有価証券報告書-第149期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/28 15:41
【資料】
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【項目】
137項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1) 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、連結会計年度末における資産・負債および収益・費用の計上、偶発債務の開示に関連して、種々の見積りを行っています。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループは、重要な会計方針の適用において以下のとおり見積りを行っています。
① 貸倒引当金
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失及び特定の未収債権の貸倒損失の見積り額について、貸倒引当金を計上しています。顧客の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性がありますが、重要な顧客に対する債権について、早期回収のための取組みを行っています。
② 製品保証引当金
当社グループは、収入を認識する時点で、アフターサービス費用の見積額を計上しています。広範囲にわたる品質管理プログラムを実施していますが、当グループの製品保証債務は、製品不良率および製品不良を修理する際に発生する修理コストの影響を受けます。アフターサービス費用の見積りは、過去の実績に基づいていますが、実際の製品不良率またはコストが見積りと異なる場合、適宜アフターサービス費用の見積額の見直しを実施しています。
③ 訴訟損失引当金
当社グループは、訴訟の進行状況等に鑑み、訴訟等に係る損失に備えるため、必要と認められる金額を合理的に見積り、損失負担見込額を計上しています。実際の訴訟の進行状況等が見積りと異なる場合、適宜損失負担見込額の見直しを実施しています。
④ たな卸資産
当社グループは、市場価格を基に算定した時価の見積額が、たな卸資産の取得価額を下回った場合、その差額を評価減として計上しています。実際の販売価格の推移が見積りと異なる場合、適宜評価減の見積額の見直しを実施しています。
⑤ 投資有価証券
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の取引先および金融機関に対する少数持分を投資有価証券として所有しています。これらの株式には価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式が含まれています。当社グループは投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、投資の減損を計上しています。公開会社の株式への投資については、時価が取得原価に対して50%以上下落したもの、および30%以上50%未満下落したもののうち回復可能性が乏しいと総合的に判断した場合、また非公開会社への投資については、それらの会社の実質価額が50%超下落し、下落が一時的でないと判断した場合、それぞれ減損を計上しています。将来の市況悪化または投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
⑥ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の課税所得および、慎重かつ実現可能性の高い継続的な税務計画により、回収可能性を検討した上で、繰延税金資産の全部または一部について回収可能性がないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を税金費用として計上します。同様に、計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後実現できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。
⑦ 退職給付費用
退職給付費用および退職給付債務は、数理計算において想定される前提条件に基づいて算出されています。具体的には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づく死亡率および年金資産の長期期待運用収益率などがその前提条件となります。これらの前提条件の内、特に割引率と長期期待運用収益率については、それらが変動することにより退職給付費用や退職給付債務の額に大きな影響を与えます。親会社および国内子会社の退職給付制度では、従業員の平均残存勤務期間に近似する残存期間を持つ優良社債の期末時点の利回りを用いて割引率を算出しています。長期期待運用収益率は、年金資産の種類毎の長期期待運用収益率を加重平均することで計算されます。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は「未認識数理計算上の差異の費用処理額」として将来にわたり規則的に費用認識されるため、将来に計上される退職給付費用に影響を及ぼします。例えば、退職給付債務の算出基礎となる割引率が低下した場合、あるいは年金資産の運用利回りが長期期待運用収益率に満たない場合などには、当社グループの将来の退職給付費用は増加することになります。
⑧ デリバティブ
当社グループは、デリバティブ取引の時価の算定方法として、為替予約取引については先物為替相場に基づいて算出し、通貨オプション取引については通貨オプション契約を締結している金融機関から提示された価格に基づき算定しています。なお、当社グループはヘッジ会計の方法として繰延ヘッジ処理を採用しています。また為替予約が付されている外貨建金銭債権債務については振当処理を行い、金利スワップについては、特例処理の要件を満たしているものについては、特例処理を採用しています。外貨建金銭債権債務の予定取引、借入金をヘッジ対象に、為替予約取引、金利スワップ取引、通貨オプション取引、通貨スワップ取引をヘッジ手段として利用した上で、ヘッジ対象の相場変動、キャッシュ・フローとヘッジ手段の間に高い相関関係があることを確認し、有効性の評価としています。
⑨ 固定資産の減価償却
固定資産の償却は主として経済的耐用年数の予測に基づいて決定した所定の耐用年数によって行っています。
⑩ 固定資産(のれんを含む)の減損
事業資産については、主としてセグメントの区分ごと、処分予定資産においては廃棄・売却等により処分が予定されている資産ごと、遊休資産については個別単位に資産をグルーピングしています。事業資産については、経営環境の変化により将来キャッシュ・フローの見積期間にわたって回収可能性が認められなくなった場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額しています。なお、回収可能価額は、使用価値と正味売却価額のいずれか高い金額とし、不動産鑑定評価等に基づく正味売却価額、または、将来キャッシュ・フローに基づく使用価値として測定しています。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
「1 [業績等の概要] (1) 業績」に記載のとおりです。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「4 [事業等のリスク]」に記載のとおりです。
(4) 資本の財源および資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
「1 [業績等の概要] (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
② 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料および部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費および広告・販売促進費等のマーケティング費用です。当社グループの研究開発費は様々な営業費用の一部として計上されていますが、研究開発に携わる従業員の人件費が研究開発費の主要な部分を占めています。
③ 契約債務
当社グループの平成29年3月31日現在の契約債務の概要は下記の通りです。
(単位:百万円)

契約債務返済期限
合計1年以内1年超
2年以内
2年超
3年以内
3年超
4年以内
4年超
5年以内
5年超
短期借入金2,4092,409-----
長期借入金258,94866,44364,43159,21911,21926,21931,417
社債25,000-25,000----

契約債務返済期限
合計1年以内1年超
ファイナンス・リース9,4543,4486,006
オペレーティング・リース9,9522,6327,320

④ 財務政策
当社グループは現在、運転資金および設備等投資資金については、内部資金、借入または社債により資金を調達しています。このうち、運転資金の借入については期限が一年以内の短期借入金で、各々の連結会社が運転資金として使用する現地通貨で調達することが一般的です。平成29年3月31日現在、短期借入金の残高は24億9百万円で、3種類の通貨の銀行借入金から成っており、うち主な通貨は米ドルです。これに対して、設備等の投資に用いる長期資金は、原則として固定金利の長期借入金または社債で調達しています。平成29年3月31日現在、長期借入金の残高は2,589億48百万円(1年以内返済予定分を含む)、社債の残高は250億円(1年以内返済予定分を含む)で、大部分は固定金利での調達です。
当社グループは、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出し、契約債務を十分に完済できるとともに、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金および設備等投資資金を調達することが可能と考えています。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。