有価証券報告書-第120期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/28 15:15
【資料】
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【項目】
152項目

研究開発活動

当社グループでは、世界中のお客様に満足していただける商品とサービスを提供していくため、トラック・バスやピックアップ・トラック、ディーゼルエンジン等における最新技術の研究開発を行うとともに、その技術を用いることで多くの国・地域のお客様のニーズに対応した最適な商品の開発に取り組んでいます。
当社グループを取り巻く事業環境が絶え間なく変化する中で、商用車業界における重要な環境変化は「電動化/脱CO2化の潮流加速」及び「止まらない物流インフラへの期待増」と考えています。これらの変化へ対応し、脱炭素社会や新たな物流社会の実現に貢献していく事は、社会的使命であり責務であると認識しています。
当社グループでは「中期経営計画2024」(2022年3月期から2024年3月期まで)の中でイノベーションの基軸として据えた「カーボンニュートラル戦略」と「進化する物流へ商用車メーカーとして貢献」の取組みの基、研究開発活動を進めています。
当連結会計年度の研究開発活動の成果として、大型トラック「ギガ」については、国内商用車メーカー初の大型LNGトラック「ギガLNG」を発表しました。当社グループはこれまでエネルギーセキュリティ及び環境負荷低減の観点から、天然ガス自動車の開発・普及促進に取り組んでまいりました。LNGの優れた環境性能と、これまでと同等の使い勝手を有する「ギガLNG」を、カーボンニュートラル社会への移行期における選択肢の一つと考えています。大型FCVトラックについては車両開発を進めており、2022年度中にモニター車による実証実験を行います。実証実験では、技術課題の見極めを進め、社会実装を目指した検証を進めます。また、ボルボグループとの先進技術領域での協業も見据えた、いすゞ/UDトラックスの共通大型プラットフォームの開発に着手しました。
中型トラック「フォワード」については、大型トラック「ギガ」に採用されている全車速ミリ波車間クルーズを、新たに搭載しました。これにより、高速道路の渋滞などによる低速走行時のブレーキとアクセル操作が、従来よりも大幅に低減します。単眼カメラと前方ミリ波レーダーによって割り込み車もいち早く検知し、より適切な車速制御が可能となることで、安全運行とドライバーの疲労軽減に貢献します。
小型トラック「エルフ」については、BEV(バッテリー式電動自動車)を開発、2023年を目途に市場投入する予定です。2019年より配送・宅配等に向けたモニター車による各種検証を進めてきましたが、そこから得られた知見をベースに、バッテリー技術やモーター技術、最適なエネルギーマネジメントを適用し、高性能かつ高機能な商品を目指しました。小型FCVトラックについては実証実験に向けた車両開発を進めました。
バスにおいては、2024年の市場投入を目標に、大型路線BEVバスの開発を開始しました。また、公共交通におけるドライバー不足の解決策の一つとして期待されている自動運転の実現に向け、大型バスでの自動運転の共同実証実験を開始しました。
LCVにおいては、新型「MU-X」を開発、豪州に輸出を開始しました。先進運転支援システムADAS(Advanced Driver Assistance System)を搭載し、リアルワールドでの障害物検知にすぐれたステレオカメラにより、昼夜問わず安定した運転支援を実現します。さらに衝突時の二次被害軽減のため、マルチコリジョンブレーキ機能等の最新安全装備を採用し、高い安全性を評価され「ANCAP(Australasian New Car Assessment Program)」において、2020年新プロトコルによる五つ星を獲得しました。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は1,047億円です。