有価証券報告書-第86期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/26 16:13
【資料】
PDFをみる
【項目】
145項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度の国内経済につきましては、緩やかな景気回復が続きました。一方、世界情勢につきましては、英国のEU離脱表明や米国における新政権誕生などを背景に、政治および経済の先行きの不確実性が高まりました。これらを背景に、為替の動向につきましては、前連結会計年度に比べ大幅な円高ドル安に推移いたしました。
当社グループは、SUBARUがお客さまの心の中で際立った存在になることを目指して、2014年に策定いたしました中期経営ビジョン「際立とう2020」の取り組みを通じ、徹底的に考え抜いたクルマづくり、確かなモノづくりを貫き、お客様への「安心と愉しさ」の提供を追求していくための努力を続けてまいりました。また、重点取り組みであります「SUBARUブランドを磨く」をさらに加速させるため、当社の事業ポートフォリオを総合的に検討した結果、今後の持続的成長の実現を目指し、事業の中核である自動車事業のさらなる競争力の強化に向けて、経営資源をより有効に活用するために、産業機器事業を終了することを決定いたしました。そして当社は、第85期定時株主総会の決議事項に基づき、2017年4月1日をもちまして、富士重工業株式会社から株式会社SUBARUへ社名変更いたしました。
当連結会計年度は、当社の重点市場であります北米市場が前連結会計年度に引き続き世界販売を牽引し、自動車売上台数は当社として初の100万台超えを記録するなど、着実に取り組みの成果を出すことができました。
これらの取り組みの結果、当連結会計年度の連結決算は次のとおりとなりました。
売上高は、自動車売上台数の増加などにより、為替変動に伴う売上高の減少を吸収し、過去最高となる3兆3,260億円と前連結会計年度に比べ937億円(2.9%)の増収となりました。
利益面につきましては、自動車売上台数の増加や原価低減の進捗などがあったものの、エアバッグインフレータ※に起因する品質関連費用および米国の金利上昇に伴う販売費を中心とした諸経費等の増加、為替変動の影響、試験研究費の増加により、営業利益が4,108億円と前連結会計年度に比べ1,548億円(27.4%)の減益となり、経常利益につきましても、3,943億円と前連結会計年度に比べ1,826億円(31.7%)の減益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましても、2,824億円と前連結会計年度に比べ1,543億円(35.3%)の減益となりました。
※:エアバッグの膨張装置
(単位 金額:百万円、比率:%)
売上高親会社株主為替レート
営業利益経常利益に帰属する
(利益率)(利益率)当期純利益
(利益率)
2017年3月期3,325,992410,810394,330282,354108円/米ドル
(12.4)(11.9)(8.5)119円/ユーロ
2016年3月期3,232,258565,589576,972436,654121円/米ドル
(17.5)(17.9)(13.5)133円/ユーロ
増減93,734△154,779△182,642△154,300
増減率2.9△27.4△31.7△35.3

セグメントの業績は次のとおりであります。なお、前連結会計年度までご報告いたしておりました「産業機器事業」につきましては、事業終了を決定したことに伴い、当連結会計年度より「その他事業」の区分に含めて記載しております。また、以下の前連結会計年度との比較については、前連結会計年度の数値を変更後の区分に組み替えた数値で比較しております。
(単位 金額:百万円、比率:%)
売上高セグメント利益
2016年3月期2017年3月期増減増減率2016年3月期2017年3月期増減増減率
自動車3,039,4243,151,961112,5373.7543,609397,657△145,952△26.8
航空宇宙152,786138,759△14,027△9.218,2019,102△9,099△50.0
その他40,04835,272△4,776△11.92,9983,51251417.1
調整額----781539△242△31.0
合計3,232,2583,325,99293,7342.9565,589410,810△154,779△27.4
(注)1.売上高は、外部顧客への売上高であります。
2.セグメント利益の調整額は、セグメント間取引消去であります。

① 自動車事業
当連結会計年度の国内の自動車全体需要は、登録車につきましては、各社の新型車投入の影響などにより前連結会計年度比8.1%の増加となり、軽自動車につきましては、前連結会計年度からの軽自動車税増税の影響などにより前連結会計年度比5.1%の減少となり、国内自動車全体では507.8万台(前連結会計年度比2.8%の増加)となりました。また、当社の重点市場であります米国の自動車全体需要は、乗用車系からSUV(多目的スポーツ車)を含むライトトラック系へ移行が進み、前連結会計年度並みの1,748.9万台となりました。
このような全需動向の中、国内の登録車につきましては、全面改良を行った「インプレッサ」に加え、「レヴォーグ」および「フォレスター」の販売が好調に推移したことにより、売上台数は12.6万台と前連結会計年度に比べ1.5万台(13.3%)の増加となりました。また、軽自動車につきましては、新型車「シフォン」が販売に寄与したものの、その他車種が減少したことにより、売上台数は3.3万台と前連結会計年度に比べ0.1万台(3.4%)の減少となりました。これらの結果、売上台数の合計は、15.9万台と前連結会計年度に比べ1.4万台(9.4%)の増加となりました。
海外につきましては、北米で「アウトバック」が好調を維持する中、米国生産拠点であるスバル オブ インディアナ オートモーティブ インク(以下SIA)の生産能力増強が寄与し、大幅に売上台数が増加しました。加えて、北米を中心に「クロストレック(日本名:SUBARU XV)」および「フォレスター」が年度を通して好調を維持しました。これらの結果、売上台数の合計は、90.6万台と前連結会計年度に比べ9.3万台(11.4%)の増加となりました。
地域別には、北米で72.1万台と前連結会計年度に比べ9.0万台(14.3%)の増加、ロシアを含む欧州で4.6万台と前連結会計年度に比べ0.1万台(2.6%)の減少、豪州で4.9万台と前連結会計年度に比べ0.4万台(10.1%)の増加、中国で前連結会計年度並みの4.4万台、その他地域で前連結会計年度並みの4.6万台となりました。
以上の結果、国内と海外を合わせた売上台数は、過去最高となる106.5万台と前連結会計年度に比べ10.7万台(11.1%)の増加となり、全体の売上高は3兆1,520億円と前連結会計年度に比べ1,125億円(3.7%)の増収となりました。また、セグメント利益につきましては、エアバッグインフレータに起因する品質関連費用および米国の金利上昇に伴う販売費を中心とした諸経費等の増加、為替変動の影響、試験研究費の増加により、3,977億円と前連結会計年度に比べ1,460億円(26.8%)の減益となりました。
なお、当連結会計年度の連結売上台数は以下のとおりです
(単位 台数:万台、比率:%)
2016年3月期2017年3月期増減増減率
国内合計14.515.91.49.4
登録車11.212.61.513.3
軽自動車3.43.3△0.1△3.4
海外合計81.390.69.311.4
北米63.072.19.014.3
欧州・ロシア4.84.6△0.1△2.6
豪州4.54.90.410.1
中国4.44.4△0.0△0.9
その他地域4.64.6△0.0△0.5
総合計95.8106.510.711.1

② 航空宇宙事業
防衛省向け製品では、新多用途ヘリコプター「UH-X」の契約に基づく開発本格化などにより、売上高は前連結会計年度を上回りました。
一方、民間向け製品では、為替変動に伴う売上高の減少および「ボーイング777」の生産機数減少などにより、売上高は前連結会計年度を下回りました。
以上の結果、全体の売上高は1,388億円と前連結会計年度に比べ140億円(9.2%)の減収となりました。また、セグメント利益につきましても、91億円と前連結会計年度に比べ91億円(50.0%)の減益となりました。
③ その他事業
産業機器事業において、北米向けレジャービークル用エンジンの販売が減少したことにより、売上高は353億円と前連結会計年度に比べ48億円(11.9%)の減収となりました。また、セグメント利益につきましては、35億円と前連結会計年度に比べ5億円(17.1%)の増益となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、7,286億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は3,454億円(前連結会計年度は6,143億円の増加)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上3,947億円、未払費用の増加882億円、法人税等の支払2,082億円などであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は2,543億円(前連結会計年度は2,557億円の減少)となりました。主な要因は、有価証券の取得による支出(売却による収入との純額)369億円、固定資産の取得による支出(売却による収入との純額)1,624億円、貸付けによる支出(回収による収入との純額)193億円などであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は1,890億円(前連結会計年度は1,262億円の減少)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出(借入れによる収入との純額)217億円、自己株式の取得による支出527億円、配当金の支払1,114億円などであります。