有価証券報告書-第156期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 16:16
【資料】
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【項目】
92項目
② 企業統治の体制の概要
a) 取締役会
ア) 取締役会の役割
取締役会は、法令及び定款に定められた事項、並びにニコングループの重要事項について意思決定し、取締役の業務執行の監督を行います。
当社では、経営陣への委任の範囲を明確化し、経営陣による迅速な意思決定と業務執行を可能とするため、取締役会付議・報告基準において、取締役会に付議すべき事項を具体的に定めます。例えば、経営の基本方針、中期経営計画、年度計画、内部統制システムの基本方針、一定の金額水準を超える投融資等の重要な業務執行の決定については、取締役会で行います。
イ) 取締役会の構成・規模
取締役会は、ニコングループの事業に関する深い知見を有する取締役、財務・会計、法令順守等に関する知識・経験を有する取締役に加え、取締役会の多様性も考慮したうえで、その実効性を確保するための適切な員数を維持し、全体としてバランスのとれた構成とします。また、取締役会の監督機能をより強化するため、独立性を有する社外取締役5名(うち3名は監査等委員)を選任しています。また、取締役会議長は、非業務執行取締役である取締役会長が務めています。
ウ) 取締役会の運営・情報入手・支援体制
当社は、取締役に対して、その役割及び責務を実効的に果たすことができるよう、適切かつ必要な情報提供に努めます。また、取締役会においては、建設的な議論や意見交換が可能となるよう、取締役会出席者への関連資料の事前配付、また、必要に応じて社外取締役への事前説明を実施します。
エ) 取締役会の実効性評価
取締役会は、毎年その実効性について分析・評価を行い、その評価結果の概要を開示するとともに、さらなる機能向上に向けた討議を実施します。
b) 監査等委員会
ア) 監査等委員会の役割
監査等委員会は、独立した機関として、監査等委員以外の取締役・執行役員の業務執行状況を監査・監督します。そのため、監査等委員は取締役会の他、経営委員会等の重要会議へ定期的に出席し、経営及び取締役に対する監査・監督を行います。
イ) 監査等委員会の構成・規模
監査等委員会は、定款に定める5名以内の範囲で、実効性の高い監査・監督の実現のための適切な員数を維持します。また、監査等委員には、適切な経験・能力及び財務・会計・法務に関する知識を有する者を選任し、特に、財務・会計に関する十分な知見を有する者を1名以上選任するとともに、監査体制の独立性及び中立性を一層高めるため、その過半数を、独立性を有する社外取締役で構成します。なお、委員長は、社外取締役である蛭田史郎が務めています。
c) 指名審議委員会
ア) 指名審議委員会の役割
指名審議委員会は、取締役会の任意の諮問機関として、取締役及び執行役員の選解任の決定が透明性・客観性をもってなされることを目的に、社長執行役員・取締役の選解任基準の策定及び候補者の指名、取締役会の構成の検討、執行役員人事の監督等を行います。
イ) 指名審議委員会の構成・規模
適切な監督を実施するという観点から、委員の過半数を社外取締役とするとともに、委員長も社外取締役とします。
具体的には、取締役会長である牛田一雄、代表取締役兼社長執行役員である馬立稔和、社外取締役である根岸秋男、石原邦夫及び蛭田史郎の5名で構成し、委員長は、社外取締役である石原邦夫が務めています。
d) 報酬審議委員会
ア) 報酬審議委員会の役割
報酬審議委員会は、取締役会の任意の諮問機関として、役員報酬が透明性・客観性及び業績との連動性をもって定められることを目的とし、役員報酬の方針及び関連諸制度の審議、提言を行います。
イ) 報酬審議委員会の構成・規模
適切な監督を実施するという観点から、委員の過半数を社外取締役及び社外有識者とするとともに、委員長も社外取締役とします。
具体的には、取締役会長である牛田一雄、代表取締役兼社長執行役員である馬立稔和、社外取締役である根岸秋男、村山滋及び社外有識者であるペイ・ガバナンス日本株式会社 代表取締役 阿部直彦の計5名で構成し、委員長は、社外取締役である根岸秋男が務めています。
なお、当社のコーポレート・ガバナンス体制の模式図は次のとおりです。


③ 企業統治に関するその他の事項
a) 内部統制の状況
内部統制システムの整備の状況、リスク管理体制の整備の状況、子会社の業務の適正を確保するための体制整備の状況につきましては、以下のとおりです。
ア) グループの取締役等及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
ⅰ グループの社会的責任に対する基本姿勢及びグループの役職員が法令や社内規則に従い高い倫理観をもって良識ある行動をとるための基準を示した「ニコン行動規範」を制定し、企業倫理意識の浸透・定着を図ります。
ⅱ 社会的責任経営を重視して、CSR意識の涵養、教育・啓発、活動監視を目的とした「CSR委員会」を設置し、その傘下において「企業倫理委員会」が、企業行動の遵法性、公正性、健全性を確保するための活動を定常的に行います。
なお、「ニコン環境長期ビジョン」を掲げ、健全な環境を次世代に引き継ぎ、社会の持続的発展を可能にするため、「環境委員会」が、事業活動による環境負荷や気候関連リスクをはじめとする環境リスクを的確に把握し、環境に関する取り組みの目標と進捗状況をモニタリングし、環境保全活動を進めます。各委員会で扱われた内容は取締役会に報告され、取締役会は経営の視点からCSRに関わる取り組みの有効性を監督します。
ⅲ 反社会的勢力の排除に関しては、その基本的な考え方を「ニコン行動規範」において規定し、さらに、弁護士や警察等と連携し、組織的に対応する体制を構築します。
ⅳ グループの財務報告の信頼性を確保するため、「財務報告に係る内部統制に関する基本方針」を定めるとともに、必要な体制の整備・改善に努めます。
ⅴ グループの業務遂行が、法令、社内規則等に則って適正に行われていることを監査するとともに、必要に応じて改善のための提言を行うため、各業務執行部門から独立した内部監査部門として経営監査部を設置し、内部監査を行います。
ⅵ 社会規範、企業倫理に反する行為を防止・是正し、グループのコンプライアンスを徹底するために、「倫理ホットライン」などの報告相談窓口を設置し、運用します。
イ) グループの取締役等の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
ⅰ 当社及び国内子会社においては、執行役員制度により業務執行における権限と責任を明確化し、迅速な意思決定と業務執行の効率化を図ります。
ⅱ 組織的かつ効率的な業務遂行のために、グループにおいて各組織並びに役職位の責任と権限の体系を明確にした権限規程を制定し、運用します。
ⅲ 当社の取締役がグループの意思決定及び業務執行を効率的に行うことを目的として、「経営委員会」、各種委員会等の会議体を設置し、運用します。この内、「経営委員会」は、常勤取締役等から構成され、取締役会の決定した経営基本方針に基づき、全般的な業務執行方針、会社全般の内部統制に関する事項並びに経営に関する重要事項について審議・決定するとともに、各部署より重要事項の報告を受けております。
ⅳ 企業理念である「信頼と創造」の下、グループの経営目標を中期経営計画及び年度計画の中で定め、施策として展開・具体化します。年度計画目標の達成に向けては、事業部制によって事業運営を行い、事業上の課題及び対応を検討する会議を定期的に開催します。また、「業績評価制度」に基づいて年度計画目標の達成度を評価・確認します。
ウ) 当社の取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
ⅰ 当社の取締役の職務執行に係る決議・決裁・報告の内容は、「取締役会規則」「経営委員会規則」「ニコングループ情報管理規程」において定められた保存期間・書類にて保存します。また、必要に応じ取締役、会計監査人が閲覧可能な状態で管理する体制を整備します。
ⅱ 情報の保護については、情報セキュリティ推進部が、グループ全体の情報管理を一元的に統括するなど体制の整備・強化に努めます。また、グループ共通の規程を整備し、機密区分・重要度に応じた閲覧権者の明確化、パスワード管理、情報の漏洩・改ざん・破壊防止の措置等について役職員に対し周知・徹底を図ります。
エ) グループの損失の危険の管理に関する規程その他の体制
ⅰ 企業経営・事業継続に重大な影響を及ぼすリスクの識別・評価・管理が重要な課題であるとの認識の下、「リスク管理委員会」を設置するとともに、「CSR委員会」、「企業倫理委員会」、「環境委員会」、「輸出審査委員会」、「品質委員会」等の委員会にて専門的知見からリスクを把握し、各リスクに対する規程等の整備及び遵守徹底を図ることで、グループを取り巻くリスクを適切に管理する体制の整備に努めます。
ⅱ 経営監査部は、上記の各委員会によるリスクの管理状況について、監査、有効性の評価を行い、必要に応じ代表取締役を通じて取締役会に報告し、取締役会は改善策が講じられる体制を整備します。
オ) 子会社の取締役等の職務の執行に係る事項の当社への報告に関する体制
子会社の重要な事項については、「子会社等に関する決裁・報告規程」により当社への報告、当社での決裁等がなされる体制を整備します。
カ) 当社の監査等委員会の職務を補助すべき使用人に関する事項、当該使用人の取締役(監査等委員である取締役を除く)からの独立性に関する事項及び監査等委員会の当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項
ⅰ 監査等委員会運営を効率的に行い、監査等委員会監査の実効性を高めることを目的として、当社監査等委員会の指揮命令に従って監査等委員会の職務を補助する当社の使用人若干名を、専任の監査等委員会スタッフとして従事させます。
ⅱ 監査等委員会スタッフに対する指揮命令、人事異動及び人事考課については、業務執行者からの独立性を確保します。
キ) グループの取締役等が当社の監査等委員会に報告をするための体制その他の当社の監査等委員会への報告に関する体制及び当該報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
ⅰ 当社の監査等委員は、重要な会議に出席し、グループの経営状態・意思決定プロセスについて常に把握する機会を確保します。
ⅱ 当社の監査等委員会に対しては、会社に著しい損害を及ぼすおそれがある事実、コンプライアンスに関する報告相談窓口に寄せられた情報、予め取締役と協議して定めた監査等委員会に対する報告事項等について、適切かつ有効に報告がなされる体制を整備します。
ⅲ 当社の監査等委員会に対しては、経営監査部より、内部監査に関わる状況とその監査結果の報告を行い、当社の監査等委員会は必要に応じて経営監査部に調査を求めるなど、緊密な連携を保ちます。
ⅳ 報告相談窓口である「倫理ホットライン」に報告した者への報復行為を禁ずる規定を「倫理ホットライン運用規程」に置くなど、当社の監査等委員会への報告を理由とする不利な取扱いがなされないことを確保します。
ク) 当社の監査等委員の職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項
当社の監査等委員の職務に係わる費用については、監査等委員会からの申請に基づき一定の年間予算を設け、必要な費用は予算を超過する場合であっても法令に則り当社が支払います。さらに、必要に応じて外部の専門家を起用するために要する費用についても、当社が支払います。
ケ) その他当社の監査等委員会の監査が実効的に行われることを確保するための体制
ⅰ 当社の監査等委員会の執行部門からの独立を確保するとともに、当社の監査等委員は代表取締役と定期的に会合を持ち、会社が対処すべき課題、監査上の重要課題等について意見を交換し、必要と判断される要請を行います。
ⅱ 当社の監査等委員会は、会計監査人と定期的に会合を持ち、積極的な意見交換・情報交換を行います。
b) その他
ア)当社は、会社法第427条第1項に基づき、非業務執行取締役との間で、会社法第423条第1項に定める取締役の責任について、損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく損害賠償責任限度額は、法令が定める額としています。また、当社は、会社法第426条第1項の規定により、任務を怠ったことによる取締役(取締役であった者を含む。)の損害賠償責任を、法令の限度において、取締役会の決議によって免除することができる旨を定款に定めています。これは、取締役が職務遂行にあたり期待される役割を十分に発揮できるようにするためです。
イ)当社の監査等委員以外の取締役は15名以内とする旨、また、監査等委員である取締役は5名以内とする旨、取締役の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもってこれを行う旨、また、累積投票によらない旨、定款に定めています。
ウ)当社は、機動的に自己株式の取得が行えるようにするため、会社法第165条第2項の規定に基づき、取締役会の決議により自己株式が取得できる旨、定款に定めています。
エ)当社は、株主へ安定的に利益還元を行うため、会社法第454条第5項に定める剰余金の配当(中間配当)を行うことができる旨、定款に定めています。
オ)当社は、株主総会における特別決議の定足数を緩和することにより、株主総会の円滑な運営が行えるようにするため、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議要件について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上の多数をもって行う旨、定款に定めています。