有価証券報告書-第118期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/27 16:48
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研究開発活動

当社グループ(当社及び連結子会社)は、世の中の役に立つ新しい価値を生み出し、提供しつづけることで、人々の生活の向上と持続可能な社会づくりに積極的に貢献することを基本理念としております。
この理念に基づき、当社グループは、第19次中期経営計画(2017年4月-2020年3月:以下、19次中計)において「リコー再起動」を掲げ、「構造改革」「強みを軸とした成長事業の重点化」「経営システムの強化」を柱とし、研究開発活動を推進しております。
「強みを軸とした成長事業の重点化」では、自社の強みを再定義し、絞り込んだ上で、その強みに立脚した成長を目指します。
オフィス市場においては、全世界に広がるお客様との関係性を深め、これまでの当社グループの基盤事業としてきたプリンティング領域に加えて、お客様のワークフロー改善、業務生産性向上を実現する会議支援システムなど、新たなサービスを提供していきます。人々の働き方をよりスマートにするため、マシンビジョンなどによる入力、AIによる分析、デバイスへの表示や制御などを組み合わせ、お客様の働く場の変革や社会課題の解決に貢献する製品や技術を生み出していきます。
長年培ったプリンティング技術は、商用印刷、産業用印刷からヘルスケアなどに領域を拡げています。紙への印刷にとどまらず、さまざまな材料のインクを打てるインクジェットヘッドにより、立体的な印刷なども可能にする「表示する印刷」や、電子回路や生体への利用など「機能する印刷」への応用を進めています。
当社グループでは、日本、米国、インド、中国に研究開発拠点を設け、グローバルに拠点間の連携を深めながらそれぞれの地域特性を活かした市場ニーズの調査・探索、研究・技術開発を行っています。また、世界各地にテクノロジーセンターやカスタマーエクスペリエンスセンターを開設し、お客様のサポートを通じて直接把握したニーズを製品開発へフィードバックする仕組みにより、お客様と一体となった価値共創活動を展開しています。
当社グループは、社会的課題の解決に迅速に貢献するために、大学・研究機関、企業の力を活用するオープンイノベーションを推進し、最先端技術の開発を効率的に進めています。インクジェット技術やマシンビジョン、画像処理技術などのコア技術を応用して、国が支援する最先端研究開発支援プログラムや大学・各種独立行政法人との共同研究開発へも積極的に参画しています。また、ベンチャー企業ともより良い関係を構築し、新規事業創出の加速を図っています。
今後も、長年の製品開発で培ってきた画像処理、光学、材料・デバイス、環境、ネットワーク、ソフトウェアなどのコア技術を新たなアイデアと融合させ、イノベーティブな技術開発に積極的に取り組み、お客様に感動していただけるような革新的な商品・サービスの実現を目指していきます。
IFRSの適用に伴い、当社グループでは開発投資の一部について資産化を行い、無形資産に計上しております。無形資産に計上された開発費(17,026百万円)を含む当連結会計年度の研究開発投資は111,015百万円です。
(1) オフィスプリンティング分野
昨今のクラウドサービス市場拡大に伴い、時間や場所の制約を受けずに働く環境が整備されてきており、さまざまな業務の効率化が進んでいます。こうした課題解決ニーズの高まりを受け、複合機(MFP)においても、多様なニーズに対応する機器を開発すると共に、開発パートナーと連携したクラウドソリューションの展開を加速しています。
一般のオフィス向け複合機(MFP)やプリンターの電子写真技術、サプライ技術、光学設計技術、画像処理技術、次世代作像エンジン要素技術、最先端ソフトウェア技術、オフィスソリューションを支えるアプリケーション技術の開発、環境負荷低減に向けた3R(リデュース、リユース、リサイクル)設計・技術開発を行っております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
・カラー再生複合機「RICOH MP C4503RC SPF/C3003RC SPF」
~環境負荷低減に加え、高生産性と使いやすさを同時に実現~
<新製品RICOH MP C4503RC SPF/C3003RC SPF の主な特徴>先進のリサイクル技術の導入により、環境負荷を低減すると共に、輸送にもリユース可能な循環型エコ包装を使用しています。環境に配慮した設計により、各種基準をクリアし、使いやすさと省エネ・低コストを両立しました。高い生産性を発揮し、省スペースと静音性を実現しています。高画質と幅広い用紙対応力により、高品質なドキュメント出力を実現します。
・A3サイズの送受信が可能なファクス「RICOH FAX 5520」を発売
~快適な操作性と高い情報セキュリティ機能を両立~
<新製品 RICOH FAX 5520 の主な特徴>使いやすさを追求し優れた操作性を実現
安心してお使いいただける高度なセキュリティ機能を搭載
ネットワークを活用した多彩な機能でコスト削減に貢献
汎用性の高い機能を備えオフィスの業務を快適にサポート
・A3モノクロプリンターのフラグシップモデル「RICOH SP 8400シリーズ」を発売
~生産性と操作性を向上し、オフィスの業務効率改善に貢献~
<新製品 RICOH SP 8400 シリーズ の主な特徴>大量出力業務に応える高速・高耐久を実現
使いやすさを追求し優れた操作性を実現
充実の後処理機能を備えた豊富なオプションを新たに用意
業務効率の向上に貢献する幅広い用紙対応力
優れた環境性能により、オフィスの省エネ・低コストに貢献
さまざまなドキュメント出力シーンに対応
・A4 カラーレーザープリンター/複合機「RICOH SP C261/C260Lシリーズ」を発売
~モバイル機器からの印刷ニーズに対応し、操作性も向上~
<カラーレーザープリンター「RICOH SP C261/C260L」の主な特徴>コンパクトボディながら高い生産性を実現
モバイル機器からの幅広い印刷手段に対応
オフィスの低ランニングコストに貢献
優れた環境性能により、環境負荷低減に寄与
<カラーレーザー複合機「RICOH SP C261SF/C260SFL」の主な特徴>4つの機能をコンパクトボディに搭載
使用する人のことを配慮した操作性を実現
コスト削減とセキュリティ向上に貢献するファクス機能を搭載
・A4モノクロプリンター/複合機「RICOH SP 2200Lシリーズ」を発売
~耐久性を向上し、モバイル機器からの印刷に幅広く対応~
<新製品 RICOH SP 2200L シリーズ の主な特徴>高い生産性と耐久性を実現
モバイル機器からの各種印刷手段に幅広く対応
本体もトナー単価も低コストを実現
コンパクト&スタイリッシュなデザイン
4つの機能を1台に集約(RICOH SP 2200SFL)
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は45,484百万円です。
(2) オフィスサービス分野
オフィスでのコミュニケーションや働き方が変わりつつある中、当社は、時間や場所にとらわれないコミュニケーションを通してコラボレーションを促進する、ビジュアルコミュニケーション製品をお客様に提供しています。
テレビ会議・Web会議システム、インタラクティブ ホワイトボード(IWB)、プロジェクター等の機器と、それらの機器を活用した仕事の効率化についてのノウハウやソリューションなどのサービスを提供し、働く環境を当社グループがトータルにサポートすることで、お客様の生産性向上に寄与する価値提供を目指します。
そのために、ビジュアルコミュニケーション関連の技術開発、ITサービス/アプリケーションサービス及び、それらのサービスを支えるクラウドプラットフォームの開発を行っております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
・ハイエンドプロジェクター「RICOH PJ WU6480/X6480」を発売
~2灯式ランプの採用により高輝度・高信頼性を実現~
ハイエンドモデルのプロジェクターの新製品として、「RICOH PJ WU6480/X6480」の2機種を発売しました。
・「RICOH Unified Communication System Advanced」を発売
~異なる機器や環境でも接続できるテレビ会議システムをご提供~
テレビ会議システム「RICOH Unified Communication System(以下、RICOH UCS)」の新製品として、異なる機器や環境でも接続できる仮想会議室タイプの「RICOH Unified Communication System Advanced」を発売しました。
・スタンダードモデルのプロジェクター5機種10モデルを発売
~入力インターフェースの強化に加え、本体設置の自由度が向上~
スタンダードモデルのプロジェクターの新製品として、高輝度タイプの「RICOH PJ WX5770/X5770」シリーズと、中輝度タイプの「RICOH PJ HD5451/WX5461/X5461」シリーズ、合計5機種10モデルを発売しました。
・エントリーモデルのプロジェクター3機種を発売
~入力インターフェースを強化し、多様化するお客様の働き方に対応~
エントリーモデルのプロジェクターの新製品として、「RICOH PJ WX2440/X2440/S2440」の3機種を発売しました。エントリーモデルは、充実した基本機能の搭載に加えて、扱いやすさを重視して設計しており、快適な操作性を実現したシリーズです。
・「RICOH Interactive Whiteboard」の新製品2機種を発売
~シリーズ全機種統一オペレーションで、お客様の用途に合わせて更に選びやすく~
「映す・書く・共有する」でコラボレーションを促進するRICOH Interactive Whiteboardシリーズの新製品として、画面サイズが65インチの「RICOH Interactive Whiteboard D6510」と、55インチの「RICOH Interactive Whiteboard D5520」の2機種を発売しました。
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は4,944百万円です。
(3) 商用印刷分野
当社グループは印刷業のお客様に向けて、性能面・価格面に強みをもつ商品とワークフローソリューションを組み合わせた提案を行い、「Offset to Digital」を実現するとともに、大手商用印刷のお客様の新規獲得を目指します。
商用印刷分野における電子写真技術、サプライ技術、光学設計技術、画像処理技術、インクジェット技術、次世代作像エンジン要素技術、最先端ソフトウェア技術、プロダクションプリンティングワークフローを支えるアプリケーション技術の開発を行っております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
・カラープロダクションプリンターの新製品として「RICOH Pro C7210S/C7200S」を発売
2014年12月に発売した「RICOH Pro C7110S/C7110/C7100S」の後継機で、さらなる高生産性と高画質を実現し、基本性能が向上しています。また、前身機でご好評をいただいているスペシャルカラートナー(ホワイト、クリア、ネオンイエロー、ネオンピンク)にも引き続き対応し、プロセスカラー(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)と組み合わせて様々な用紙に印刷することで、豊かで鮮やかな表現が可能になります。さらに、当社の新技術IQCT*を搭載することで、従来は高度なスキルを持ったオペレーターが行っていた色味調整(キャリブレーション)や画像位置調整の作業を自動化しました。これにより、印刷オペレーションの省力化と印刷品質の安定化を両立することが可能になります。
※Inline Quality Control Technology
印刷前や印刷中の調整を自動化することで、安定して高品質な印刷物を提供する技術
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は32,418百万円です。
(4) 産業印刷分野
産業用インクジェットヘッドに対するニーズは多様化しています。製品や用途開発が積極的に進んでおり、今後の成長が有望視されている分野です。
プリンティング技術の可能性を拡げる分野として今後成長が見込まれるのが、作像システム・産業プリンター事業です。プロセスのデジタル化によって、少量・多品種・低コストでのオンデマンド印刷が可能となります。
また、多様なニーズの中から特に成長しているセグメントに対して、積極的に商品を投入しています。特に、服飾や布地などに直接印刷するDirect to Garment(DTG)は今後の大きな市場成長が予測されており、事業の拡大を目指しています。
産業印刷分野におけるインクジェットヘッド、作像システム、産業プリンターの技術開発を行っております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
・産業用インクジェットヘッド「RICOH MH5421F」と「RICOH MH5421MF」の2製品を新たに開発
当社独自のインク循環構造により、ノズル近傍までインクを常時循環させることで、ノズルの乾燥やインク粒子の沈降などを防ぎ、高い吐出安定性を実現します。また、対応するインクの粘度の違いにより、「RICOH MH5421F」と「RICOH MH5421MF」の2製品からお選びいただくことができます。
さらに、両製品とも当社独自のステンレス接合技術により幅広い種類のインクに対応し、システムの信頼性向上を実現します。
・テキスタイル(布地)印刷用途向けに、Tシャツなどの服飾品生地(ガーメント)に直接印刷するDTGプリンターの戦略商品「RICOH Ri 100」を新たに投入
高画質と滑らかな肌触りを両立した高品質な仕上がりと、プリンターと仕上機を一体化して設置できるコンパクト設計を実現しました。また、新規カセット式Tシャツホルダーの採用による簡単操作を実現しており、手軽かつ安全に衣類への直接印刷を可能にしています。2017年夏からアジア・中国地域で先行発売し、2017年秋から日本でも発売して、順次グローバルに展開してまいります。
・自社のインクジェット技術を活用したリコー初の産業印刷向け大判UVフラットベッドインクジェットプリンタ「RICOH Pro T7210」を開発
当社が40年以上取り組んできた独自のインクジェット技術を結集。12個のインクジェットヘッドを3列の千鳥状に配置することで、4色印刷時に最大100m²/hの高い生産性を実現しました。5色、6色印刷でも高速印刷が可能です。当社独自のUVインクを使用しており、アクリルやガラス、木材、アルミ、鋼板など、さまざまな基材に高い密着性(基材に対して形成した絵柄などが剥がれてこないという性質)を実現しています。
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は7,887百万円です。
(5) サーマル分野
世界で圧倒的なシェアを占める高付加価値サーマルペーパー(感熱紙)をはじめ、高い品質の製品・サービスを提供し、さらなるお客様の信頼獲得を目指します。
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は1,583百万円です。
(6) その他分野
産業向けシステム・光学機器・電装ユニット・半導体・デジタルカメラ・産業用カメラ・3Dプリント・環境・ヘルスケア等に関わる当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
■産業向けシステム、産業用カメラ分野
自動車業界を含む産業機器分野で、これまでに培った技術の強みを活かしながら事業を展開し、パートナー様と共に社会課題の解決に努めています。
・IoT技術やビッグデータ活用、保守サービスのノウハウを提供することで、産業機器を製造しているお客様のビジネスを支援する「RICOH Open Remote Services」を開始
当社グループの培ったサービス・サポートなどの社内実践モデルを「リモート監視サービス」としてご提供することにより、機器状態の可視化や新たなビジネスモデルの構築にお役立ちします。
機器製造業に当社グループの様々な強みを組み合わせ、機器のリモート監視、ログデータ活用、保守サービスなど、お客様の新たな事業展開に貢献します。
・作業支援カメラシステム「RICOH SC-10シリーズ」に新機能を追加
~似たような色の部品でも質感の違いにより識別が可能に~
「RICOH SC-10シリーズ」は、手作業による部品などの組み立て作業が正しく行われているかどうかを判定するシステムです。画像認識技術の活用による自動チェックにより作業ミスを防ぐことが可能となり、さまざまな作業現場でご好評をいただいています。
今回新たに、質感チェック機能を搭載し、色の違いの識別だけではなく、質感の違いも識別できるようになりました。また、個別のセンサー制御機能の追加によるさまざまな撮影条件への対応や、外部機器との連携を容易にしたワンショット出力への対応、効率的な作業を可能にする作業計画機能への対応などを実現しています。
・世界最小*の車載用ステレオカメラを開発、量産開始
当社グループは、ADAS(Advanced Driver Assistance System:先進運転支援システム)のニーズが急速に拡大する自動車業界向けに、世界最小の車載用ステレオカメラを株式会社デンソーと共同開発し量産を開始しました。
2つのカメラを用いて視差画像を生成し距離測定を行なうステレオカメラは、距離測定の正確性に優れているものの筐体サイズが大きくなるため、自動車への搭載には小型化の課題がありました。今回、当社グループ独自の光学設計技術、各種キャリブレーション技術、リアルタイム視差補正技術などの活用により、世界最小(左右カメラの間隔80mm)の車載用ステレオカメラの開発に成功し、量産を開始しました。
*2017年4月時点、当社調べ
■ヘルスケア分野
2016年に、高齢化社会への対応、医療費削減、地域間の医療水準格差解消などが求められるヘルスケア分野に本格的に事業参入し、「ヘルスケアソリューション」「メディカルイメージング」「バイオメディカル」の3つを重点領域と定めて事業拡大を目指しています。
・ミネベアミツミ株式会社と共同で介護市場向けベッドセンサーシステムの事業開発を開始
ミネベアミツミ株式会社と当社は、生体情報をモニタリングするベッドセンサーシステムを事業化するため、共同事業開発契約を締結しました。ミネベアミツミ株式会社のセンサーモジュール技術と、当社グループのシステム化技術、製造、販売、及び保守サポート等のノウハウを連携させることで、付加価値の高いベッドセンサーシステム及び情報サービスを提供します。
・脳磁計の新製品「RICOH MEG」を米国で発売
当社は2014年から生体磁気計測装置の技術開発に取り組んでおり、2016年4月には横河電機株式会社から生体磁気計測装置の一種である脳磁計の事業を継承しました。新製品「RICOH MEG」は、横河電機株式会社が長年培ってきた脳深部計測や高周波計測などのセンシング技術と、当社が基盤事業で培った画像技術・システム設計力をはじめ、生産ノウハウなどを組み合わせて新たに開発したものです。
■環境分野
1990年代から取り組んできた環境経営の考え方をさらに進化させ、「お客様と共に進化する環境経営」を目指しています。2016年、御殿場に環境を基軸とした新規事業の創出・拡大を目的に設立した「リコー環境事業開発センター」を開所し、環境技術の実証実験の場として技術開発を行っております。
・三重県多気郡多気町やアクアイグニスと、木質バイオマスを活用した温浴施設向けエネルギー供給に関する協定を締結
当社は、2016年12月から静岡県御殿場市との協業により、「リコー環境事業開発センター」近くの森林の未利用間伐材をチップ化し、木質バイオマスボイラーの燃料として、センターの空調、給湯に活用しています。このノウハウを活かして、温浴施設における木質バイオマスの活用を実現しました。
■デジタルカメラ分野
ユニークで魅力的なハードウェアとそのデータ活用により、新たな画像・映像表現を創造していきます。
・ワンショットで360°の全天球イメージを撮影できるカメラ「RICOH THETA V」を発売
360°カメラ「RICOH THETA (リコー・シータ)」シリーズの最上位機種として、高画質な4K解像度の360°動画撮影や臨場感溢れる空間音声記録、高速転送等に対応した「RICOH THETA V」を発売しました。
RICOH THETA Vは「グッドデザイン・ベスト100」とドイツの「iF デザインアワード 2018」を受賞しました。
・360°の全天球画像をお客様のWebサイトに表示できるクラウドサービス「THETA 360.biz」の専用アプリを提供開始
360°の全天球イメージをお客様のWebサイトに表示できるクラウドサービス「THETA 360.biz」をより簡単に活用するために、スマートフォンやタブレット向けアプリ「RICOH 360.biz for Tour Creator」を開発し、提供開始いたしました。
・VRとAIを活用した360°で表示するバナー広告事業に参入
クリック率が高く訴求力のあるバナー広告の需要拡大が見込めることから、インターネットのバナー広告を360°の画像で表示するバナー広告事業に参入いたします。その一環として、360°の広告画像の提供から広告の効果測定などを行うサービス「RICOH 360 for Ad」を提供開始します。
当社独自の360°の画像注目領域アニメーション技術(特許出願済)を活用し、これまでに撮影された360°の画像を学習することで、広告写真の中で注目すべき箇所をAIで自動抽出します。これによって、広告画像を水平に回転させるだけでなく、訴求したい領域が自動で映るようになります。
・35ミリフルサイズデジタル一眼レフカメラ「PENTAX K-1 Mark II」を発売
本製品は、Kシリーズ35ミリフルサイズデジタル一眼レフカメラ「PENTAX K-1」(2016年4月発売)の後継機として開発、最高級機として期待される高画質画像のさらなる追求に加え、利用シーンを広げる超高感度性能や各種機能の使いやすさを向上しています。新たに搭載したアクセラレーターユニットと画像処理エンジン"PRIME IV"との連携により、高速で快適な動作と高度なノイズ処理を両立し、さらなる高画質化と超高感度性能を実現しています。また、イメージセンサーの性能をフルに引き出す超解像技術"リアル・レゾリューション・システム"機能が"リアル・レゾリューション・システムII"に進化し、手ぶれ補正機能を利用しながら、手持ち撮影でも超高解像撮影がおこなえる新開発の "手ぶれ補正モード"を機能に追加。従来の三脚固定による撮影に加え、さらに幅広いシーンでも超高精細画像の撮影を楽しんでいただけます。
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は7,709百万円です。
(7) 基礎研究分野
各事業に分類できない基礎研究分野として、ナノテクノロジー、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)、計測・分析・シミュレーション等の基盤技術の研究開発、プリンティング技術の応用研究開発、新規機能材料やデバイスの研究開発、次世代画像表示・画像認識・画像処理技術とそれに必要なフォトニクス技術の研究開発、データの収集・解析技術の研究開発、人工知能の応用研究開発、システムソリューションの開発、生産技術開発、環境関連技術及びヘルスケア関連技術の研究開発等を行っております。
当連結会計年度の主な発表・成果は次のとおりです。
・細胞の3次元配置を実現するバイオ3Dプリンター
iPS細胞(人工多能性幹細胞)由来の細胞を用いて生体に近い組織構造を再現するためには、複数種類の細胞を適切に配置し、3次元的に組み立てる必要があります。当社が研究開発を進めているバイオ3Dプリンターでは、細胞を細胞用インクと混合させて液中分散させ、かつインクジェットヘッドから細胞をつぶさずに安定して吐出することを可能にしました。
・路面性状モニタリング実証実験
道路管理では、道路の修繕を適切な時期に行うため、維持管理の総合的な指標である「MCI(Maintenance Control Index)値」が利用されています。そのMCI値を算出するため、当社は3次元情報が得られるステレオカメラを複数台用いた車載計測システムにより、「ひび割れ率」、「わだち掘れ量」、「平たん性」を計測しています。目視判読工程(ひび割れ率の判定)は、AIによって得たモデルによる機械判読に置き換えることで、従来工数を削減しました。これらにより、撮影から計測結果作成までのプロセスの自動化を実現しました。
・AZAPA株式会社と秋田県仙北市で自動運転の共同実証実験を開始
実証実験では、公道走行における技術的な課題や、雪国での実用化、交通インフラ環境との協調性、法整備などの具体的な実用化への課題の洗い出しを行います。AZAPA株式会社は、自動運転における経路生成〜回避行動の自動運転制御、及び搭乗者の感性に関する制御技術をテーマに、当社は、ステレオカメラなどを用いた全方位画像センシング技術、及び人の認知・判断・行動の高度解析をテーマに取り組み、両社で技術融合した車両を用いて、自動運転における課題抽出と新たな技術的解決を図ります。
・「振動データの見える化システム」を開発
独自開発のセンサーとデータ解析技術を組み合わせることで、設備や機械の異常を検知するために必要なデータを抽出することを可能としました。製品の品質に影響する製造機械の異常振動や突発的な衝撃、健全性の確認など、今まで把握できなかった状態特性をリアルタイムに数値化して把握することができるようになります。機械の故障未然防止やダウンタイム短縮、メンテナンスの簡素化といった安定した設備稼働の実現と共に、将来的には予兆保守への取り組みといった新たな付加価値の提供を目指します。
・AI技術を活用した与信モデルの活用について
当社グループは与信業務をAI化する実証実験を進め、当社グループが保有する大量の与信データを当社が開発した機械学習を活用することで、精度の高い与信モデルを開発しました。2017年9月より開始した実データに基づく検証を経て2018年1月より当社グループでの与信業務に活用しています。
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は10,990百万円です。