有価証券報告書-第160期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 14:22
【資料】
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【項目】
166項目

事業等のリスク

当社グループの経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下の事項があります。また、当社グループでは短期的に経営成績等に重要な影響を与えるリスクに加えて、中期的なリスクとしてのブランド毀損リスクおよび従業員等の安全・健康に影響を与えるリスクを重要リスクとして位置付けております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 景気変動等のリスク
当社グループは、ウオッチ・クロックやデジタル商品・自動車向けの電子部品、高級宝飾・服飾・雑貨品など、一部、個人消費に直接関わる商製品を取り扱っております。このため連結業績は、最終的には国内・海外の景気動向、中でも個人消費の動向に強い影響を受けます。特にウオッチ及びクロックは世界130以上の国及び地域で販売されており、常に何らかの影響を受ける可能性は高い一方、同時にリスクの分散もされております。また、2020年3月期第4四半期に顕在化した新型コロナウイルス感染症は世界中に拡大しており、今後もこの状況が継続する場合、国内・海外の景気動向、個人消費動向に強い影響を与えることが想定されますので、当社グループの事業運営、財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。
(2) 特定の調達先への依存
ウオッチの特定取引先への調達依存度が高く、ウオッチ事業の業績は同取引先との取引条件等の変更によって大きな影響を受ける可能性があります。また、2020年3月期第4四半期に顕在化した新型コロナウイルス感染症は世界中に拡大しており、今後もこの状況が継続する場合、ウオッチ事業および電子デバイス事業の一部の調達先等で活動が停滞することが想定され、当社グループの事業運営、財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。
(3) 電子デバイス事業の経営環境
電子デバイス事業の業績は、国内・海外の電子デバイス機器等の需要動向に影響を受けています。また同事業分野は、新技術の開発及びそれらの量産化の速度が速く、価格競争も激しいため、それらの市場環境の変化への対応の遅れが業績に大きな影響を与える可能性があります。当社グループは匠・小・省の技術理念の下、研究開発活動等に注力し、「時代の一歩先を行く」事業活動を推進してまいります。
(4) 海外製造拠点のカントリーリスク
ウオッチ事業、電子デバイス事業及びクロック事業は、シンガポール・マレーシア・タイ・中国に製造拠点を有しており、これら地域における政治・経済等による社会情勢変動が、同事業の生産活動に大きな影響を与える可能性があります。しかしながらそれぞれの製造ラインは概ね日本を含めた複数の地域で稼働させており、リスクによる影響を低減させる取組みを行っております。また、2020年3月期第4四半期に顕在化した新型コロナウイルス感染症は世界中に拡大しており、これら地域で今後もこの状況が継続する場合、少なからず当社グループの事業運営、財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。
(5) 主要顧客への依存
電子デバイス事業の一部においては、主要顧客への売上依存が高い傾向にあり、これら顧客からの発注量の減少が、同事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。一主要顧客への依存を低減させるために、事業全体の拡大に向けた活動を進めております。
(6) 資材等の不足・高騰
原油、その他原材料となる資源等が需給環境の変化に伴い不足・高騰した場合、製造活動に影響が生じる、あるいは製造コストが上昇し業績に影響を与える可能性があります。一部の原材料については、市場価格を見極めつつ、短期的な変動の影響を避けるため、必要に応じて在庫の保有レベルを高く設定しております。
(7) 品質問題と製造物責任
当社グループが製造販売する製品には、通常の使用において身体に影響を与える事故を発生させるものはありません。しかしながら製品事故に関する法的規制の強まりなど社会環境の変化あるいは事業環境の変化などにより、製品リコールや賠償責任など品質問題や製造物責任に関するコストが増加する可能性があります。製品にかかわる品質問題はブランドイメージ毀損リスクに繋がる可能性が高いため、当社グループでは当リスクを最も重要なリスクの一つとして取扱っており、品質問題の発生を防ぐためにすべての製造拠点等において幅広い取組みを行っております。
(8) 知的財産権
当社グループでは重要な独自開発技術の保護のため、特許権の取得や機密情報の保護などの措置を講じていますが、地域によっては十分な保護が実現しない可能性があります。更にそのような措置を講じた場合でも、第三者による当社グループ類似製品を効果的に排除することができず、当社グループ製品の優位性が損なわれる可能性があります。また、当社グループは新製品の開発に際して他社の知的財産権を侵害しないよう特許調査等の対策を講じていますが、あらゆる侵害の可能性を排除することは困難であり、他社の知的財産権を侵害した場合には、差止め請求もしくは損害賠償請求などにより業績に影響を受ける可能性があります。知的財産権を侵害した場合も、侵害された場合においても、ブランドイメージを毀損するリスクが高いことから、両方のケースを防ぐための調査活動等を幅広く進めています。
(9) 為替変動の影響
当社グループは、主としてウオッチ事業、電子デバイス事業が海外市場向け事業展開を行っております。その一部は、国内外の製造拠点からその他の国の市場向けに事業を展開しており、為替の変動が、製品の価格等に影響を与える可能性があります。また、主として国内市場向け事業展開を行っているシステムソリューション事業及びクロック事業において、海外製造拠点からの調達を外貨で行っている部分については、為替の変動が調達コストに影響を与える可能性があります。さらに、在外子会社の損益及び資産等現地通貨建項目のすべては、連結財務諸表作成のために円換算されており、換算時の為替レートにより、現地通貨の円貨換算価値が影響を受ける可能性があります。特に、米ドル及びユーロ等に対する円相場等の変動は、在外子会社における純資産の部の換算に係る為替換算調整も含め、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 金利変動の影響
現在、当社グループと金融機関との関係は良好であり、海外も含めた事業展開上で必要とする資金は問題なく調達できております。しかしながら将来もひきつづき充分に調達可能であるという保証はありません。また、市場の金利水準が低い傾向にあるため、既存の長期借入金の金利につきましては、その70%超を固定化済みであります。大きな金利変動リスクはありませんが、将来の調達に関しては、金利動向が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(11) 保有資産の時価変動の影響
当社グループは、事業上の理由により投資有価証券を保有しております。また、一部の旧工場跡地等の遊休不動産を保有しております。これらの投資有価証券や不動産の時価が大きく変動した場合は、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(12) 環境問題について
ウオッチ事業、電子デバイス事業及びクロック事業は、気候変動対策、資源保全、大気・水質汚染、化学物質の使用、廃棄物処理、リサイクル、製品含有化学物質および土壌・地下水汚染等を規制する様々な環境法令の適用を受けながら事業活動を展開しております。これらの事業は、環境保全活動を経営課題の一つとして、法規への対応はもとより、さらに厳しい自主的目標を掲げるなど、様々な環境保全活動等を進めております。しかし、将来において規制強化への対応費用の増大、環境問題の発生から損害賠償や対策費用を負担する可能性、さらにこれらの課題に対する社会的期待が高まる中、取り組みが遅れることで競争力を失う可能性があります。
(13) 情報管理について
当社グループは、事業上入手した個人情報や機密情報等の保護・管理について、社内規定の策定、従業員教育等を通じ、情報流出の防止を行なっておりますが、予期せぬ事態により情報が流出する可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、当社グループの社会的信用の低下や対応のための多額な費用負担により、連結業績に影響をおよぼす可能性があります。予期せぬ情報の流出が発生した場合にはブランドイメージの毀損リスクも高く、重要なリスクの一つとして防止策の徹底を図っております。
(14) 自然災害・感染症の影響
地震・台風等の自然災害やウイルス等の感染症の流行により、当社グループの国内外製造拠点及び諸施設または国内外の地域経済全般が被害あるいは規制等を受けた場合、製造の中断、営業・物流・調達機能の停滞等が発生し業績に影響を与える可能性があります。なお、当社グループは、自然災害および感染症の発生時には、当社の業務に従事する方々の安全確保を第一に考えた行動計画を策定しております。また、2020年3月期第4四半期に顕在化した新型コロナウイルス感染症は世界中に拡大しており、今後もこの状況が継続する場合、上記のように当社グループの事業運営、財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。
(15) コンプライアンス違反
すべての事業に従事する社員等に向けた各国における法令遵守のための社内教育を充実させておりますが、何らかの違反が発生するリスクは皆無とは言えません。コンプライアンス違反が発生した場合にはブランドイメージの毀損リスクへ繋がる可能性も高いため、すべてのグループ内法人において法令遵守についての教育活動を進めるとともにブランドイメージの重要性の浸透も引き続き行ってまいります。