有価証券報告書-第49期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/30 13:32
【資料】
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【項目】
131項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当社はリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」で定めており、その基本方針及び管理体制に基づき、「コンプライアンス・リスクマネジメント委員会」や内部統制活動としての「財務報告会」を定期的に開催し、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスクの未然防止を図っております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 法的規制について
情報システム事業の顧客であるパチンコホールは「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(以下、「風営法」という。)に定める基準に従って営業することが義務づけられており、パチンコホールが当社グループの製品を含めて店内の設備投資を行う場合、「風営法」に基づいて、あらかじめ各都道府県公安委員会に届出書を提出して、承認を受けなければなりません。また、パチンコホールの営業上、「風営法」のほか、「各都道府県条例」による規制を受けるとともに、過度な射幸性を抑制する目的等から、パチンコホールの業界団体が自主規制を行うことがあります。このような法的規制や新たな自主規制の実施により、パチンコホールの営業に制限が課せられた場合、パチンコホールの設備投資動向に急激な変化を生じる等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、情報収集の徹底と迅速な戦略立案により在庫リスクや販売低迷に対処し、リスク低減に努めてまいります。
(2) 遊技機の型式試験について
当社グループ及び当社グループの取引先が製造販売するパチンコ遊技機及びパチスロ遊技機は、「風営法」第20条第5項に基づき、国家公安委員会の指定試験機関である一般財団法人保安通信協会(保通協)の型式試験に合格した機種だけが販売を許可されます。その後、各都道府県公安委員会による検定に適合することが必要となり、適合した機種だけがパチンコホールに導入されます。
型式試験は、各パチンコ遊技機及びパチスロ遊技機メーカーから持ち込まれた遊技機が国家公安委員会の「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則」の規格に適合するかどうかを判断(遊技機を制御するプログラムの審査及び10時間に及ぶ試射等)するものです。
パチンコファンのニーズの多様化や電子技術の進歩により遊技機の技術構造は飛躍的に進化しており、それに伴い試験の準備手続きや技術的仕様は複雑化に拍車がかかっています。そのため、型式試験の通過に予想を超える時間を要したり、試験に不適合となったりした場合には、制御システム事業の顧客である遊技機メーカーの販売計画に大きな狂いが生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、遊技機開発におけるグループ会社の役割を明確にすることで専門性を高め、業務効率追求により設計品質と開発生産性の向上を図ることでリスクの低減に努めております。
(3) 製品開発について
コンピュータシステムにおけるソフトウエアについては、プログラムの誤りであるバグを無くすことが重要な経営課題でありますが、今日のように高度なソフトウエア上でバグを皆無にすることは、一般的には困難と言われております。当社グループにおいても自社開発のプログラムを事前にテスト&デバックをすることで対処しておりますが、特定の入力データや操作、想定していなかった設定の組合せにおいて、顧客であるパチンコホールに製品を納入した後にバグが発見されるケースが過去に発生しております。このようなバグの中でもシステムを止めるような内容や、正確さに欠けるデータの表示等が発見された場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの品質管理につきましては、市場クレームはもとより生産工程内不良の解析力を強化し、製造・購買・開発など関連部門と協力の上、再発防止・潜在的不良の予防に取組んでリスクの低減に努めております。また、社内に導入しております分析装置や外部解析機関の検査手法を取り入れ、ハード面においても常に品質安定を視野に入れた活動を行っております。もしもソフトウエア上のバグが発生した場合には、プログラム上の発生個所や原因を早急に突き止め、迅速に適切な対処を行うことに努めてまいります。
(4) 需要の大幅な変動について
遊技機の市場動向は、特定の人気機種が大きく販売を伸ばす一方、数千台で終息してしまう機種も増加し、機種ごとの優勝劣敗の傾向が強くなっております。大幅に需要変動する傾向のある遊技機市場環境のなか、当初計画した各メーカーへの納入台数が達成できなくなる、あるいは受注がキャンセルされること等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、遊技機市場動向を把握した中での需要予測や遊技機メーカー販売部門との連携による最新営業情報の収集により、予期せぬコスト負担を最小限に抑えるべく努めております。
(5) 知的財産権の保護について
当社グループは、知的財産権の重要性が高まるなか、特に特許権に関しては最重要の経営資源と位置付け、その創出と保護に努めるとともに、他社の特許権を侵害しない製品づくりに努めております。
しかしながら、当社グループの知的財産権に対する侵害行為は、その全てを把握することは困難であり、当社グループの権利を完全に防護することは不可能です。また昨今、知的財産権はその量、内容共に膨大であり、調査分析を徹底しておりますが、当社グループが他社の特許権を侵害しているとして、何らかの請求を受ける可能性があります。
また、映像や音声の制作において、版権や楽曲を使用しないオリジナル作品の場合、類似や模倣という観点が明確でないため、細心の注意を払っていても、意図せず著作権や不正競争防止法に抵触しているとして何らかの請求を受ける可能性があります。
さらに、著作権の許諾を受けていても著作者もしくは権利元の意向により影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、知的財産権管理の専門部署を設け、知的財産権の確実な取得及び保全に努めております。
(6) 検定型式の均一性に関して
パチンコ遊技機及びパチスロ遊技機は、検定機関の検査に適合後、検定型式と同一の製造均一性を担保するため、その製品に使われている部品の互換が認められておりません。当社が遊技機メーカーに納入するユニット製品に使用している電子部品が生産中止となった場合、もしくは何らかの理由(企業の倒産、災害)により電子部品の供給が受けられなくなった場合は、当社製品の製造及び供給ができず業績に影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、部品を選定する際の規定で「継続供給担保」※の基準を設け、合格した部品のみ採用する仕組みを構築し、リスクの回避に努めております。
※「継続供給担保」の基準は以下の3点であります。
① 継続供給可能なことの確認
② 生産中止の際は事前報告履行の担保
③ パチンコ業界での採用事例の確認
(7) 新型コロナウイルス感染症等の異常事態リスク
当社グループは、パチンコホール向けにホールコンピュータをはじめとする情報システム機器の開発・製造・販売と、各種情報サービスの提供を行っております。新型コロナウイルス感染症拡大のようなパンデミックや大規模災害等の異常事態が当社の想定を超える範囲で発生し、パチンコホールの休業が長期化した場合は、当社グループの財政状態や経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。
また、休業が長期化した場合にはパチンコファンの減少も想定するリスクと考えられます。
(8) 減損会計適用の影響
当社グループは、事業用の不動産をはじめとする固定資産を所有しております。こうした資産は、時価の下落や収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなると減損処理が必要となる場合があり、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 気候変動に関するリスク
当社は、気候変動課題を重要な経営課題と認識しております。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の考えに基づき、気候変動課題がどう事業活動に影響を与えるのか検証を進めております。
① ガバナンス
当社では、気候変動課題を含めた環境・社会に係るサステナビリティ経営について代表取締役傘下のサステナビリティ委員会において基本方針を策定し、マテリアリティを特定しました。今後、サステナビリティ委員会ではリスクと機会や目標設定を協議・審議していきます。サステナビリティ委員会で協議・審議した事項を少なくとも年1回以上取締役会へ報告し、取締役会で審議・決議します。その後、サステナビリティ部会では具体的な活動を企画、立案、管理し、推進していきます。
■サステナビリティ委員会
当社は、サステナビリティ活動を持続的かつ体系的に推進し、「中期経営計画 2022~2024」(2021年11月24日公表)に掲げるESGやSDGsを重視した経営を推進する為、代表取締役の下にサステナビリティ委員会を設置しております。本委員会は、気候変動を含むサステナビリティ推進活動などに関する協議・審議を行い、取締役会に報告や提言を行います。本委員会は、代表取締役会長を委員長とし、代表取締役社長、代表取締役専務、常務取締役によって構成されております。
■サステナビリティ部会・ダイバーシティ部会
当社は、気候変動を含めた全社的なサステナビリティ活動を推進する為、サステナビリティ委員会の下にサステナビリティ部会及びダイバーシティ部会を設置しております。サステナビリティ部会では、気候変動を含むサステナビリティ推進活動の企画、立案、管理をし、定期的にサステナビリティ委員会への報告を行い、推進していきます。また、ダイバーシティ部会では、女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保を推進していきます。
②リスク管理
当社は、気候変動に関するリスクについてはサステナビリティ委員会主導のもと、サステナビリティ部会が事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスクの未然防止を図っております。リスクは、各部門の気候変動に関するリスクの洗い出しを行った上で特定、重要度の優先順位付けをし、ルール、基準等の策定とその他リスクの予防、回避のために有効と思われる施策についての検討、実施をしていきます。リスクを特定後、サステナビリティ委員会で影響度合いを評価した上で、取締役会に報告を行います。気候変動に関する事項は、取締役会の監督・指示のもと、継続的にモニタリングを行っていきます。
③指標・目標
2021年度実績値における温室効果ガスの排出総量は約1,687.35t-CO2(Scope1: 371.43t-CO2 /Scope2: 1,315.92t-CO2)と試算しております。今後は、パリ協定における2050年カーボンニュートラル達成への貢献に向けて、再生可能エネルギーへの切り替えをはじめとする削減に向けて取り組んでまいります。