有価証券報告書-第14期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/30 14:02
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【項目】
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業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度における世界経済は、米国では年度後半において新政権への期待から景気回復基調となり、欧州でも英国のEU離脱問題に伴う金融市場の一時的な混乱はあったものの穏やかな回復が持続しました。アジアでは、中国で不安定ながらも景気持ち直しの動きが見られ、東南アジア、インド等では内需を中心に底堅く推移しました。また、日本でも、景気はやや力強さを欠くものの緩やかな回復基調が持続しました。
自動車産業におきましては、米国では販売に落ち着きが見られるものの自動車生産は堅調に推移し、欧州でも自動車生産、販売とも好調を持続しました。また、中国でも小型車減税の効果が継続し、自動車生産、販売とも好調に推移しました。日本では軽自動車の販売は振るわなかったものの、年度後半になって普通車の販売台数が回復し、年間自動車生産台数は3年ぶりの増加となりました。一方、ロシア、ブラジル、タイなど新興国の一部では販売台数が若干減少しました。
このような環境下、当企業グループは、世界No.1の自動車安全システムメーカーを目指して、お客様のニーズや変化に対してグローバルに迅速かつ一貫した対応が出来る体制を構築してきました。品質面におきましては、今回の大規模な品質問題発生に対する改革への取り組みの一貫で、品質改革推進本部の活動として、①トップダウンで徹底するQuality意識向上、②ロバスト性、生産性を兼ね備えた設計力、③グローバル展開、④短期刈取りと中長期体制改革の4つの骨格に沿って、全社での品質意識の向上に取り組みながら、開発から設計、量産準備、調達、量産、納品までのビジネスプロセスそのものに対する改革に取り組んできました。生産面では、欧州でハンガリー工場(Takata Safety Systems Hungary Kft.)が本格稼動を開始しました。また、従来から取り組んでおります生産体制改革プロジェクト(Takata Production System)に関しましては、活動の軸足を日本からグローバルに展開し、日米欧アジア各拠点での活動を行っております。新製品・技術面では、近年、日本を含め世界中で大きく注目され、自動車メーカー他各種センサー部品メーカーが開発している自動運転技術の発展に伴い、当社も同システムに不可欠な運転支援技術を開発しております。通常走行時の脇見や居眠りなどを検知する「ドライバーモニタリングシステム」や、自動運転と運転者によるマニュアル運転相互の切り替えの際に運転者のステアリングホイール把持状態を検出する「ハンズオンホイール」、そして危険を察知して運転者に光で警報を発するイルミネーションもステアリングホイール上に埋め込み、進化したステアリングホイールパッケージを本年度夏の量産に向けて準備中です。未来の完全な自動運転の到来に至るまでの技術革新の中で、当社は安全で安心できる車社会の発展を支援するため、常に乗員を中心においた技術開発を進めております。
このような状況下、当企業グループの当連結会計年度の売上高は、米国及び欧州の子会社の一部を売却したこと、また前期比での円高が影響して、6,625億33百万円(前期比7.7%減)となりました。また、営業利益は、欧州、日本、アジアでは増益となったものの、米州での減益が影響して389億58百万円(前期比7.5%減)、経常利益は為替差益が寄与して429億99百万円(前期比22.1%増)となりました。しかしながら、特別損失として主に米国司法省との司法取引に関連する損失975億45百万円等を計上した結果、795億88百万円の親会社株主に帰属する当期純損失となりました(前期は130億75百万円の純損失)。
セグメント別の業績に関しましては、以下の通りであります。
① 日本
日本におきましては、軽自動車の販売不振は継続しましたが、乗用車の販売が回復したこともあり、当社の国内自動車メーカー向け販売は増加しました。また、グループ企業向け輸出も増加したことで、当社売上高は1,377億62百万円と前期比8.3%の増収になりました。営業利益はリコール対応関連費用の増加を、増収による増益及び経費削減でカバーし、61億26百万円と前期比17.9%の増益になりました。
② 米州
米州におきましては、自動車生産販売が米国では引き続き好調を維持、ブラジルでも年度後半は回復基調に転じました。しかしながら、当社では、米国の一部子会社売却に伴う減収、更に円高の影響もあり売上高は2,906億97百万円と前期比15.1%の減収になりました。また、営業利益は米国の一部子会社売却に伴う減益に加えて、リコール対応関連費用の増加で、111億16百万円と前期比36.4%の減益になりました。
③ 欧州
欧州におきましては、自動車生産が引き続き堅調に推移したこともあり、当社販売も現地通貨ベースでは前期比で増収となりましたが、円高の影響で当社売上高は1,736億40百万円と前期比5.5%の減収になりました。また、営業利益は主にロシアでの増益が貢献して、21億36百万円と前期比173.7%の増益になりました。
④ アジア
アジアにおきましては、主に中国、インドでの自動車生産が堅調に推移した結果、当社販売も現地通貨ベースで前期比増加基調で推移しましたが、円高の影響で当社売上高は1,813億12百万円と前期比0.04%の僅かな増収にとどまりました。一方、営業利益は中国での減益を、ASEAN各国、韓国、インドでの増益でカバーして196億62百万円と前期比1.8%の増益になりました。
(2)キャッシュ・フロー
当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前期末と比較して194億70百万円増加の770億83百万円となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、資金の増加は89億54百万円(前期は85億76百万円の増加)となりました。
これは主として、税金等調整前当期純損失の計上、関係会社株式売却益の計上、事業譲渡益の計上、売上債権の増加等の減少要因があった一方で、減価償却費を計上し、司法取引関連損失等の増加要因を計上していることなどによる影響であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、資金の増加は118億44百万円(前期は226億43百万円の減少)となりました。
これは主として、設備投資による支出があった一方で、連結の範囲の変更を伴う子会社株式売却による収入、事業譲渡による収入、投資有価証券売却による収入などがあったことによる影響であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、資金の減少は85百万円(前期は3億78百万円の減少)となりました。
これは主として、短期借入金の増加による収入があった一方で、長期借入の返済による支出があったことによるものです。