有価証券報告書-第46期(平成25年7月1日-平成26年6月30日)

【提出】
2014/09/26 15:31
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【項目】
98項目

事業等のリスク

以下において、当社の事業上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、あるいは当社の事業活動を理解する上で重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。
当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の予防又は回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項目以外の記載事項を併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
また、以下の記載は本株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありませんのでご留意下さい。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 業績の変動要因について
当社の業績は、携帯電話、液晶ディスプレイ、電子部品及び電子デバイス関連等の電子機器メーカーや半導体、光学ガラス及び触媒関連業界における設備投資動向及び生産活動の影響を受ける傾向があります。従って、今後こ
れらの業界動向が悪化した場合には、当社の業績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 貴金属の変動価格について
当社製品の原材料である貴金属は、国際商品市場で活発に取引されており、その価格は、供給国及び需要国の政
治経済動向、為替相場等、世界のさまざまな要因により激しく変動しております。
当社は、個別受注生産の形態をとっており、製品の販売価格は原材料の時価に連動する契約とし、仕入価格の変
動を販売価格に反映させておりますが、全ての受注に対し個別に仕入を行うことは実際には不可能であり、受注・
仕入間にタイムラグがある場合には、当社の仕入価格は貴金属相場の価格変動リスクに晒されること、また、期末
日のたな卸資産としての貴金属在庫の評価額も貴金属相場の価格変動リスクに晒されることから、貴金属相場が当
社の業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 為替変動の影響について
当社の工業用精密加工製品及び薄膜製造用精密加工製品においては、全額ないし原材料相当額に関して、米ドル
建てで販売する取引が存在しているため、当社の業績は為替変動の影響を受けております。当社は、為替予約を行
うことで為替変動リスクを回避する方法を採っておりますが、米ドル安傾向が継続した場合、中長期的には邦貨転
換に伴う利益率の低下により当社業績に影響を及ぼす可能性があります。また、米ドル安に対応して米ドル建て価
格の値上げを行う必要が生じた場合は、需要減少により当社の業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性がありま
す。
一方、原材料の仕入に関しては、貴金属相場の主流が米ドル建てであり、為替を乗じて邦貨単価を算出すること
から、円安状態が長期継続した場合には、仕入金額が高値を継続することとなり、当社の業績及び財務状態に影響
を及ぼす可能性があります。
(4) 「主要株主」及び「その他の関係会社」の異動等によるリスク
三菱商事株式会社は、当社の当事業年度末日現在の総議決権数の20.29%を占めており、同社は当社の「主要株主」及び「その他の関係会社」に該当しております。
また、田中貴金属工業株式会社は、当社の当事業年度末日現在の総議決権数の19.78%を占めており、田中貴金属工業株式会社が指名した当社非常勤取締役1名が選任され、実質的な影響力を持っていることから、同社は当社の「主要株主」及び「その他の関係会社」に該当しております。
その結果、田中貴金属工業株式会社又は三菱商事株式会社の当社の経営方針についてのそれぞれの考え方、議決権行使等が、当社の事業運営及びコーポレート・ガバナンスに影響を与える可能性があり、上記2社それぞれの当社の経営方針についての考え方又は株式保有方針について変更があった場合、当社の株価、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 大株主との関係について
a.三菱商事株式会社との関係について
当事業年度末日現在、三菱商事株式会社は当社発行済株式総数の19.99%を所有する大株主であります。
取引関係について
当社は、主要原材料であるプラチナグループメタルの大半を、南アフリカ共和国の鉱山会社Western Platinum Ltd.(ウエスタンプラチナム社)から供給を受けておりますが、対外決済及び輸入業務は三菱商事株式会社(平成25年4月1日からは同社100%出資子会社である三菱商事RtМジャパン株式会社)の商社機能を利用していることから、三菱商事株式会社(平成25年4月1日からは同社100%出資子会社である三菱商事RtМジャパン株式会社)の名義での仕入取引を行っております。過去2期間における両社からの仕入高及び総仕入高に占める比率と期末買掛金残高は次表のとおりであります。
平成25年6月期平成26年6月期
仕入高(百万円)11,1189,679
総仕入高に占める比率(%)56.750.8
期末買掛金残高(百万円)1,069300

また、過去2期間における両社への売上高及び総売上高に占める比率と期末売掛金残高は、次表のとおりであります。
平成25年6月期平成26年6月期
売上高(百万円)12,18011,734
総売上高に占める比率(%)46.342.9
期末売掛金残高(百万円)--

以上のとおり、原材料の仕入及び製品の販売等において、当社は両社の持つグローバルなネットワークや多様な販売ルートを活用しております。これは、両社の優れた商社機能を活用することにより、当社の仕入・販売等の業務が効率的に行えると考えるためであります。
当社といたしましては、今後とも両社との良好な関係の維持、取引の継続に努めていく所存ではありますが、両社との関係に変化が生じた場合には、原材料の仕入及び製品の販売量の変化等を通じて当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
人的関係について
当社は業務執行に資する助言を得るため、三菱商事株式会社金属グループ金属資源トレーディング本部RtM事業部貴金属担当部長であり、三菱商事RtMジャパン株式会社執行役員貴金属本部長である中村謙司氏を社外取締役として招聘しております。
また、当社は、三菱商事株式会社金属グループ金属資源トレーディング本部RtM事業部より出向者3名を受入れております。
b.田中貴金属工業株式会社との関係について
当事業年度末日現在、田中貴金属工業株式会社は当社発行済株式総数の19.49%を所有する大株主であります。
取引関係について
当社は、平成23年2月7日開催の取締役会におきまして、田中貴金属工業株式会社との間で資本業務提携契約を締結いたしましたが、それに基づき、当社の主要原材料であるイリジウム等について、田中貴金属工業株式会社と仕入取引を行っております。過去2期間における同社からの仕入高及び総仕入高に占める比率と期末買掛金残高は次表のとおりであります。
平成25年6月期平成26年6月期
仕入高(百万円)2,7612,517
総仕入高に占める比率(%)14.113.2
期末買掛金残高(百万円)1,26945

また、過去2期間における田中貴金属工業株式会社への売上高及び総売上高に占める比率と期末売掛金残高は、次表のとおりであります。
平成25年6月期平成26年6月期
売上高(百万円)2020
総売上高に占める比率(%)0.10.1
期末売掛金残高(百万円)08

以上のとおり、原材料の仕入及び製品の販売等において、当社は田中貴金属工業株式会社の持つ安定調達力や多様な販売ルートを活用しております。これは、同社の優れた調達力や販売力を活用することにより、拡大する工業用貴金属製品の需要に応えることができると考えるためであります。
当社といたしましては、今後とも同社との良好な関係の維持、取引の継続に努めていく所存ではありますが、同社との関係に変化が生じた場合には、原材料の仕入及び製品の販売量の変化等を通じて当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
人的関係について
上記提携の際、当社は、当社取締役として指名される候補者1名の任命権を田中貴金属工業株式会社が有する旨を同社と合意しております。これは、当社の業務執行に資する助言を得るとともに、同社との良好な関係を維持することを主たる目的としたものであります。同社の親会社TANAKAホールディングス株式会社の常務取締役技術・マーケティング本部長である平野伊三夫氏を社外取締役として招聘しております。
c.Lonmin Plc(英国ロンミン社)との関係について
当事業年度末日現在、英国ロンミン社は当社発行済株式総数の5.51%を所有する大株主であります。
同社は、当社主要原材料であるプラチナグループメタルの大半を当社に供給する南アフリカ共和国の鉱山会社ウエスタンプラチナム社の親会社であり、同社とは平成13年6月に資本提携を行っております。
上記提携の際、当社は、当社取締役として指名される候補者1名の任命権を英国ロンミン社が有する旨を同社と合意しております。これは、当社の業務執行に資する助言を得るとともに、同社との良好な関係を維持することを主たる目的としたものであります。同社のPLC販売市場開拓本部長であるウィルマ・スワーツ氏を社外取締役として招聘しております。
当社といたしましては、今後とも同社との良好な関係の維持、取引の継続に努めていく所存ではありますが、当社と同社との関係及び同社とウエスタンプラチナム社との関係に変化が生じた場合には、原材料の仕入及び研究開発案件の変化等を通じて当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)人材の確保及び育成について
当社が引き続き事業を拡大するにあたっては、貴金属加工にかかわる技術に精通した人材が不可欠であり、こ
のような人材の確保と育成を重要な経営課題として捉えております。
当社としては、中途採用や新規採用を通じて、優秀な人材を採用していく方針であります。また、従業員に対
しては、ストックオプション等のインセンティブ制度を導入しており、モラルの向上を図っております。
当社といたしましては、今後とも採用活動の強化や教育・研修制度の充実に努めていく方針でありますが、当
社が必要とする優秀な人材の育成・確保が当社事業展開に対応して進まない場合、あるいは、何らかの理由によ
り人材が大量に社外流出した場合には、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)同業他社との競争の激化による業績への影響
当社の販売する製品のなかには、ルテニウムターゲット、金ターゲット、銀合金ターゲット、一般熱電対及び
理化学用器具等、競合が激しく、価格競争も厳しい品目がありますが、当社は、「競合を制して、極端な価格競
争に勝つこと」を目標とはしておらず、顧客ニーズを第一に提案型営業を目指して参りました。今後もこの方針
に則り経営諸活動に注力いたしますが、結果として競合や価格競争に晒され、売上及び収益の低下により、業績
に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)製品の開発等について
当社は顧客や外部機関等からの情報を分析することにより、製品のライフサイクルや市場動向の変化を見極め
ると共に、新製品及び新素材の開発、新市場及び新用途の開拓に取り組んでおります。しかしながら、市場動向
について、当社が予想する以上の変化があった場合、又は当社においてこれら開発等の活動が見込みどおりに進
捗しない場合、当社の製品は競争力を喪失し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)製品の品質について
当社の製品は、顧客より個別製品毎の仕様に基づく厳しい品質が要求されております。当社では、ISO9001に
基づく製造プロセス管理及び品質管理システムを導入する等、品質の維持・向上を進めております。しかしなが
ら、当社が顧客に納入した製品について、顧客の要求規格及び仕様等を充足しなかった場合又は不適合等が生じ
た場合には重大な品質クレームを引き起こす可能性があります。その際に、当社の製品に何らかの瑕疵が存在し
た場合には代替品の納入に留まらず、代金弁済や損害賠償、さらには取引(納入)停止等が生ずる可能性があり
ます。これらの事象が生じた場合には、製品納入先との取引が停止するほか、当社の製品に対する信頼性が損な
われ、他の製品納入先との取引にも影響を及ぼす可能性があります。このような場合、特にそれが大口の製品納
入先である場合には、当社の業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)生産拠点の集中について
当社は、平成2年に工場を茨城県下館市(現筑西市)のつくば工場に移転・集約して以来、一貫してこの地で生産活動を行ってまいりましたが、生産拠点の集中が生産活動の効率化に寄与してきたものと考えております。一方では、平成19年12月に精製・回収の主力ラインとして土浦工場を、平成22年10月に北海道千歳市に石英保護管内製化のための千歳工場を立ち上げたほか、平成23年4月には土浦工場(第二期)を立ち上げ、イリジウム製品の回収精製ラインを増設いたしましたが、生産拠点の分散化は一部にとどまっております。今後、自然災害等の外的要因により生産活動の停止が余儀なくされた場合、当社の業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)事故による操業への影響
プラズマ熔解炉、高周波溶解炉など主要設備では高温、高圧での操業を行なっており、貴金属の精製設備にお
いては大量の薬品類を使用しております。これらを原因とする事故の防止対策には万全を期しておりますが、万
一重大な事故が発生した場合には、当社の生産活動に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)環境リスクについて
当社は、環境リスクに対して予防の大切さを認識し、つくば工場及び土浦工場においては、環境マネジメント
システムISO14001の運用を通じて、リスクの低減を図っておりますが、自然災害、工場における設備の劣化、又
は原材料、薬品の人的な取扱いのミス等により、薬品の漏洩等、環境へ悪影響を与える事象が発生する危険性が
あります。この事象が大規模なものとなり新たな費用負担等が生じた場合には、当社の業績及び財務状況に影響
を及ぼす可能性があります。
(13)知的財産に係るリスクについて
当社は、他社と差別化できる技術とノウハウを蓄積し、自社が保有する技術等については特許権等の取得によ
る保護を図るほか、他社の知的財産権に対する侵害のないよう、総務部知財グループを中心に、顧問弁護士や弁
理士などの外部専門家の協力を得ながらリスク管理に取り組んでおります。しかしながら、当社が現在販売して
いる製品、或いは今後販売する製品が第三者の知的財産権に抵触する可能性を的確・適切に判断できない可能性
があり、また、当社が認識していない特許権等が成立することにより、当該第三者より損害賠償等の訴えを起こ
される可能性があります。そのような場合、当社の業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14)借入金依存度について
当社は、原材料である貴金属の調達、設備投資等に必要とする資金を主として金融機関からの借入により調達してきましたが、平成25年6月期末に6,473百万円あった有利子負債残高は、平成26年6月期末に4,614百万円に減少し、平成25年6月期末に23.0%あった借入金依存度は、平成26年6月期末に20.8%に低下しております。また、当社の売上高に対する支払利息の比率は平成25年6月期に0.3%、平成26年6月期に0.3%となっております。今後、営業キャッシュ・フローの拡大から生み出される余剰資金や増資による資金調達により、財務体質の強化に努めて参りますが、地金の仕入増加による借入金増加や、市場金利の上昇等があれば支払金利の負担増が生じ、当社の業績は影響を受ける可能性があります。
また、資金調達について、銀行への依存度が高く、借入金のうちには財務制限条項が付された借入があること
から、将来において業績の悪化等により財務制限条項に抵触した場合等も含めて、新たな資金調達に障害が生じ
れば、事業の展開に影響を及ぼす可能性があります。