有価証券報告書-第18期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

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2014/06/25 13:09
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事業等のリスク

以下に、当社グループ(当社及び連結子会社)の事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
また、事業上のリスクとして具体化する可能性は必ずしも高くないと見られる事項を含め、投資家の投資判断上重要と考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社は、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を、慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.当社の事業戦略及びそれに伴うリスクについて
当社は、グラフィックスLSI及びグラフィックスボードの開発・販売を主業務としております。
当社は、システムLSI技術をベースに主要事業領域をグラフィックス分野に置き、設立以来、「点から面へ」という事業戦略をとっております。すなわち、ハイエンドグラフィックスLSIの開発で培ったシステムLSI化技術をさらに高めていくという「点戦略」を進め、これを核として「面戦略」、すなわち、市場の成長が期待できる特定用途向けグラフィックス分野へ進出し、当該特定用途に対応するグラフィックスLSI、基本ソフト(ドライバ、ライブラリ)、グラフィックスボード及びアプリケーションソフトを開発し、サブシステムもしくはシステムとして製品供給を行い、付加価値を高めております。現在、特定用途向けグラフィックス分野でも医用、航空管制等の産業用グラフィックス事業に経営資源を集中させております。
(1) グラフィックス関連事業における取組み
1)グラフィックスLSIについて(点戦略)
グラフィックス市場は競合が激しく、グラフィックスLSI技術の進歩も急速に進んでおります。新たなアーキテクチャのLSI化に加え、半導体プロセスの進化に伴い、ジオメトリ処理及びレンダリング処理等を行うLSIの高速化がさらに進むと同時に、グラフィックス以外の機能と1チップにシステムLSI化することが重要になっております。このような急速な技術革新に対応するには、優秀で経験豊富なシステムLSI開発技術者を確保することが極めて重要でありますが、優秀な技術者の確保等が十分に行うことができず技術面での優位性が保てなくなった場合、当社業績に重大な影響を及ぼすおそれがあります。また、他社との技術提携等を迅速に行うことも重要と考えており、技術提携等の交渉が不調となった場合、当社業績に重大な影響を及ぼすおそれがあります。一方、前述のように当社はサブシステムもしくはシステムとして製品展開を進めておりますが、当社独自のグラフィックスLSIは、当該製品の差別化の核になると認識しており、今後も、独自のグラフィックスLSIの開発を継続していく方針であります。独自のグラフィックスLSIの開発は、最先端の分野であるため開発コストの負担も重く、当該グラフィックスLSI等が、当初計画より売上があがらず開発コストの回収等ができなくなった場合、当社業績に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
2)特定用途向けのグラフィックス分野への展開(面戦略)
特定用途向けのグラフィックス分野へ事業展開を図るには、特定用途ごとに個別仕様が必要であるため、それぞれの分野に精通した有力企業との提携等を行い、開発を進めることが重要になります。これまで、医用及び遊技機器の各分野の有力企業と提携等を行い、開発を進めてまいりました。当該企業との提携に支障が生じた場合、また、今後、さらに別の特定用途へ事業を拡大するとき、当該特定用途における有力企業との提携が進まなかった場合、当社事業計画の変更が迫られるおそれがあり、当社業績に重大な影響を及ぼすおそれがあります。一方、付加価値を追求するため、サブシステムもしくはシステムでの製品供給を進めておりますが、グラフィックスLSI、グラフィックスボード等ハードとドライバ、ライブラリ、アプリケーションソフト等ソフトウェアの複合製品の供給を行うには、品質管理体制が重要になります。品質管理体制の整備が不十分な場合、当社業績に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
3)LSIの製造委託について
当社は、グラフィックスLSI及びグラフィックスボードについて、ファブレスメーカーとして設計業務に特化しており、製造に関しては一切の業務をアウトソーシングしております。その中でもLSIの製造委託は、当社にとり極めて重要な要素を占めております。LSIの製造委託について、国内及び台湾をはじめとする海外の半導体メーカーに対して直接あるいは間接的に製造を委託していくことを当社は考えておりますが、前述の事業戦略を推進していくためには常に最適な委託先を確保できる体制を確立することが重要であり、そのためには複数の委託先との良好な関係を築きあげて維持していくことが必要であります。製造委託先と良好な関係を構築できない場合、当社の想定する事業展開の推進に支障をきたすおそれがあります。
2.連結子会社ソアー社及び上武について
当社は、当面の多様な組込機器への事業展開、さらに、将来的に予想される組込機器のネットワーク化等システム全体の顧客ニーズへの対応を図るため、平成24年11月28日にソアー社の全株式を取得し、連結子会社といたしました。また、上武の有する参入障壁の高いビジネス基盤と人材派遣事業を中心とした安定した収益基盤をグループとして活用することにより、業容の拡大並びに業績の改善を図るため、平成25年12月25日に上武の全株式を取得し、連結子会社といたしました。今後は当社とソアー社及び上武が連携することで当社グループの企業価値向上を目指してまいりますが、事業の展開等が計画どおりに進まない場合にのれんの減損処理を行う必要が生じる等、予測不能な事態が発生した場合には当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
3.会社組織について
当社グループは、平成26年3月31日現在、取締役5名、監査役3名、従業員104名と比較的小規模な組織であり、社内管理体制は組織的というよりも人的な管理に依存している面が大きいというのが現状であります。したがいまして、経営陣はもとより、人材の社外流出により当社業務遂行上の支障が生じた場合、代替要員の不在、事務引継手続の遅延等の理由によって当社の業務に支障が生じるおそれがあります。当社は、より組織的な経営を目指し、かつ、コンプライアンス体制を強化するため、社員の育成等を行ってまいりますが、今後、業容が拡大し、適切かつ十分な人的・組織的対応ができない場合、当社業績に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
4.知的財産について
情報技術(IT)に関する知的財産権の問題は比較的歴史が浅いため、確立した実務というものが存在しない分野も多く存在します。従って、以下に記載している事項は、現状において認識し得る限りのものに過ぎず、将来にわたって網羅的なものたり得ない可能性があります。
(1) 登録された知的財産権の希少性
当社は、当社製品又はその技術等に関して必要に応じて出来る限り知的財産権の登録出願を行う等その保護を図る方針ですが、情報技術に関する知的財産権については実務が必ずしも確立されていない分野も存在し、予期に反して権利が登録できなかったり、権利が登録できた場合にも強力な保護が得られない等の可能性があります。また、当社の製品またはその技術等は、民法、不正競争防止法、著作権法等の登録出願を要しない権利に関する法令によって保護の対象とされる場合もありますが、これらの法令に基づく保護が及ばない場合やその権利行使に困難を伴う場合があり、当社の製品等と類似の製品等が他者により開発、製造または販売等された場合、その対応により当社業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 知的財産権侵害等による紛争の可能性
平成26年3月31日現在まで、当社には、当社の技術に関連した知的財産権に関わる訴訟を提起される等の問題が生じたことはなく、当社の知る限りにおいては訴訟提起等のおそれはないと考えております。
また、LSIやボード等の開発において他社と共同で行うことがあります。共同開発の相手先や製造委託先等の他社が開発等に関与した当社製品に利用されている技術のうち、他社の技術が第三者の知的財産権を侵害しているか否かについて、平成26年3月31日現在、訴訟やクレーム等の報告を当社は他社もしくは第三者より受けてなく、当社の知る限りにおいては訴訟提起等のおそれはないと考えております。
しかしながら、将来、これらの技術を含め当社の事業に関連した知的財産権が第三者に成立した場合、または、当社の認識していない当社の事業に関連した知的財産権が存在した場合においては、第三者による知的財産権を侵害したとの主張に基づく訴訟が提起される可能性があります。これが提起された場合には、その準備のために多大な時間や費用等の経営資源を訴訟に費やさなくてはならず、また、敗訴した場合には、訴訟の対象となる技術を含む製品の販売を継続できなくなることがあり、多額の損害賠償債務を負担させられ、あるいは、第三者から実施許諾等による使用の対価が発生し、当社業績に重大な影響を及ぼすおそれがあります。訴訟の提起には至らなくとも、知的財産権に関わる紛争が生じた場合には、当社の製品または技術等に対する保護が限定され、同様に当社業績に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
5.製品クレームの偶発性
平成26年3月31日現在まで、当社には、当社が開発、製造又は販売等をするLSI、ソフトウェア等に関し、日本または海外における製造物責任法又はその他の法律に基づく責任につき、訴訟を提起される等の問題が生じたことはありません。当社は、当社におけるLSI、ソフトウェア等の開発、製造及び販売等を通じて、欠陥等の不具合を生じないよう、また生じたとしてもこれを発見し排除できるよう管理に努めております。しかし、エンドユーザー等に損害を与えかねないような不具合をもつLSI、ソフトウェア等の提供を必ず回避できるとの保証はありません。
当社のLSI、ソフトウェア等に不具合が発見された場合、当社または当社の提供する製品若しくは役務に対する信用に、重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社はかかる不具合等を排除するために多額の資金支出を余儀なくされる可能性があり、また場合によっては適宜これを改善することができない可能性があります。かかる不具合によりエンドユーザー等に損害が発生した場合、当社は多額の損害賠償その他の請求を受ける可能性があり、その解決のため裁判上または裁判外において、多大な費用と時間を必要とする可能性があり、当社業績に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
6.今後の資金需要等について
前述のとおり、グラフィックス市場は競争が激しく、技術の進歩も急速であるため、常時継続的に市場のニーズに合った新製品を開発し、また他企業との提携や買収等を適宜迅速に行うことが重要であり、当社はこれらを可能とする資金を調達していくことが必要であります。また、LSIの開発資金、LSI及びボードの量産品の製造委託や販売等にかかる運転資金を適時に調達することが重要であります。とくにLSIの開発については、開発期間が長期にわたり、資金も多額となり、開発した製品が市場に投入されたとしても販売が予定していた売上高を下回り、開発資金の回収が困難になる場合があります。このような場合、当社業績に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
7.利益還元政策について
当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。配当につきましては、企業体質の強化と今後の事業展開に備えるため、内部留保を充実させることを勘案しながら、各期の経営業績を考慮に入れて決定することを基本方針としております。
当社は、設立以来、利益配当を行っておりません。また、現在の当社は、累積損失により、配当可能利益は残念ながら有しておりません。
このため、当分の間、累積損失の解消に努めつつ財務基盤の強化、安定に重点を置かざるを得ない状況にあります。配当政策につきましては、経営体質の強化、将来の事業展開のために必要な内部留保を確保しつつ業績に応じた配当を継続的に行えるようになった段階で、検討してまいりたいと考えております。
なお、内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応できる経営体制強化及び技術革新に対応するための研究開発体制強化に有効に投資し、将来的な株主価値の向上を目指していく所存であります。
8.新株予約権の権利行使による株式価値の希薄化について
当社は平成25年12月9日開催の当社取締役会決議に基づき、平成25年12月25日に第三者割当による新株予約権を発行いたしました。当該新株予約権がすべて行使された場合に発行される当社株式の総数は333,000株であり、平成26年3月31日現在の発行済株式総数6,012,700株の5.5%の希薄化効果を有しております。
なお、新株予約権の権利行使は新株予約権者の判断によるため、市場における当社の株価状況等によっては新株予約権の全部または一部が権利行使されず、当該権利行使に伴う資金調達が行われない可能性があります。
9.継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、平成14年3月期より当連結会計年度まで継続して当期純損失を計上し、また、5期連続の営業キャッシュ・フローのマイナスを計上していることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
当社グループは、当該状況を解消すべく、以下の施策を実行し、収益の改善に取り組んでまいります。
①収益基盤の確立と強化
当社は、平成25年12月25日付で、早期の収益基盤の確立と更なる事業規模の拡大を図るため、参入障壁の高いビジネス基盤と人材派遣事業を中心に安定した収益基盤を有する株式会社上武の全株式を取得し連結子会社化いたしました。システムエンジニアリングとシステム開発の分野において、上武と前連結会計年度において連結子会社化した様々な顧客ニーズを通じて確立したハードウェア・ソフトウェアの協調設計技術を有するソアー社は長年にわたり様々な業務システムの開発実績があり、ソフトウェア開発におけるその技術力は高く、両社が協調し顧客の高いニーズにきめ細かく対応することで、より多くの顧客の獲得が可能になり、今後更なる事業規模の拡大が図れることが期待できます。
さらに、当社とソアー社及び上武が連携することで、新たな開発体制の下での製品開発及び受託案件への対応が可能になると共に、上武の有する参入障壁の高いビジネス基盤と人材派遣事業を中心とした安定した収益基盤をグループとして活用することにより、業容の拡大並びに業績の改善を図れるものと考えております。
また、当社の主要事業である「グラフィックス関連事業」の収益化の具体的な施策として、産業用グラフィックス事業では、医用及び航空管制向けの市場は堅調に拡大しており、当社独自技術のFVTを搭載した新製品のバンドル販売等により安定した販路確保に努めるとともに、アミューズメント事業については、前連結会計年度において事業再編によるコスト削減のための縮小を行い、産業用グラフィックス事業に経営資源を集中させることにより、早期黒字化と収益基盤の確立を図ってまいります。
②コスト削減の徹底
グループ全体の販売費及び一般管理費の削減、業務効率の改善に努めることでグループ全体のコスト削減を図ってまいります。
③管理会計の体制強化
管理会計の強化と共に予算管理の徹底を図り、予算との乖離が生じた場合には早期の検討が可能な体制を構築してまいります。
④新規事業の開拓
新たな収益源の確保を目的とするため、新規事業の開拓も含めた事業構造の見直しを行い、継続的に収益確保が可能な事業構造の早期実現化を図ってまいります。
⑤財務体質の改善
平成25年12月25日に229,740千円の第三者割当による新株式並びに899千円の新株予約権(権利行使価額の総額は69,930千円)を発行致しました。調達した資金のうち、前述の上武株式取得代金に200,000千円を充当し、新株予約権の行使により調達する資金を含めた残額79,869千円を平成25年12月~平成27年12月の運転資金に充当する予定であります。
今後も資金計画に関する管理を徹底すると共に、新規事業、事業構造の見直しに必要な資金調達について直接金融・間接金融を問わず検討し、財務体質の改善を図ってまいります。
以上の施策を着実に実行するとともに、今後も引続き有効と考えられる施策については、積極的に実施してまいります。
しかしながら、これらの施策は実施過程及び展開予定の施策であり、今後の営業活動の状況、環境の変化等によって計画通り進捗しない可能性があります。したがって現時点では、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。