有価証券報告書-第76期(平成26年12月1日-平成27年11月30日)

【提出】
2016/02/26 15:22
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【項目】
111項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府による経済政策や日銀による金融緩和策などを背景に、企業収益や雇用情勢に改善の動きが見られるなど景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。しかしながら、輸入原材料価格の上昇や中国をはじめとするアジア諸国経済の下振れ懸念などもありました。
このような状況のもと、当社グループでは、海外サプライヤーとの連携強化、自社企画による商品の開発、安定供給体制確保のための設備投資など、多様化・高度化するお客様のニーズへの対応力強化に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は554億2千2百万円(前連結会計年度比2.4%増)、営業利益は5億5千9百万円(同37.2%減)、経常利益は6億9千4百万円(同27.8%減)、当期純損失は1億4千3百万円(前連結会計年度は4億9千6百万円の当期純利益)となりました。
次にセグメントの概況につきご報告申し上げます。
医薬品事業
医療用医薬品市場におきましては、政府が掲げる後発医薬品使用促進策の数値目標が「2017年央に70%以上とするとともに、2018年度から2020年度末までの間のなるべく早い時期に80%以上」に引き上げられ、ジェネリック医薬品の需要が一層伸長しております。一方、ジェネリック医薬品メーカーでは、円安定着に伴う輸入原材料価格の高騰、増産に向けた設備投資の負担増大および品質保証体制の強化が求められる厳しい事業環境となっております。
このような状況のもと、ジェネリック医薬品の安定供給に向けた生産体制の更なる整備、合理化による製造原価の低減を進めるとともに、基幹病院をはじめとした医療機関や調剤薬局における販売の拡大に向けた積極的な情報提供活動を行いました。その結果、抗真菌剤、アトピー性皮膚炎治療剤、緩下剤は新規採用が増加し好調に推移いたしました。
一般用医薬品および関連商品市場におきましては、インバウンド需要の拡大などにより医薬品、化粧品、機能性食品など全般的に伸長いたしました。
このような状況のもと、新規取扱商品の拡大に注力するとともに、大手ドラッグストアや量販店向けにPB商品や自社企画品の提案を推進いたしました。また、ドラッグストアにおいて訪日外国人旅行者の増加に伴い大都市圏を中心に免税店が拡大する中、商品の提案、安定供給に取り組んでまいりました。その結果、新規取扱商品やPB商品、自社企画品の販売は順調に拡大いたしました。
この結果、当事業全体の売上高は183億3百万円(前連結会計年度比5.0%増)、営業利益は1億1百万円(同3.4%減)となりました。
医薬品原料・香粧品原料事業
医療用医薬品原料市場におきましては、政府の更なる後発医薬品使用促進策により市場が急速に拡大しております。それに伴い、ジェネリック医薬品メーカーは安定供給を目的とした設備投資・複数社購買を推進しております。また、新薬メーカーは、長期収載品目の薬価引き下げにより原料・製剤の自社製造から他社への委託などの動きが活発化しております。
このような状況のもと、ジェネリック医薬品メーカーへは安定供給を目的とした国内外の原料の積極的な提案、新薬メーカーへは長期収載品目原料・製剤の提案に注力いたしました。その結果、解熱鎮痛剤原料は主要顧客への販売が堅調に推移いたしました。ジェネリック医薬品原料は鎮うん剤原料、抗アレルギー用剤原料、不整脈用剤原料、緩下剤原料の販売が好調に推移いたしました。また、受託品の血圧降下剤原料も好調に推移いたしました。
一般用医薬品原料市場におきましては、市場が低調に推移する中、輸入原材料価格が高止まりになっており、厳しい状況が続いております。
このような状況のもと、ビタミン剤原料などの提案を積極的に行った結果、新規採用が決まった他、鎮咳去痰剤原料や主力の血管収縮剤原料は堅調に推移いたしました。
香粧品原料市場におきましては、機能性を訴求するスキンケア商品の伸長や訪日外国人旅行者の増加により免税店での販売が堅調に推移いたしました。
このような状況のもと、主力原料の販売拡大をはじめ新規顧客の開拓、新規原料および受託原料の提案強化など積極的な営業活動に注力いたしました。その結果、主力原料の新規採用、受託原料の伸長もあり、全体としては堅調に推移いたしました。
この結果、当事業全体の売上高は171億8千2百万円(同1.9%増)、営業利益は10億4千4百万円(同4.5%増)となりました。
化成品事業
電子部品市場におきましては、スマートフォンの販売が鈍化する一方、通信インフラ関連は堅調に推移いたしました。自動車関連市場におきましては、消費税増税前の駆け込み需要と軽自動車税増税の影響により低調に推移いたしました。また、海外市場におきましても、中国で高機能スマートフォンやタブレット端末の売れ行きが鈍化するなど厳しい状況が続いております。
このような状況のもと、表面処理薬品は、高密度パッケージ基板向け薬品、硫酸銅めっき添加剤、チップ部品用錫めっき液の拡販に取り組みました。また、韓国および中国の販売拠点の体制整備、タイ工場におけるプリント配線板向け薬品の生産拡大と東南アジアにおける営業活動の強化に注力いたしました。その結果、国内では半導体向け薬品は生産量が増大し好調に推移いたしましたが、車載部品向け薬品は自動車生産台数の減少により低調に推移いたしました。海外ではチップ部品向け薬品がアジアにおける高機能スマートフォンやタブレット端末の生産鈍化による影響を受け、低調に推移いたしました。
この結果、当事業全体の売上高は70億5百万円(同13.4%減)、営業損失は5億6千5百万円(前連結会計年度は9千4百万円の営業損失)となりました。
食品原料・機能性食品事業
食品原料市場におきましては、輸入原材料価格の上昇などを要因とした加工食品の相次ぐ値上げや、それに伴う消費マインドの足踏み傾向の影響を受けるなど厳しい環境が続きました。
このような状況のもと、海外サプライヤーの新規原料の提案活動、関連会社製品の拡販活動および受託加工の獲得に注力いたしました。その結果、国内仕入品は糖化製品の新規顧客開拓、生鮮農産物の新規取扱い、フリーズドライ製品などの採用により好調に推移いたしました。輸入品は、乾燥野菜や冷凍野菜が主力顧客の安定需要を背景に伸長いたしましたが、酵母エキス製品は国内競合品の影響などで低調に推移いたしました。また、関連会社製品は主力のエキス系調味料の低調や受託加工の新規案件が遅れ低調に推移いたしました。
サプリメント原料市場におきましては、美容・エイジングケアを訴求した製品をはじめ、健康維持を目的とした製品需要の高まりや機能性表示食品制度などを背景に、市場は緩やかに拡大しております。
このような状況のもと、通信販売会社や製造受託会社などへの美容・エイジングケアを訴求する原料の提案活動をはじめ、自社原料の新規採用拡大および既存品の拡大に向けた営業活動を展開いたしました。また、機能性食品の開発に対する提案とインバウンド需要に対する安定供給に注力いたしました。その結果、自社原料および受託加工品の伸び悩みなどがありましたが、取扱い原料の新規採用と既存品の拡大により、全体としては好調に推移いたしました。
この結果、当事業全体の売上高は89億8千5百万円(前連結会計年度比11.5%増)、営業利益は3億5千4百万円(同11.0%増)となりました。
化粧品通信販売事業
化粧品通信販売市場におきましては、インターネットの普及やスマートフォンおよびタブレット端末の利用増加を背景に、市場は拡大傾向にあります。
このような状況のもと、メイク・スキンケアなどの新規商品の投入、既存商品に関してはスキンケア化粧品のお試しサイズの販売などに注力いたしました。また、新規顧客獲得を目的とした新規ネット広告の拡大を行うとともに、定期購入者向けの利便性向上に向けたウェブサイトの全面リニューアルを行いました。その結果、主力の化粧下地を中心として伸長いたしました。また、新規商品の販売は順調に推移いたしました。
この結果、当事業全体の売上高は18億8千万円(同0.0%増)、営業利益は2億1千1百万円(同242.0%増)となりました。
その他の事業
当事業全体の売上高は20億6千5百万円(同12.7%増)、営業利益は1千3百万円(同26.3%増)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローは増加、投資活動によるキャッシュ・フローは減少、財務活動によるキャッシュ・フローは減少、これに現金及び現金同等物に係る換算差額を加えた全体で3億7千6百万円の増加となり、当連結会計年度末における資金残高は43億8千2百万円(前連結会計年度比9.4%増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により増加した資金は24億4千8百万円(前連結会計年度比20億2千5百万円増)となりました。これは、主に、税金等調整前当期純利益6億6千9百万円、減価償却費9億4千6百万円、売上債権の減少額20億9百万円、たな卸資産の増加額2億4千9百万円、仕入債務の減少額5億9百万円、法人税等の支払額4億5千9百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により減少した資金は3億3千7百万円(前連結会計年比2億7千万円減)となりました。これは、主に、有形固定資産の取得による支出5億3千7百万円、有価証券の償還による収入2億9百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により減少した資金は17億3千4百万円(前連結会計年度は4億3千8百万円の増加)となりました。これは、主に、短期借入金の減少額12億円、長期借入れによる収入6億円、長期借入金の減少額7億3千万円、配当金の支払額2億1百万円等によるものであります。