有価証券報告書-第30期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 11:54
【資料】
PDFをみる
【項目】
149項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 特定の取引先への依存について
① 販売先について
当社グループは、LSI製品として、アミューズメント分野向けに使用されるゲームソフトウェア格納用LSI(カスタムメモリ)、ゲーム機本体・周辺機器向けのLSIの他、デジタルカメラ向け等画像処理用LSI、事務機器向けLSI、液晶パネル向けLSI並びにMEMSタイミングデバイスを主に販売しておりますが、ゲームソフトウェア格納用LSI(カスタムメモリ)を主に供給している、任天堂株式会社への売上高の割合が高くなっており、当連結会計年度においては95.7%(前連結会計年度は46.5%)を占めております。
したがって、これらのLSI製品が使用されるゲーム機器やゲームソフトウェアの販売動向、また、同社におけるLSIの採用状況などにより、当社グループの業績が変動する可能性があります。
当該リスクは完全に排除できる性格のものではありませんが、当社は任天堂株式会社と良好かつ緊密な関係を構築し、最適なソリューションの提供等により顧客満足の獲得に努め、リスクの最小化に努めております。また、アミューズメント向け事業の基盤強化とあわせて、今後の成長が見込める車載・産業機器、通信インフラ分野向けの新たな事業の育成にも注力し、中長期においては事業ポートフォリオの改善を進めてまいります。
なお、任天堂株式会社への売上高については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (経営成績等の状況の概要) (4) 生産、受注及び販売の実績」に記載のとおりであります。
② 生産委託先(仕入先)について
当社グループは、創業より経営資源を研究開発に集中し、製品の生産を外部に委託するファブレスメーカーという事業形態を採用することにより、特徴のある技術力を核に顧客のニーズに最適な製品を開発し、多くの資金が必要となる生産設備投資に制約されることなく事業を拡大してまいりました。生産は国内外のファウンドリーまたは委託先メーカーに分散して委託しておりますが、主力取引先である任天堂株式会社へ供給するゲームソフトウェア格納用LSI(カスタムメモリ)及びゲーム機本体・周辺機器向けのLSIなどの製品を生産委託している、Macronix International Co.,Ltd.(以下「マクロニクス社」)からの仕入高の割合が高くなっており、当連結会計年度においては78.8%(前連結会計年度は53.7%)を占めております。
したがって、何らかの理由によりマクロニクス社で生産ができなくなった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
現在のところ、当該リスクの顕在化の兆候はございません。なお、当社は任天堂株式会社及びマクロニクス社との間で製造委託契約を締結しており、両社と良好かつ緊密な関係を構築し、安定的な製品の供給に努めております。
(2) 事業について
① LSI製品におけるリスク
当社グループは自社で生産設備は保有せず、生産は全て外部に委託するファブレスの事業形態をとっており、台湾を中心とする国内外の大手ファウンドリーとのネットワークを構築し、顧客のニーズにあわせて製品の製造を委託しております。
したがって、半導体市況の需給バランスにより調達数量と価格が影響を受け、当社グループの望む数量及び価格で製品が調達できない可能性があります。
また、当社グループのLSI製品は先端のデジタル機器に採用されておりますが、当該分野は技術革新のスピードが速く、当社グループの製品が継続して採用される保証はありません。当社グループのLSIが採用されている最終製品においても、激しい市場競争にさらされているため、その影響により需要が変動いたします。
これらに対処するため、当社グループは製品の調達価格を想定しつつ、最適な生産技術を柔軟に顧客に提案するとともに、他社製品との差別化を実現する価格競争力のある製品や応用技術の開発に注力し、リスクの最小化に努めております。
② 研究開発について
当社グループは、「革新」により社業の発展を図り、「信頼」により顧客との共存を維持し、「創造」により社会に貢献し続ける存在でありたいという経営理念のもと、技術開発力をベースとして事業を展開しております。その競争力の源泉は独自のアナログ/デジタル/MEMS技術を駆使し、当社グループの独自性を発揮することにあります。
現在、当社グループは成長分野である車載・産業機器、通信インフラ分野に係わる市場の特定顧客や応用分野向けに経営資源を集中し、顧客に最先端技術と製品を提供するための研究開発活動に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費の総額は65億8千1百万円となっており、連結売上高の10.0%を占めております。
しかしながら、当社グループが属する業界は技術の進歩が目覚ましく、新しいと考えていた技術が突然陳腐化し、新たな技術やサービスが急速に普及するなど、市場に大きな変化が起こる可能性があります。変化が生じた場合には、必ずしも迅速に対応できるとは限らず、変化に対応するために多額の研究開発費用を投資する場合があります。このような場合、当社グループの業績は影響を受けます。また、技術開発競争において他社が優位に立った場合、当社グループのシェアは低下し、業績は影響を受けます。
当社グループは、今後も継続して斬新で魅力のある製品を開発し、市場に提供していくために、独自のアナログ/デジタル/MEMS技術をベースに最先端の技術を開発し、技術及び製品の競争優位性を維持する最善の努力を行っております。
③ 人材の確保について
当社グループは、独自のアナログ/デジタル/MEMS技術を駆使し、技術開発力をベースとして事業を展開しており、その成長は人材に大きく依存しております。そのため、優れた技術者を獲得して維持することや、必要とする人材をどのように処遇し、どのように育成していくかは、人事政策上の重要課題と認識しております。
したがって、将来において、当社グループの国内外の優秀な技術者の維持や、人材の新規採用・育成・グローバル化が計画どおりにできなかった場合、当社グループの競争力が弱まり、企業価値そのものに影響を与える可能性があります。
これらに対処するため、当社グループはこれらに必要な人事処遇体系を整備し、育成計画に基づいて人事政策を実行いたします。また、多様な環境で能力を発揮し、組織の成果を最大化出来る人材を育成できるよう、語学教育や新入社員研修など社員教育の充実やダイバーシティ推進など様々な施策に積極的に取り組んでおります。
(3) 経営について
① のれん等の評価について
当社グループは、2014年11月にSiTime Corporationを買収したことに伴い、のれんを主とする無形固定資産(以下、のれん等という)を連結貸借対照表に計上しております。当連結会計年度末ののれん等の帳簿価額は104億9千万円となっており、連結総資産の14.5%を占めております。
これらののれん等については、将来の事業計画等を勘案し、その評価を行っておりますが、事業環境の変化等により将来期待される成果が得られないと判断した場合、減損損失の発生により当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
なお、現在のところ、のれん等の評価において減損の認識は不要と判断しております。
② 戦略的投資におけるリスク
当社グループは、他社との事業連携や情報収集により当社の企業価値向上に資すると判断した場合に、投資を含めた戦略的提携を行う場合があり、当連結会計年度の投資有価証券の残高は主要仕入先のマクロニクス社の株式を主として30億5千9百万円となっており、連結総資産の4.2%を占めております。
このような事業の成長を加速するための投資を含めた戦略的提携におきましては、事業上の補完関係の構築や業績の拡大等において、当社の予測どおりの効果が得られない可能性があります。また、投資株式の時価の下落や実質価額の著しい低下による評価損の発生により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
なお、これら戦略的投資に関する意思決定は、取締役会で行っております。取締役会においては、個別の銘柄ごとに、事業連携や情報収集の状況並びに将来の収益力などを総合的に勘案して投資効果やリスクの検証を行い、保有の適否や評価の検討を行っております。
③ 為替変動について
当社グループは事業拠点として海外子会社を展開しており、当社グループの事業取引においては、米ドルや台湾ドルを主とする外貨建取引が一定割合含まれております。また、海外子会社の財務諸表は連結財務諸表作成のために円換算されており、このため外国為替相場、殊に日本円・米ドル間の為替相場の変動により、当社グループの業績が変動する可能性があります。外国為替相場が円高方向に進行した場合、概して損失方向に影響し、その変動幅が大きいほど当該リスクの顕在化の可能性が高まります。
なお、為替リスクの低減のため、必要に応じて為替予約取引を利用しております。
④ 知的財産権について
当社グループは、研究開発を主体としたファブレスメーカーであり、知的財産権の保護は事業展開上の重要課題と認識しております。
しかしながら、当社グループが出願する特許や商標などがすべて登録されるとは限らないこと、また、公開前の他社技術など、他社権利を調査しても把握できないものもあることから、他社の知的財産権を侵害し、訴えを提起された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの独創的な技術が、特定の国・地域においては、法整備等の理由により充分な保護を受けることができない可能性があります。このような状況下で、他社が当社グループの知的財産を無断で使用し、類似の製品を市場に販売した場合、これを効果的に阻止することができない可能性があります。
なお、当社グループは、知的財産に係わる社内体制及び特許事務所との連携を強化し、当社グループが提供する製品・サービスを保護するための特許や商標などの出願・登録を積極的に行うと同時に、他社権利の調査を徹底することにより他社権利の侵害を防止するなど、リスクの最小化に努めております。
⑤ 偶発的な災害等におけるリスク
当社グループが事業を展開する国内外において、大規模な地震をはじめとする自然災害や火災、未知の感染症の流行、テロ行為や社会騒動、その他の事故・事件等が発生した場合、当社グループの事業拠点、生産を委託するファウンドリーやメーカー、あるいは顧客自身に対して大きな被害が発生する可能性があります。また、これらの影響によって当社グループの事業活動の縮小等を余儀なくされた場合、当社グループの経営成績および財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
このような偶発的な災害等におけるリスクを全て回避することは極めて困難でありますが、当社においては、リスクの予防回避及び発災時の人命の安全、並びに被害の抑制・軽減、二次災害の防止、早期の業務再開を図ることを目的に危機管理マニュアルを策定し、危機管理についての必要事項と対応方法を定めるとともに、リスクの軽減に向けた対応を可能な範囲において実施しております。
(新型コロナウイルス感染拡大による対応について)
当社の新型コロナウイルス感染症への対応としては、役職員及び当社グループの事業所に就業する派遣社員等とその家族の身体、生命の安全を図ること、また取引先企業の関係者の安全と健康を優先とし、行政等からの要請に基づき感染拡大防止に努める考えであり、様々な感染防止策を講じております。引き続き行政等からの情報と今後の状況に応じて速やかに必要な対応を実施し、リスクの低減に努めてまいります。