投資有価証券の償還や売却による収入が前連結会計年度より1,401百万円減少したことによります。
財務活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度より24,099百万円増加の6,499百万円の支出となりました。これは、配当金の支払いが前連結会計年度より4,494百万円増加し、また短期借入金の返済額が1,555百万円増加した一方、前連結会計年度にあった自己株式の取得による支出30,000百万円が当連結会計年度では0百万円となったことによります。
これらのキャッシュ・フローに現金及び現金同等物に係る換算差額と、現金及び現金同等物の期首残高を合わせた当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末よりも19,267百万円増加し38,187百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリーキャッシュ・フローは、前連結会計年度の5,820百万円から、当連結会計年度は23,753百万円へと増加しました。
当社グループの運転資金需要は、製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。これらの資金需要に対しては基本的に自己資金にて賄っておりますが、一部の連結子会社においては、一時的な運転資金需要に対応するために、金融機関からの短期借入金を利用しております。
当社グループの設備投資需要は成長が期待できる製品分野及び研究開発分野のほか、省力化、合理化及び製品の信頼性向上のための投資によるものです。これらの資金需要に対しては自己資金で賄っております。
(4) 経営成績の分析
① 為替変動の影響
前連結会計年度からの為替レートの変動により、当連結会計年度の売上高は49億円増加したと試算されます。なお、為替レートは、前連結会計年度1ドル=100円、当連結会計年度1ドル=110円であります。
② 売上高
売上高は、スマートフォンの急激な市場構造の変化から民生用リチウムイオン電池が大幅な減収となったほか、日本及び欧州におけるコンシューマー製品などが低調に推移しました。しかしながら成長分野のひとつである自動車市場向けの電池や光学部品が前連結会計年度に対して大きく伸長したことに加えプロジェクター関連事業が堅調に推移したことなどから、5.1%増の156,033百万円となりました。
③ 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、売上高の増加などにより、7.5%増の124,310百万円となりました。売上高に対する原価率は、前連結会計年度の77.9%から79.7%となりました。その結果、売上総利益は3.3%減の31,723百万円となり、売上高総利益率は、前連結会計年度の22.1%から20.3%となりました。
また、販売費及び一般管理費は、主に特許権使用料の増加により、4.2%増の26,533百万円となりました。売上原価と販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は16.1%増の9,472百万円となり、売上高に対する比率は6.1%となりました。これは主に、プロジェクター関連事業の研究開発費が増加したことによるものであります。
④ 営業利益
営業利益は、固定費削減などの原価低減に努めましたが、民生用リチウムイオン電池の販売減の影響などにより29.4%減の5,190百万円となりました。
⑤ 営業外収益(費用)
営業外収益(費用)は、前連結会計年度において受取補償金などがあったことにより、前連結会計年度の710百万円の収益(純額)から、280百万円の収益(純額)となりました。受取利息から支払利息を減じた純額は、前連結会計年度の125百万円の収益(純額)に対し、44百万円の収益(純額)へと減少しました。
⑥ 経常利益
経常利益は、32.2%減の5,470百万円となりました。
⑦ 特別利益(損失)
特別利益(損失)は、減損損失や事業構造改善費用が増加したものの、東京ビル売却などの固定資産売却益の増加により、前連結会計年度の631百万円の利益(純額)から、3,353百万円の利益(純額)となりました。
⑧ 税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は、1.4%増の8,823百万円となりました。
⑨ 法人税等
法人税等は、60%増の1,784百万円となりました。少数株主利益は46%増の219百万円となりました。
⑩ 当期純利益
当期純利益は、8.2%減の6,820百万円となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の118.20円に対し、129.07円となりました。
(5) 経営者の問題意識と今後の方針
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。現状を踏まえた問題認識のほか、当社グループの経営ビジョン及び経営目標、当社グループが対処すべき課題及び経営戦略などについては「第2 事業の状況」の「1 業績等の概要」及び「3 対処すべき課題」に記載しております。
なお、「4 事業等のリスク」に当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性のある主な事項を記載しております。