有価証券報告書-第112期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 16:00
【資料】
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【項目】
158項目

研究開発活動

当連結会計年度の研究開発活動は、SDGs(持続可能な開発目標)で掲げる諸目標の達成に向けた取り組みを意識し、事業戦略を推進する上で重要な研究開発活動及び軸受性能に関する解析技術や性能評価技術向上、長期的な成長基盤となる基礎的研究及び新規事業の創出活動を実施しております。なお、当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は2,105百万円であります。
主な研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
<自動車用エンジン軸受>・近年のCO2排出量規制強化に伴うエンジン熱効率向上に対応するため、さらなる摩擦損失低減を目指し、耐摩耗性・耐焼付性・摩擦特性を飛躍的に向上させた各種樹脂オーバレイ(オーバレイ:表面処理)を継続的に開発しております。さらに、スラストワッシャーへの適用も含め、低摩擦特性に効果的な軸受表面形状などの開発に取り組んでおります。
・排出ガス規制強化に対応するため、トラック用エンジンなど、高面圧化、高温環境、長寿命などの厳しい要求に耐え得る新しい鉛フリーオーバレイを開発、提供し、実機評価がはじまっております。同様に、銅合金系ブシュ材料の開発も進んでおります。
・F1レース、NASCAR、2輪に使用される超高速回転に対応する信頼性に優れた高性能軸受を開発し、継続的に納入し、採用が拡大しております。
・世界各国の自動車顧客からの厳しい品質要求に対応するための、各種設備開発を実施、導入しております。
・継続的に理論解析技術、単体評価技術の向上を図り、開発期間の短縮に努めております。
<自動車用エンジン以外軸受>・自動車、オートバイのショックアブソーバー用軸受における乗り心地(操舵安定性、振動吸収性など)向上要求に対応するための鉛フリー樹脂系軸受材料を開発、量産納入を開始し、性能向上に貢献しております。更なる性能向上を図るべく、継続して材料開発を進めております。
・自動車用部品、一般産業用部品において、従来よりも樹脂層の厚い新しい樹脂系軸受材料を開発し、量産納入を開始しております。
・トランスミッション用など、新しい鉛フリー樹脂系軸受の開発も取り組んでおります。
・各種軸受用途の運転状況を再現できる新しいシミュレーション試験機を開発、実機と相関性のある軸受性能評価を実施し、信頼を得ております。
<非自動車用軸受>・中高速ディーゼルエンジン用の高面圧化に対応する新しい鉛フリーオーバレイを開発・提供し、良好な評価を継続的に得ており、さらに、特殊環境下に対応可能な鉛フリー銅合金を開発しております。
・低速ディーゼルエンジン用の高面圧化に対応する新しいホワイト合金を開発・提供し、実機にて良好な評価を得ております。
・風力発電ニーズの高い欧州での風力発電用の特殊軸受を開発・提供しております。さらに同市場に適用可能な各種特殊軸受の技術研究を実施しております。
<その他>・自動車部品の製造設備用の鉛フリー特殊金属系軸受を開発しております。
・電気二重層キャパシタ用電極シートについて、更に継続的に性能向上を図り、新しい顧客、アプリケーションへの適用拡大に向けて活動しております。
<新規事業創出活動>持続的発展のために、当社固有技術を活かした新規事業の創出、育成活動に取り組んでおります。
・従来の吸音材製造技術をベースに、吸音性、吸水性、放熱性などの機能と金属の強度、耐熱性を併せ持つ金属多孔体型機能材料の開発に取り組んでおります。
・スタートアップ企業数社と協業を目指して実証実験に取り組んでおります。そのうち1社とは、製造現場において、VRを用いた研修の効果検証を行い、有効との結果が得られましたので、当社内にて専門の部署を設置し、製造業向けにVRのクラウドソフトを販売していくことを決定しております。