訂正臨時報告書

【提出】
2019/08/26 15:05
【資料】
PDFをみる

提出理由

当社は、2019年7月18日開催の当社取締役会において、第三者割当の方法によりA種種類株式を発行すること(以下、「本第三者割当増資」といいます。)を決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第2号の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。なお、本第三者割当増資は、2019年9月27日開催予定の当社臨時株主総会(以下、「本臨時株主総会」といいます。)において、(ⅰ)A種種類株式に関する規定の新設等に係る定款の一部変更(以下、「本定款変更」といいます。)、(ⅱ)本第三者割当増資、(ⅲ)2019年12月31日を効力発生日として、資本金及び資本準備金の額を減少し、その他資本剰余金へ振り替えること(以下、「本資本金等の額の減少」といいます。)並びに(ⅳ)割当予定先であるジャパン・インダストリアル・ソリューションズ第弐号投資事業有限責任組合(以下、「割当予定先」といいます。)の指名する者1名(但し、割当予定先との間で本日付で締結した出資契約書(以下、「本出資契約」といいます。)の規定に従い、割当予定先の指名する者を2名とする場合には、2名)の当社社外取締役への選任(以下、「本社外取締役選任」といいます。)に係る各議案の承認が得られること、並びに、2019年9月18日開催予定の産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続(以下、「本事業再生ADR手続」といいます。)の事業再生計画案の決議のための債権者会議の続会において、当社が策定する事業再生計画案(以下、「本事業再生計画案」といいます。)が本事業再生ADR手続の全対象債権者(以下、「本対象債権者」といいます。)の合意により成立することを条件としております。

有価証券の私募等による発行

(1)有価証券の種類及び銘柄
曙ブレーキ工業株式会社 A種種類株式
(2)発行数
20,000株
(3)発行価格(払込金額)及び資本組入額
発行価格(払込金額)1株につき1,000,000円
資本組入額1株につき500,000円

(4)発行価額の総額及び資本組入額の総額
発行価額の総額20,000,000,000円
資本組入額の総額10,000,000,000円

(注) 資本組入額の総額は、会社法上の増加する資本の額であり、増加する資本準備金の額は10,000,000,000円であります。
(5)株式の内容
A種種類株式の内容は、以下のとおりです。
1. 種類株式に対する剰余金の配当
(1) A種優先配当金
当社は、ある事業年度中に属する日を基準日として剰余金の配当をするときは、当該剰余金の配当の基準日(以下、「配当基準日」といいます。)の最終の株主名簿に記載又は記録されたA種種類株式を有する株主(以下、「A種種類株主」といいます。)又はA種種類株式の登録株式質権者(A種種類株主と併せて以下、「A種種類株主等」といいます。)に対し、下記9.(1)に定める支払順位に従い、A種種類株式1株につき、下記(2)に定める額の金銭による剰余金の配当(かかる配当によりA種種類株式1株当たりに支払われる金銭を、以下、「A種優先配当金」といいます。)を行う。なお、A種優先配当金に、各A種種類株主等が権利を有するA種種類株式の数を乗じた金額に1円未満の端数が生じるときは、当該端数は切り捨てる。
(2) A種優先配当金の金額
A種優先配当金の額は、配当基準日が2020年3月末日以前に終了する事業年度に属する場合、1,000,000円(以下、「払込金額相当額」といいます。)に、4.0%を乗じて算出した額の金銭について、配当基準日が2020年4月1日以降に開始し2021年3月末日以前に終了する事業年度に属する場合、払込金額相当額に、4.5%を乗じて算出した額の金銭について、配当基準日が2021年4月1日以降に開始し2022年3月末日以前に終了する事業年度に属する場合、払込金額相当額に、5.0%を乗じて算出した額の金銭について、配当基準日が2022年4月1日以降に開始する事業年度に属する場合、払込金額相当額に、5.5%を乗じて算出した額の金銭について、当該配当基準日の属する事業年度の初日(但し、当該配当基準日が2020年3月末日に終了する事業年度に属する場合、2019年9月30日)(同日を含む。)から当該配当基準日(同日を含む。)までの期間の実日数につき、1年を365日(但し、当該事業年度に閏日を含む場合は366日)として日割計算を行うものとする(除算は最後に行い、円位未満小数第2位まで計算し、その小数第2位を四捨五入する。)。但し、当該配当基準日の属する事業年度中の、当該配当基準日より前の日を基準日としてA種種類株主等に対し剰余金を配当したときは、当該配当基準日に係るA種優先配当金の額は、その各配当におけるA種優先配当金の合計額を控除した金額とする。
(3) 非参加条項
当社は、A種種類株主等に対しては、A種優先配当金及びA種累積未払配当金相当額(下記(4)に定める。)の額を超えて剰余金の配当を行わない。但し、当社が行う吸収分割手続の中で行われる会社法第758条第8号ロ若しくは同法第760条第7号ロに規定される剰余金の配当又は当社が行う新設分割手続の中で行われる同法第763条第1項第12号ロ若しくは同法第765条第1項第8号ロに規定される剰余金の配当についてはこの限りではない。
(4) 累積条項
ある事業年度に属する日を基準日としてA種種類株主等に対して行われた1株当たりの剰余金の配当(当該事業年度より前の各事業年度に係るA種優先配当金につき本(4)に従い累積したA種累積未払配当金相当額(以下に定義される。)の配当を除く。)の総額が、当該事業年度に係るA種優先配当金の額(当該事業年度の末日を基準日とする剰余金の配当が行われると仮定した場合において、上記(2)に従い計算されるA種優先配当金の額をいう。但し、かかる計算においては、上記(2)但書の規定は適用されないものとして計算するものとする。)に達しないときは、その不足額は、当該事業年度(以下、本(4)において「不足事業年度」といいます。)の翌事業年度以降の事業年度に累積する。この場合の累積額は、不足事業年度に係る定時株主総会(以下、本(4)において「不足事業年度定時株主総会」といいます。)の翌日(同日を含む。)から累積額がA種種類株主等に対して配当される日(同日を含む。)までの間、不足事業年度の翌事業年度以降の各事業年度において、当該事業年度が2020年3月末日以前に終了する事業年度の場合は年率4.0%の利率で、当該事業年度が2020年4月1日以降に開始し2021年3月末日以前に終了する事業年度の場合は年率4.5%の利率で、当該事業年度が2021年4月1日以降に開始し2022年3月末日以前に終了する事業年度の場合は年率5.0%の利率で、当該事業年度が2022年4月1日以降に開始する事業年度の場合は年率5.5%の利率で、1年ごと(但し、1年目は不足事業年度定時株主総会の翌日(同日を含む。)から不足事業年度の翌事業年度の末日(同日を含む。)までとする。)の複利計算により算出した金額を加算した金額とする。なお、当該計算は、1年を365日(但し、当該事業年度に閏日を含む場合は366日)とした日割計算により行うものとし、除算は最後に行い、円位未満小数第2位まで計算し、その小数第2位を四捨五入する。本(4)に従い累積する金額(以下、「A種累積未払配当金相当額」といいます。)については、下記9.(1)に定める支払順位に従い、A種種類株主等に対して配当する。
2. 残余財産の分配
(1) 残余財産の分配
当社は、残余財産を分配するときは、A種種類株主等に対し、下記9.(2)に定める支払順位に従い、A種種類株式1株につき、払込金額相当額に、A種累積未払配当金相当額及び下記(3)に定める日割未払優先配当金額を加えた額(以下、「A種残余財産分配額」といいます。)の金銭を支払う。但し、本(1)においては、残余財産の分配が行われる日(以下、「分配日」といいます。)が配当基準日の翌日(同日を含む。)から当該配当基準日を基準日とした剰余金の配当が行われる時点までの間である場合は、当該配当基準日を基準日とする剰余金の配当は行われないものとみなしてA種累積未払配当金相当額を計算する。なお、A種残余財産分配額に、各A種種類株主等が権利を有するA種種類株式の数を乗じた金額に1円未満の端数が生じるときは、当該端数は切り捨てる。
(2) 非参加条項
A種種類株主等に対しては、上記(1)のほか、残余財産の分配は行わない。
(3) 日割未払優先配当金額
A種種類株式1株当たりの日割未払優先配当金額は、分配日の属する事業年度において、分配日を基準日としてA種優先配当金の支払がなされたと仮定した場合に、上記1.(2)に従い計算されるA種優先配当金相当額とする(以下、A種種類株式1株当たりの日割未払優先配当金額を「日割未払優先配当金額」といいます。)。
3. 議決権
A種種類株主は、法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会において議決権を有しない。
4. 普通株式を対価とする取得請求権
(1) 普通株式対価取得請求権
A種種類株主は、2019年10月1日以降いつでも、当社に対して、下記(2)に定める数の普通株式(以下、「請求対象普通株式」といいます。)の交付と引換えに、その有するA種種類株式の全部又は一部を取得することを請求すること(以下、「普通株式対価取得請求」といいます。)ができるものとし、当社は、当該普通株式対価取得請求に係るA種種類株式を取得するのと引換えに、法令の許容する範囲内において、請求対象普通株式を、当該A種種類株主に対して交付するものとする。
(2) A種種類株式の取得と引換えに交付する普通株式の数
A種種類株式の取得と引換えに交付する普通株式の数は、普通株式対価取得請求に係るA種種類株式の数に、(ⅰ)A種種類株式1株当たりの払込金額相当額に下記に定める普通株式対価取得プレミアムを乗じて得られる額並びに(ⅱ)A種累積未払配当金相当額及び日割未払優先配当金額の合計額を乗じて得られる額を、下記(3)及び(4)で定める取得価額で除して得られる数とする。なお、本4.においては、A種累積未払配当金相当額の計算及び日割未払優先配当金額の計算における「残余財産の分配が行われる日」及び「分配日」をそれぞれ「普通株式対価取得請求の効力が生じた日」と読み替えて、A種累積未払配当金相当額及び日割未払優先配当金額を計算する。また、普通株式対価取得請求に係るA種種類株式の取得と引換えに交付する普通株式の合計数に1株に満たない端数があるときは、これを切り捨てるものとし、この場合においては、会社法第167条第3項に定める金銭の交付は行わない。
「普通株式対価取得プレミアム」とは、普通株式対価取得請求の効力が生ずる日が以下の各号のいずれの期間に属するかの区分に応じて、以下の各号に定める数値をいう。
① 2020年6月30日まで:1.13
② 2020年7月1日から2021年6月30日まで:1.20
③ 2021年7月1日から2022年6月30日まで:1.27
④ 2022年7月1日から2023年6月30日まで:1.34
⑤ 2023年7月1日から2024年6月30日まで:1.41
⑥ 2024年7月1日から2025年6月30日まで:1.48
⑦ 2025年7月1日以降:1.55

(3) 当初取得価額
当初取得価額は80円とする。
(4) 取得価額の調整
(a) 以下に掲げる事由が発生した場合には、それぞれ以下のとおり取得価額を調整する。
① 普通株式につき株式の分割又は株式無償割当てをする場合、次の算式により取得価額を調整する。なお、株式無償割当ての場合には、次の算式における「分割前発行済普通株式数」は「無償割当て前発行済普通株式数(但し、その時点で当社が保有する普通株式を除く。)」、「分割後発行済普通株式数」は「無償割当て後発行済普通株式数(但し、その時点で当社が保有する普通株式を除く。)」とそれぞれ読み替える。
調整後取得価額=調整前取得価額×分割前発行済普通株式数
分割後発行済普通株式数

調整後取得価額は、株式の分割に係る基準日の翌日又は株式無償割当ての効力が生ずる日(株式無償割当てに係る基準日を定めた場合は当該基準日の翌日)以降これを適用する。
② 普通株式につき株式の併合をする場合、次の算式により、取得価額を調整する。
調整後取得価額=調整前取得価額×併合前発行済普通株式数
併合後発行済普通株式数

調整後取得価額は、株式の併合の効力が生ずる日以降これを適用する。
③ 下記(d)に定める普通株式1株当たりの時価を下回る払込金額をもって普通株式を発行又は当社が保有する普通株式を処分する場合(株式無償割当ての場合、普通株式の交付と引換えに取得される株式若しくは新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを含む。以下、本(4)において同じ。)の取得による場合、普通株式を目的とする新株予約権の行使による場合又は合併、株式交換若しくは会社分割により普通株式を交付する場合を除く。)、次の算式(以下、「取得価額調整式」といいます。)により取得価額を調整する。取得価額調整式における「1株当たり払込金額」は、金銭以外の財産を出資の目的とする場合には、当該財産の適正な評価額とする。調整後取得価額は、払込期日(払込期間を定めた場合には当該払込期間の最終日)の翌日以降、また株主への割当てに係る基準日を定めた場合は当該基準日(以下、「株主割当日」といいます。)の翌日以降これを適用する。なお、当社が保有する普通株式を処分する場合には、次の算式における「新たに発行する普通株式の数」は「処分する当社が保有する普通株式の数」、「当社が保有する普通株式の数」は「処分前において当社が保有する普通株式の数」とそれぞれ読み替える。
(発行済普通株式数
-当社が保有する
普通株式の数)
+新たに発行する普通株式の数×1株当たり払込金額
調整後
取得価額
=調整前
取得価額
×普通株式1株当たりの時価
(発行済普通株式数-当社が保有する普通株式の数)
+新たに発行する普通株式の数

④ 当社に取得をさせることにより又は当社に取得されることにより、下記(d)に定める普通株式1株当たりの時価を下回る普通株式1株当たりの取得価額をもって普通株式の交付を受けることができる株式を発行又は処分する場合(株式無償割当ての場合を含む。)、かかる株式の払込期日(払込期間を定めた場合には当該払込期間の最終日。以下、本④において同じ。)に、株式無償割当ての場合にはその効力が生ずる日(株式無償割当てに係る基準日を定めた場合は当該基準日。以下、本④において同じ。)に、また株主割当日がある場合はその日に、発行又は処分される株式の全てが当初の条件で取得され普通株式が交付されたものとみなし、取得価額調整式において「1株当たり払込金額」としてかかる価額を使用して計算される額を、調整後取得価額とする。調整後取得価額は、払込期日の翌日以降、株式無償割当ての場合にはその効力が生ずる日の翌日以降、また株主割当日がある場合にはその日の翌日以降、これを適用する。上記にかかわらず、取得に際して交付される普通株式の対価が上記の時点で確定していない場合は、調整後取得価額は、当該対価の確定時点において発行又は処分される株式の全てが当該対価の確定時点の条件で取得され普通株式が交付されたものとみなして算出するものとし、当該対価が確定した日の翌日以降これを適用する。
⑤ 行使することにより又は当社に取得されることにより、普通株式1株当たりの新株予約権の払込価額と新株予約権の行使に際して出資される財産(金銭以外の財産を出資の目的とする場合には、当該財産の適正な評価額とする。以下、本⑤において同じ。)の合計額が下記(d)に定める普通株式1株当たりの時価を下回る価額をもって普通株式の交付を受けることができる新株予約権を発行する場合(新株予約権無償割当ての場合を含む。)、かかる新株予約権の割当日に、新株予約権無償割当ての場合にはその効力が生ずる日(新株予約権無償割当てに係る基準日を定めた場合は当該基準日。以下、本⑤において同じ。)に、また株主割当日がある場合はその日に、発行される新株予約権全てが当初の条件で行使され又は取得されて普通株式が交付されたものとみなし、取得価額調整式において「1株当たり払込金額」として普通株式1株当たりの新株予約権の払込価額と新株予約権の行使に際して出資される財産の普通株式1株当たりの価額の合計額を使用して計算される額を、調整後取得価額とする。調整後取得価額は、かかる新株予約権の割当日の翌日以降、新株予約権無償割当ての場合にはその効力が生ずる日の翌日以降、また株主割当日がある場合にはその翌日以降、これを適用する。上記にかかわらず、取得又は行使に際して交付される普通株式の対価が上記の時点で確定していない場合は、調整後取得価額は、当該対価の確定時点において発行される新株予約権全てが当該対価の確定時点の条件で行使され又は取得されて普通株式が交付されたものとみなして算出するものとし、当該対価が確定した日の翌日以降これを適用する。但し、本⑤による取得価額の調整は、当社又は当社の子会社の取締役、監査役、執行役その他の役員又は従業員に対してストック・オプション目的で発行される普通株式を目的とする新株予約権には適用されないものとする。
(b) 上記(a)に掲げた事由によるほか、下記①乃至③のいずれかに該当する場合には、当社はA種種類株主等に対して、あらかじめ書面によりその旨並びにその事由、調整後取得価額、適用の日及びその他必要な事項を通知したうえ、取得価額の調整を適切に行うものとする。
① 合併、株式交換、株式交換による他の株式会社の発行済株式の全部の取得、株式移転、吸収分割、吸収分割による他の会社がその事業に関して有する権利義務の全部若しくは一部の承継又は新設分割のために取得価額の調整を必要とするとき。
② 取得価額を調整すべき事由が2つ以上相接して発生し、一方の事由に基づく調整後の取得価額の算出に当たり使用すべき時価につき、他方の事由による影響を考慮する必要があるとき。
③ その他、発行済普通株式数(但し、当社が保有する普通株式の数を除く。)の変更又は変更の可能性を生ずる事由の発生によって取得価額の調整を必要とするとき。
(c) 取得価額の調整に際して計算が必要な場合は、円位未満小数第2位まで算出し、その小数第2位を四捨五入する。
(d) 取得価額調整式に使用する普通株式1株当たりの時価は、調整後取得価額を適用する日(但し、取得価額を調整すべき事由について株式会社東京証券取引所(以下、「東京証券取引所」といいます。)が提供する適時開示情報閲覧サービスにおいて公表された場合には、当該公表が行われた日)に先立つ連続する30取引日の東京証券取引所が発表する当社の普通株式の普通取引の売買高加重平均価格(以下、「VWAP」といいます。)の平均値(円位未満小数第2位まで算出し、その小数第2位を四捨五入する。)とする。なお、「取引日」とは、東京証券取引所において当社普通株式の普通取引が行われる日をいい、VWAPが発表されない日は含まないものとする。
(e) 取得価額の調整に際し計算を行った結果、調整後取得価額と調整前取得価額との差額が0.1円未満にとどまるときは、取得価額の調整はこれを行わない。但し、本(e)により不要とされた調整は繰り越されて、その後の調整の計算において斟酌される。
(5) 普通株式対価取得請求受付場所
株主名簿管理人事務取扱場所 東京都千代田区丸の内一丁目4番5号
三菱UFJ信託銀行株式会社 証券代行部
(6) 普通株式対価取得請求の効力発生
普通株式対価取得請求の効力は、普通株式対価取得請求に要する書類が上記(6)に記載する普通株式対価取得請求受付場所に到達したとき又は当該書類に記載された効力発生希望日のいずれか遅い時点に発生する。
(7) 普通株式の交付方法
当社は、普通株式対価取得請求の効力発生後、当該普通株式対価取得請求をしたA種種類株主に対して、当該A 種種類株主が指定する株式会社証券保管振替機構又は口座管理機関における振替口座簿の保有欄に振替株式の増加の記録を行うことにより普通株式を交付する。
5. 金銭を対価とする取得請求権
(1) 金銭対価取得請求権
A種種類株主は、2019年10月1日以降いつでも、当社に対して、下記(2)に定める額の金銭の交付と引換えに、その有するA種種類株式の全部又は一部を取得することを請求すること(以下、「金銭対価取得請求」といいます。)ができるものとし、当社は、当該金銭対価取得請求に係るA種種類株式を取得するのと引換えに、法令の許容する範囲内において、下記(2)に定める額の金銭を、当該A種種類株主に対して交付するものとする。但し、金銭対価取得請求に基づきA種種類株主に対して交付される金銭のうちA種種類株式1株当たりの払込金額相当額に金銭対価取得請求に係るA種種類株式の数を乗じた額の合計額が、累計で66億円を超える場合には、A種種類株主はかかる金銭対価取得請求を行うことはできない。
(2) A種種類株式の取得と引換えに交付する金銭の額
A種種類株式の取得と引換えに交付する金銭の額は、金銭対価取得請求に係るA種種類株式の数に、(ⅰ)A種種類株式1株当たりの払込金額相当額に下記に定める金銭対価取得プレミアムを乗じて得られる額並びに(ⅱ)A種累積未払配当金相当額及び日割未払優先配当金額の合計額を乗じて得られる額とする。なお、本5.においては、A種累積未払配当金相当額の計算及び日割未払優先配当金額の計算における「残余財産の分配が行われる日」及び「分配日」をそれぞれ「金銭対価取得請求の効力が生じた日」と読み替えて、A種累積未払配当金相当額及び日割未払優先配当金額を計算する。
「金銭対価取得プレミアム」とは、金銭対価取得請求の効力が生ずる日が以下の各号のいずれの期間に属するかの区分に応じて、以下の各号に定める数値をいう。
① 2020年6月30日まで:1.05
② 2020年7月1日から2021年6月30日まで:1.12
③ 2021年7月1日から2022年6月30日まで:1.19
④ 2022年7月1日から2023年6月30日まで:1.26
⑤ 2023年7月1日から2024年6月30日まで:1.33
⑥ 2024年7月1日から2025年6月30日まで:1.40
⑦ 2025年7月1日以降:1.47

(3) 金銭対価取得請求受付場所
株主名簿管理人事務取扱場所 東京都千代田区丸の内一丁目4番5号
三菱UFJ信託銀行株式会社 証券代行部
(4) 金銭対価取得請求の効力発生
金銭対価取得請求事前通知の効力は、金銭対価取得請求事前通知に要する書類が上記(3)に記載する金銭対価取得請求受付場所に到達したとき又は当該書類に記載された効力発生希望日のいずれか遅い時点に発生する。金銭対価取得請求の効力は、当該金銭対価取得請求事前通知に係る金銭対価取得請求日において発生する。
6. 金銭を対価とする取得条項
当社は、2019年10月1日以降いつでも、当社の取締役会が別に定める日(以下、「金銭対価償還日」といいます。)が到来することをもって、A種種類株主等に対して、金銭対価償還日の14日前までに書面による通知(撤回不能とする。)を行った上で、法令の許容する範囲内において、金銭を対価として、A種種類株式の全部又は一部(但し、一部の取得は、1,000株の整数倍の株数に限る。)を取得することができる(以下、「金銭対価償還」といいます。)ものとし、当社は、当該金銭対価償還に係るA種種類株式を取得するのと引換えに、当該金銭対価償還に係るA種種類株式の数に、(ⅰ)A種種類株式1株当たりの払込金額相当額に下記に定める償還係数を乗じて得られる額並びに(ⅱ)A種累積未払配当金相当額及び日割未払優先配当金額の合計額を乗じて得られる額の金銭を、A種種類株主に対して交付するものとする。なお、本6.においては、A種累積未払配当金相当額の計算及び日割未払優先配当金額の計算における「残余財産の分配が行われる日」及び「分配日」をそれぞれ「金銭対価償還日」と読み替えて、A種累積未払配当金相当額及び日割未払優先配当金額を計算する。また、金銭対価償還に係るA種種類株式の取得と引換えに交付する金銭に1円に満たない端数があるときは、これを切り捨てるものとする。
A種種類株式の一部を取得するときは、按分比例その他当社の取締役会が定める合理的な方法によって、A種種類株主から取得すべきA種種類株式を決定する。
「償還係数」とは、金銭対価償還日が以下の各号のいずれの期間に属するかの区分に応じて、以下の各号に定める数値をいう。
① 2020年6月30日まで:1.08
② 2020年7月1日から2021年6月30日まで:1.15
③ 2021年7月1日から2022年6月30日まで:1.22
④ 2022年7月1日から2023年6月30日まで:1.29
⑤ 2023年7月1日から2024年6月30日まで:1.36
⑥ 2024年7月1日から2025年6月30日まで:1.43
⑦ 2025年7月1日以降:1.50

7. 自己株式の取得に際しての売主追加請求権の排除
当社が株主総会の決議によってA種種類株主との合意により当該A種種類株主の有するA種種類株式の全部又は一部を取得する旨を決定する場合には、会社法第160条第2項及び第3項の規定を適用しないものとする。
8. 株式の併合又は分割、募集株式の割当て等
(1) 当社は、A種種類株式について株式の分割又は併合を行わない。
(2) 当社は、A種種類株主には、募集株式の割当てを受ける権利又は募集新株予約権の割当てを受ける権利を与えない。
(3) 当社は、A種種類株主には、株式無償割当て又は新株予約権無償割当てを行わない。
9. 優先順位
(1) A種優先配当金、A種累積未払配当金相当額及び普通株式を有する株主又は普通株式の登録株式質権者(以下、「普通株主等」と総称する。)に対する剰余金の配当の支払順位は、A種累積未払配当金相当額が第1順位、A種優先配当金が第2順位、普通株主等に対する剰余金の配当が第3順位とする。
(2) A種種類株式及び普通株式に係る残余財産の分配の支払順位は、A種種類株式に係る残余財産の分配を第1順位、普通株式に係る残余財産の分配を第2順位とする。
(3) 当社が剰余金の配当又は残余財産の分配を行う額が、ある順位の剰余金の配当又は残余財産の分配を行うために必要な総額に満たない場合は、当該順位の剰余金の配当又は残余財産の分配を行うために必要な金額に応じた按分比例の方法により剰余金の配当又は残余財産の分配を行う。
(6)発行方法
第三者割当の方法によりジャパン・インダストリアル・ソリューションズ第弐号投資事業有限責任組合に全てのA種種類株式を割り当てます。
(7)当社が取得する手取金の総額並びに使途ごとの内容、金額及び支出予定時期
1. 手取金の総額
払込金額の総額20,000,000,000円
発行諸費用の概算額70,000,000円
差引手取概算額19,930,000,000円

(注) 発行諸費用の概算額は登録免許税相当額であります。
2. 手取金の使途ごとの内容、金額及び支出予定時期
本第三者割当増資による手取金の具体的使途は、下記の内容を予定しております。
具体的な使途金額(百万円)支出予定時期
構造改革資金(日本)5,3622019年10月~2022年3月
構造改革資金(米国)6,9832019年10月~2020年12月
構造改革資金(欧州)2,5832019年10月~2020年3月
設備投資資金5,0022019年10月~2022年12月

※ 調達資金は実際に支出するまで銀行口座で管理いたします。
当社グループは、下記(14)2.において記載のとおり、2015年3月期以降、北米事業での生産混乱を端にした営業損失及び減損損失の計上により、連結全体の財政状態が悪化、更には生産混乱に起因した次期モデルの失注等の新たな北米事業の課題等により、2019年3月期においても多額の減損損失を計上いたしました。その結果、当社グループの財政状態は棄損し、また信用力の低下による新規の資金調達も困難な状況となり、お取引金融機関に対しても借入金元本の返済の一時停止を要請するまで足元の資金繰りは悪化しております。このような状況を早期に解消し、また、収益構造の改革と業績の回復を実現するためには、大規模な資本性の資金調達と、財務体質の抜本的な改善に向けた構造改革の実行による国内外での収益性改善及びキャッシュフローの安定化の実現が急務となっているところ、かかる構造改革に必要な資金として、また、構造改革の実行後における当社グループの中長期的な成長を図るための成長資金として、本第三者割当増資の手取金を以下のとおり充当する予定であります。
① 構造改革資金(日本)
日本においては、自動車メーカーからのご協力も受けながら、減収に合わせた工場規模の最適化を図ると同時に、採算性の低い製品の生産の国外への移転、本社間接部門の見直しなどを実施することで収益性の改善を図ります。それらの構造改革を実施するための資金として約54億円の支出を見込んでおります。これらに加え、設備投資、開発費、親子ローン等の支出項目について、厳格な承認プロセスを構築することで、グループ全体の資金管理を徹底してまいります。
② 構造改革資金(米国)
米国においては、見込まれる売上減少に応じて工場の生産体制を抜本的に見直し、自動車メーカーからのご協力も受けながら工場規模の最適化を進めてまいります。また、工場規模の最適化と並行して調達合理化や生産性改善を行うことで、採算性の改善を図ってまいります。資金面では各種支出項目に係る承認プロセスを遵守することで資金管理の徹底を図ります。かかる工場規模の最適化、調達合理化及び生産性改善を実現するために必要な資金として、本第三者割当増資の手取金のうち約70億円の支出を見込んでおります。
③ 構造改革資金(欧州)
欧州においては、事業、拠点の抜本的な見直しを実施し、その再編を含む構造改革を進めてまいります。かかる事業及び拠点再編を実現するために必要な資金として、本第三者割当増資の手取金のうち約26億円の支出を見込んでおります。
④ 設備投資資金
構造改革による抜本的な財務体質の改善、収益構造の改革及び業績の回復だけでなく、中長期的な成長を実現しながら事業再生計画を完遂するためには、国内外での収益性改善及びキャッシュフローの安定化を実現しつつ、主要自動車メーカーからの受注を継続確保するための各種設備投資、昨今の自動車ブレーキ業界の環境変化を受けた電動化製品等への開発投資、中長期的なマーケット成長の取り込みの観点からの中国自動車メーカーへの拡販に係る設備投資、さらには産機鉄道分野での競争力を維持・強化するための設備投資等が必要不可欠となります。そこで、当社はかかる成長投資を実現するために必要な設備投資資金として、本第三者割当増資の手取金のうち約50億円の支出を見込んでおります。
(8)新規発行年月日(払込期間)
2019年9月30日から2019年12月31日
(上記にかかわらず、割当予定先との間では、本出資契約において、2019年9月30日に払込みを行うことを合意していますが、2019年9月30日の前営業日までに本事業再生計画案が成立しない場合には、本出資契約に規定する払込義務の前提条件の全部が充足又は放棄された日から3営業日後の日又は当社及び割当予定先が別途合意する日(但し、払込期間中の日に限る。)に払込みが行われる予定です。)
(9)当該有価証券を金融商品取引所に上場しようとする場合における当該金融商品取引所の名称
該当事項はありません。
(10)引受人の氏名又は名称に準ずる事項
該当事項はありません。
(11)募集を行う地域に準ずる事項
日本国内
(12)金融商品取引法施行令第1条の7に規定する譲渡に関する制限その他の制限
該当事項はありません。
(13)保有期間その他の当該株券の保有に関する事項についての取得者と当社との間の取決めの内容
該当事項はありません。
なお、割当予定先のA種種類株式の保有方針については、下記(14)3.をご参照ください。
(14)第三者割当の場合の特記事項
1. 割当予定先の状況
a 割当予定先の概要名称ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ第弐号投資事業有限責任組合
所在地東京都千代田区丸の内二丁目2番2号
出資額1,050億円
組成目的有価証券の取得等
主たる出資者及びその出資比率株式会社日本政策投資銀行
株式会社みずほ銀行
株式会社三井住友銀行
株式会社三菱UFJ銀行
業務執行組合員に関する事項名称ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ株式会社
本店の所在地東京都千代田区丸の内二丁目2番2号
代表者の
役職・氏名
代表取締役 齋藤進一
代表取締役 廣本裕一
資本金100,000,000円
事業の内容投資業務等
主たる出資者及びその出資比率株式会社日本政策投資銀行 14.9%
株式会社みずほ銀行 14.9%
株式会社三井住友銀行 14.9%
株式会社三菱UFJ銀行 14.9%
合同会社ジェイ・アイ・エス 40.4%
b 当社と割当予定先との間の関係当社と割当予定先との間の関係出資関係該当事項はありません。
人事関係該当事項はありません。
資金関係該当事項はありません。
技術関係及び取引関係該当事項はありません。
当社と業務執行組合員との間の関係出資関係該当事項はありません。
人事関係該当事項はありません。
資金関係該当事項はありません。
技術関係及び取引関係該当事項はありません。

※割当予定先の主たる出資者の出資比率については、割当予定先から開示を受けていないため、記載しておりません。
2. 割当予定先の選定理由
(1) 募集に至る経緯及び目的
当社グループは、企業理念を、「私達は、『摩擦と振動、その制御と解析』により、ひとつひとつのいのちを守り、育み、支え続けて行きます。」と定め、経営方針である「お客様第一」「技術の再構築」「グローバルネットワークの確立」に基づき、独創的な発想・アプローチで社会に貢献し、ボーダーレス社会における不可欠な存在としての他に類を見ない地位の確立を目指しております。
そのような中、当社グループでは、2015年3月期から発生した北米事業での生産混乱により、2016年3月期に北米事業は2期連続で営業損失を計上し、かつ多額の減損損失を計上したことから、連結全体の財政状態が悪化する事態に至りました。そこで、前中期経営計画「akebono New Frontier 30-2016」では、製品別の事業展開をグローバルベースで行うことを基軸としたさらなる競争力の強化及び経営基盤の確立を目的として、「北米事業の立て直し」、「製品別事業部制への移行によるグローバルネットワークの確立」、「ハイパフォーマンスブレーキ(高性能量販車用ブレーキ)ビジネスの拡大と欧州事業の新築」の3つを重点目標として掲げ、これらを達成することにより「健全な財務体質への回復」につなげることを目指して活動してまいりました。
上記の重点目標のうち「北米事業の立て直し」としては、現地主導によるマネジメント体制を強化することにより組織の抜本的改革を実行し、売上重視から利益重視の経営への転換を図りました。具体的には、不採算製品の収益性改善を完成車メーカーの協力も得て実施したほか、「安全・品質・納期」の原点に戻り、生産性改善や、販管費を含めた間接業務の改善などを実施したことにより、2018年3月期には黒字化を達成することができました。しかしながら、前中期経営計画最終年度の2019年3月期には、原材料市況の高騰によるコストの増加や、次期モデルの受注ができなかったことによる売上の減少に対応した固定費削減が計画通りに進まないといったさらなる経営課題が発生し、こうした課題に対して前年度までに強化してまいりました現地主導による経営体制が十分に適応できなかったことなどから、大幅な損失を計上する結果となりました。また、「製品別事業部制への移行によるグローバルネットワークの確立」につきましては、グローバルレベルでビジネスの多様化が進む中で、当社は、日本・北米・欧州・アジアの各地域で展開しているビジネスの連携をさらに深めることを目的に、地域を限定しない製品別事業部制(ビジネスユニット(BU)制)を発足いたしました。具体的には、①Foundation BU(ブレーキ機構製品担当BU)、②Friction Material BU(摩擦材製品担当BU)、③HP BU(高性能量販車用製品担当BU)、④補修品BU、⑤インフラ&モビリティシステムBUの5つの事業部を設け、2017年3月期以降、日本・アジアを皮切りに、2019年1月からは北米にも事業部制を展開してグローバルネットワークの確立を進めてまいりました(なお、2019年4月よりHP BUをFoundation BUに集約し4つの事業部となっております。)。さらに「ハイパフォーマンスブレーキ(高性能量販車用ブレーキ)ビジネスの拡大と欧州事業の新築」につきましては、F1で培った高性能ブレーキ技術を量販製品にも活用し、製品の差別化、高付加価値化を進めてまいりました。2014年5月に設立したスロバキア工場においては、高性能量販車用ブレーキを生産し、2019年3月期には年間100万個生産体制となりました。もう一つの欧州拠点であるフランスのアラス工場においては、競争力向上のために現地マネジメントの強化を図り、生産体制を整えるとともに生産性の改善に取り組んでおり、早期の黒字化の達成と次期モデルの受注確保に努めております。
このように、当社は北米事業の黒字化など前中期経営計画で掲げた重点目標を一時的に達成し「健全な財務体質への回復」を目指すべく、各種活動を行ってまいりましたが、その後も、米系完成車メーカーの乗用車生産からの撤退や、急速な受注増加に伴う生産混乱に起因して次期モデル用ブレーキ製品の受注を逃したこと等の新たな北米事業の課題が発生したこと等により、厳しい経営状態及び財務体質からの脱却には至りませんでした。
かかる状況下、今後の再成長に向けた強固な収益体質の確立と財務体質の抜本的な改善を目指すため、当社並びに当社子会社であるAkebono Brake Corporation、Akebono Brake Mexico S.A.de C.V.、Akebono Brake Slovakia s.r.o.、広州曙光制動器有限公司、曙光制動器(蘇州)有限公司及びA&M Casting(Thailand)Co., Ltd.(以下、「当社ら」といいます。)は、2019年1月29日に、本事業再生ADR手続の取扱事業者である事業再生実務家協会に対し、本事業再生ADR手続について正式申込を行いました。同申込は、同日付で受理され、当社らは、同日付で事業再生実務家協会と連名にて、全てのお取引金融機関に対して、一時停止の通知書(借入金元本の返済の一時停止等の要請)を送付いたしました。その後、2019年2月12日開催の事業再生計画案の概要の説明のための債権者会議において、全てのお取引金融機関に対し、事業再生計画案の概要を説明し、上記一時停止の通知書について同意(追認)を得ると共に、一時停止の期間を事業再生計画案の決議のための債権者会議の終了時(会議が延期・続行された場合には、延期・続行された期日を含みます。)まで延長することについても、ご承認いただきました。その上で、2019年4月8日開催の事業再生計画案の協議のための債権者会議において、当該時点における事業再生計画案の策定状況の報告を行うとともに、同会議の続会を2019年6月11日に開催することにつき、お取引金融機関のご承認をいただきました。
そして、2019年6月11日開催の事業再生計画案の協議のための債権者会議の続会及び事業再生計画案の決議のための債権者会議において、同日時点における事業再生計画案の策定状況等の報告を行うとともに、事業再生計画案の協議継続のため、本事業再生ADR手続を継続し、2019年7月22日(予定)に事業再生計画案の協議のための債権者会議の再続会を、2019年9月18日(予定)に、事業再生計画案の決議のための債権者会議の続会を開催すること及びコミットメントライン契約等に基づくプレDIPファイナンスによる資金支援に係る債権について引き続き優先弁済権を付与することについて、お取引金融機関のご承認をいただきました。
当社らは、本事業再生ADR手続の成立を目指しているものの、本事業再生ADR手続の成立には、全てのお取引金融機関が事業再生計画案に同意いただく必要があり、かかる事業再生計画案の策定に向けて、引き続き、お取引金融機関との協議が必要な状況が継続しております。
このように、本事業再生ADR手続の成立までには相当の時間を要する一方で、当社グループは、2019年3月期に、日本・北米を中心とした原材料価格の大幅な高騰の影響、受注減少にあわせた生産体制や本社機能の適正化などの対応が遅れたこともあり、連結営業利益は2億円にとどまり、加えて、北米、欧州及びタイにおいて多額の減損損失を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純損失を約183億円計上することとなり、連結貸借対照表の株主資本は△55億円となりました。その結果、財務制限条項に抵触し、また、一部の銀行借入の弁済を約定どおり進めることも困難となったことから、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在する事態に陥りました。
当社グループの財政状態及び足元の資金繰りはいずれも悪化しており、このような状況を解消し、また、収益構造の改革と業績の回復を実現するためには、大規模な資本性の資金調達と、財務体質の抜本的な改善に向けた構造改革の実行による国内外での収益性改善及びキャッシュフローの安定化の実現が急務となっております。
そのような状況の中、当社は、本事業再生ADR手続における本事業再生計画案の策定にあたっては、上記の当社の置かれた厳しい経営状態から脱却し、強固な収益体質の確立と財務体質の抜本的な改善を図り、当社事業の再生を実現するべく、スポンサーから確実な資本性資金の提供や事業面での各種支援をいただくこと及びお取引先金融機関から金融支援にご同意いただくことで、構造改革を実現するための資金やリソースを確保するとともに、早期に財務体質及び足元の資金繰りを改善し、当社グループが抱える財務面及び事業面の課題の早期かつ抜本的な解決を図ることが必要不可欠であるとの考えに至りました。かかる考えのもと、当社は具体的にスポンサーとの協議を進めるにあたって、PwCアドバイザリー合同会社をファイナンシャル・アドバイザーとして起用し、当社に対する資本性資金を提供していただけるスポンサーを探索すべく、本事業再生ADR手続の正式申込以降、40社を超える複数の事業会社及び金融投資家に対してスポンサー候補としての出資検討を依頼してまいりました。かかるスポンサー探索の結果、数社が一次的な意向表明に至り、そのうち、数社の金融投資家が実際にデューディリジェンスに進みました。さらに、デューディリジェンスを実施した結果、強固な収益体質の確立と財務体質の抜本的な改善を図り、当社事業を再生するという目的に合致する合理的な内容の支援を提案し、スポンサー支援に係る法的拘束力のある最終的な意向表明を示した割当予定先をスポンサーとして選定いたしました。
当社は、その後も、割当予定先との交渉を進めながら、他のスポンサー候補による支援の可能性も並行して追求いたしましたが、割当予定先以外からは合理的な内容のスポンサー支援に関する提案を受けることはできませんでした。他方で、割当予定先は、当社の事業目的及び経営方針にご理解をいただける投資家であり、また、その支援内容は下記(2)に記載のとおり、当社事業の再生の実現が十分に期待できる合理的な内容であったことから、割当予定先こそが、当社の企業価値を向上させるパートナーとして、最適のスポンサー候補であると判断いたしました。
(2) 本第三者割当増資を選択した理由
当社は、本第三者割当増資の実施を決定するまでに、以下に記載するとおり、様々な資金調達のための手法について比較検討を行いましたが、上記の当社の財務状況を踏まえれば、財務体質の抜本的な改善のため、当社が希望する時間軸で確実かつ迅速に資本性の資金調達を行うことが最も重要な考慮要素であると考えました。
例えば、公募増資による普通株式の発行については、2019年3月期決算にて公表した当社の連結財務諸表の注記において「継続企業の前提に関する事項」が記載されており、証券会社の引受審査を経て行われる公募増資の確実な実施は困難と判断いたしました。また、既存株主に対して、新株予約権を割り当てる新株予約権無償割当(ライツオファリング)又は株式を割り当てる株主割当についても、株価動向等を踏まえた割当株主の判断により、新株予約権が全て行使されるとは限らず、また、株主の皆様から株主割当に応じていただけるとも限らないため、最終的な資金調達額が不明であり、確実に一定規模の資金調達を実施する必要がある当社にとっては、現時点における適切な選択肢ではないと判断いたしました。
これに対して、種類株式を用いた第三者割当増資は、必要金額の調達を確実に行うことができ、また、その商品設計によっては大規模な資本性の資金調達を行いつつ、急激な希薄化や株主構成の変化を回避することも可能であり、適切なスポンサーが選定でき、合理的な商品設計について合意できれば、当社にとって最も有効な選択肢になり得ると考えました。そこで、上記(1)に記載のとおり、当社にとってより有利な条件での資金調達の可能性を求めて、本事業再生ADR手続の正式申込以降多数のスポンサー候補との間で、出資等を通じた資金提供を含む支援の可能性についての協議を続けた結果、割当予定先から、本第三者割当増資の実施を含むスポンサー支援の提案を受けるに至りました。当社は、普通株式による第三者割当増資を実施した場合に想定される即時の急激な希薄化及び株主構成の変化が、当社の安定した事業運営や株価に与える影響を勘案し、急激な希薄化を抑制し、発行後直ちに株主構成に影響を及ぼすことがないA種種類株式を、割当予定先に対する第三者割当の方法で発行することにより、構造改革に必要な資本性の資金調達を行い、上記(1)に記載のとおり、当社の厳しい経営状況からの再建の実現を目指していくことといたしました。国内外での収益構造の抜本的な改革、特に日本、北米、欧州における工場規模の最適化、拠点再編及び合理化など大規模かつ多くの課題を克服しつつ、同時に財務体質の抜本的な改善を図り、また、中長期的な成長を図るための成長資金を得るために合計200億円の出資を受けることが、現時点において当社が採り得る最善の選択肢であるとの最終的な判断に至りました。
なお、本第三者割当増資により割当予定先に対してA種種類株式が割り当てられた場合、A種種類株式の全部について普通株式を対価とする取得請求権が行使されたと仮定すると、(累積未払配当金相当額及び日割未払優先配当金額がいずれも存在しない前提で)最大で議決権数3,875,000個の普通株式が交付されることになり(最大元本相当額31,000,000,000円(払込元本200億円×最大普通株式対価取得プレミアム1.55)、当初取得価額80円で計算)、2019年3月末日現在の株主名簿に基づく当社の発行済普通株式に係る議決権総数である1,331,686個に対する割合は約291.0%となります。このように、本第三者割当増資によって、潜在的ではあるものの相当程度の希薄化が生じることとなります。しかしながら、本第三者割当増資は、当社の収益基盤を強化するとともに、財務体質の安定化を図るものであるだけでなく、下記(b)に記載のとおり、本出資契約において、転換制限解除事由(下記(b)で定義します。)が発生しない限り、2022年6月30日(同日を含む。)までは割当予定先は普通株式を対価とする取得請求権を行使しない旨の合意がなされており、普通株式の早期の希薄化を回避し、事業構造改革の実行による企業価値向上のための時間的猶予が確保されていることや、A種種類株式に付された普通株式を対価とする取得請求権の行使による希薄化の発生を一定程度抑制することが可能な設計がなされていること等により、希薄化によって既存株主の皆様に生じ得る影響をより少なくするための方策を講じております。さらに、上記(1)に記載のとおり、本事業再生ADR手続においては、本対象債権者となる全てのお取引金融機関から事業再生計画案の決議のための債権者会議の終了時までの一時停止に応じていただいていることに加えて、本対象債権者となる全てのお取引金融機関に対しては、相当規模の債務免除による金融支援を内容に含む本事業再生計画案に同意いただくことを要請する予定であります。このような当社事業の再生を実現するためにお取引金融機関に要請するご負担を踏まえても、本第三者割当増資により既存株主の皆様に生じ得る希薄化の程度は合理的な限度を超えるものではないと考えております。
なお、当社と割当予定先との間では、当社に対する出資を含むスポンサー支援に関する事項について、本出資契約を締結することを合意しており、その概要は以下のとおりであります。
(a) 当社の遵守事項
当社は、以下の事項等を、割当予定先に誓約しております。
① 事業再生計画が達成されるよう、最大限努力すること
② 取締役の選任が議題となる当社の各株主総会において、割当予定先の指名する者1名(但し、本出資契約の規定に従い、割当予定先の指名する者を2名とする場合には、2名)を当社の社外取締役として選任する議題及び議案を役員指名諮問委員会の答申を経たうえで上程し、かかる議案が承認されるように合理的な最善の努力を尽くすこと、当該社外取締役がオブザーバーとして当社の経営会議等に出席することを許容すること、並びに割当予定先の選定する最大2名の出向者を受け入れること
③ 事業再生計画の進捗状況等に関するモニタリング会議を設置・開催し、当該会議の結果の要旨を当社の取締役会に対し報告すること
④ 割当予定先の事前の書面等による承諾のある場合(但し、割当予定先はかかる承諾を不合理に拒絶、留保又は遅延してはならないものとします。)を除き、一定の事項(定款等の変更、株式等の発行、自己株式の取得や株式分割等、剰余金の配当その他の剰余金の処分(欠損の填補を除きます。)、一定の重要な資産の処分、一定の業務提携、子会社の設立、グループ化を伴う株式等の取得、事業の処分・譲受や組織再編行為等、一定の資産の取得、一定の借入・保証等、事業再生計画の変更(軽微なものを除きます。)、実行の中止又は停止、その他株主総会の特別決議を要する行為等)を行わないこと。また、一定の重要な事由が発生した場合には、速やかに割当予定先に対し書面により報告し、その対応につき割当予定先と誠実に協議すること
⑤ 当社の財務政策上合理的な限りにおいて、割当予定先に対するA種種類株式に係る剰余金の配当を実現するため、分配可能額を創出するべく、割当予定先と協議の上、資本金又は資本準備金の額の減少等の必要な措置をとるよう合理的に努力し、また、剰余金の配当に必要な現金を可能な限り創出するべく、割当予定先と協議の上、必要な措置をとるよう合理的に努力すること
⑥ 割当予定先による出資が実行される日までの間、重要な人事に関する事項及び組織変更の決定にあたり、あらかじめ割当予定先と誠実に協議することとし、また、新経営体制(取締役、監査役及び執行役員の構成を意味します。)について、当社及び割当予定先の双方が合理的に満足する内容とすること
(b) 普通株式又は金銭を対価とする取得請求権の行使制限
A種種類株式の発行要項においては、原則として、A種種類株主は2019年10月1日以降いつでも、当社に対して、当社の普通株式を対価としてA種種類株式の全部又は一部を取得することを請求できることとされておりますが、本出資契約の規定により、2022年7月1日以降においてのみ、普通株式を対価とする取得請求権を行使することができるものとされております。但し、大要以下に記載する場合(以下、「転換制限解除事由」といいます。)には、2022年7月1日の到来前であっても、当社の普通株式を対価とする取得請求権を行使することができます。
① 当社の借入金、社債その他の金融債務について、期限の利益を喪失した場合
② 本出資契約上の義務又は表明保証条項の違反(但し、重大な違反に限ります。)がある場合
③ 当社の発行済普通株式につき、東京証券取引所において上場廃止事由となるべき事由が発生しており、又はかかる事由が発生するおそれがある場合(債権放棄に基づく事由を除きます。)
④ 当社が金融商品取引法に基づく有価証券報告書又は四半期報告書を法定期限までに提出しない場合
⑤ 割当予定先が、当社から金銭を対価とするA種種類株式の取得条項の行使により割当予定先が保有するA種種類株式を取得する旨の書面による通知を受領し、当該条項の行使により取得するA種種類株式が累計で10,000株以上となる場合(但し、本⑤の事由に該当する場合における取得請求の上限は10,000株となります。)
⑥ 2020年3月31日に終了する事業年度以降のいずれかの事業年度に係る連結計算書類の確定時において当該事業年度の末日における当社の連結純資産額が一定額を下回る場合、又は下回ることが合理的に見込まれている場合
⑦ 2020年3月31日に終了する事業年度以降のいずれかの事業年度に係る連結計算書類の確定時において当該事業年度の当社の連結営業利益の額が、マイナスとなる場合、又はマイナスとなることが合理的に見込まれている場合
また、A種種類株式の発行要項においては、原則として、A種種類株主は2019年10月1日以降いつでも、当社に対して、金銭を対価としてA種種類株式の全部又は一部を取得することを請求できることとされておりますが、金銭を対価とする取得請求権の行使に基づきA種種類株主に対して交付される金銭のうちA種種類株式1株当たりの払込金額相当額に当該行使に係るA種種類株式の数を乗じた額の合計額が、累計で66億円を超える場合には、A種種類株主は当該行使ができないものとされています。
但し、本出資契約の規定により、割当予定先は、2022年6月30日(同日を含む。)までの間、転換制限解除事由が発生しない限り、A種種類株式について金銭を対価とする取得請求権を行使することができないこととされています。また、割当予定先は、2022年7月1日以降においても、金銭対価支払後の連結自己資本比率が20%以上となる場合又は転換制限解除事由が発生した場合にのみ、金銭を対価とする取得請求権を行使することができるものとされています。
なお、割当予定先がA種種類株式を第三者に売却する場合には、予め売却の相手方をして、かかる行使制限と同等の行使制限に服することを当社に対して約させるものとされています。
(c) 譲渡に関する誠実協議
本出資契約上、割当予定先は、2022年6月30日(同日を含む。)までの間にA種種類株式を第三者に売却する場合には、当社との間で、売却する相手方、売却方法、売却時期等の詳細について事前に誠実協議をするものとされています。
(d) 払込義務の前提条件
以下の事項等が、割当予定先によるA種種類株式に係る払込義務の履行の前提条件となっております。
① 事業再生計画(本対象債権者からの債務免除による金融支援を内容に含みます。)が成立しており、その内容が本第三者割当増資と矛盾しない内容であること
② 本第三者割当増資の完了を停止条件として本資本金等の額の減少の効力を発生させるために必要なその他一切の手続が完了していること
③ 本臨時株主総会において、本定款変更、本第三者割当増資、本資本金等の額の減少及び本社外取締役選任に係る各議案の承認が得られること
④ 当社の発行済普通株式が、東京証券取引所市場第一部に上場されており、上場廃止事由又は市場第二部銘柄への指定替えの原因となるべき事由が発生しておらず、東京証券取引所から指導又は通知によりそれらの事由が発生するおそれがあるとの判断がなされていないこと(債権放棄に基づく事由を除きます。)
⑤ 本出資契約締結後に、当社グループ又はその財務状態、経営成績、キャッシュフロー、事業、資産又は負債に重大な悪影響を及ぼす事由が発生しておらず、また、発生することが合理的に見込まれていないこと
3. 株券等の保有方針
当社は、割当予定先から、原則として、A種種類株式を中期的に保有する方針である旨の説明を受けております。
なお、割当予定先は、2022年6月30日(同日を含む。)までの間、転換制限解除事由が発生しない限り、A種種類株式について普通株式を対価とする取得請求権を行使することはできません。
また、A種種類株式には譲渡制限が付されておりませんが、本出資契約上、割当予定先は、2022年6月30日(同日を含む。)までの間にA種種類株式を第三者に売却する場合には、当社との間で、売却する相手方、売却方法、売却時期等の詳細について事前に誠実協議をするものとされています。
また、当社は割当予定先が払込期日から2年間において、割当株式であるA種種類株式の全部又は一部を譲渡した場合には、譲渡を受けた者の氏名及び住所、譲渡株式数、譲渡日、譲渡価格、譲渡の理由、譲渡の方法等の内容を直ちに書面にて当社へ報告すること、当社が当該報告内容を東京証券取引所に報告すること、並びに当該報告内容が公衆縦覧に供されることに同意することにつき、割当予定先から払込期日までに確約書を得る予定であります。
4. 払込みに要する資金等の状況
割当予定先からは、払込期日までに払込みに要する資金の準備が完了できる旨の報告を得ており、更に割当予定先に対する各出資者の財務諸表を確認するなどし、払込期日までに割当予定株式を引き受けるのに十分な資金を確保できるものと判断しております。
5. 割当予定先の実態
本出資契約において、割当予定先から、割当予定先及びその無限責任組合員が反社会的勢力との間に何ら関係がないことに関する表明保証を受けるとともに、割当予定先から、その有限責任組合員が反社会的勢力に該当しないことを口頭で確認しております。また、割当予定先の主な出資者のそれぞれの有価証券報告書に記載されている会社の沿革、役員、主要株主及び内部統制システムの整備状況等の確認や、割当予定先の業務執行組合員の代表者に対する面談を通じ、当社は割当予定先及びその主な出資者が反社会的勢力とは一切関係がないと判断しており、その旨の確認書を東京証券取引所に提出しています。
6. 特定引受人に関する事項
A種種類株式の取得に伴い割当予定先が有することとなる最大議決権数(3,875,000個)の、2019年3月末日現在の株主名簿に基づく当社の発行済普通株式に係る議決権総数である1,331,686個に当該議決権数を加えた合計数に対する割合は、約74.4%となるため、割当予定先を会社法第206条の2第1項に規定する特定引受人として取り扱うべきかについて検討いたしました。この点、A種種類株式については、株主総会における議決権はありませんが、優先配当金の規定があることや、普通株式を対価とする取得請求権に係る取得価額についての修正条項が付されていないため、将来の当社普通株式の時価が当初取得価額を下回るような場合には当該取得請求権が行使されない可能性は否定できないものの、他方で、当該取得請求権の行使により取得される当社普通株式数の算定根拠となる「普通株式対価取得プレミアム」は当初の1.13から、期間の経過とともに自動的に増加し、最大で1.55まで上昇することから、当社普通株式の時価が当初取得価額を一定程度下回っている場合であっても普通株式を対価とする取得請求権の行使に経済合理性が認められる場合は想定され、普通株式を対価とする取得請求権が行使される可能性は相応に高いと見込まれることを踏まえると、割当予定先を、会社法第206条の2第1項に規定する特定引受人に準じて取り扱うのが合理的であると判断しました。
以下は、同項及び会社法施行規則第42条の2に定める通知事項を、2019年8月16日付の当社取締役会において、本件変更を決議したことに伴い、再度、本訂正報告書に記載するものです。
(a) 特定引受人の氏名又は名称及び住所ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ第弐号投資事業有限責任組合
東京都千代田区丸の内二丁目2番2号
(b) 特定引受人がその引き受けた募集株式の株主となった場合に有することとなる議決権の数3,875,000個
(c) 上記(b)の募集株式に係る議決権の数3,875,000個
(d) 募集株式の引受人の全員がその引き受けた募集株式の株主となった場合における総株主の議決権の数5,206,686個
(e) 特定引受人に対する募集株式の割当てに関する取締役会の判断及びその理由上記「2.割当予定先の選定理由」、下記「11.大規模な第三者割当の必要性(1)大規模な第三者割当を行うこととした理由」、同「(2)大規模な第三者割当による既存の株主への影響についての取締役会の判断」をご参照ください。
(f) 上記(e)の取締役会の判断が社外取締役の意見と異なる場合には、その意見2019年7月18日付の取締役会の判断は、社外取締役の意見と異なりません。また、本件変更後においても、2019年8月16日付の取締役会の判断は、社外取締役の意見と異なりません。

(g) 特定引受人に対する募集株式の割当てに関する監査役の意見当社の監査役5名(うち3名が社外監査役)は、2019年7月18日付で、当社には大規模な資本性の資金調達の必要性が認められること、本第三者割当増資は他の一般的な資金調達手法と比較しても現時点において当社が採り得る最善の選択肢であると評価できること、本第三者割当増資の資金使途には合理性が認められること、割当予定先は、当社の企業価値を向上させるパートナーとして最適のスポンサー候補であると判断できること等を踏まえれば、本第三者割当増資には合理性が認められる旨の意見を表明していました。
この点に関して、当社の監査役5名(うち3名が社外監査役)は、2019年8月16日付で、本件変更後においても、当社には大規模な資本性の資金調達の必要性が認められること、本第三者割当増資は他の一般的な資金調達手法と比較しても現時点において当社が採り得る最善の選択肢であると評価できること、本第三者割当増資の資金使途には合理性が認められること、割当予定先は、当社の企業価値を向上させるパートナーとして最適のスポンサー候補であると判断できること等といった考慮要素に変更すべき点はなく、やはり本第三者割当増資には合理性が認められる旨の意見を表明しています。

7. 株券等の譲渡制限
A種種類株式には譲渡制限が付されておりませんが、本出資契約上、割当予定先は、2022年6月30日(同日を含みます。)までの間にA種種類株式を第三者に売却する場合には、当社との間で、売却する相手方、売却方法、売却時期等の詳細について事前に誠実協議をするものとされています。
8. 発行条件に関する事項
当社は、本第三者割当増資に係る出資の方法及び内容に関しては、当社にとって最も有利な条件での資金調達の実現に向けて、当社の置かれた厳しい経営状態及び財務体質、多額の資本性の資金需要、当社の足下の株価状況等を踏まえて、割当予定先との間で真摯な協議を行い、その結果、A種種類株式の払込金額を1株当たり1,000,000円と決定いたしました。当社としては、上記の交渉経緯及び当社の置かれた厳しい状況等に加えて、A種種類株式の商品性を踏まえれば割当予定先も本第三者割当増資を通じて相当のリスクを負担すること等を総合的に勘案すれば、かかる払込金額には合理性が認められると考えております。
もっとも、種類株式の価値評価に関しては様々な考え方があり得ることから、当社は、当社から独立した第三者評価機関である株式会社プルータス・コンサルティング(住所:東京都千代田区霞が関三丁目2番5号、代表者:代表取締役 野口真人)(以下、「プルータス」といいます。)に対してA種種類株式の価値算定を依頼し、A種種類株式の価値算定書(以下、「本価値算定書」といいます。)を取得しております。プルータスは、A種種類株式に付された諸条件と一定の前提(本事業再生ADR手続を進めている当社の現在の状況を踏まえた当社普通株式の想定株式価値のレンジ、想定満期日(2024年6月30日)までの期間約4.75年、ボラティリティ、割引率約8.64%、優先配当率、取得条項、取得請求権等)を踏まえた、当社の行動に関する一定の仮定(想定満期日までの優先配当の実施や想定満期日における金銭を対価とする取得条項の発動等)及び割当予定先の行動に関する一定の仮定(本出資契約の規定により行使が可能になる2022年7月1日におけるA種種類株式の一部(上記(5)5.(1)に記載の発行要項に定める上限に達する数)についての金銭を対価とする取得請求権の行使や、当社が取得条項を発動した場合において普通株式を対価とする取得請求権を行使するか又は金銭を対価とする取得を待つかのどちらか経済合理性の高い方の選択等)を参考に、一般的な株式オプション価値算定モデルであるモンテカルロ・シミュレーションを用いてA種種類株式の公正価値を算定しております。本価値算定書においては、A種種類株式の価格は、1株当たり1,114,000円~1,699,000円とされております。
上記のとおり、当社としては、A種種類株式の払込金額には合理性が認められると考えておりますが、プルータスによる本価値算定書における上記評価結果を踏まえれば、会社法上、A種種類株式の払込金額(1株当たり1,000,000円)が割当予定先に特に有利な金額であると判断せざるをえず、本臨時株主総会での会社法第199条第2項に基づく有利発行に係る株主総会の特別決議による承認を得ることを条件としてA種種類株式を発行することといたしました。
9. 大規模な第三者割当に関する事項
A種種類株式については、株主総会における議決権がありませんが、A種種類株式の普通株式を対価とする取得請求権の行使により、既存株主の皆様に対し希薄化の影響が生じる可能性があります。
本第三者割当増資により割当予定先に対してA種種類株式が割り当てられた場合、A種種類株式の全部について普通株式を対価とする取得請求権が行使されたと仮定すると、(累積未払配当金相当額及び日割未払優先配当金額がいずれも存在しない前提で)最大で議決権数3,875,000個の普通株式が交付されることになり(最大元本相当額31,000,000,000円(払込元本200億円×最大普通株式対価取得プレミアム1.55)、当初取得価額80円で計算)、2019年3月末日現在の株主名簿に基づく当社の発行済普通株式に係る議決権総数である1,331,686個に対する割合は約291.0%となり、25%以上の希薄化が生じる可能性があります。
したがって、本第三者割当増資は、「企業内容等の開示に関する内閣府令 第二号様式 記載上の注意(23-6)」に規定する大規模な第三者割当に該当するものであります。
また、上記「6. 特定引受人に関する事項」記載のとおり、割当予定先を、会社法第206条の2第1項に規定する特定引受人として取り扱うのが合理的であると判断いたしました。
10.第三者割当後の大株主の状況
(1) 普通株式
氏名又は名称住所所有株式数
(千株)
総議決権数に
対する所有
議決権数
の割合(%)
割当後の
所有株式数
(千株)
割当後の総
議決権数に
対する所有
議決権数
の割合(%)
トヨタ自動車株式会社愛知県豊田市トヨタ町115,49511.63%15,49511.63%
いすゞ自動車株式会社東京都品川区南大井6-26-112,1119.09%12,1119.09%
アイシン精機株式会社愛知県刈谷市朝日町2-13,1332.35%3,1332.35%
曙ブレーキ誠和魂従業員持株会東京都中央区日本橋小網町19-52,5161.88%2,5161.88%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)東京都港区浜松町2-11-32,1571.62%2,1571.62%
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口5)東京都中央区晴海1-8-112,1471.61%2,1471.61%
伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社東京都中央区日本橋1-4-12,0001.50%2,0001.50%
KYB株式会社東京都港区浜松町2-4-1
世界貿易センタービル
2,0001.50%2,0001.50%
セコム株式会社東京都渋谷区神宮前1-5-12,0001.50%2,0001.50%
スズキ株式会社静岡県浜松市南区高塚町3001,7511.31%1,7511.31%
45,31234.02%45,31234.02%

※1 「所有株式数」及び「総議決権数に対する所有議決権数の割合」は、2019年3月31日現在の株主名簿に基づき記載しております。なお、上記のほか、当社が実質的に所有している自己株式が2,722千株あります。
※2 A種種類株式に付された普通株式を対価とする取得請求権の行使により交付される普通株式数(潜在株式数)につきましては、現時点において合理的に見積もることが困難なことから、「割当後の所有株式数」及び「割当後の総議決権数に対する所有議決権数の割合」の算出にあたっては計算に含めておりません。
(2) A種優先株式
氏名又は名称住所所有株式数
(千株)
総議決権数に
対する所有
議決権数
の割合(%)
割当後の
所有株式数
(千株)
割当後の総
議決権数に
対する所有
議決権数
の割合(%)
ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ第弐号投資事業有限責任組合東京都千代田区丸の内二丁目2番2号20
20


11.大規模な第三者割当の必要性
(1) 大規模な第三者割当を行うこととした理由
上記「2.割当予定先の選定理由」に記載のとおり、当社グループは、前中期経営計画「akebono New Frontier 30-2016」では、製品別の事業展開をグローバルベースで行うことを基軸としたさらなる競争力の強化及び経営基盤の確立を目的として、「北米事業の立て直し」、「製品別事業部制への移行によるグローバルネットワークの確立」、「ハイパフォーマンスブレーキ(高性能量販車用ブレーキ)ビジネスの拡大と欧州事業の新築」の3つを重点目標として掲げ、これらを達成することにより「健全な財務体質への回復」につなげることを目指して活動してまいりましたが、前中期経営計画最終年度の2019年3月期には大幅な損失を計上する結果となり、2019年1月29日の正式申込以降、当社らは、本事業再生ADR手続の成立を目指しているものの、本事業再生ADR手続の成立には、全てのお取引金融機関が事業再生計画案に同意いただく必要があり、かかる事業再生計画案の策定に向けて、引き続き、お取引金融機関との協議が必要な状況が継続しています。
そのような中、当社は、本事業再生ADR手続における事業再生計画案の策定にあたって、強固な収益体質の確立と財務体質の抜本的な改善を図り、当社事業を再生するにはスポンサーの支援を受けることが必要不可欠であると考え、様々なスポンサー候補による支援の可能性も並行して追求しましたが、割当予定先が、当社の事業目的及び経営方針にご理解をいただける投資家であること、またその支援内容が当社が希望する時間軸で確実かつ迅速に資金調達を行うものであり、当社事業の再生の実現が十分に期待できる合理的な内容であったことから、割当予定先こそが、当社の企業価値を向上させるパートナーとして、最適のスポンサー候補であると判断いたしました。
(2) 大規模な第三者割当による既存の株主への影響についての取締役会の判断
当社は、A種種類株式を20,000株発行することにより、総額20,000,000,000円を調達いたしますが、上述したA種種類株式の発行の目的及び資金使途に照らすと、A種種類株式の発行数量は合理的であると判断しております。
また、A種種類株式については、株主総会における議決権がありませんが、A種種類株式の普通株式を対価とする取得請求権の行使により、既存株主の皆様に対し希薄化の影響が生じる可能性があります。
本第三者割当増資により割当予定先に対してA種種類株式が割り当てられた場合、A種種類株式の全部について普通株式を対価とする取得請求権が行使されたと仮定すると、(累積未払配当金相当額及び日割未払優先配当金額がいずれも存在しない前提で)最大で議決権数3,875,000個の普通株式が交付されることになり(最大元本相当額31,000,000,000円(払込元本200億円×最大普通株式対価取得プレミアム1.55)、当初取得価額80円で計算)、2019年3月末日現在の株主名簿に基づく当社の発行済普通株式に係る議決権総数である1,331,686個に対する割合は約291.0%となります。
このように、A種種類株式の取得請求権の行使により当社の普通株式が交付された場合には、当社普通株式の希薄化が生じることになりますが、①本第三者割当増資により収益基盤を強化するとともに、財務体質の安定化を図ること、②上記「2.(2) (b) 普通株式又は金銭を対価とする取得請求権の行使制限」に記載のとおり、本出資契約において、転換制限解除事由が発生しない限り、2022年6月30日(同日を含む。)までは割当予定先は取得請求権を行使しない旨の合意がなされており、普通株式の早期の希薄化を回避し、事業構造改革の実行による企業価値向上のための時間的猶予が確保されていること、③取得請求権の行使により交付される普通株式の数の算出の基礎となる普通株式対価取得プレミアムには上限(1.55)が設定されており、かつ、当初取得価額も固定されている(但し、一定の場合には取得価額が調整されます。)こと、④A種種類株式には2019年10月1日以降いつでも当社により行使可能な金銭を対価とする取得条項が付されており、当社の判断により、A種種類株式を強制償還することにより、普通株式を対価とする取得請求権の行使による希薄化の発生を一定程度抑制することが可能な設計がなされていること等により、希薄化によって既存株主の皆様に生じ得る影響をより少なくするための方策を講じております。さらに、上記「2.(1) 募集に至る経緯及び目的」に記載のとおり、本事業再生ADR手続においては、本対象債権者となる全てのお取引金融機関から事業再生計画案の決議のための債権者会議の終了時までの一時停止に応じていただいていることに加えて、本対象債権者となる全てのお取引金融機関に対しては、相当規模の債務免除による金融支援を内容に含む本事業再生計画案に同意いただくことを要請する予定であります。このような当社事業の再生を実現するためにお取引金融機関に要請するご負担を踏まえても、本第三者割当増資により既存株主の皆様に生じ得る希薄化の程度は合理的な限度を超えるものではないと考えております。
(3) 大規模な第三者割当を行うことについての判断過程
本第三者割当増資は、希薄化率が25%以上となることから、東京証券取引所の定める有価証券上場規程第432条に定める株主の意思確認手続きとして、本臨時株主総会において特別決議による承認を得る予定です。
さらに、当社は、既存株主の皆様へ与える影響の大きさを踏まえて、当社の意思決定の過程の公正性、透明性及び客観性を確保すべく、当社の経営者から一定程度独立した者として、社外監査役である片山智裕氏、高橋均氏及び板垣雄士氏(いずれも当社の独立役員として東京証券取引所に届け出ている社外監査役です。)を選定し、本第三者割当増資に関する意見を諮問し、2019年7月18日付で、以下の内容の意見書を受領しました。
また、本件変更の内容を踏まえて、改めて本第三者割当増資に関する意見を諮問し、その結果、同氏らからは、2019年7月18日付の意見書における意見内容は、A種種類株式の普通株式を対価とする取得請求権に係る当初取得価額が80円となることを前提とするものであり、また、割当予定先及び取引先金融機関との事業再生計画案に関する協議状況等を踏まえれば、本件変更後においても、当該意見書における意見内容に変更を加えるべき点はなく、本第三者割当増資には必要性及び相当性が認められるとの意見が示されております。
(1) 結 論
本第三者割当増資には必要性及び相当性が認められると思料する。
(2) 理 由
ア.本第三者割当増資の必要性について
① 資金調達の必要性
当社グループでは、2015年3月期から発生した北米事業での生産混乱により、2016年3月期に北米事業は2期連続で営業損失を計上し、かつ多額の減損損失を計上したことから、連結全体の財政状態が悪化する事態に至った。そこで、前中期経営計画「akebono New Frontier 30-2016」では、製品別の事業展開をグローバルベースで行うことを基軸としたさらなる競争力の強化及び経営基盤の確立を目的として、「北米事業の立て直し」、「製品別事業部制への移行によるグローバルネットワークの確立」、「ハイパフォーマンスブレーキ(高性能量販車用ブレーキ)ビジネスの拡大と欧州事業の新築」の3つを重点目標として掲げ、これらを達成することにより「健全な財務体質への回復」につなげることを目指して活動した。しかしながら、その後も、米系完成車メーカーの乗用車生産からの撤退や、急速な受注増加に伴う生産混乱に起因して次期モデル用ブレーキ製品の受注を逃したこと等の新たな北米事業の課題が発生したこと等により、厳しい経営状態及び財務体質からの脱却には至らなかった。
かかる状況下、今後の再成長に向けた強固な収益体質の確立と財務体質の抜本的な改善を目指すため、当社らは、2019年1月29日に、本事業再生ADR手続の取扱事業者である事業再生実務家協会に対し、本事業再生ADR手続について正式申込を行い、同日付で受理された。それ以降、当社らは、本事業再生ADR手続の成立を目指して必要な手続・協議を進めているものの、本事業再生ADR手続の成立には、全ての取引金融機関が事業再生計画案に同意する必要があり、事業再生計画案の策定に向けて、引き続き、取引金融機関との協議が必要な状況が継続している。
本事業再生ADR手続の成立までにはそれ相応の時間を要する一方で、当社グループは、2019年3月期に、日本・北米を中心とした原材料価格の大幅な高騰の影響や、受注減少にあわせた生産体制・本社機能の適正化等の対応が遅れたこともあり、連結営業利益は2億円にとどまり、加えて、北米、欧州及びタイにおいて多額の減損損失を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純損失を約183億円計上することとなり、連結貸借対照表の株主資本は△55億円となった。その結果、財務制限条項に抵触し、また、一部の銀行借入の弁済を約定どおり進めることも困難となったことから、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在する事態に陥った。
このように、当社グループの財政状態及び足元の資金繰りはいずれも悪化しており、このような状況を解消し、また、収益構造の改革と業績の回復を遅滞なく実現するためには、財務体質の抜本的な改善に向けた事業構造改革の実行による国内外での収益性改善及びキャッシュフローの安定化の実現が急務となっている。
かかる事業構造改革に必要な資金は自己資金で賄うことはできず、大規模な資本性の資金調達が必要である。
以上より、当社における資金調達の必要性は認められると思料する。
② 本第三者割当増資という手段の相当性
上記①記載の当社の財務状況を踏まえれば、財務体質の抜本的な改善のため、当社が希望する時間軸で確実かつ迅速に大規模な資本性の資金調達を行うことが最も重要な考慮要素であるといえる。
例えば、公募増資による普通株式の発行については、2019年3月期決算にて公表した当社の連結財務諸表の注記において「継続企業の前提に関する事項」が記載されており、証券会社の引受審査を経て行われる公募増資の確実な実施は困難な状況である。また、既存株主に対して、新株予約権を割り当てる新株予約権無償割当(ライツオファリング)又は株式を割り当てる株主割当についても、株価動向等を踏まえた割当株主の判断により、新株予約権が全て行使されるとは限らず、また、株主が株主割当に応じるとも限らないため、最終的な資金調達額が不明であり、確実に一定規模の資金調達を実施する必要がある当社にとっては、現時点における適切な選択肢ではない。
これに対して、種類株式を用いた第三者割当増資は、必要金額の調達を確実に行うことができ、また、その商品設計によっては大規模な資本性の資金調達を行いつつ、急激な希薄化や株主構成の変化を回避することも可能である。したがって、種類株式を用いた第三者割当増資は、適切なスポンサーが選定でき、合理的な商品設計について合意できれば、当社にとって最も有効な選択肢になり得る。この点、本件では、当社は、PwCアドバイザリー合同会社をファイナンシャル・アドバイザーとして起用し、当社に対して資本性資金を提供するスポンサーを探索すべく、本事業再生ADR手続の正式申込以降、多数の事業会社及び金融投資家に対してスポンサー候補としての出資検討を依頼した。その上で、強固な収益体質の確立と財務体質の抜本的な改善を図り、当社事業を再生するという目的に合致する合理的な内容の支援を提案し、スポンサー支援に係る法的拘束力のある最終的な意向表明を示したのが、割当予定先であった。割当予定先は、当社の事業目的及び経営方針を理解する投資家であり、その支援内容は、当社事業の再生の実現が十分に期待できる合理的な内容であったと考えられることから、割当予定先は、当社の企業価値を向上させるパートナーとして、最適のスポンサー候補であると評価することができる。
また、当社は、当社の安定した事業運営や株価に与える影響を勘案し、急激な希薄化を抑制し、発行後直ちに株主構成に影響を及ぼすことがないA種種類株式を、割当予定先に対する第三者割当の方法で発行することにより、財務体質の抜本的な改善に向けた構造改革の実行に必要な資金及び当社グループの中長期的な成長を図るための成長資金として合計200億円の出資を受けることとしている。
以上のような資金調達は、現時点において当社が採り得る最善の選択肢であると評価することができ、本第三者割当増資という手段には相当性が認められると思料する。
③ 小括
以上より、本第三者割当増資には必要性が認められると思料する。
イ.本第三者割当増資の相当性について
① 払込金額及びその決定プロセスについて
当社から独立した第三者評価機関である株式会社プルータス・コンサルティングは、A種種類株式の価値を、1株当たり1,114,000円~1,699,000円と算定している。かかる評価結果を踏まえれば、会社法上、A種種類株式の払込金額(1株当たり1,000,000円)が割当予定先に特に有利な金額であると判断せざるをえない。そのため、本臨時株主総会での会社法第199条第2項に基づく有利発行に係る株主総会の特別決議による承認を得ることを条件としてA種種類株式を発行することとしている。
もっとも、当社は、本第三者割当増資に係る出資の方法及び内容に関しては、当社の置かれた厳しい経営状態及び財務体質、多額の資本性の資金需要、当社の足下の株価状況等を踏まえつつも、当社にとって最も有利な条件での資金調達の実現に向けて、割当予定先との間で真摯な協議を尽くした結果、A種種類株式の払込金額を1株当たり1,000,000円と決定している。
したがって、上記の交渉経緯及び当社の置かれた厳しい状況等に加えて、A種種類株式の商品性及び割当予定先も本第三者割当増資を通じて相当のリスクを負担すること等を総合的に勘案すれば、かかる払込金額には一定の合理性が認められると考えられる。
② 希薄化について
A種種類株式については、株主総会における議決権はないものの、A種種類株式の普通株式を対価とする取得請求権の行使により、既存株主に対し希薄化の影響が生じる可能性がある。本第三者割当増資により割当予定先に対してA種種類株式が割り当てられ、かつ、A種種類株式の全部について普通株式を対価とする取得請求権が行使されたと仮定すると、(累積未払配当金相当額及び日割未払優先配当金額がいずれも存在しない前提で)最大で議決権数3,875,000個の普通株式が交付されることになり(最大元本相当額31,000,000,000円(払込元本200億円×最大普通株式対価取得プレミアム1.55)、当初取得価額80円で計算している。)、2019年3月末日現在の株主名簿に基づく当社の発行済普通株式に係る議決権総数である1,331,686個に対する割合は約291.0%となる。このように、A種種類株式の取得請求権の行使により当社の普通株式が交付された場合には、当社普通株式の希薄化が生じることになる。
しかしながら、①本第三者割当増資により収益基盤を強化するとともに、財務体質の安定化を図ること、②本出資契約において、転換制限解除事由が発生しない限り、2022年6月30日(同日を含む。)までは割当予定先は取得請求権を行使しない旨の合意がなされており、普通株式の早期の希薄化を回避し、事業構造改革の実行による企業価値向上のための時間的猶予が確保されていること、③取得請求権の行使により交付される普通株式の数の算出の基礎となる普通株式対価取得プレミアムには上限(1.55)が設定されており、かつ、当初取得価額も固定されている(但し、一定の場合には取得価額が調整される。)こと、④A種種類株式には2019年10月1日以降いつでも当社が行使し得る金銭を対価とする取得条項が付されており、当社の判断により、A種種類株式を繰上償還することにより、割当予定先による普通株式を対価とする取得請求権の行使による希薄化の発生を一定程度抑制することができる設計がなされていること等により、希薄化によって既存株主に生じ得る影響をより少なくするための方策を講じている。
さらに、本事業再生ADR手続においては、本対象債権者となる全ての取引金融機関から事業再生計画案の決議のための債権者会議の終了時までの一時停止に応じていることに加えて、本対象債権者となる全ての取引金融機関に対しては、相当規模の債務免除による金融支援を内容に含む事業再生計画案に同意することを要請する予定である。このような当社の事業の再生を実現するために取引金融機関に要請する金融支援の内容を踏まえても、本第三者割当増資により既存株主に生じ得る希薄化の程度は合理的な限度を超えるものではなく、将来に向けて株主共同の利益にも沿うものと評価することができる。
③ 小括
以上より、本第三者割当増資には相当性が認められると思料する。
12.株式併合等の予定の有無及び内容
該当事項はありません。
13.その他参考になる事項
該当事項はありません。
(15)その他
1. 2019年6月30日現在の発行済株式総数及び資本金の額
発行済株式総数(普通株式)135,992,343株
資本金の額19,939,380,530円

当社は新株予約権を発行しているため、発行済株式総数及び資本金の額は、2019年6月30日現在の数字を記載しております。
2. A種種類株式の発行は、本臨時株主総会において、(ⅰ)本定款変更、(ⅱ)本第三者割当増資、(ⅲ)本資本金等の額の減少及び(ⅳ)本社外取締役選任に係る各議案の承認が得られること、並びに、2019年9月18日開催予定の本事業再生ADR手続の事業再生計画案の決議のための債権者会議の続会において、本事業再生計画案が本対象債権者の合意により成立することを条件としております。なお、本社外取締役選任に関しては、本出資契約の規定に従い、割当予定先との協議を経て、2019年8月26日付で割当予定先の指名する当社社外取締役は1名とすることとしております。
以 上