有価証券報告書-第118期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/23 15:10
【資料】
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【項目】
127項目

研究開発活動

当社は、「クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む」、「様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する」の基本理念のもと、多様化・高度化する市場ニーズを的確にとらえた、高品質・低コストのより魅力ある商品を提供するため、積極的な研究開発活動を行っています。
トヨタの研究開発は、日本においては、当社を中心に、ダイハツ工業㈱、日野自動車㈱、トヨタ車体㈱、トヨタ自動車東日本㈱、㈱豊田中央研究所、ウーブン プラネット ホールディングス㈱などの関係各社との密接な連携のもとで推進されています。
さらに、海外各地域のお客様のニーズに的確にお応えしたクルマづくりのために、グローバルな開発体制を構築しています。主な拠点として、北米地域にトヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ㈱のテクニカルセンター、キャルティ デザイン リサーチ㈱、トヨタ リサーチ インスティテュート㈱、欧州地域にトヨタ モーター ヨーロッパ㈱のテクニカルセンター、トヨタ ヨーロッパ デザイン ディベロップメント㈲、アジア地域にトヨタ ダイハツ エンジニアリング アンド マニュファクチャリング㈱のテクニカルセンター、トヨタ自動車研究開発センター(中国)㈲、一汽トヨタ技術開発㈲、広汽トヨタ自動車㈲研究開発センターがあります。
当連結会計年度に発生したトヨタの研究開発支出は1,124,262百万円です。
なお、トヨタでは研究開発支出の一部について、無形資産に計上しています。連結損益計算書に計上している研究開発費の詳細については、連結財務諸表注記27を参照ください。
当連結会計年度における事業別セグメントごとの活動状況および研究開発支出は次のとおりです。
(1)自動車事業
トヨタは、走りの楽しさや快適性などクルマがもたらす様々な恩恵による人々の心の豊かさの向上と、環境負荷や交通事故等のクルマのネガティブな面の最小化を、同時に高いレベルで実現していくことを商品・技術開発のビジョンとして掲げています。
当連結会計年度には、1966年の誕生以来、時代とともに挑戦と進化を重ね、グローバル累計販売台数5,000万台を達成したカローラシリーズにおいて、さらに、時代とともに変わりゆくお客様のライフスタイルにお応えするシリーズ初のSUV「カローラクロス」を発売しました。ファミリーを中心とした多くのお客様に支持されている「ノア」と「ヴォクシー」は、更なる使い勝手の良さと充実の先進装備を搭載し、一新しました。また、お客様に毎日楽しく、安全・安心で快適にお乗りいただくことができる充実した装備と、より高度な環境性能を追求し、高出力なバイポーラ型ニッケル水素電池を駆動用車載電池として世界で初めて採用したハイブリッド車(HEV)「アクア」を発売しました。走り、デザイン、先進技術を全面刷新し、次世代レクサスの幕開けとなる新型「NX」は、レクサス初のプラグインハイブリッド車(PHEV)を導入し、HEVとともに電動車の普及を加速させます。電気自動車(BEV)の新シリーズTOYOTA bZは、お客様にとって使いやすく、魅力あふれる商品で二酸化炭素(CO2)の排出量削減に取り組んでいます。快適な移動空間に加え、大切な家族や仲間と過ごすかけがえのない時間と新しいライフスタイルを提供し、BEVならではの運転の楽しさを提供する「bZ4X」を発表しました。スポーツカーでは、「モータースポーツを起点にしたもっといいクルマづくり」を具現化する「GRMNヤリス」を開発しました。
カーボンニュートラルへの対応については、トヨタは1997年に世界初の量産ハイブリッド車「プリウス」を発売以来、累計2,000万台を超える電動車を販売し、1.6億トンを超えるCO2排出量を削減しました。カーボンニュートラル実現に向けて、地域によって異なるエネルギー事情を考慮し世界各国・地域の状況に対応した多様な選択肢を提供することで、お客様の需要動向にすばやく対応していきます。電動化戦略は、BEV、HEV、PHEV、燃料電池車(FCEV)の全方位で進めます。BEVは、2030年までに30車種を展開し、グローバルで各セグメントにおいてフルラインアップを揃え、年間350万台の販売をめざすことを発表しました。電動化の重要部品である電池においては、お客様に安心して使っていただくため、安全・長寿命・高品質・良品廉価・高性能という5つの要素を高いレベルで調和させることを重視しています。車両と電池の一体開発でコスト低減に取り組みます。内燃機関技術を活かした取り組みも進めています。水素エンジンは、長年培ってきた技術を活かしつつ、カーボンニュートラル実現にも貢献できる技術です。水素エンジンを搭載した「カローラ」は、開発のリードタイムが短いモータースポーツの現場で、評価と改善を繰り返しています。クルマの開発だけでなく、水素を「つくる」・「はこぶ」・「つかう」選択肢を広げる必要もあります。産業を越えて広がった意志と情熱を持つ多くの仲間と、スーパー耐久シリーズ参戦を通じて、ともに挑戦を続けています。
CASE(※)の時代では、クルマづくりに「電動化」「自動運転」「コネクティッド」など、新しい領域での技術開発が求められます。私たちは、クルマが情報との連携を深め、「ヒト」・「モノ」・「コト」の移動を通じてお客様へ新たな体験価値や感動を提供することを目指しています。開発を進めている車両開発プラットフォーム「Arene(アリーン)」は、車両ソフトウェア開発のあり方を根本から変えていきます。ソフトウェアをハードウェアから独立させて開発できるようにし、トヨタが培ってきたハードウェアの強みを活かしながら、安全で高品質な最新のソフトウェア開発を実現します。さらに、アプリケーション開発も容易になり、効率の良いプログラミングが可能になります。クルマの価値のなかでソフトウェアが占める部分は増大しており、トヨタの将来にとって重要な部分を自ら手掛けることで競争力を高めるとともに、パートナー企業と連携し、量産化に向けて取り組みを進めています。コネクティッドカーやつながる技術はさまざまな領域へと応用され、つながる先もヒト、クルマ、街、社会へと広がっていきます。
当事業に係る研究開発支出は1,095,651百万円です。
※ CASEとは、Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、
Electric(電動化)の頭文字をとった略称
(2)その他の事業
基礎研究分野においては、㈱豊田中央研究所を中心として、エネルギー・環境、機械、情報・通信、材料などの幅広い分野における研究活動に取り組んでいます。
その他の事業に係る研究開発支出は28,611百万円です。