有価証券報告書-第120期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/26 13:17
【資料】
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【項目】
127項目

研究開発活動

当社グループは、粘着応用技術、特殊紙・剥離材製造技術、表面改質技術ならびにシステム化技術を基盤に、印刷・情報材料、産業工業材料、半導体関連材料、光学機能材料などの多岐にわたる製品の開発・製造・販売を行っており、その研究開発活動の大部分を提出会社である当社が行っております。当期は、前期に引き続き、中・長期研究開発計画に基づいた技術開発ならびに新製品開発活動、特に機能性材料の素材開発とその加工技術開発に積極的に取り組み、ユーザーニーズを重視したマーケット対話型の研究開発に努めてきました。
また、当社グループの米国における研究機関であるLINTEC OF AMERICA,INC.のR&D Div.は、粘着製品や工業用積層材料に応用可能な独創的技術の調査とその実用化研究などを行っております。さらに、R&D Div.の研究開発拠点として、Nano-Science & Technology Centerを米国テキサス州ダラスに開設しました。近未来の新製品創出に向けて、ナノカーボン材料の一つであるカーボンナノチューブのシート化技術開発とその応用開発に取り組んでおります。
当連結会計年度における当社グループ全体での研究開発費の総額は6,849百万円となりました。
なお、セグメント別の主な研究開発活動の状況は次のとおりです。
(印刷材・産業工材関連)
(1) 印刷・情報材料分野
プラスチック成形品から発生するアウトガスによるラベルの浮きや膨れを抑制する粘着フィルムとして、「VENTI-LABEL(ベンチラベル)」を開発しました。ベースフィルムと粘着剤にガス透過性を持たせることで、フィルムの意匠性を保ちつつ、アウトガスによる膨れ対策を可能としました。
印刷機械関連では、当社のラベル素材の特性に最大限にマッチングした印刷機の開発を中心に行っており、当期は次世代搬送システムを採用し、自動プリセット式、ワイド幅での印刷対応、段取り替え作業時間短縮や原紙ロスの低減を実現した「LPM-400」を開発しました。
(2) 産業工業材料分野
屋外サイン用として凹凸面への追従性を備え、路面用粘着シートに最適なラミネートフィルムを開発しました。従来メディア(出力用シート)との組み合わせによって、アスファルトやコンクリート路面に適した施工性と屋外耐久性、意匠性を兼ね備えた「フロアマーキング OXZ」を全国展開していきます。
産業機械関連では、当社の主力製品である粘着ラベルを自動貼りするラベリングシステムの開発を中心に行っており、当期は食品、医療の装置関連や物流・通販業界向け「高速ラベラー TYPE‐A」を開発しました。
その他の研究開発活動を含め、当セグメントの研究開発費は2,134百万円となりました。
(電子・光学関連)
(1) 半導体関連材料分野
LSIチップの薄型化に貢献するDBG(Dicing Before Grinding)システムとダイシング・ダイボンディングテープ機能を有するLEテープを融合したDBG+LEシステムによりLSIチップの多積層化を可能とし、従来のHDDに代わるソリッドステートドライブ(SSD)への適応等、LSIパッケージの高密度化に貢献しています。
電子装置関連では、半導体後工程でのウェーハ・バックグラインド工程用テープ、ウェーハ・ダイシング工程用テープを、効率良く使用するためのアプリケーション装置開発を中心に行なっており、当期はパワーデバイスおよびTSVプロセスのウェーハ表面上の凹凸にも対応できる「真空ラミネーター RAD-3810F/12」を新たに開発しました。また、次世代の450mmウェーハ対応のマウンタ、ラミネーター、UV照射装置の主要機構ユニットの開発についても大きな進捗がありました。
(2) 光学機能材料分野
偏光板用やタッチパネル用(OCA, ASF)などのモバイル用粘着剤を開発しました。また、独自の光学設計によって拡散領域を制御できる特殊な拡散フィルムを開発しました。ディスプレイやサイネージ用途での採用が期待されています。これら製品の拡販を目指すとともに、新たな機能性粘着剤・コーティングの開発を継続致します。
ガスバリア性がきわめて高く、透明性と耐屈曲性に優れるハイバリアフィルムを開発しました。電子ペーパーや有機ELディスプレイなどの軽量化やフレキシブル化を実現する有用な材料として期待されています。
その他の研究開発活動を含め、当セグメントの研究開発費は4,158百万円となりました。
(洋紙・加工材関連)
特殊紙関連では、生産性および性能を向上させた全熱交換器用原紙を開発しました。インジェクション、コルゲートや金型成型に対応できます。また、印刷適性を大幅に改善し内部強度を向上させた上質タイプの剥離紙用原紙を開発しました。
剥離材関連では、従来の平滑な離型面が得られる工程フィルムに加えて、マット調の離型面を与える工程フィルムを新たに上市しました。キャストフィルムの表面へのマット性の付与やグロス値の制御に適しています。また、電子デバイス製造用工程フィルムとして帯電防止性能に優れたシリコーン離型フィルムも市場投入しました。剥離帯電など電子デバイスの製造工程で発生し得る静電気由来の不具合を解消するものです。
その他の研究開発活動を含め、当セグメントの研究開発費は556百万円となりました。