有価証券報告書-第116期(平成28年12月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/29 15:41
【資料】
PDFをみる
【項目】
141項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度は決算期の変更(事業年度末日を11月30日から12月31日に変更)を行ったことで13ヶ月の変則決算となっております。
当連結会計年度における世界経済は、米国では景気拡大が続き、政策金利の緩やかな上昇に伴う株価上昇とドル高が見られました。欧州経済は長期低迷から脱して回復基調に転じ、中国経済も資源価格の回復等に伴って持ち直しが鮮明となり、中南米等新興国経済にも回復のきざしが見られます。国内経済についても、株式市場・不動産市場の活況や設備投資の持ち直し、インバウンド消費の寄与等によって緩やかな回復基調が続いております。
このような経営環境の下、当社グループは新たな中期経営計画をスタートさせ、「飛躍へのターンアラウンド」をスローガンにグループ一丸となって業績改善と財務体質強化に向けた活動に取り組んでおります。
具体的には、フランス自動車部品大手Valeo社から2013年に買収したアクセスメカニズム事業(以下、UAM事業)のターンアラウンド、特に品質改善をはじめとする生産性の向上に重点的に取り組みました。広島マザー工場所属の設計、生産、品質等のスペシャリスト十数名をスロバキア、フランス、イタリアといった欧州各工場に常駐させて工場責任者、マネージャー層、ワーカーに対して日本品質のものづくり実現のための教育・指導を行い、日本の本社・マザー工場側でも適時にモニタリングを行ってPDCAが回るように努めました。その結果、各工場の意識改革が徐々に進んで改善効果として表れてきております。
また、生産拠点の再配置、重点的な設備投資の実行、研究開発体制・人員の強化、顧客とのリレーション強化等、中期経営計画に盛り込んだ一連の改善策についても順次、企画・準備・実行を進めております。
この他にも、米州戦略として北米・中南米全域への供給体制の確立と生産の効率化のため、米国工場を清算しメキシコ工場に取り込むことを決定しました。
更に、中国における拡販に応じた生産能力の増強と生産効率の向上を図るため、江蘇省無錫市に新工場を建設中であり、来年度の竣工・本稼働に向けた準備が進んでおります。
以上のような取り組みの結果、連結売上高は1,686億32百万円(前期比9.6%増)、営業利益53億97百万円(前期比65.1%増)となりました。自動車部門、産業機械部門ともに日本国内、中国を中心におおむね堅調に推移しました。
経常利益は、37億54百万円(前期比65.3%増)となりました。為替差損(6億32百万円)の発生等により営業外費用は増加しましたが、営業利益の増益で補いました。
当期純利益は、40億86百万円となりました(前期は純損失96億59百万円)。
前期は、欧米系の一部顧客について和解金の支払や製品補償引当金の繰入れを実施したことに加え、UAM事業に関するのれん等の減損損失の計上(67億3百万円)と繰延税金資産の取り崩し(10億5百万円)を行い、純損失96億59百万円を計上しました。
当期は、計画未達となったフランス・ヌベール工場等について、会計基準に基づき回収可能価額を見積り、特別損失として減損損失14億44百万円を計上しました。他方で、保有する投資有価証券の一部を売却して特別利益29億7百万円を計上しました。また、米国子会社の清算決定に伴って繰延税金資産を計上したこと等で、税金費用が減少したこと等により、最終黒字を回復しております。
各セグメントの業績は、次のとおりです。
自動車部門は、売上高1,409億95百万円(前期比7.3%増)、営業利益42億54百万円(前期比34.2%増)となりました。国内の主要顧客向けがおおむね堅調に推移し、中国でも日系顧客向けを中心に好調を維持しました。UAM事業については前期対比で改善しておりますが、当事業全体では黒字転換できておりません。
産業機械部門は、売上高249億51百万円(前期比24.3%増)、営業利益31億31百万円(前期比29.2%増)となりました。農機向けでは国内は排気ガス規制強化前の駆け込み特需が寄与したほか、外需でも中国、ASEAN市場の回復や、北米で得意分野の小型・コンパクト機が伸びました。資源価格の回復等に伴う建機向け及び工機向けの需要増加も寄与しました。
住宅部門は、売上高26億86百万円(前期比11.9%増)、営業利益1億31百万円(前期比1.7%減)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は245億57百万円と、前連結会計年度末に比べて72億87百万円減少しました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況と主な要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、36億77百万円となりました(前期は195億36百万円の収入)。営業活動に伴う経常的収入によって、売上増収等に伴う運転資金の増加や利息の支払、法人税の支払等を賄いました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は、8億10百万円となりました(前期は107億35百万円の支出)。中国・無錫市での新工場建設に伴い有形固定資産の取得による支出が膨らむ一方で、保有する投資有価証券の一部売却による収入や、手許余裕資金について一時的に預け入れた定期預金の満期払戻による収入を得ております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、107億77百万円となりました(前期は14億5百万円の収入)。有利子負債の圧縮を継続して進めたことによります。
なお、無錫新工場(有信制造(無錫)有限公司)を当連結会計年度より新規連結したことにより、同社の手元キャッシュ10億39百万円が連結資金として増加しました。