有価証券報告書-第120期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/24 12:02
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【項目】
134項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度の世界経済は、米国では雇用情勢の回復や堅調な住宅需要などを背景に景気回復が進みました。また、欧州では引き続き債務問題は残るものの金融システムへの信頼感の回復などから、景気は回復傾向にあります。一方、中国では成長率が鈍化傾向にあり、アジア新興国でも中国の影響を受け景気は足踏み状態となりました。
わが国経済は、円安の影響などから貿易赤字が過去最大となりましたが、消費税増税前の駆込み需要等から個人消費や設備投資の拡大があり、小幅ながら成長を維持いたしました。
このような環境のもと、当社グループは、「未来へ繋ぐ、新たなステージへの飛躍」というテーマのもと3ヵ年の中期経営計画(平成25年4月~平成28年3月)を策定し取組みを推進しており、計画初年度の進捗は次のとおりです。
重点施策としている、グローバルなバリューチェーンの構築と資源の有効配分による連結収益力の向上については、特に食料分野において、ベトナムの現地乳業メーカーに出資し、飼料酪農事業における業務提携を進めたほか、中国において製菓・製パン原料卸事業の合弁会社を立ち上げるなど、アジアにおける食文化の変化に対応した海外展開を進めました。また、モバイルソリューション事業では、連結子会社の兼松コミュニケーションズ株式会社が九州地区で携帯電話販売会社を買収し、事業基盤拡大による販売力強化を図りました。さらに、プラント事業ではフィリピン向け風力発電施設および送電用海底ケーブル敷設案件を受注したほか、航空機事業では世界3大航空機メーカーの一つであるカナダのボンバルディア社の旅客機Cシリーズの国内における取扱い代理権を獲得し、営業活動を開始いたしました。
財務基盤の構築については、引き続き財務健全性の維持・向上に努めました。当期純利益による利益剰余金の積上げや為替相場変動による為替換算調整勘定の良化等もあり、自己資本が増加した結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末比3.0ポイント改善し16.7%、ネット有利子負債資本倍率(ネットDER)も1.6倍から0.9倍に改善いたしました。
このように平成11年の構造改革計画以来、当社の財務体質は大幅に改善し、収益についても安定的に積上げが可能な状態となったことから、当中間期において15期ぶりの復配を実現いたしました。今後も継続的・安定的な配当を実施して参る所存でございます。
当連結会計年度の業績につきましては、売上高は、前連結会計年度比953億7百万円増加の1兆1,145億39百万円となりました。売上総利益は、売上高の増加に伴い、前連結会計年度比63億81百万円増加の864億2百万円となりました。営業利益は、前連結会計年度比15億14百万円増加し、197億76百万円となりました。営業外収支は、為替差益や持分法による投資利益の増加等により、前連結会計年度比19億41百万円良化いたしました。その結果、経常利益は34億55百万円増加の201億60百万円になりました。特別損益は、有形固定資産売却益などが発生した一方、減損損失などを計上し10億85百万円の損失となりましたが、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度比22億94百万円増加の190億75百万円となり、当期純利益は、前連結会計年度比22億35百万円増加の117億99百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。なお、当社グループは、当連結会計年度より、営業部門の改編を行ったことに伴い、次のとおり報告セグメントを変更しております。
従来の「電子」、「鉄鋼」、「機械・プラント」の各セグメントに含まれていた二輪・四輪車部品事業および航空宇宙事業を集約し、「車両・航空」を新設いたしました。それに伴い、報告セグメントを従来の「電子」、「食品・食糧」、「鉄鋼」、「機械・プラント」、「環境・素材」の5区分から、「電子・デバイス」、「食料」、「鉄鋼・素材・プラント」、「車両・航空」の4区分に変更しております。
① 電子・デバイス
電子機器・材料事業は、輸出取引を中心に堅調に推移いたしました。また半導体関連事業は、政府による景気刺激策の影響もあり国内における部品の需要が大幅に伸張いたしました。システムインテグレーション事業は、企業のインフラ設備投資を受け堅調に推移いたしました。一方、モバイルソリューション事業は、消費税増税前の駆込み需要がありましたが、携帯電話事業者間における競争激化の影響を受け、営業利益が減少いたしました。
その結果、電子・デバイスセグメントの売上高は前連結会計年度比405億74百万円増加の2,773億48百万円、営業利益は5億84百万円減少の77億55百万円となりました。
② 食料
食料セグメント全体では、為替相場の変動を主因として、営業利益が減少いたしました。畜産事業は、国内相場の上昇により輸入量が増加し、順調に推移いたしました。また、食糧事業は安定的な調達の実現や取扱高の増加により、堅調に推移いたしました。一方、食品事業は、円安によるコスト高を販売価格へ転嫁するのに時間を要し、営業利益が減少いたしました。
その結果、食料セグメントの売上高は前連結会計年度比210億88百万円増加の3,090億24百万円、営業利益は10億66百万円減少の20億99百万円となりました。
③ 鉄鋼・素材・プラント
鉄鋼事業は、欧米向けの自動車用特殊鋼取引や、前期に買収した北米での油井管加工事業が堅調に推移いたしました。また、エネルギー事業は、石油製品の販売が好調でした。プラントインフラ事業も、工作機械・産業機械取引において消費税増税前の駆込み需要があったこと等により、全般的に順調に推移いたしました。
その結果、鉄鋼・素材・プラントセグメントの売上高は前連結会計年度比346億1百万円増加の4,688億31百万円、営業利益は30億35百万円増加の81億29百万円となりました。
④ 車両・航空
航空機部品取引は堅調に推移し、北米向けの二輪車・四輪車用部品取引も順調に推移いたしました。一方、アジア向け建設機械関連等の取引が低調となりました。
その結果、車両・航空セグメントの売上高は前連結会計年度比37億32百万円増加の544億51百万円、営業利益は47百万円増加の14億94百万円となりました。
⑤ その他
売上高は前連結会計年度比46億87百万円減少の48億83百万円、営業利益は19百万円増加の2億24百万円となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、営業活動によるキャッシュ・フローは223億84百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは11億11百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは93億51百万円の支出となりました。これらに、現金及び現金同等物に係る換算差額を調整した結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は735億48百万円となり、前連結会計年度末比135億16百万円の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、営業利益の積上げ等により、223億84百万円の収入(前連結会計年度は13億55百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入の一方で、携帯電話販売会社の買収や有形固定資産の取得等により、11億11百万円の支出(前連結会計年度は14億66百万円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済等により、93億51百万円の支出(前連結会計年度は157億21百万円の支出)となりました。