有価証券報告書-第61期(平成26年1月1日-平成26年12月31日)

【提出】
2015/03/13 13:00
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【項目】
108項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度の我が国経済は、内需については消費増税前の駆け込み需要とその反動減による落ち込みからの回復に期待が持たれていたものの、実際には消費に弱さが見られ、また円安による押し上げが期待された輸出についても伸び悩みとなるなど、景気回復への期待感がなかなか実現しない中で推移してまいりました。
このような事業環境のなか、当社グループの主要顧客である自動車業界においては、消費増税の影響による販売台数減少への警戒感が残るものの、設備老朽化への対応や次世代自動車に関する研究開発の加速などにより、設備投資の増加傾向が見られ、当社グループの当連結会計年度の受注高は137億2千4百万円(前連結会計年度比7.4%増)となりました。売上高につきましては、4月-6月期の落ち込みに加え、7月以降の新規受注案件についても指定納期が翌期であるものが多く売上原資が不足することとなりました。その結果、当連結会計年度の売上高は124億4千9百万円(前連結会計年度比0.6%減)となる一方、受注残高につきましては60億5千2百万円(前連結会計年度比26.7%増)と大幅に増加いたしました。
損益面につきましては、収益性の良い計測機器については改善が進む一方で、特注試験装置については一部に原価率の悪化が見られた影響などにより、売上原価率は50.2%(前連結会計年度は49.1%)となりました。販売費及び一般管理費は、研究開発費の増加や引合い対応のためのプロモーション活動の増加、賃上げよる人件費の増加等により、前連結会計年度に比べ4億4千6百万円増加しました。売上高が伸び悩む一方でコストが増加した影響により、営業利益は10億8千8百万円(前連結会計年度比36.2%減)、経常利益は11億2千1百万円(前連結会計年度比36.5%減)となりました。また、退職給付に係る繰延税金資産を追加計上したこと、所得拡大促進税制の適用による税額控除の影響などにより、当期純利益は11億9千6百万円(前連結会計年度比2.7%減)となりました。
なお、当社グループでは、製品の付加価値を高め、顧客提案力を強化し新たな成長を目指すため、栃木県宇都宮市に自動車試験分野の実験棟の新設を進めております。平成26年10月に建物の引き渡しを受け、現在は試験設備の稼働のための調整を行っております。新実験棟は、エンジン試験やパワートレイン試験、台上走行試験等を行う試験室を5室備え、当社が顧客に納入している自動車試験装置と同等の設備を設置します。これらの設備により、開発力を強化して製品の付加価値を高めるとともに、自動車開発フェーズにおける試験の受託も行う予定です。
また、平成26年12月4日に発表しました通り、株式会社小野測器は、100%出資の連結子会社である株式会社小野測器宇都宮を吸収合併いたします。これは、両社にまたがる経営資源の統合と効率化による事業価値の向上を図ることを目的としており、組織一体となって新たな成長を目指してまいります。なお、本合併は平成27年4月1日を予定しております。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
<計測機器>「計測機器」におきましては、受注高が48億2百万円(前連結会計年度比0.3%減)、売上高が47億6百万円(前連結会計年度比0.8%増)、営業利益は6億7千6百万円(前連結会計年度比8.7%増)となりました。製品群別の概況では、回転・速度計測機器、寸法・変位計測機器などの生産設備関連製品は、中国・東南アジア等の生産ライン向けの投資に使用されており、年初からの好調を維持することができました。トルク計測機器は、消費増税後の設備投資の落ち込みによる影響があったものの、下期はモータの効率測定需要や、特注試験装置への組込受注が寄与し、回復してまいりました。自動車性能計測機器は、エンジン性能評価用の燃費計測システムおよび燃焼解析装置が好調に推移し、また車速計の海外向け販売等も寄与し、堅調を維持することができました。音響・振動計測機器は、消費増税前の駆け込みとその後の反動減の影響が顕著に表れておりましたが、年央に投入した新製品のポータブル解析器が好調に推移しており、受注も拡大傾向にあります。当セグメントでは、積極的な新製品開発やRoHS化対応を継続して進めていることもあり、研究開発費の増加も見られますが、より付加価値を高めた新製品やソフトウェア製品の拡大が寄与し、増益となりました。
<特注試験装置及びサービス>「特注試験装置及びサービス」におきましては、当セグメントの主要顧客であります自動車業界が、年初より消費増税の影響への様子見から設備投資への慎重姿勢が見られましたが、年央より受注の回復傾向が顕著となり、受注高は89億8百万円(前連結会計年度比12.1%増)となりました。売上高につきましては、期首の受注残を計画通りに生産できたものの、受注の回復が下期となったことから、期中の生産に結び付けられず、売上高は77億2千9百万円(前連結会計年度比1.4%減)となりました。損益面につきましては、一部で原価率の上昇が見られ、また引合の活発化によるプロモーション活動費が増加したことなどにより、営業利益は4億9百万円(前連結会計年度比62.1%減)となりました。今後につきましては、継続中の引合案件への対応と、大きく増加した受注残の確実な生産に注力してまいります。
<その他>「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、損害保険代理業務および当社が所有する土地・建物の管理業務を行っております。
当区分の売上高は1億4千1百万円(前連結会計年度比1.4%減)、営業利益は6百万円(前連結会計年度比44.2%減)となりました。なお、同区分の外部顧客に対する売上高は1千3百万円(前連結会計年度比1.1%増)であります。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2千8百万円(0.9%)増加し、31億2百万円となりました。
当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、15億6千2百万円の増加となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益11億2千3百万円、売上債権の減少額11億2千1百万円であり、支出の主な内訳は、たな卸資産の増加額2億1千3百万円、法人税等の支払額9億3千1百万円であります。
前連結会計年度と比較すると3千1百万円(2.1%)の収入の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、14億2千6百万円の支出となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出13億2千5百万円、無形固定資産の取得による支出8千9百万円であります。
前連結会計年度と比較すると1億7千3百万円(10.8%)の支出の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1億6千万円の支出となりました。収入の主な内訳は、設備投資のための長期借入金10億円であり、支出の主な内訳は、長期借入金の返済2億9千万円、自己株式の取得額4億8千2百万円、配当金の支払額3億8千7百万円であります。
前連結会計年度と比較すると5億1千8百万円の収入から1億6千万円の支出となりました。