訂正有価証券報告書-第38期(平成25年7月1日-平成26年6月30日)

【提出】
2016/06/15 11:02
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【項目】
125項目

事業等のリスク

本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成26年6月30日)現在において、当社グループが判断したものであります。
① メディカル事業について
(法的規制について)
当社グループの事業は、薬事法及びそれに関連する厚生労働省令並びに米国食品医薬品局とEU各国政府、そして中国政府等による諸規制を受けており、当社グループの関連する主な法的規制は次のとおりであります。
(a) 薬事法関係
当社グループは、各種の医療機器及びその関連製品の開発・製造・販売を行うに際し、日本国内では薬事法及び薬事法施行令・薬事法施行規則により規制を受けております。この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、医療上特にその必要性が高い医薬品及び医療機器の研究開発促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることが目的とされております。製造販売業者・製造業者は安全で有用な医療機器を提供する義務があり、そのため製品の安全性を確保し、それらの継続的な生産を保証するための品質システムとしてQMS(Quality Management System:品質管理システム)などの体制を確立し、設計・生産から市販後に至るまでの管理が必要であります。これらを規制するのが薬事法になります。厚生労働省は、国際的な整合性や、科学技術の進歩、企業行動の多様化等、社会情勢の変化を踏まえ、薬事制度について抜本的な見直しを行っており、具体的な項目内容には、医療機器のリスクに応じたクラス分類制度の導入、承認・許可制度の見直し、市販後安全対策の充実等が含まれており、当該法規制の変更等により、規制が強化された場合には、当社グループが事業展開を行ううえで、影響を受ける可能性があります。
なお、過年度において、薬事法に関連し当社の承認、許可及び届出が認められない、あるいは取り消された事象はありませんが、今後、承認、許可及び届出が認められない場合、取り消された場合、あるいは遅延した場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(b) MDD(Medical Device Directive / 医療機器指令)
欧州市場へ輸出するためには、MDD(Medical Device Directive / 医療機器指令)に基づく要求事項を満たす必要があり、製造業者は定められた適合性評価基準に従わなければなりません。MDDに適合していることを証明するCEマーキングが製品に表示されていなければ欧州市場への流通が出来ず、またMDDの必須安全要求事項を満たすための品質システム(EN ISO 13485)の認証取得が条件となります。
この法規制は、医療機器の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、CEマーキングが貼付された製品が欧州市場で自由に流通出来ることを目的としております。
当該法規制が変更若しくは強化され施行された場合には、当社グループが事業展開を行ううえで、影響を受ける可能性があります。
なお、過年度において、MDDに関連し、認証されない、あるいは取り消された事象はありませんが、今後、認証されない場合、認証が取り消された場合、あるいは遅延した場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(c)FFDC法(The Federa1 Food,Drug and Cosmetic Act / 連邦食品・医薬品・化粧品法)
米国市場へ輸出するためには、FFDC法(The Federal Food,Drug and Cosmetic Act / 連邦食品・医薬品・化粧品法)に基づき、品質、有効性及び安全性確保が必要になります。この法律は、食品、食品添加物、医薬品、医療機器、化粧品等の規制を目的としており、米国輸出に際して、必須安全要求事項を満たすためのQSR(Quality System Regulation)体制を整備する必要があります。当該法規制等が変更若しくは強化され施行された場合には、当社グループが事業展開を行ううえで、影響を受ける可能性があります。
なお、過年度において、FFDC法に関連し、登録、認可が認められない、あるいは取り消された事象はありませんが、今後、登録、認可が認められない場合、取り消された場合、あるいは遅延した場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(d) 医療機器監督管理条例
中国市場へ輸出するためには、医療機器監督管理条例に基づき、品質、有効性及び安全性の確保が必要になります。医療機器監督管理条例の下に、医療機器の分類、登録、生産監督、経営許可、品質管理システムの審査、ラベリング等に関する規則が定められており、中国国内において医療機器の販売及び使用を行うにあたっては、SFDA(State Food and Drug Administration /国家食品薬品監督管理局)の 審査を経て、「医療機器登録証」を取得する必要があります。当該法規制等が変更若しくは強化され施行された場合には、当社グループが事業展開を行ううえで、影響を受ける可能性があります。
なお、過年度において、医療機器監督管理条例に関連し、登録、認可が認められない、あるいは取り消された事象はありませんが、今後、登録、認可が認められない場合、取り消された場合、あるいは遅延した場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(医療制度改革について)
当社グループはグローバル規模にて販売を行っておりますが、日本を含め世界各国では医療制度改革が進められております。今後、予想を超える大規模な医療制度改革が行われた場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また国内では、高齢化の急速な進展等に伴う国民医療費抑制策及び内外価格差問題の解決として、医療制度改革が進められております。平成15年4月に特定機能病院において診療報酬包括制が導入されたほか、平成14年4月より隔年で保険償還価格の引下げが実施されております。医療制度改革の動向により販売価格が下落する等の影響があった場合は、当社グループの業績も悪影響を受ける可能性があります。
(品質管理体制について)
当社グループは、人命に係わる高度な技術を要する医療機器を取り扱うことから、社内において徹底した品質管理体制を確立しておりますが、特異な要因による不良品の発生や、臨床現場での不適切な取扱いの可能性は完全に否定出来ません。医療事故が発生した場合には、製造物責任により、係争事件等に発展する可能性があります。また薬事法により、関連する製品の回収責任が生じる事も予測されます。このような場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(特定製品への依存について)
当社グループの主力製品であるPTCAガイドワイヤーの、当連結会計年度における連結売上高は114億89百万円となっており、連結売上高に占める比率は47.5%となります。また、当社グループの主力事業でありますメディカル事業の当連結会計年度における連結売上高は218億91百万円であり、これに対してPTCAガイドワイヤーの連結売上高が占める割合は52.5%と依存度が高く、従ってPTCAガイドワイヤーの売上動向が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(技術革新への対応について)
医療機器市場では、技術の変革は著しく速く、企業が成長を続けるためには、新技術・新製品の研究開発は必須であります。当社グループにおいても、研究開発型企業として研究開発活動に注力しておりますが、現行の検査及び治療方法を革新する新技術が開発され、当社グループの対応が遅れた場合、あるいは他社から極めて優良又は革新的な製品が販売された場合には、当社グループの提供する製品が陳腐化し、その結果、当社グループシェアが低下する可能性があります。そのような事態が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② デバイス事業について
(客先仕様である事について)
当社グループのデバイス製品は、OA機器、自動車、建築、漁業、レジャー等広範囲にわたって使用されております。今後も新素材及び新製品の開発体制の充実を図り、新規分野の需要開拓に注力する所存ですが、大半が客先仕様に基づく部材レベルの製品であるため、客先の仕様変更等により当社グループの製品に替わる他社の製品が採用された場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(競合状況について)
デバイス事業のうち、産業機器分野の新たな競合先として、近年、韓国・中国等のメーカーが存在しております。
当社グループは、新素材及び新製品の開発体制の充実を図り、新規分野の需要開拓に注力する所存ですが、これらの競合先メーカーが、当社グループと同品質で、なおかつ低価格の製品を供給できる体制に成長した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
③ 各事業共通事項について
(海外事業展開について)
当社グループは現在、世界100を超える国と地域へ製品を供給しており、当連結会計年度の連結売上高に占める海外売上の割合は50.2%となっておりますが、今後、当社グループがさらに飛躍するために、海外販売をより積極的に展開する方針であり、今後は需要拡大に備え、海外生産拠点の強化・拡充を引続き進めていく所存であります。当社グループが引続き成長を続けるためには、新たな市場における販売ルートの確立や設備投資を引続き慎重に進めていく所存ですが、海外環境の動向等により、海外事業が計画どおりに展開されない可能性があります。仮にこのような事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(海外生産への依存について)
当社グループは、日本国内施設は主に研究開発拠点と位置付ける一方、連結子会社のASAHI INTECC THAILAND CO.,LTD.及びASAHI INTECC HANOI CO.,LTD.、TOYOFLEX CEBU CORPORATIONは重要な生産拠点として位置付け、現在、量産品については、原則として当該連結子会社に生産移管しております。
一番の主力の生産拠点であるASAHI INTECC THAILAND CO.,LTD.より第二の生産拠点であるASAHI INTECC HANOI CO.,LTD.へ継続的に生産移管を行うことなどにより、リスク分散を図ってまいりますが、これら3つの連結子会社が洪水、地震等の天災や政治、経済、法律、文化、ビジネス慣習、労働力不足や労働賃金水準の上昇、その他様々な現地事情等により操業低迷や不能に陥った場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(原材料価格の高騰について)
当社グループが製造する製品の多くは、原材料の一部に、ステンレス及びプラチナを使用しております。売上高に対しての原材料比率は比較的低いものの、これら原材料の価格の高騰が予想を上回る状況で進行した場合、特にプラチナ価格の高騰については、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(知的財産権について)
当社グループは製品の開発・製造・販売に関し、知的財産権の確保に努めておりますが、他社から当該権利を侵害される可能性が無いとは言えず、当該権利期間経過後は、他社による同一製品の新規参入の可能性も予測されます。
また、製品に関連し得る他社の知的財産権の侵害防止に努めておりますが、万一、侵害の事実が発生した場合は、係争事件に発展することも含めて、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(自然災害や大規模災害等について)
当社グループはグローバル規模にて販売を行っております。当社グループが事業を展開している地域において、自然災害、病気、感染症、戦争、テロ等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
④ 全社的な事項について
(為替リスクについて)
当連結会計年度の連結売上高に占める海外売上の割合は50.2%であり、欧米市場を中心として、海外売上高の大半が米ドル建てとなっております。一方、当社グループの主要な生産拠点はタイ及びベトナムにあり、連結子会社のASAHI INTECC THAILAND CO.,LTD.(タイバーツ建決算)及びASAHI INTECC HANOI CO.,LTD.(米ドル建決算)との取引は、原則的に全て円建てで取引をしております。
したがって、為替が円高米ドル安タイバーツ安に進んだ場合、海外売上高の円換算額が目減りするとともに、タイ及びベトナムの連結子会社の業績変動を通じて主に売上原価等の円換算額が減少します。また逆に、為替が円安米ドル高タイバーツ高に進んだ場合、海外売上高の円換算金額が増加するとともに、タイ及びベトナムの連結子会社の業績変動を通じて売上原価の円換算額が増加いたします。米ドルとタイバーツが連動すれば、為替変動によるメリット・デメリットは概ね相殺されますが、円に対し米ドル安タイバーツ高に進んだ場合には収益が圧迫されるなど、当社グループの業績にマイナスの影響を与える可能性があります。
また、当社は銀行からの借入金の一部を米ドル建てにし、海外子会社への米ドル建て貸付資金と連動させることなどにより、為替リスクの軽減を図っておりますが、前述の通り米ドルの流入量が多く、タイ及びベトナムの連結子会社においては円の流入量が多いため、急激な為替相場の変動時には、これらの決算通貨への交換時に発生する為替差損益が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(保有株式に関するリスクについて)
当社は、原則として、取引先や業務提携先とのさらなる事業発展やシナジー効果等を目的として、市場性のある株式を保有しております。したがって、将来、株式相場の悪化や投資先の業績不振等により、大幅な株価下落が発生した場合には、保有株式に減損が発生し、当社の業績と財務状況に影響を与える可能性があります。
(企業買収に関するリスクについて)
当社グループは、主に研究開発及び製造の分野において、技術提携、業務提携、資本提携など、他社との提携又は買収を実施する可能性があります。これらの提携又は買収などにあたり、当社グループは、当該企業の財務内容や契約内容などについてデューデリジェンスを行い、事前にリスク回避するように努めておりますが、事業環境の急激な変化など、不測の事態が生じる場合、当社グループの事業展開、経営成績などに影響を及ぼす可能性があります。