有価証券報告書-第64期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/23 15:18
【資料】
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【項目】
56項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度の経済状況は、国内においては、消費者物価などの一部に改善の遅れが見られるものの、個人消費や設備投資は持ち直しの動きが見られるなど、緩やかな回復基調が続いております。一方、海外においては、米国の景気は、今後の政策の動向及び影響等が懸念されるものの、雇用環境の改善に伴う個人消費の増加を中心として回復が続いております。アジア諸国の景気は、中国では不動産価格や過剰債務問題を含む金融市場の動向等が懸念されるものの各種政策効果もあり、持ち直しの動きが見られております。インドでは内需を中心に緩やかに回復しているものの、このところ一部に弱めの動きもみられており、その他のアジア諸国においても、景気は持ち直しの動きが緩やかになっております。欧州主要国の景気は、地政学的リスク、政策に関する不確実性の影響等が懸念されるなか、一部に改善の遅れもみられるものの、緩やかに回復しております。
このような状況のもと、当社グループは、2020年Vision「卓越した技術と特長ある製品で真のワールドワイドプレイヤーになる」を設定し、2014年4月から2017年3月までの第12次中期を「育成の期」と位置付け、事業を推進してまいりました。研究開発におきましては、シミュレーション技術を活用した開発期間の短縮や高付加価値、かつコスト競争力のある技術・製品の開発に取り組んでまいりました。その結果、主力製品の樹脂製燃料タンクでは、樹脂製フィラーパイプや波消し板等、構成部品の自給化や現調化が拡大し、また、機能部品内蔵技術を用いた燃料タンクの量産を開始いたしました。またサンルーフでは、大開口のパノラマサンルーフの受注が拡大し、ラインナップ拡充の仕込みができました。生産におきましては、品質維持向上活動や生産効率向上活動を継続推進し、お客様に良いものをタイムリーに供給できる体制を更に強化してまいりました。樹脂製燃料タンクおよびサンルーフでは、多仕様化・高機能化を支える独自設備の開発を進め、自動車組立では、少量生産体質の構築に向けた取り組みを進めてまいりました。管理におきましては、業務プロセス改善活動をグローバルで展開し、設計から量産に至る開発・生産・管理の全部門で製品仕様、製造プロセス、生産管理等、あらゆる領域のロスを削減し、着実に改善効果を上げてまいりました。人材におきましては、中長期計画に基づいた能力向上プログラムを実践して一人ひとりのスキルを向上させ、その能力を最大限発揮できる適切な要員配置を進めてまいりました。
当連結会計年度の売上収益は、自動車部品における受注の増加はあったものの、熊本地震の影響による主要顧客の生産が休止したことなどに伴う自動車組立での受注の減少や為替換算上の影響などにより、1,473億6千万円と前年度に比べ24億5千7百万円、1.6%の減収となりました。利益につきましては、自動車部品における受注の増加や原価改善効果はあったものの、熊本地震の影響による受注の減少や為替換算上の影響などにより、営業利益は、100億1千1百万円と前年度に比べ17億5千5百万円、14.9%の減益となりました。税引前利益は、101億6千万円と前年度に比べ11億7千3百万円、10.3%の減益、当期利益は、68億8千4百万円と前年度に比べ7千2百万円、1.0%の減益となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(日本)
日本においては、熊本地震の影響による主要顧客の生産が休止したことなどに伴う自動車組立での受注の減少はあったものの、自動車部品における受注の増加などにより、売上収益は、332億4千9百万円と前年度に比べ15億3千1百万円、4.8%の増収となりました。税引前損失は、自動車部品における受注の増加はあったものの、自動車組立での受注の減少や自動車部品生産関連設備の一部を減損損失として売上原価に計上したことなどにより、6億3千万円と前年度に比べ10億4千8百万円の減益となりました。
(米州)
米州においては、連結子会社であるヤチヨ マニュファクチュアリング オブ アメリカ エル エル シー(米国)における受注の増加はあったものの、為替換算上の影響などにより、売上収益は、394億6千万円と前年度に比べ24億1千9百万円、5.8%の減収となりました。税引前利益は、受注の増加はあったものの、機種構成変化や為替換算上の影響などにより、20億3千3百万円と前年度に比べ2億4千5百万円、10.8%の減益となりました。
(中国)
中国においては、為替換算上の影響などはあったものの、連結子会社である八千代工業(武漢)有限公司(中国)及び八千代工業(中山)有限公司(中国)における受注の増加により、売上収益は、251億6千4百万円と前年度に比べ16億9千3百万円、7.2%の増収となりました。税引前利益は、受注の増加はあったものの、機種構成変化や償却費の増加、為替換算上の影響などにより、35億5千万円と前年度に比べ2億9千6百万円、7.7%の減益となりました。
(アジア)
アジアにおいては、連結子会社であるゴウシ タンロン オートパーツ カンパニー リミテッド(ベトナム)及びサイアム ヤチヨ カンパニー リミテッド(タイ)における受注の増加はあったものの、サイアム ゴウシ マニュファクチュアリング カンパニー リミテッド(タイ)における受注の減少や為替換算上の影響などにより、売上収益は、494億8千6百万円と前年度に比べ32億6千2百万円、6.2%の減収となりました。税引前利益は、為替換算上の影響はあったものの、受注の増加などにより、53億7千9百万円と前年度に比べ4億5千9百万円、9.3%の増益となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業債権及びその他の債権の増加額72億9千9百万円、有形固定資産の取得による支出55億7千万円、法人所得税の支払額34億6千6百万円などはあったものの、税引前利益101億6千万円、減価償却費及び償却費78億9千4百万円、短期借入金の純増額48億6百万円などにより、当連結会計年度末における資金残高は166億9千3百万円となり、前年度に比べ12億2千1百万円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの前年度に対する増減要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、税引前利益101億6千万円、減価償却費及び償却費78億9千4百万円などはあったものの、営業債権及びその他の債権の増加額72億9千9百万円、法人所得税の支払額34億6千6百万円などにより、前年度に比べ39億4千5百万円減少し、94億8千万円(前年度は134億2千5百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、有形固定資産の取得による支出55億7千万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出28億3百万円などにより、前年度に比べ35億4千3百万円増加し、91億6千3百万円(前年度は56億2千万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、配当金の支払額16億4千3百万円などはあったものの、短期借入金の純増加額48億6百万円などにより、前年度に比べ100億8千2百万円増加し、10億7百万円(前年度は90億7千5百万円の支出)となりました。
(3) IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
(有償支給取引)
当社グループは、得意先から部品を仕入、加工を行った上で加工費等を仕入価格に上乗せして加工品を当該得意先に対して販売する取引(以下「有償支給取引」という。)を行っております。日本基準では、有償支給取引に係る売上高と売上原価を連結損益計算書上、総額表示しております。IFRSでは、当該取引の加工費等を「売上収益」で純額表示しております。
この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて連結損益計算書の「売上収益」と「売上原価」が537億4千2百万円減少しております。
(研究開発費)
日本基準において費用処理している一部の開発費用について、IFRSにおいては資産計上要件を満たすことから、「無形資産」に計上しております。
この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて「研究開発費」が13億8千4百万円減少し、同額の「無形資産」が増加しております。
(退職給付に係る費用)
日本基準においては数理計算上の差異は発生時にその他の包括利益として認識し、一定年数にわたって償却することによって純損益への振替が行われております。IFRSでは数理計算上の差異は発生時にその他の包括利益として認識し、即時に「利益剰余金」に振り替えております。