有価証券報告書-第50期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/23 10:31
【資料】
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【項目】
127項目

研究開発活動

公共建設投資が減少から増加に転じ、建設業界の業績は上向きつつあります。受注金額の低下傾向には、ブレーキがかかったものの、当社が関わるビジネス領域では価格競争の流れは継続し、積極的技術革新が求められる環境に大きな変化はありません。
建設投資の軸足が新設からメンテナンスへと確実に移行しつつある現実を踏まえつつ、当社グループは固有の技術の上に、将来、核となるべき新技術・新工法の積極的導入及び知的財産の有効活用も視野に入れ、全社を挙げて取り組んでおります。
当社グループの研究開発は当社技術部を中心に行っており、子会社においては、当社の研究開発活動に参加して共同で技術開発・改良を行い、社会的ニーズに応えることをモットーとしております。
現在の研究開発は、ファスナー事業、土木資材事業、建設事業の3事業における新商品開発のみならず、材料と施工は常に一体であるとの基本理念の下で、商品を用いた効率的な施工方法の研究および施工機器の開発にまで及んでおります。
なお、当連結会計年度末におけるグループ全体の研究開発費は、101,068千円であります。
当連結会計年度末における主要な研究開発課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。
(1)ファスナー
あと施工アンカーは、当社の基盤となる重要技術であり、アンカー単体はもとより、付属する部材や関連部材についても保有技術を応用した各種工法の研究開発を継続しております。中でも地下構造物せん断補強工法「RMA」について「適用範囲を拡大し、かつ補強有効率高めた」建設技術審査証明を今期更新取得し、競争力を一段と高めた事業展開が可能となりました。本案件については、さらに適用範囲の拡大に向けた研究開発を継続してまいります。
また、市場から求められている各種の緩み止め機能付き商品の改良・開発や施工性・確実性・長期耐久性に着目したあと施工アンカーの研究開発を進め、「ホークカクテイアンカー」シリーズ、「GL電動ガン」等を上市致しました。
今後も市場の声を製品に反映することに注力し、順次新商品を上市してまいります。
(ファスナー事業研究開発費 74,278千円)
(2)土木資材
山岳トンネル向けのロックボルト、各種補助工法、防水シートの改良開発を継続するとともに、今期はトンネル掘削時に切羽近傍の地山変形の大局的に目視で把握できる簡易計測表示システム「シグナルワッシャ」を上市いたしました。
また、ロックボルトで培われた技術を応用した戸建て住宅の不同沈下対策技術を共同開発し、販売を開始いたしました。このほかにも、導水シート「リムド」「タマゴパックドレン」を上市したほか、老朽化したガードレール支柱の簡易補修工法の共同開発を概ね完了し、来期の市場投入を目指しております。
来期も、各種の新設・補修プロジェクトにおいて求められる技術開発に継続して取り組んでまいります。
(土木資材事業研究開発費 18,478千円)
(3)建設
トンネルの内装工、耐火工、背面空洞充填工、コンクリート補強工等に適用する材料、工法、機器の改良開発を継続しております。今期はトンネル監査廊の内装工法「改良RDN工法」、「コンクリートはく落防止シートShiem-CS工法」にリサイクルPETを適用するRタイプ、恒久的な止水工法「ガイナARC工法」、覆工コンクリート施工継ぎ目用導水機能付きはく落防止工法「ガイナメッシュ」、太陽光発電パネル設置の基礎に用いる簡易杭「Kスクリュー」等を上市いたしました。
また、画像解析技術を工事管理や道路管理に応用する異業種共同開発を進めており、来期中には市場へ投入できる見通しとなりました。
「需要が高まっている既設トンネルの補修補強工事」に総合的に取り組むことができる体制を強化する技術開発のほか、橋梁や斜面等の「基礎分野」の補修補強保有技術のさらなる改良と新工法開発を継続してまいります。
(建設事業研究開発費 8,311千円)