内部統制報告書-第94期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/18 14:30
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財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項

当社の代表取締役社長三谷忠照および最高財務責任者専務取締役財務担当西野誠治は、当社の財務報告に係る内部統制の整備および運用に責任を有しており、企業会計審議会の公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)」に示されている内部統制の基本的枠組みに準拠して、財務報告に係る内部統制の整備および運用にあたっております。
当社グループでは、遵法経営が企業価値向上に不可欠であるとの認識のもと、コンプライアンスを強化して不正な行為が生じないクリーンな社風を形成し、経営の透明性を確保することをコーポレート・ガバナンスの基本と考えております。
特に、2004年10月26日に開示しました過年度の不適切な取引に関しまして、重大な事態を生ぜしめたことを真摯に反省し、内部統制システムやリスク管理体制を見直し、不祥事防止のための内部統制機能の強化に継続的に取り組んでおります。
具体的には、当社CSR本部が主体となり、当社および連結子会社ならびに持分法適用会社において、健全なビジネスモラルの醸成につながるよう教育活動を継続的に推進する一方で、2011年8月より当社において自社開発のeラーニングシステムによる教育を導入し、受講の効率化を図ってまいりました。また、内部統制報告制度への対応として、これまで構築してきた社内システム(L2)を始めとした内部統制の仕組み仕掛けを当社および連結子会社に定着させることで、内部統制機能の実効性を高めてまいりました。
更には、当社事業部門と一体化していた業務部門を分離するため、2011年4月に業務本部を設置、業務プロセスの透明度が着実に高まるとともに、牽制機能の強化と業務品質の向上が図られたと実感しております。今後も、業務プロセスに対する牽制・統制機能の維持および強化を図るとともに、社内システムの活用により業務の標準化・パターン化、属人的業務の排除を全社レベルで定着させてまいります。
また、2007年度下期からは内部統制報告書の作成に向けて、財務報告に係る内部統制システムの有効性について当社監査室が評価し、その過程で発見された不備事項の是正をCSR本部にて支援してまいりましたが、2011年4月よりCSR本部と業務本部で不備の是正に向けた支援を共同で行い、是正の確実な履行を監査室が確認することで、企業集団内での統制強化を図っております。
また、2009年度末より強力に推し進めてまいりました月次等決算の早期化対応は、当社および連結子会社にて安定的に運用されるようになったことにより、誤謬があった場合の発見と是正が迅速に実施可能となり、スピード感ある経営の意思決定が行える体制を構築しております。
これらの取り組みは、金融商品取引法で義務付けられております内部統制報告制度への対応にも、充分適うものと考えております。
内部統制構築に向けての当社の取り組みは以下の通りです。
① 全社的な経営リスク管理体制の構築
2004年2月個人情報保護への取り組みをより一層強化するためにプライバシーマークを取得。
2004年4月~リスクマネジメントプロジェクトを発足し、当社の経営にとって重大な影響をもたらすリスクの洗い出し、評価、リスク対策の優先順位付けを実施。
2005年2月~優先順位の高いリスクより順次対策を実施。
2010年1月当社グループ全体における統一感ある人事に関する仕組み作りを推進すべく人事本部を設置。
2011年4月牽制機能の強化と業務品質の向上および効率的な業務支援を組織横断的に推進すべく業務本部を設置。
2012年3月㈱インテンザはオリジナル家具等のデザイン開発・設計・営業・製造・施工全般(主要部材は製造委託会社に外注する形態)の事業を行ってきたが、毎年繰り返される値下げ圧力に代表される外部環境の変化に加え、メーカー型物作りよりも販売重視に偏重したため各工程の極端な集中と混乱が生じ、加えて外注人件費の高騰も重なり2011年度に多額の営業損失を計上するに至った。そのためマーケットが求める付加価値に対し現状の組織体制・仕組み仕掛けでは応えられないと判断し、2012年3月に営業・施工部門を三谷住建販売㈱(現㈱インフィル)に譲渡、併せて同社を三谷住建販売㈱(現㈱インフィル)の子会社とする事業再構築を行い適正利益の確保を図ると同時に管理体制の強化を行った。
2013年4月建設関連事業と情報システム関連事業の個々のプロジェクトで生じているクレームやトラブル事例を基に改善事項を水平展開していくことが、安全性のさらなる向上に有効であると判断し、これまでの空調サービス本部と情報サービス本部を統合し、安心安全推進本部を設置。
2014年1月ベトナム子会社6社の業務管理の牽制強化および人事労務管理強化を図るべくAureole Expert Integrators Inc.を設立。
2014年3月事業継続計画の強化を図るため、東京本社について免震構造でかつ非常用発電機を備えたオフィスビルに移転。
2015年4月当社グループの統制・牽制に関する業務を行うサービス本部、企画本部および内部統制本部の部門相互の業務理解をより深め、部門の垣根を越えた業務遂行を推進していくために、3つの本部を統合したコーポレート本部を設置。
2018年4月当社グループの今後の取引先数の増加や事業部・関連会社の増加、業務の多様化・高度化・複雑化等に対する社会的責任やリスクの増大に対応するため、体制の整備と業務の効率化、本部員のレベルアップとノウハウ蓄積、新規事業に対しての積極的な関与とバックアップを行うため、コーポレート本部と業務本部の2本部を、新コーポレート本部、CSR本部、新業務本部の3本部に再編。

② 社内システム(販売・購買管理システム:L2)の再構築と内部統制機能の強化
2004年6月~次期社内システム構築プロジェクトを発足、事業部門の販売、購買業務プロセスを文書化・フローチャート化し、これを仕事定義書と名付け定着を推進。
2005年3月~内部統制機能を織り込んだ社内システム(L2)の開発に着手。
2006年8月全体システムのうち、第一弾として情報システム事業部のシステム(債権債務管理を除く)が稼動。
2007年4月~内部統制活動の有効性及び効率性の向上を図る組織として内部統制本部(現CSR本部)を発足。
2008年6月~債権債務管理を含めた全事業部のシステムが稼動し、当社の社内システム(L2)の再構築が完了。さらに連結子会社への展開に着手。
2009年1月三谷産業イー・シー㈱に社内システム(L2)導入。
2009年9月㈱インテンザに社内システム(L2)導入。
2009年12月三谷産業コンストラクションズ㈱に社内システム(L2)導入。
2010年9月相模化成工業㈱、アクティブファーマ㈱に社内システム(L2)導入。
2011年1月三谷住建販売㈱(現㈱インフィル)に社内システム(L2)導入。
これにより当社及び連結子会社のうち重要な事業拠点すべてに社内システム
(L2)導入が完了。
2013年1月㈱ミライ化成に社内システム(L2)導入。
2013年12月アドニス㈱に社内システム(L2)導入。
2016年10月三谷産業イー・シー㈱の民生ガス事業に社内システム(L2)導入。
2019年2月コンフィデンシャルサービス㈱に社内システム(L2)導入。

③ コンプライアンス体制の強化
2005年4月サービス本部(現コーポレート本部)内に法務部を総務部より分離独立させて設置。さらに監査役会専任スタッフを配置。
2005年6月新たにコンプライアンス規程を制定し、コンプライアンス委員会を発足。
2005年9月~当社のコンプライアンス教育を開始。
2006年6月当社グループとしての倫理観を社外に明確に打ち出すとともに当社グループの役員・社員一人ひとりの倫理意識の向上を目的に『三谷産業グループ 企業倫理憲章』を制定。
2006年9月~国内連結子会社に対するコンプライアンス教育を開始。
2007年4月内部統制本部(現CSR本部)を新たに設立すると同時に同本部内に法務部を移設。
2007年11月~コンプライアンスに関する社員の意識調査を実施し、その結果を踏まえ教育活動を繰り返し実施。
2010年1月~海外連結子会社に対するコンプライアンス教育を実施。
2011年8月~教育環境の充実と受講の効率化を目的とし、当社のコンプライアンス教育・情報セキュリティ教育においてeラーニングシステムの利用を開始。

なお、内部統制は、その各基本的要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで、その目的を合理的な範囲で達成しようとするものであるため、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止または発見することができない可能性があります。

評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項

財務報告に係る内部統制の評価は、当事業年度の末日である2019年3月31日を基準日として行われており、評価に当たっては、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠しております。
本評価においては、連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制(以下、「全社的な内部統制」)の評価を行った上で、その結果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを選定しております。当該業務プロセスに係る内部統制の評価におきましては、選定された業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別し、当該統制上の要点について整備および運用状況を評価することによって、内部統制の有効性に関する評価を行っております。
<財務報告に係る内部統制の評価範囲>当社および連結子会社ならびに持分法適用会社についての評価範囲は、財務報告に対する金額的および質的影響の重要性を考慮し決定いたしました。
① 全社的な内部統制
企業全体に広く影響を及ぼし、企業全体を対象とする全社的な内部統制は、財務報告に対する影響の重要性が僅少である事業拠点以外の当社および連結子会社ならびに持分法適用会社を評価の対象といたしました。
② 全社的な観点から評価することが適切な決算・財務報告プロセスに係る内部統制
全社的な観点から評価することが適切な決算・財務報告プロセスに係る内部統制については、全社的な内部統制と同様、財務報告に対する影響の重要性が僅少である事業拠点以外の事業拠点を評価の対象といたしました。
この内、当社コーポレート本部財務部に決算業務を委託している連結子会社については、コーポレート本部財務部における決算・財務報告プロセスに係る内部統制を評価対象といたしました。
③ 業務プロセスに係る内部統制
当社グループの事業目的に大きく関わる勘定科目(売上高、売掛金および棚卸資産)に至る業務プロセスとして販売業務プロセス、購買業務プロセスに係る内部統制を評価対象といたしました。
これらの業務プロセスに係る内部統制の評価対象とすべき重要な事業拠点の選定に関しましては、各事業拠点の前連結会計年度の売上高、(連結会社間取引消去後)の金額が高い拠点から合算していき、前連結会計年度の連結売上高の概ね2/3に達している事業拠点および質的に重要と認識している事業拠点(当社を含む5事業拠点)を、また、前連結会計年度の総資産または税引前当期純損益の持分相当額が連結総資産または税金等調整前当期純損益の10%を超える持分法適用会社および質的重要性が高い持分法適用会社を選定、評価の対象といたしました。
なお、選定された事業拠点は、これら基準による当連結会計年度の数値に基づく評価範囲をカバーするものであります。
また、財務報告への影響を勘案して、②に記載した全社的な観点から評価することが適切な決算・財務報告プロセス以外の決算・財務報告プロセス(以下、「固有の決算・財務報告プロセス」)に係る内部統制を、その重要性から個別に評価対象に追加し、売上高を基準として重要な事業拠点と選定された当社を含む5事業拠点について評価を実施いたしました。(内、連結子会社4社についてはコーポレート本部財務部における決算・財務報告プロセスに係る内部統制として評価)
④ IT全般統制
販売、購買業務プロセスおよび決算・財務報告プロセスにおいて利用されているシステムに係るIT全般統制は、重要な事業拠点と選定された当社を含む5事業拠点の評価対象業務プロセスにおいてITによる自動化統制が運用されているシステムを評価対象とし、当該システムをIT基盤ごとにグルーピングして評価を実施いたしました。

<財務報告に係る内部統制の評価>当社グループでは、前述の通り、社長直轄の監査室が「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)」に基づき、内部統制の整備・運用状況の評価を実施いたしました。
CSR本部および業務本部は、監査室の評価により認識された不備について、各事業拠点が実施する是正を支援するとともに、内部統制の不備の評価とその是正活動が適切に行われていることを確認いたしました。
① 全社的な内部統制
全社的な内部統制は、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」に例示された42項目の評価項目に基づき、整備・運用状況を評価いたしました。
その結果、全社的な内部統制は有効と判断いたしました。
② 全社的な観点から評価することが適切な決算・財務報告プロセスに係る内部統制
全社的な観点から評価することが適切な決算・財務報告プロセスに係る内部統制につきましては、会計方針・マニュアルの整備、決算体制等に関する質問書を作成し、整備・運用状況を評価いたしました。
その結果、全社的な観点から評価することが適切な決算・財務報告プロセスに係る内部統制は有効と判断いたしました。
③ 業務プロセスに係る内部統制
販売、購買業務プロセスに係る内部統制につきましては、販売、購買業務プロセスを文書化・フローチャート化した仕事定義書を作成し、各業務におけるリスクとこれに対する内部統制をリスクコントロールマトリックス(以下、「RCM」)として取りまとめ、これらを用い、業務担当者への質問や書類の閲覧により整備状況を評価、サンプリングテストにより運用状況を評価いたしました。
持分法適用会社につきましては、各業務プロセスに係る内部統制に関する質問書を作成、これに対する回答や質問、書類の閲覧により整備・運用状況の評価を実施いたしました。
固有の決算・財務報告プロセスに係る内部統制は、販売、購買業務プロセスと同様に、仕事定義書およびRCMを用いて整備・運用状況の評価を実施いたしました。
これらの結果、販売、購買業務プロセス、また、固有の決算・財務報告プロセスに係る内部統制は有効と判断いたしました。
④ IT全般統制
業務プロセス等に係るシステムの開発・保守、運用・管理、アクセス管理などのIT全般統制について、重要な業務が処理されるIT全般統制環境の概要を記述したIT環境概要書およびRCMを作成し、整備・運用状況の評価を実施いたしました。
その結果、IT全般統制は有効と判断いたしました。

評価結果に関する事項

上記の評価の結果、当事業年度末日時点において、開示すべき重要な不備は無く、当社の財務報告に係る内部統制は有効であると判断いたしました。