有価証券報告書-第114期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/10 15:22
【資料】
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【項目】
159項目

研究開発活動

当社企業集団は、トライボロジー(摩擦/摩耗/潤滑技術)をコア技術として、自動車メーカのニーズはもとより、環境、社会の動向を捉え、解決すべき課題を明確にしながら、自動車用各種すべり軸受や各種機能部品の研究開発を行っており、“動きを支える”機能部品の創造に努めております。
当連結会計年度の研究開発活動は、次世代軸受に向けた新技術・新材料の研究とその応用製品開発、ならびに高付加価値のコアコンポーネントの開発を重点に実施いたしました。
また、HV、PHV、FCV、EVの今後の増加に向け、大豊グループの保有技術を活かし、電動車両向け製品の開発に着手しております。材料技術、設計技術(潤滑、冷却)、生産技術(接合技術、ダイカスト技術)の深化で効率向上のためのシステム提案で、領域拡大に向け推進いたします。
セグメントの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
自動車部品関連事業
1)軸受製品
高性能エンジンに対応したエンジン用軸受、ブシュ、コンプレッサ用特殊軸受、各種軸受などを継続し開発してきました。特に、低燃費化のための摩擦低減を実現すべく様々な取組みを実施しております。
エンジン用軸受では、近年の環境対応型エンジンであるハイブリッドや、アイドリングストップのエンジンに当社の樹脂コーティング軸受が採用され、頻繁な起動停止に対応し、低燃費化に貢献しております。樹脂コーティングは、自動車エンジン用軸受として2001年に世界で初めて量産採用され、2015年からは海外拠点での生産も開始し、次世代樹脂コーティングの開発も進めております。
開発期間短縮・コスト削減の対応として、製品開発へMBD(モデルベース開発)の適用を進めています。開発初期段階においてモデルシミュレーションを行うことにより、周辺部品を含めた最適な仕様を短期間で提案しています。
2020年2月よりホームページにMBD事例を公開し、シミュレーションの受託解析も開始しました。
またエンジン用軸受の工法に関しては、新工法ラインとして”スマート軸受加工ライン”を開発し、従来ラインに比べ約1/3の省スペースとさらなる効率化を実現しました。このスマート軸受加工ラインはトヨタ自動車株式会社様より2018年度技術開発賞を受賞しております。
また、2012年に完全子会社化した中国で最大のアルミ軸受素材メーカ「常州恒業軸瓦材料有限公司」では、アルミ鋳造ラインを導入し、素材から加工までの完全一貫生産体制を構築しています。2018年からは中国にて一貫生産されたエンジン軸受がトヨタ自動車株式会社様の中国での生産拠点であるTFTE様およびGTE様へ納入開始されました。
これらの技術および生産の取り組みが認められ、国内外の自動車メーカへの納入も拡大し、グローバル展開を積極的に推進しております。
2)システム製品他
市場実績のある商用車向けの電子制御式EGRバルブをベースとした多段ターボチャージャ用切換えバルブを2016年に量産化しました。この技術を深化させ、高温の排ガス制御用バルブシステムとして市場拡大を行っています。
バキュームポンプは、高信頼性に加え、低コスト設計と部品共通化による良品廉価なシステムとして採用を拡大しております。2018年度は前年比約30%生産数が増加し、現在は国内2拠点、海外2拠点(タイ、北米)でグローバルに対応しております。
エンジン用バランスシャフトギヤについては、樹脂化し、2012年より量産を開始しました。日本ガスケット株式会社による抄造技術を活かした開発により、高強度と軽量・低騒音を高レベルで実現するFRP製品を開発し、新たなニーズに応えております。
3)ダイカスト製品
ダイカスト製品では、CAE(流動解析)解析を活用し金型冷却・湯流れの最適化検証を行い、薄肉鋳造および鋳造精度向上を実現し、高精度で、低コストな製品を提供し、顧客のニーズに応えております。
新たに、脱内燃機関を見据え、FCVやHVの製品にも領域を広げています。
4)ガスケット製品
エンジン用メタルヘッドガスケットについては、連結子会社の日本ガスケット株式会社によるCAE、ノウハウを活かした開発により、顧客と綿密な連携のもと、高機能化、低コスト化、短期間開発を推進しております。ダイハツ工業株式会社様へ納入しているKF型エンジン用のヘッドガスケットは、短期間での開発・生準を行い、同社より2019年度プロジェクト活動賞を受賞しました。
自動車製造用設備関連事業
当社連結子会社の大豊精機株式会社において、自動車製造用設備についての試験研究および開発を進めております。
足回りプレス金型のノウハウ活用に加えプレス残留応力の計測技術を確立し厚物超ハイテン材の世界最短工程での成形を実現したことにより、トヨタ自動車株式会社様より2019年度技術開発賞の表彰を受けております。
当社企業集団の研究開発費の総額は、3,558百万円であり、自動車部品関連事業の研究開発費の金額は3,387百万円、自動車製造用設備関連事業の研究開発費の金額は170百万円となっております。