有価証券報告書-第58期(令和1年7月1日-令和2年6月30日)

【提出】
2020/09/29 9:56
【資料】
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【項目】
141項目

研究開発活動

当社グループの技術は、光応用技術をコアに、エレクトロニクス、精密機構、及び画像処理などの周辺技術を融合させたオプトメカトロニクスと呼ばれる複合技術で、代表的な製品である半導体マスク欠陥検査装置やマスクブランクス欠陥検査/レビュー装置、レーザー顕微鏡、及びFPDフォトマスク欠陥検査装置ほか、すべての製品開発に活用されています。
新しい製品の開発にあたっては、顕微鏡の営業活動などを通じて幅広い業界、市場を調査し、新しいマーケットやアプリケーションを探し出し、それぞれ固有のニーズに合致した新製品を生み出すことを心がけております。
また既に製品を納入している多くのお客様や各種研究開発機関へのサービス・サポートを通じて、お客様の顕在化した要望のみならず、潜在的なニーズも的確につかみ、独創的な視点と技術で素早くソリューションをご提供することが最重要であると考えております。
当社グループは、光学技術を追求する過程で、独自のコア技術を確立してまいりました。共焦点光学系、DUV(注)光学系、EUV(注)光学系、及び光干渉計技術などの光学技術を進化させ、高度な周辺技術との融合によって特徴ある製品を生み出しています。また、高精度高速ステージ開発のための精密機構技術、あるいは欠陥検出の画像処理技術などを継続的に深化させ、近年ではAI(人工知能)技術を応用した自動欠陥分類の開発を進めるなど、お客様のニーズに対してタイムリーにソリューションを提供できる研究・製品開発を進めています。
(注) DUV:Deep Ultraviolet、遠紫外線
EUV:Extreme Ultraviolet、極端紫外線
当連結会計年度における研究開発の成果として発売された新製品は次のとおりです。
「アクティニック(注)パターンEUVパターンマスク欠陥検査装置 ACTIS A150」
新たに開発したEUVマスク欠陥検査装置ACTIS「A150」は、長年培ったマスクパターン検査技術とEUV光による検査技術を利用した世界初のEUVパターンマスク欠陥検査装置です。波長の短いEUV光を用いた検査方式を採用しているため、従来のDUVレーザーを用いたマスク検査機に比べ圧倒的に高い欠陥検出感度と、さらにEUVマスク特有の転写性位相欠陥の検出を可能としました。
当社は、EUVリソグラフィを用いて半導体の微細化に取り組む最先端半導体メーカーのご要望にお応えし、2013年にEUVマスク裏面検査/クリーニング装置「BASICシリーズ」、2017年にEUVマスクブランクス欠陥検査/レビュー装置ABICS「E120」、そして2018年にEUVマスク欠陥検査装置MATRICS「X8ULTRAシリーズ」を製品化してまいりました。しかしながら、EUV光を用いたアクティニックパターン検査装置はこれまで製品化されておらず、ウェハの歩留り向上に必要なEUVマスク製造インフラ構築上の課題となっていました。本製品でこの課題が克服され、EUVリソグラフィの量産適用に必要な装置が出揃うことになります。
(注) アクティニック検査:露光装置と同じ波長の光での検査(特にEUVマスクについて)
当連結会計年度の研究開発費の総額は、3,297百万円であります。
なお、当社グループの事業は、検査・測定機器の設計、製造、販売を行う単一のセグメントであるため、セグメントごとの記載は省略しております。