有価証券報告書-第118期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/19 16:09
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業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度(注1)における当社グループの業績は、売上高は北米市場の回復や新興国の堅調な需要の伸びに加え、為替換算の影響(286億円)などもあり過去最高の2,367億円と前年同期に比べ306億円の増加(前年同期比14.9%増)となりました。営業利益はアジアの収益拡大に加え、生産合理化や不採算案件の減少などの収益改善策が功を奏し81億円と前年同期に比べ38億円の増加(前年同期比87.3%増)となりました。経常利益は為替差益等により73億円(前年同期比2.1倍)、当期純利益は一部の繰延税金資産を取り崩ししたこと等により24億円(前年同期比4.7倍)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
① 日本
個人消費や設備投資など内需の着実な拡大に支えられ、景気は回復傾向となりました。自動車業界においては軽自動車の販売が過去最高を更新したことや完成車メーカーが相次ぎ投入した新型車の効果に加え、下期に消費税増税前の駆け込み需要もあり、生産・国内販売とも数年ぶりの高水準となりました。しかしながら当社グループにおいては、売れ筋の軽自動車・ハイブリッド車向けの生産品目が現状では少ないこと、完成車メーカーの海外生産移管による当社受注品目の国内生産の減少等の影響がありましたが、産業機械・鉄道事業への注力強化により売上高は892億円(前年同期比0.2%減)となりました。利益面では、海外グループ企業の開発費の負担増加(前期よりグローバル開発を日本での一括管理に変更)やエネルギーコストの上昇がありましたが、産業機械・鉄道事業からの利益貢献、生産・調達合理化、人件費・経費の削減、減価償却方法の変更等により、営業利益は34億円(前年同期比49.4%増)となりました。
② 北米
金融の量的緩和の効果により、雇用も徐々に持ち直し景気は緩やかな回復基調が継続しました。自動車業界においては、大型ピックアップやSUV等を中心に市場が拡大してきており、年間の販売台数は15.6百万台と前年比7.6%の増加となりました。当社グループにおいては、完成車メーカーの在庫調整等による受注減少などもありましたが、買換需要に伴う受注の増加や円安による為替換算の影響(224億円)もあり、売上高は1,228億円(前年同期比24.8%増)となりました。利益面では、合理化の着実な実行、米系完成車メーカーへの販売価格の正常化等の推進、一部不採算ビジネスが終了し収益性の高いビジネスへの切替えが進んだことなどにより、営業利益は7億円(前年同期比9.3倍)と大幅な増益を達成いたしました。来期以降はメキシコ事業も含め黒字の定着と安定した高収益を計上できる基盤の確立に向けた諸施策を確実に実行し、成長戦略を加速してまいります。
③ 欧州
財政緊縮や高い失業率など構造的な問題は依然として残るものの、第3四半期には景気も漸く底を打った感があります。自動車業界においても低迷していた自動車需要が第3四半期以降には回復の兆しを見せ始めました。このような状況の下、売上高は為替換算の影響(15億円)等もあり74億円(前年同期比51.7%増)となりました。利益面では円安の為替換算影響で1億円の損失の拡大がありましたが、販売価格の値上げ交渉および原価低減、固定費削減が進んだこと等により、営業損失は6億円(前年同期差2億円の改善)にとどめることができました。
④ 中国
金融環境の悪化が懸念されましたが、輸出の回復などに支えられ、GDPは7%半ばの成長を確保しました。自動車業界においては、販売台数は前年比10%を超える成長が続いております。当社グループにおいては、日系完成車メーカーの受注の回復や新規モデル立ち上げによる受注拡大、円安による為替換算の影響(22億円)もあり、売上高は108億円(前年同期比78.1%増)となりました。利益面では人件費の上昇や生産拡大に伴う償却費負担の増加などがあったものの、利益率の高い摩擦材を中心とする受注の拡大や円安による影響などもあり、営業利益は16億円(前年同期比3.4倍)と売上とともに過去最高を達成いたしました。
⑤ タイ
順調な景気拡大があった上期に比べ、下期は政情不安などもあり景気は減速しました。自動車業界においては、自動車購入支援策終了による反動減で下期は内需が想定以上に冷え込みました。当社グループにおいても新車販売の落ち込みや二輪車の販売不振などの影響により現地通貨ベースでは売上高は減少しましたが、為替換算の影響(11億円)により、売上高は62億円(前年同期比21.4%増)となりました。利益面では、人件費の上昇があったものの、基幹部品(ブレーキピストン)の内製化を含む生産の合理化及び経費削減などにより、営業利益は5億円(前年同期比3.5倍)となり、過去最高を達成いたしました。
⑥ インドネシア
主力の資源輸出の伸び悩みと燃料価格の引き上げ、インフレ抑制を目的とした利上げが経済成長率を押し下げましたが、自動車業界においては、9月からのローコストグリーンカー(LCGC)の立ち上がりが順調だったこともあり、乗用車の販売台数は過去最高となりました。当社グループにおいては二輪車では若干の受注の減少があったものの、日系四輪自動車メーカーからの受注が増加したことや為替換算の影響(13億円)もあり、売上高は157億円(前年同期比19.2%増)となりました。利益面では、人件費の上昇や原材料の市況の悪化などが利益を圧迫しましたが、その一部を販売価格に反映できたことや円安による影響などもあり、営業利益は21億円(前年同期比15.8%増)を達成いたしました。
(注1)当連結会計年度とは
(1)北米・中国・タイ・インドネシア:平成25年1月~平成25年12月
(2)日本・欧州 :平成25年4月~平成26年3月 となります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比72億円減少の135億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
189億円の収入(前年同期比113億円の収入増加)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益74億円及び減価償却費89億円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
203億円の支出(前年同期比163億円の支出増加)となりました。主な要因は、北米を中心とした設備投資などの有形固定資産の取得による支出217億円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
62億円の支出(前年同期比42億円の支出増加)となりました。主な要因は、短期借入金の純増額54億円があった一方で、長期借入金の返済による支出150億円によるものです。