訂正有価証券報告書-第68期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/07/15 13:55
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【項目】
177項目

研究開発活動

当社グループは、滋賀県南草津のニプロ・ライフサイエンスサイト内にて、医療機器ならびに医薬品の研究開発業務を当社が中核となり推進しております。
医療関連事業におきましては、2019年3月付で共同研究総括契約を締結した、東京大学医学部附属病院の敷地内に、東京大学ニプロ研究開発センターを開設し、「次世代に向けた革新的医療技術・機器の開発」を進めるため、専門各科の先生方と研究開発計画等を策定、共同研究開発を始動しました。
引き続き、医療従事者の方々が使用しやすい、新たな医療製品が生まれ育つよう取り組んでまいります。
一方、医薬関連事業においては、薬剤費の低減や医療の質の向上に対するニーズに応えるため、あらゆる疾患領域、剤形の先発医薬品を対象とし、高品質なジェネリック医薬品の開発を行っております。さらに、患者様にとって飲みやすさに配慮した口腔内崩壊錠や医療現場での取り扱いやすさに配慮したキット製剤などの付加価値製品の開発にも注力しております。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は18,652百万円であります。
セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
(1) 医療関連事業
主に当社の総合研究所および酵素センターが中心となって、以下の研究開発を行っております。
※汎用商品開発部門
大学、薬品メーカーで行われる動物実験等でキャピラリーを用いて採血する手技が行われます。その手技において安全で容易に血液を採取できる試験動物用採血針「HUMANEWAY(ヒューメニウェイ)」を販売いたしました。また、ニプロ輸液セットの新品種として、中間チューブ付き2Way瓶針タイプの700タイプをラインナップいたしました。
※循環器関連開発部門
カテーテルの「フィルトラップⅡ」について、ガイドエクステンションカテーテル「ガイドプラス」の併用を可能とする為に、先端構造を変更した「フィルトラップⅡGP」を開発いたしました。また、末梢血管治療におきまして、放射線被曝を避け、カテーテル検査室でモニターを見ながら、またはアンギオ装置との組み合わせにて治療が行うことが可能なモバイルエコー「ECHOMO」を販売いたしました。
低侵襲整形外科用のデバイスといたしまして、COVID-19により海外でのカダバートレーニングができなくなっている現状から、「内視鏡下脊椎手術トレーニングキット」を開発いたしました。
※透析関連開発部門
体外循環を行わない際に、カテーテルの血液流路内にヘパリンナトリウムを封入する手技の安全性・利便性を向上させた、ヘパリンナトリウムのプレフィルドシリンジ製剤を販売いたしました。
※検査関連部門
連続での心拍監視を可能にした心電送信機ココロンを販売し、専用アプリハートライン、HNLINEにも連携が可能となりました。また、ニプロハートラインTMは、在宅診療見守り、高齢者見守りからオンライン服薬指導、コロナウイルス感染症対策まで、様々なシーンでの運用が可能なシステムとしてリニューアルいたしました。
※診断薬関連部門
急性膵炎の補助診断として、尿中トリプシノーゲン2を検出する尿試験紙を開発し、保険収載されました。
※医薬包装関連部門
薬剤バイアルのアルミ部小径品を、アダプタ無しでも使用可能とするため、特定抗生物質の針穴詰まりを防ぐ新型ハーフキット製剤を販売しました。
また、経鼻投与用ネストシリンジを開発いたしました。
※細胞治療関連部門
細胞の凍結保存中の汚染リスクを低減できる閉鎖系凍結保存容器「フローズチューブ®」と、その容器から細胞を取り出すための専用のプラスチック針「エアベント針 VT-1」を製品化し、販売を進めております。
※医療研修関連部門
COVID-19感染拡大から、従来の多人数での集合研修を中止し、少人数研修へいち早く切り替え、受講者および講師にリモート参加いただき、受講者が”実習を体感できるオンライン研修”に取り組みました。
また、iMEP(ベルギー)では、世界中の医師を対象としたオンラインセミナーを開催し、日本側からも多数の医師にWEBにて参加いただきました。
また、オンライン型透析研修を始め、手技の実演と講義を織り交ぜたプログラムに加え、遠隔研修用設備による講師と受講生が会話しながら研修参加する形式が好評を得ております。
なお、当事業に係る研究開発費は8,798百万円であります。
(2) 医薬関連事業
主に当社の医薬品研究所が中心となって、以下の研究開発を行っております。
※注射剤
通常のバイアル製剤、バッグ製剤などに加え、医療現場での利便性向上を企図したキット製剤の開発も積極的に進めております。前立腺癌や閉経前乳癌などの治療に用いるリュープロレリン酢酸塩のダブルチャンバー型のプレフィルドシリンジ(1箇月製剤)(先発:「リュープリン」武田薬品工業)を既に販売しておりますが、この様な開発難易度が高い徐放性注射剤などの分野に注力して、開発を進めております。
なお、今期は、1成分2品目のバイアル製剤と、1成分1品目のプレフィルドシリンジ製剤のジェネリック医薬品を上市しました。
※経口剤
一般的な経口剤(錠剤、顆粒剤など)に加え、高難度な徐放性製剤の開発も行っております。一方、医療現場での利便性を高めるため、錠剤に成分名などを印刷する事や、個包装、アルミピロー包装などの包装仕様にも工夫を凝らした製品も提供しております。
なお、今期は、7成分18品目のジェネリック医薬品を上市しました。また、6成分16品目の製造販売承認を取得しました。
※外用剤
貼付剤など数品目のジェネリック医薬品の開発を進めております。
また、「皮膚に貼る注射剤」という今までにない新しい概念の経皮吸収製剤であるマイクロニードル製剤の開発に取り組んでおり、新たに治験薬製造ラインを立ち上げております。
なお、今期は、1成分2品目の吸入製剤と、1成分4品目の経皮吸収型テープ剤のジェネリック医薬品を上市しました。
※バイオ後続品
わが国において、急速に市場拡大しているバイオ医薬品ですが、一般的に高薬価で、医療費削減の観点から、より低薬価であるバイオ後続品の必要性が増大しています。これを踏まえ、品質等が先発と同等であり、価格的優位性を持つバイオ原薬企業と連携し、製品開発を目指しております。
なお、当事業に係る研究開発費は9,853百万円であります。