有価証券報告書-第26期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/30 13:31
【資料】
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【項目】
76項目

研究開発活動

当社は、営業部門が顧客のニーズを把握した上で、そのニーズの実現のための総合的な開発を得意としています。すなわち、顧客が実現したい目的を総合的にとらえて、川上である素材の選択から当社独自の応用技術の付加、そして施工およびメンテナンスも含めて考えた製品開発、さらには運用のためのコンテンツのことも考えた総合的な事業開発を目的としています。
また、総合的な開発力を支える要素技術の研究開発については、残像などの人間の知覚の研究応用や刻々と進化する通信や半導体の最先端技術の応用などを外部の機関との交流や社内勉強会を通じて調査し、融合可能と思われるものについては共有の基盤技術化を進めていきます。
さらに本格的にデジタルサイネージの普及拡大が推測される情勢の中、「通信ネットワーク」を重視した商品作りを強く意識し、キャリア、機器、通信情報管理などに携わる多くの企業との協業も進めていこうと考えています。当期の研究開発費は、528千円であります。
なお、当社は電子広告看板の製造、販売、運営及びアフターサービスを主な事業とする単一セグメントであるため、事業の種類別セグメントに関連付けては記載しておりません。
1.基礎研究活動
(1)知覚(視覚、聴覚)
当社のLED表示機は一般的に理解しやすい「残像」という言葉で表現される効果を利用して、解像度を上げたり、通常では見えないところに像を作ったりしていますが、近年の研究では、これは視覚系の持つ情報伝達の制御機能(網膜に入る全情報のうち、脳が処理可能な一部のみを知覚する情報抽出機能)を利用していることが解明されています。
これらの研究成果と独自の表示機制御による新しい視聴覚システムをめざし、基礎研究活動を進めております。
(2)光
光の反射、透過、吸収、回折などの基本特性や蛍光体を使った周波数変換等の応用技術を利用して、屋外での使用で太陽光に負けない構造の検討や高コントラストと高開口率を同時に達成できる技術の研究など、光学特性の向上による表示機の高性能化に対する検討をさまざまな角度から進めており、屋外使用の製品にはその技術が反映され、高コントラストによる映像品質の向上が図られています。
(3)LED応用技術
LEDを効果的に使ったLCD用高輝度バックライトユニットや特殊照明、イルミネーションに応用できるLED点灯制御技術の開発を進めております。
2.要素技術開発活動
(1)通信モジュール内蔵プロセッサ(VP:visual processor:映像処理装置)
デジタルサイネージ時代の本格的到来に伴い、LED表示機もメディアとしての本格的役割を果たす必要があります。当社では通信ネットワークとの親和性の高い表示機を目指し、表示機に使用されるVP自身に、様々な通信インフラに対応できる通信モジュールを内蔵させることで、製品の差別化を図ってまいります。今般市場に投入された小型情報ボード「DPS-150、DPS-150Light」にもその技術が反映されております。
(2)LEDモジュール
当社のLEDモジュールは単体での独立防水構造を採っており、薄型、軽量、堅牢さにより、全体重量の低減、設置運搬の工数削減に貢献しております。今までもLEDの輝度、色度補正の実施により表示面の均一化を図ってきましたが、さらに表示面品質の向上を図るため、配光特性や経年変化など多方面からの取り組みを行っていきます。
(3)画像処理
①解像度圧縮、伸張
ハイビジョンなどの高精細大画面を通常技術で構成するとVPとLEDモジュール(表示部分)の間の通信帯域が1GHzを大幅に越えるものとなり、物理的に大きな空間を使用するLED大型ディスプレイに適している設計手法とはいえません。この問題を解決するためにVPとLEDモジュールの間において、画像データは圧縮されたものを使用し、LEDモジュール側で伸張するという従来にはない手法を検討しております。
②ダイナミックレンジ圧縮、伸張
画像の補正や調整と同様に、輝度や色の補正・調整は、ガンマ変換で帯域圧縮された状態では正確に処理できないため、処理を行うための非圧縮化やデータを伝送するための圧縮化を独自の技術で開発しています。
3.ソフトウエア、システム開発活動
(1)店舗向けコントロールソフト
店舗における表示機放映運営を支援するコントロールソフトを編成、編集、送出の各方面からユーザーインターフェイスやデザインも含めて見直し、ユーザーに優しく、かつ効率的な運営ができるように開発しています。
(2)多メディア運営コントロールソフト
表示機ロケーションも視野に入れた多メディア(表示機)をコントロールするソフトの開発を開始しております。エリアや時間を意識した広告放映や、情報発信、ならびにメディア所有者、利用者(広告クライアントなど)の両者から見やすい(利用しやすい)システムを構築しデジタルサイネージ用ツールとして発展させております。