有価証券報告書-第102期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/20 14:13
【資料】
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【項目】
123項目

研究開発活動

当社グループは「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」ことを使命とし、「技術の継承と革新を続け、より高い技術の開発に取組み、世界の人々から信頼される商品やサービスを提供する」ことを基本理念とし、時代の変化を的確に捉え、社会との調和を図り、安全で環境に優しい商品や質の高いサービスを提供するため、積極的な研究開発活動を行っております。
当社の研究開発は、当社を中心に、子会社をはじめとする関係各社との緊密な連携のもとで推進されております。また、基礎研究分野において、技術研究所を中心として環境、安全、材料などの分野における研究開発に取り組んでおります。
当社は、環境や安全に対する取組みに加え、耐久性や燃費などの性能向上、プロダクト・ライフサイクル・コストの低減など、よりよい商品とサービスを世界の人々に提供する為に商品・技術開発を行っております。
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(日本)
[最近の新製品]
1) 小型トラック「日野デュトロ」を改良して、新たに電動パーキングブレーキを設定、塵芥車用および高所作業車用シャシに標準装備(オートマチックトランスミッション搭載車を除く)とするとともに、その他の車型にオプション設定(オートマチックトランスミッション搭載車、標準幅キャブダンプ、ダブルキャブ、ルートバンを除く)しました。また、ハイブリッド車に標準装備のProShiftV(5速AMT:機械式自動変速機)にはパーキングブレーキポジション付を新たにオプション設定して、平成25年5月6日より発売いたしました。
2) ハイブリッドユニットを活用した電動式冷凍システムを大型トラック用としては世界で初めて開発し、「日野プロフィア」に搭載して、平成26年2月1日に発売いたしました。今回発売した「日野プロフィア 電動冷凍車」は、日野のハイブリッドシステム技術と、株式会社デンソーの車載用電動式冷凍システム技術のコラボレーションにより、経済性、冷凍性能、品質に優れ、かつ静粛性が高い、車両トータルとしてのお客様のメリットを実現しています。
「日野プロフィア 電動冷凍車」は、冷凍システムの燃料消費量低減とともに平成27年度燃費基準の基準値を5%上回る低燃費も達成しています。また先行車への追突回避を支援することも可能になったプリクラッシュセーフティ(衝突被害軽減ブレーキ)や、より適切なタイミングで警報できるようになった車線逸脱警報、検出性能を向上させたドライバーモニターなど先進の安全装備を標準装備しており、高い環境性能と安全性能を両立した大型トラックです。
[最近の主な成果]
1)電動(EV)小型トラックの実証運行を開始
西濃運輸株式会社と協力して、電動(EV)小型トラックを実際に集配業務に使用する実証運行を開始しました。実証運行は約1年間を予定しており、両社はこの間に、EVトラックの集配業務への適応性や実用性を検証し、商品化に向けた改良に役立ててまいります。また、実証運行を実施する西濃運輸の拠点には急速充電器を設置し、高い頻度で急速充電を行いながら運行する運用方法についても検証します。
2)プラグインハイブリッドバスを開発
中型バス「日野メルファ」をベースとしたプラグインハイブリッドバスを開発しました。今回開発したプラグインハイブリッドバスは、国土交通省の次世代低公害車開発・実用化促進プロジェクトへの参画で得られた成果を活用しつつ、日野が長年にわたって培ってきたハイブリッドシステムに大容量のリチウムイオン電池を組み合わせたもので、EV走行とハイブリッド走行を可能にするとともに、ディーゼルエンジンによる長時間の給電機能を備えており、災害時には避難所等への電力供給が可能です。軽油または電気のどちらかが供給できれば走行が可能なため、早期の支援活動に活用できます。また、山間部や災害で損傷した道路等でも走行できるように、中型のツーステップタイプとしています。
3)通信利用型安全運転支援システムを搭載した「日野デュトロ ハイブリッドASV(先進安全自動車)」を開発
車車間通信や歩車間通信を利用して、右左折時や出会い頭の衝突防止、また周辺の車両や歩行者の存在を知らせることで安全運転を支援するシステムを搭載した「日野デュトロ ハイブリッドASV」を開発しました。
「日野デュトロ ハイブリッドASV」は、以下の6つの機能を備えています。
①右折時衝突防止支援
②左折時衝突防止支援
③出会い頭衝突防止支援
④歩行者存在注意喚起
⑤緊急車両情報提供
⑥工事車両情報提供
いずれも、自分の存在情報を発信する機能を備えた車両または歩行者からの情報を受信して機能するもので、自車の進行の支障となる可能性の高い車両や歩行者を検知し、モニター表示と音声で注意喚起または情報提供を行います。
4)先進安全技術を開発
機能を追加したプリクラッシュセーフティ(衝突被害軽減ブレーキ)等の以下の4つの先進安全技術を開発しました。
(1) 先行車に対する追突回避を支援する機能を追加した「プリクラッシュセーフティ」
プリクラッシュセーフティは、レーダーで前方の車を検知し、距離や速度から衝突が避けられないと判断するとシステムがブレーキをかけて衝突時の速度を低減します。今回のシステムでは、走行している車両に対しての追突回避を支援することも可能になりました。
(2) 自車の走行車線からはみ出すと警報する「車線逸脱警報装置」(性能向上)
車線の位置を検知し、自車の走行している車線を逸脱すると警報します。今回のシステムでは車線を検知するカメラの性能を向上させ、警報のタイミングの精度を更に高めました。
(3) ドライバーの閉眼や顔の向きを検知して警報する「ドライバーモニター」(性能向上)
ドライバーの眼の開閉状態や顔の向きをモニターし、一定の時間、眼を閉じていたり正面を見ていない状態が続くとドライバーに警報するとともに、先行車がいる状態ではプリクラッシュセーフティの警報タイミングを早めます。今回のシステムでは、サングラスを着用している場合でも眼の開閉状態を検知できるよう、カメラの性能を更に向上させました。
(4) トレーラーの積荷の偏りによるトラクターの傾きを計測する「左右バランスモニター」
積荷の偏ったコンテナを搭載した場合に生じるトラクターの傾きを計測し、あらかじめドライバーが設定した傾きを超えた場合にはドライバーに注意を促します。積荷の偏った状態で走行することによる危険の軽減に寄与する効果が期待できます。
以上の内、「プリクラッシュセーフティ」、「車線逸脱警報装置」、「ドライバーモニター」は大型トラック、大型トラクターと大型観光バスに、「左右バランスモニター」は大型トラクター(海上コンテナ用車型)に搭載して平成26年4月1日に発売いたしました。
5)第11回新機械振興賞「経済産業大臣賞」を受賞
中小型ディーゼル車用の排出ガス後処理システム「新DPR」の開発において、第11回新機械振興賞「経済産業大臣賞」(主催:一般財団法人機械振興協会)を受賞しました。
平成22年(ポスト新長期)排出ガス規制に適合した「日野レンジャー」、「日野デュトロ」に搭載されている「尿素を必要としない中小型ディーゼル車用NOx、PM後処理システム」である「新DPR」は、車両走行用の燃料である軽油を用いてNOxを低減し、PMはフィルターによって捕集することでNOxとPMを同時に低減させます。「尿素SCR+PM捕集フィルター」のシステムに対し、尿素水を使用しないため、尿素水にかかわる費用が不要で、補給の手間もない等高い経済性、利便性を実現しています。また尿素水タンクやSCR触媒等も不要なためコンパクトで軽量なシステムとなっており、スペースや重量で制約の多い中小型ディーゼル車でも広汎な架装に対応することが可能で、お客様から高い評価を得ています。
以上、当連結会計年度の「日本」セグメントの研究開発費の総額は、462億50百万円であります。
(アジア)
該当事項はありません。
(その他)
該当事項はありません。