有価証券報告書-第77期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/26 12:31
【資料】
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【項目】
119項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 住宅着工の動向が業績に影響を及ぼすことについて
主力製品である窯業系外装材を始め、当社グループの製品はそのほとんどが住宅産業向けであるため、当社グループの業績は住宅着工戸数の動向に影響を受けます。新設住宅着工戸数については、わが国の少子高齢化や人口減少などの構造的要因により、中長期的には減少が避けられぬ状況にあります。当社グループとしては、従前よりリフォーム業界への進出や店舗・公共施設などの非住宅市場開拓にも注力しリスク分散を図っておりますが、新築住宅の市場規模の占める割合は大きく、その動向に影響を受けることになります。
特に窯業系外装材は、構造体が木造及び鉄骨造の建築物に使用が限定され、鉄筋コンクリート造には使用できないため、戸建及び低層アパートの新設着工戸数と相関関係が認められます。従って、同着工戸数が窯業系外装材業界全体の出荷量の先行指標でもあり、当社グループの業績もその動向に大きく影響を受けることになります。
(2) 景気動向と競合等について
住宅関連業界では厳しい企業間競争が続く中、窯業系外装材業界は過去に提携・再編・統合などの動きが急ピッチで進みました。最近はこれら業界再編の動きは一段落しておりますが、販売価格については今後も一部で企業間での価格競争が発生する可能性もあり、厳しい価格競争にさらされるリスクがあります。そして、かかる競合状態は、当社グループの利益に対し圧力となり、この圧力は市場が低迷したときに顕著となります。
当社グループといたしましては、業界トップ企業として今後も商品力を背景に価格をリードする意向であり、たとえ価格低下が進んだとしても、それをシェア拡大による販売数量増や高付加価値品を中心とする高級品化への移行で補うとともに、一層のコストダウン・合理化に努め対応していく方針ですが、価格低下に伴う粗利益率の低下は今後の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 原材料・エネルギー価格等の変動について
当社グループの製品製造における原材料・エネルギーは、その多くは塗料を始めとする原油からの生成品・セメント・パルプなどから構成されております。近年、これら諸資材の価格が短期間に大きく変動する傾向にあり、この傾向は今後も続くことが考えられ、従前のように比較的安価な材料等を安定的に調達できなくなるリスクがあります。
当社グループでは対策として、調達先の多様化や一括調達の検討、あるいは材料配合の見直しなど様々な合理化策を講じる一方で、次期の業績予想においても、一定の前提の下、資材価格の変動の影響を織り込むなどしておりますが、諸資材の価格が予想を上回ったり、販売価格への転嫁が困難な場合や転嫁時期が遅れた場合には当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
(4) 製品の欠陥及び製造物責任について
当社グループは、従来より製造業の原点として製品の品質管理を徹底しておりますが、すべての製品について欠陥が無く、将来的にもクレームが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。
大規模なクレームや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥が生じれば、多額の費用を要するのはもちろん、当社グループの製品に対する信頼性を損ない、それにより売上額が低下し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
(5) 海外市場での新規事業について
当社グループは、海外事業を「次の成長エンジンの一つ」に位置付けております。元来、大きな戸建住宅需要を有する米国については、主として現地工場にて生産した窯業系外装材を住宅市場向けに販売する事業を展開しております。米国住宅市場は着実に回復しつつあり、今後は現地工場における安定生産体制を確立し、さらなる増産や高付加価値品の生産に取り組み、米国事業の拡大を図ります。
また、生産コストの競争力が比較的高く、市場としても可能性を有する中国市場については、浙江省にある生産子会社2社が窯業系外装材を製造・加工しており、主に日本市場向けの製品の生産を補完する拠点として活動しております。
海外進出に際しては、海外市場での成長の機会に乗り遅れないために、収益の計上が見込まれる時期より相当以前から多額の投資を行う必要が生じます。このような立ち上がり期の投資額の増大によって、利益を上回る費用が必要となることがあります。さらに、海外における事業展開には、市場開放の問題、予期しない法律又は諸規制の変更、不利な税制や政治的・経済的要因など様々なリスクが内在すると考えられ、それら要因が障壁となり、当社グループの事業成長が妨げられる可能性があります。
海外における事業活動の結果は、当社グループの業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(6) 為替変動の影響について
当社グループの業績及び財政状態は、為替相場の変動によって影響を受けます。為替の変動は、①当社及び在外子会社の外貨建取引における資産・負債、収益・費用及びキャッシュ・フローに影響する場合、②連結財務諸表における在外連結子会社の資産・負債、収益・費用の円貨への換算額に影響する場合の二つの側面において影響を及ぼします。
当社グループは、為替予約などの方法により為替相場の変動リスクを限定的に止めるための手段を講じておりますが、ヘッジ会計を適用していない在外子会社への外貨建貸付金の時価評価に伴う円貨への換算を始めとして、これらの為替変動は当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼすことがあります。
(7) 東南海地震を始めとする震災等の影響について
平成23年3月11日に発生した東日本大震災後、国内では大地震に対するリスク認識が強まっており、かかる状況下、報道等によれば、東南海地震等の大地震が近い将来に発生する可能性が高いことが改めて指摘されております。当社グループでは、東南海地震が発生した際に「震度6弱」の揺れが予測される地域内に、当社名古屋工場、ニチハマテックス株式会社衣浦工場・大江工場等が存在します。
当社グループは、将来予想される大地震の発生に備え、人的被害対応の訓練を実施するほか、建物の補強工事を行うなどの対策を講じております。また、万一被災した場合にあっても、一日も早く通常の生産体制に復旧することが出来るよう原材料等の受給体制を見直すなどの対策を計画しておりますが、それらの対応には限界もあります。ひとたび大地震が発生すれば、当社グループの生産設備等に重大な影響を及ぼすことが想定され、一時的に生産活動が停止する可能性があるとともに、一方では、国内における経済活動の停滞に伴う消費動向の悪化により、当社グループの業績にマイナス影響が生じる可能性があります。