有価証券報告書-第55期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/26 9:07
【資料】
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【項目】
124項目

事業等のリスク

当社グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 海外市場への事業展開について
当社グループは、日本、米国、韓国、中国、タイ、欧州に会社を設立してグローバルに事業展開を行っております。各国の市場において特徴があり、経済情勢、諸法令、慣行、慣例等により事業計画の大幅な変更や遅延が生じる可能性があります。
①韓国市場での事業展開について
当社は、昭和54年2月に韓国GMB工業株式会社(現GMB KOREA CORP.以下、韓国GMBという。)を設立し、その後当社が平成3年12月に81.7%出資・設立しておりました韓国ベアリング株式会社を、韓国GMBが吸収合併することで、当社の韓国GMBに対する持分比率が53.9%となりました。さらに平成20年6月の株式追加取得、平成24年11月の韓国証券取引所への株式上場と公募増資、平成25年8月の株式追加取得を経て持分比率は54.4%に至りました。今後も韓国の法規則・慣行等により、当社グループの事業計画に影響を受ける可能性があります。
また、韓国GMBは現代自動車グループへウォーターポンプ、バルブスプール等の自動車部品のOEM供給を行っており、現代自動車グループへの販売比率は平成29年3月期連結売上高に対して、34.5%となっております。現代自動車グループは近年海外生産・販売を拡大しており、当社グループにおいても、現代自動車の海外展開とともに、海外投資を検討する案件が増加してまいります。今後の現代自動車グループの事業動向により、業績に影響を受ける可能性があります。
②中国市場での事業展開について
中国では、青島吉明美机械制造有限公司、青島吉明美汽車配件有限公司、吉明美(杭州)汽配有限公司、吉明美汽配(南通)有限公司の4社を有しております。経済成長を続ける中国経済では、人件費の上昇などによる生産コストアップが懸念されています。さらに、外資企業に対する優遇税制の改正などの政策変更によって影響を受ける可能性もあります。そのような環境の中でも、自動車産業が発展中の中国で事業活動を維持・拡大することは、グループとしての事業拡大と価格競争力強化にとって効果のあるものと判断しておりますので、引き続き中国子会社の効率的運営と販売・調達先の開拓に取り組んでまいります。このような状況が進展した場合、当社グループの事業展開、業績に影響を受ける可能性があります。
③米国市場での事業展開について
米国には販売子会社GMB NORTH AMERICA INC.を有しており、重要な市場と位置付けております。近年、米国では中国製の自動車部品等が、低価格を武器とした価格引下げ競争を激化させており、低価格製品を大規模に供給できる業者による寡占化が進んでおります。当社グループとして、生産拠点を中国やタイへ移管したり、当社の品質基準を満たす製品・部品供給先を中国内に求めたりしながら、品質と価格の水準における最適なバランスを追及しつつ対応しておりますが、低価格競争の激化や寡占化が進む業界内の競合状況の進展により、今後の業績に影響を受ける可能性があります。
米国では、最終ユーザー自身で部品交換をするDIY方式が一般的であります。最終ユーザーが取り付けを円滑にできない場合、クレームと称し部品の返品をしてくる事態が多く発生いたします。米国では、大手小売業者においては一旦販売者が買取る慣行にあります。これに対応するため、製品の品質の向上に努めておりますが、大手小売業者との取引高が増加して返品数量が増加する場合には、業績に影響を受ける可能性があります。
④海外における生産体制について
当社グループの生産部門は、生産コストを低減できる国での製造及び技術・品質面で日本の技術指導に応えられる国での生産を前提にしております。そのため、韓国、中国、タイ、欧州に生産拠点の一部を移管してまいりました。今後、中国やタイでの生産移管を進めていく中で、当社及び韓国GMBからの十分な技術支援が出来ない場合や優秀な技術者が確保できない場合には、事業計画に影響を受ける可能性があります。
当社グループは一貫生産体制を原則としており、グループ内での生産によりコスト競争力と品質の均一化を図る方針であります。そのため海外子会社への支援・指導を強化しておりますが、機械故障などの不測の事態が発生した場合には生産遅延や納期遅延等により、業績に影響を受ける可能性があります。
一貫生産体制の原則を保つ一方で、コスト競争力に劣ると判断する場合には、当社グループ以外から一部の製品や部品を調達することも推進しており、当社グループが認める品質水準を維持できる海外調達先を開拓しつつあります。この計画の推進状況により、業績に影響を受ける可能性があります。
⑤海外での商標権の管理について
当社グループは特許権や商標権等の世界各国の知的財産権を当社で原則管理しており、40の国または地域において商標権の登録をしております。しかし、アジア地域などではGMBの偽ブランドの自動車部品等も出回っております。今後も商標権保護を積極的に実施してまいります。
⑥為替変動について
当社グループの平成29年3月期連結売上高に占める海外売上高の比率は89.7%となっております。当社におきましても、直接輸出による売上高は56.8%と高い比率であります。当社は、為替変動への対策として、円建て取引の増加、海外調達の拡大、生産の海外移転の推進や為替予約等により、総体的な為替リスクの軽減を図っておりますが、急激な為替変動により、業績に影響を受ける可能性があります。