有価証券報告書-第14期(平成27年1月1日-平成27年12月31日)

【提出】
2016/03/28 11:53
【資料】
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【項目】
104項目

研究開発活動

(1)研究開発活動の方針
当社グループは、あらゆる製造業分野の工場における製造ラインの自動化・省力化には不可欠な光電センサを主とするFAセンサ(産業用センサ)の製品開発、研究に取り組んでおり、可視光や赤外光を用いた光電センサのみならず、距離を計測する変位センサ、カメラを用いた画像センサ、LED照明機器など、センサ及びその周辺機器を幅広く開発しております。
(2)研究開発活動の体制
当社グループの研究開発は、当社の開発部門、センサビジョン株式会社及びジックオプテックス株式会社が担っております。研究開発スタッフは、グループ全体で平成27年12月末現在35名となり、その体制は次のとおりであります。
当社の開発部門は、画像センサのCVSシリーズ、MVSシリーズ、LED照明、通信インターフェース機器など主としてアプリケーション機器の開発を行っており、基幹技術として、デジタル信号処理があります。当社が開発した専用CPU(中央演算処理装置)「OPTCPU」は、極めて回路規模が小さく、消費電力も少ない特長があり、また独自のアーキテクチャを有しております。継続的に改良を加え、超高速処理を要求する複雑な画像処理を実現し、センサの応答速度をより高速にすることを可能としました。このCPUは画像センサのみならず、高速処理を要求する光電センサ、通信インターフェース機器にも搭載されております。
システム事業部の開発部門においては、3D画像処理技術を生かした特殊光学系、装置、ソフトウェアの開発を行っております。専用チップを用いた3D画像処理装置をベースに、顧客の必要とする機能を短期間にカスタマイズ開発することが可能なプラットフォームの研究開発を行っております。
子会社であるセンサビジョン株式会社においては、汎用機器開発を行っております。
関連会社であるジックオプテックス株式会社においては、汎用機器開発とアプリケーション機器開発を行う2つの開発体制になっており、汎用機器開発は専用カスタムIC(Opto ASIC)のコア技術、投光用パワーLED、レーザーダイオード、独自光学技術などを用いて非接触存在検知センサの研究開発を行っております。アプリケーション機器開発はナノオーダーを測定可能にする特殊光学系を生かしたデジタル信号処理により、精度が高い変位計や形状測定センサの研究開発を行っております。
また、当社はヨーロッパの産業用センサメーカであるSICK AG社と提携関係にあるため、SICK AG社の光学技術及び最新の規格(インダストリー4.0等)情報を取り入れられることも強みとしております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は211,430千円でありますが、当社グループの事業は、産業機器用製品の開発、設計、製造、販売等の単一事業であるため、セグメントごとの記載は省略しております。
(3)主な研究開発の成果
アプリケーション機器の開発の成果は以下のとおりであります。
・センシング同軸照明 OPXシリーズ
プリズムシートの搭載によりライトコントロールフィルム装着時相当の狭指向角照射が可能な面光源を採用した、画像処理用同軸照明を開発いたしました。光を前面に集光することで従来比2.5倍の高輝度かつ指向性の高い照射が可能となります。また発光面均一度が高い面実装型LEDの採用とLED配列の最適化により高均一な照射を実現し、均一性が必要となる微細なキズ、打痕検出などの用途に特に効果があります。 さらに、独自のセンシング機能FALUXsensingを搭載することで明るさを自動管理でき、最大輝度を5万時間にわたり一定に保つことができます。
・センシングリング照明 OPR―SFシリーズ
従来比2.5倍の高輝度で点灯する画像処理用リング照明を開発いたしました。連続点灯時間を10秒以内に制限することで、従来よりも大電流駆動を可能にし、温度保護回路を搭載して安全性も確保致しました。
さらに、独自のセンシング機能FALUXsensingを搭載することで明るさを自動管理でき、最大輝度を5万時間にわたり一定に保つことができます。
・オールインワン画像センサ CVS-RAシリーズ
カラーイメージセンサの変更により、従来機よりも環境温度の変化に対して色抽出の安定性を強化した画像センサを開発いたしました。また従来のローリングシャッター方式からグローバルシャッター方式に変更することで、高速移動体への対応力も強化しております。
簡単色面積センサCVSE1-RAシリーズにおきましては、操作メニューの構成をシンプルに見直した、ティーチングが3段階で完了する「30秒3ステップティーチング」を実現することで、使いやすさを向上しております。
・長距離レーザーBGSセンサ TOF-Lシリーズ
TOF方式のセンサとして最小サイズでありながら長距離検出を実現したレーザセンサを開発いたしました。
当機は、レーザー光が対象物に当たって戻ってくるまでの時間を距離に換算するタイムオブフライト(TOF)方式を採用し、白紙で4.5mまでの長距離検出が可能です。TOF方式を採用したセンサは、受光量の差で判別するセンサに比べ対象物の表面状態の影響に強く、長距離でも検出精度が落ちにくいのが特長です。
投光光源には、作業者の目に対して安全なレベルであるクラス1のレーザーを採用しております。
・CC-Link通信ユニット UC1シリーズ
FA業界を中心に幅広く普及するオープンフィールドネットワークCC-Linkに当社のファイバセンサD3RFシリーズを接続できる通信ユニットを開発いたしました。センサをネットワーク上で管理できるため、これまで手作業で行っていた受光量や測定値のモニタ、センサの遠隔操作、設定値の バックアップを簡単に行うことが可能になりました。
また三菱電機株式会社が提唱するiQSSに対応し、接続されているセンサの機種情報や接続台数を三菱電機製エンジニアリングソフトウエア上で自動検出できるなど、同社製のFA機器とスムーズな連携が行え、一括管理と作業性向上が実現します。
・変位センサアンプユニット CDAシリーズ
変位センサCD22シリーズをリモートコントロールが可能な外部アンプユニットを開発いたしました。2台の変位センサを使用し、厚み測定や段差測定の高速演算がアンプユニット1台で可能となります。ディスプレイには有機ELパネルを採用し、鮮明な日本語・英語表示を実現いたしました。
またCDAシリーズを当社の通信ユニットUC1シリーズと接続することで、FA業界を中心に幅広く普及するオープンフィールドネットワークCC-Link上で変位センサを管理することを可能にしております。
・画像検査システム HVS-OCR、HVS-PMシリーズ
賞味期限や使用期限、ロット番号などの印字不良を検査するカスタマイズの印字検査システムHVS-OCRシリーズ及び高精度な色判別が可能な画像検査システムHVS-PMを開発いたしました。
最新のトレーサビリティ対応、高速ライン対応、バーコード読取り、バリデーション支援、高速・高精度サーチを実現しております。
システム構成は、コントローラ・タッチパネル・カメラ・画像処理用LED照明を基本構成としており、カメラは30万画素から1800万画素まで選択可能となっております。