有価証券報告書-第154期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 9:33
【資料】
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【項目】
162項目

研究開発活動

当社グループは、2017年に、2030年を見据えた技術開発の長期ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」を策定しました。これは世界の自動車産業を取り巻く環境の急激な変化を踏まえ、より長期的な視野に立ち、クルマの持つ魅力である「走る歓び」によって、「地球」、「社会」、「人」それぞれの課題解決を目指す新しいチャレンジとなる取り組みです。
セグメントごとの研究開発体制は、日本では本社R&D部門とマツダR&Dセンター横浜にて新商品の企画・デザイン・設計・実験研究、並びに新技術の先行研究を行っています。海外では、北米は米国のマツダモーターオブアメリカ, Inc.、欧州はドイツのマツダモーターヨーロッパGmbH、その他の地域は中国のマツダ(中国)企業管理有限公司の各R&D部門と連携し、それぞれの市場特性に適合した商品の研究開発に取り組んでいます。
当連結会計年度においては、長期ビジョンの実現に向け、独自の燃焼制御技術「SPCCI(Spark Controlled Compression Ignition:火花点火制御圧縮着火)」により、ガソリンエンジンにおける圧縮着火を世界で初めて(*1)実用化した新世代ガソリンエンジン「SKYACTIV-X」を、「MAZDA3」及び「CX-30」に搭載し市場導入を行いました。「SKYACTIV-X」は、ガソリンエンジンならではの高回転までの伸びの良さと、ディーゼルエンジンの優れた燃費・トルク・応答性といった特長を融合し、人馬一体の気持ちよい走りと優れた環境性能を両立したマツダ独自の新世代ガソリンエンジンです。意のままに操ることができる加速感、走りの楽しさを引き立たせるエンジン音、それらがもたらす「気持ちよさ」と「楽しさ」「上質さ」が「SKYACTIV-X」の魅力です。また、マイルドハイブリッドシステム「M Hybrid(エム ハイブリッド)」の採用により、滑らかで気持ちの良い走りと、効率的な燃料消費をサポートします。
また、当社は、2019年10月に開催された第46回東京モーターショーにおいて、新世代商品の第3弾となるマツダ初の量産EV「MAZDA MX-30(エムエックス サーティー)」を世界初公開しました。
「MX-30」は、お客さまがクルマとのつながりを深め、クルマとともに自然体で自分らしい時間を過ごしていただくことを目指し、新たなクルマの使い方、創造的な時間と空間を提案します。「MX-30」のデザインは、マツダのデザインテーマ「魂動(こどう)- Soul of Motion」のもと、「Car as Art」として、さらに芸術性を高めるとともに、表現に拡がりを持たせることに挑戦しています。人の手が生み出す美しい造形とこだわりのつくり込みを基礎としながら、将来に向けた価値観の変化や、新しいライフスタイルに寄り添うことを目指し、「Human Modern(ヒューマン モダン)」をコンセプトに、そのデザインをつくり上げました。 センターコンソール周りは、抜け感を持たせた形状とすることで、開放感のある空間を構成し、また、コルクや再生材からできた生地などの環境に配慮した素材を、素材そのものが持つ自然な魅力を引き出して使用し、心地のよい室内空間を実現しています。加えて、お客さまが自由な発想で、クルマの多彩な楽しみ方を創造していただけるよう、フリースタイルドア(*2)を採用しました。さらに、人間中心の開発思想に基づき、EVでも変わることのない「人馬一体による走る歓び」を追求するため、新たに電動化技術「e-SKYACTIV(イー・スカイアクティブ)」を採用し、意のままの操作感と滑らかな車両挙動を高次元に融合させ、ドライバーが自然に運転を楽しむことができる走りを実現しました。
当連結会計年度の商品改良としては、「CX-5」、「CX-8」、「マツダ ロードスター」があり、「CX-5」及び「CX-8」のAWD車には新開発「オフロード・トラクション・アシスト」を採用しました。「オフロード・トラクション・アシスト」は、悪路における想定外のスタック時にも、AWDとトラクション・コントロール・システムの協調によって接地輪への駆動力伝達を最大化して、悪路からのスムーズな脱出を実現し、さまざまな路面環境において安心・安全の走行性能を提供します。
当連結会計年度の研究開発費の総額は1,350億円で、セグメントごとの研究開発費は、日本は1,304億円、北米は19億円、欧州は21億円、その他の地域は6億円であります。なお、当社のセグメントは、生産・販売の管理体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、研究開発活動の大部分を日本セグメントで行っているため、セグメントごとの研究開発活動の状況につきましては、記載を省略しております。
(*1) 当社調べ。
(*2) センターピラーレスのセンターオープン式ドア構造。