四半期報告書

【提出】
2020/08/18 16:12
【資料】
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【項目】
19項目

事業等のリスク

当第1四半期連結累計期間において、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更があった事項は次のとおりです。
また、以下の見出しに付された項目番号は、前連結会計年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2. 事業等のリスク」の項目番号に対応したものであり、文中の下線部分が変更箇所です。
なお、本四半期報告書提出日現在における、新型コロナウイルス感染症が当社の営業グループの各事業に与えた又は与えると見込まれる影響につきましては、「2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「(4)事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題(新型コロナウイルス感染症による当社事業への影響)」をご参照ください。
① 世界マクロ経済環境の変化によるリスク
当社はグローバルにビジネスを展開しており、当社の業績も、国内の景気動向とともに、海外諸国の経済動向の影響を受けます。
例えば、エネルギー資源や金属資源の価格が下落する場合には、当社の資源関連の輸入取引や事業投資の収益が影響を受けることとなります。更に、世界景気の冷え込みは、プラント、建設機械用部品、自動車、鉄鋼製品、鉄鋼原料、化学品などの当社の輸出関連ビジネス全般にも影響を与えることとなります。
また、当社は、タイ、インドネシアで、日本の自動車メーカーと協同で自動車の組立工場、販売会社、販売金融会社を設立し、広範な自動車事業を展開していますが、自動車の販売台数はこれらの国の内需に連関するため、タイ、インドネシア両国の経済動向は当社の自動車事業から得られる収益に大きく影響を与えることになります。
当第1四半期連結累計期間の経済環境は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて主要国の国内総生産(GDP)が大幅に落ち込むなど、内外経済環境は深刻な打撃を受けました。日米欧の金融緩和、新興国を含めた各国の景気刺激策もあり、一部には大幅な落ち込みの反発による回復の兆しも見られるものの、感染の影響が深刻化し、世界経済の回復に想定以上の時間を要するリスクもあることから、動向を注視しています。
② 市場リスク
以下「当期純利益」は、「当社の所有者に帰属する当期純利益」を指しています。
a. 商品市況リスク
(エネルギー資源)
当社は北米、東南アジア、豪州などにおいて、天然ガス・石油の生産・開発事業、液化天然ガス(LNG)事業を行っており、原油・ガス価格は当社の業績に少なからぬ影響を与えます。
原油(Dubai)価格は、2020年1月初めには米イランの軍事衝突の可能性が高まり70米ドル/バレル近辺まで上昇したものの、1月末以降の新型コロナウイルスの感染拡大による需要減、及び、3月のOPECプラスの協調減産体制の崩壊とサウジアラビアを初めとする諸国の原油増産により一時10米ドル/バレル台にまで下落すると共に、世界の原油在庫は急激に積み上がりました。
その後、中国向け需要回復に伴い原油相場は底打ち、6月には40米ドル/バレルにまで回復しました。また、原油の世界的な余剰在庫も、OPECプラスによる協調減産に加えて、北米も低油価により減産を余儀なくされた結果、3月をピークとして少しずつ解消に向かっている模様です。しかしながら、新型コロナウイルスは引き続き世界的な拡大を見せていることから、世界経済成長が大きく阻害される可能性をはらんでおり、原油価格もしばらく上値の重い展開となるものとみられます。
また、当社のLNG販売は長期契約が大部分を占めるものの、一部はスポット契約にて販売しています。アジアのスポット価格は、2020年1月初めには百万Btu(英国熱量単位)当たり5米ドル台であったところ、暖冬の影響で価格が軟化したことに加えて、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う需要低下等もあり、一時は過去最低水準の百万Btu当たり1米ドル台まで下落しましたが、6月末時点では百万Btu当たり2米ドル台まで持ち直しています。
LNG価格は多くが原油価格にリンクしており、1バレル当たりの原油価格が1米ドル変動すると、当社の当期純利益は主に持分法による投資損益を通じてLNG・原油合わせて年間25億円増減すると試算されます。ただし、LNG・原油の価格変動が当社の業績に影響を及ぼすまでにはタイムラグがあるため、価格変動が直ちに業績に反映されるとは限りません。
(金属資源)
当社は、100%出資子会社の三菱デベロップメント社(MITSUBISHI DEVELOPMENT PTY LTD、本社:豪州ブリスベン、以下「MDP社」)を通じて、製鉄用の原料炭を販売しており、石炭価格の変動はMDP社の収益を通じて当社の業績に影響を与えます。また、MDP社の収益は、石炭価格の変動の他にも、豪ドル・米ドル・円の為替レートの変動や悪天候、労働争議等の要因にも影響を受けます。
銅についても、生産者としての価格変動リスクを負っています。1トン当たりの価格が100米ドル変動すると連結純利益で年間13億円の変動をもたらす(1ポンド当たりの価格が0.1米ドル変動すると当期純利益で年間28億円の変動をもたらす)と試算されますが、粗鉱品位、生産・操業状況、再投資計画(設備投資)等、価格変動以外の要素からも影響を受けるため、銅の価格のみで単純に決定されない場合があります。
なお、生産・開発計画は長期間に及ぶため、短期的な価格の動向よりも中長期的な価格見通しの方が、投資の評価により重要な影響を与えます。商品市況の長期的な低迷が想定される場合には、保有する「有形固定資産」や「持分法で会計処理される投資」などの減損を通じて、業績に影響を与える可能性があります。
b. 為替リスク
当社は、輸出入、及び外国間などの貿易取引において外貨建ての決済を行うことに伴い、円に対する外国通貨レートの変動リスクを負っています。これらの取引では先物為替予約などによるヘッジ策を講じていますが、それによって完全に為替リスクが回避される保証はありません。
また、海外における事業からの受取配当金や海外連結子会社・持分法適用関連会社の持分損益の連結純利益に占める割合が比較的高く、これらの収益の多くが外貨建てであり、当社の報告通貨が円であることから、外国通貨に対して円高が進むと連結純利益にマイナスのインパクトを与えます。当社の試算では米ドル・円のレートが1円変動すると、連結純利益に年間約15億円の変動をもたらします。
更に、当社の海外事業への投資については、円高が進行すると在外営業活動体の換算差額を通じて自己資本が減少するリスクがあります。このため、大口の投資については必要に応じて為替リスクのヘッジをするなどの施策を実行していますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。
⑦ 自然災害等の危機的な事象発生によるリスク
地震、大雨、洪水などの自然災害・異常気象や、新型インフルエンザ・新型コロナウイルス等の新興感染症、大規模事故、テロ・暴動、その他予期せぬ危機的な事象が発生した場合、当社の社員・事業所・設備やシステムなどに対する被害が発生し、営業・生産活動に支障が生じる可能性があります。
当社では、緊急危機対策本部を設置し、危機発生時における当社関係者の安全確保・安否確認等の初動対応、重要業務の事業継続計画(BCP)の整備、建物・設備・システム等の耐震対策(データ等のバックアップを含む)、定期訓練、必要物資の備蓄等の各種対策を講じています。また、あらゆる事象を想定したリスク・影響度分析に基づく初動対応・事業継続計画(BCP)の策定、継続的なPDCAサイクルの実施等の包括的なマネジメント活動である事業継続マネジメント(BCM)を推進し、各種危機に備えています。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に関しては、緊急危機対策本部が一元的に対応しており、国内においては、社員の感染予防・感染拡大防止と適切な事業継続の観点から、衛生管理の徹底や、在宅勤務の導入、国内外出張の原則見合わせ等その他必要な措置を、政府要請や感染拡大状況に応じ、迅速に実行しています。また、海外についても、各国の情勢や規制に応じて、在宅勤務を始めとする各種安全対策を講じています。今後も状況変化を踏まえ、都度必要な措置を実行していきます。
しかし、全ての被害や影響を回避できるとは限らず、かかる事象の発生時には当社の業績は影響を受ける可能性があります。