有価証券報告書-第55期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 11:02
【資料】
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【項目】
148項目

研究開発活動

医師でもあった創業者の医療現場視点に立った製品開発ポリシーを継承し、患者さんはもとより、医療従事者の方々の立場に立った研究開発活動を進めております。活動領域は現事業領域である輸液・栄養、透析、外科治療、血液・細胞の4つの領域に加え、将来を見据えた再生医療や、IoT、AI等を生かした先端技術研究等についても実施しております。
区分分野
輸液・栄養領域輸液、経口栄養、経腸栄養、摂食嚥下 等
透析領域血液浄化(血液透析、腹膜透析) 等
外科治療領域人工心肺、カテーテル 等
血液・細胞領域血液・細胞分離、細胞関連デバイス(培養、搬送) 等
その他組織再生、生分解性材料展開、IoT・AI技術展開 等

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は1,417百万円であり、セグメントごとの主な研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(1) 日本
当連結会計年度における研究開発費は1,417百万円であります。
① 輸液・栄養領域
輸液・栄養領域では、国際規格ISO 80369-3に対応した新コネクタ栄養関連製品について、規格対応に留まらず、現場で生じる課題解決を含めたシステム提案を開始しました。また、高齢化に伴うフレイル対策として注目される摂食嚥下分野では、舌トレーニングを広く普及させる製品開発を進めております。
※フレイル:加齢等により心身の活力が低下した状態。要介護状態に至る前段階に位置づけられています。
② 透析領域
透析領域では、血液透析装置「GC-X01」のさらなる機能拡充として、ヘマトクリット測定機能「クリットサインモニター」をオプション機能として新たに提供を開始しました。本機能は、測定した循環血液量変化率を基に除水をコントロールするもので、通信プロトコルⅤer2.0を介し、透析情報システム「エルゴトライ」上で一元管理することを可能としております。
③ 外科治療領域
外科治療領域では、引き続き当社の生分解性材料技術を生かした製品開発に注力しており、体内で必要時に機能維持し、不要時に分解吸収される特性を生かし、整形及び消化器外科領域での製品研究に努めております。また、生体適合性向上を目的とし、合成系材料コーティングを施した人工心肺用回路の提供を開始しました。
④ 血液・細胞領域
血液・細胞領域では、不妊治療に必要とされる精子分離をより確実に、簡便に行える精子分離デバイスの改良タイプ「ラピッツロック」の提供を開始しました。また、令和2年度診療報酬改定において、再生医療技術である多血小板血漿を用いた難治性皮膚潰瘍治療が保険収載されました。本件は、大学病院他で実施された先進医療制度を用いた臨床研究の成果によるもので、従来の治療では効果が得られなかった潰瘍部分(褥瘡を含む)に対して、多血小板血漿を用いた治療効果が認められたものです。血液成分分離バッグ「セルエイドPタイプ」は、この療法への使用が可能となっております。
⑤ その他
将来を見据えた次世代医療技術の具体化を図るべく、引き続きニーズの高い人工血管、組織再生等の先端領域分野の研究を進めている他、先進のIoT、AI等の技術を活用し、医療現場における治療品質の向上及び省力化等を念頭に置いた各種モニタリング技術の開発に努めております。また、産学官連携活動にも引き続き力を入れており、先端技術の意欲的な導入及びニーズの本質を見極めるバイオデザイン活動にも力を注ぎ、次世代に向けた医療機器の研究開発に積極的な展開を図っております。
(2) 日本以外
シンガポール、中国、フィリピン、ドイツ、その他のセグメントについては、既存製品の改良等に取り組んでおります。