有価証券報告書-第62期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/18 16:23
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128項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可 能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度現在において当社グループが判断したものです。
(1)事業環境について
全社的な当社を取り巻く環境として、少子高齢化や人口減少に伴う労働者人口減少の時代を迎え、生産性の向上が喫緊の課題となっております。さらに、世界的な新型コロナウイルス感染症の影響が長期化するなか、経済・社会環境の変化に対し柔軟な対応が必要となっております。また、クラウドの活用が進展しハードウェアからソフトウェアへの流れは今後も継続し、当社のビジネスモデルも変革を迫られております。各事業については、フィンテックの進化、消費税法改正や地方公務員法改正に代表される法制度の変化、キャッシュレス化の進展、働き方改革、次世代移動通信システムへのサービス移行等が、当社の今後の業績に影響を与えるものと考えられます。
このような環境の下、当社グループは、中期経営計画「NEXT STAGE 2023 - HENCA SINCA SOZO -」を2021年5月に策定し、その達成に向け取り組んでおります。
当社グループが強い事業領域と位置付ける地方銀行を中心とする金融機関においては、低金利の長期化や法改正の影響等を受け、また地方百貨店においても地方経済の低迷により厳しい状況が続いており、事業環境は楽観視できない状況が続いております。当社グループでは、業務効率化や事業拡大につながる様々なソリューションの提供により取引先の収益に貢献できるように取り組んでおりますが、厳しい事業環境が継続することで取引先の業績に大きな影響を及ぼし続ける場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。戦略商品であるキャッシュレス決済事業の拡大に取り組んでおりますが、マルチ決済端末「iRITSpay決済ターミナル」の導入先となる加盟店の経営状況、半導体市場の動向、競合の激化などの問題により事業拡大が進展しない場合においては、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。また、M&A案件に業績面や財務面での問題が生じた場合などに、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。AIやブロックチェーン等の新技術を獲得し、それを活用した新商品の販売を目指していきますが、技術開発が十分に進まず、競合他社に先行された場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(2)競合について
当社グループは、事業戦略展開分野を金融業界向けシステムや、流通・小売業界向けシステム等に関連する分野に集中することにより他社と比べ優位なシステムノウハウを蓄積し、その分野で独自のソリューションとネットワークインフラを含むハード・ソフトのトータルサービスを提供しております。しかしながら、既存の大手コンピュータ・メーカーや専業システムインテグレーターとの競合が厳しくなっております。また、当社グループは質の高いソリューションを提案することにより売上の拡大を図っておりますが、情報通信機器類の価格の低下に伴い単価の引き下げ圧力が強まっております。このような企業間競争のさらなる激化と販売価格の下落傾向が続いた場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(3)為替相場の変動について
当社グループの商品仕入の約3割が輸入であり、主に米国ドル建ての取引となっております。当社は、為替相場の変動によるリスクを軽減するため、先物為替予約取引を外貨建買掛金等および発注高の範囲内で行っております。先物為替予約取引の契約先は、いずれも信用度の高い国内の銀行であり、相手先の契約不履行による、いわゆる信用リスクはほとんどないと判断しております。
しかしながら、先物為替予約取引により為替相場の変動による影響を緩和することは可能であっても、間接的な影響を含め、すべてのリスクを排除することは不可能であり、円安傾向が続くとコストアップ要因となることから、為替相場の変動により当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(4)システム(商品)開発、品質管理について
当社グループの取扱う情報通信機器類のライフサイクルは、年々短くなる傾向にあります。当社グループは、国内外から最新の情報技術および機器類を仕入れ、お客様へ提供しておりますが、技術進歩に遅れをとった場合や商品戦略を誤った場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。また、当社が保有する2年以上経過した在庫品については、売却可能性がない場合は廃棄処分とし、在庫水準の適正化に努めております。
当社グループが独自開発し、高いシェアを確保しております特許権が成立していないシステム等で、類似品や競合品の出現により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
また、当社グループはニーズに合ったパッケージシステムおよびお客様の要求事項に基づくソフトウェアの開発、製造ならびに保守(ハード、ソフト)サービス等を行っておりますが、それらの品質管理を徹底し、お客様に対して品質保証を行うとともに顧客満足度の向上に努めております。さらに当社では「ISO9001(2015年版)」の認証を取得し、品質マニュアルおよび品質目標を設定することにより、品質管理の徹底を図っております。また、情報セキュリティマネジメントシステム国内標準規格「ISO27001(2013年版)」の認証を取得し、お客様へのサービス向上に努めております。しかしながら、当社グループの提供するサービス等において品質上のトラブルが発生した場合には、トラブル対応による追加コストの発生や損害賠償により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(5)情報管理について
当社グループは、お客様の了解を得た上で、個人情報を含む重要情報に接する機会があります。
当社では、プライバシーマークの取得に加え、自社開発の「入退室管理システム」やPCの操作ログを見える化する「CATサポーター」を全社に導入し、情報管理を徹底しております。管理体制としては、各事業部長が情報管理責任者となり担当部門内のセキュリティ管理の責任を負うとともに、各部署に情報管理担当者を配置しております。引き続き情報管理には万全の対応を図ってまいりますが、万一、当社から重要情報が流出するような事態が生じた場合には、事業の継続に重大な影響を及ぼす恐れがあります。
(6)自然災害等について
当社ではデータセンターを東京と大阪に設置しており、大規模地震等を想定した事業継続計画(BCP)の整備、安否確認システムの導入、耐震対策、防災訓練等の対策を講じておりますが、大地震等により防災管理体制の想定範囲を超えるような災害が発生した場合には、停電・通信回線の障害等の不測の事態により業務の遂行に影響を及ぼす恐れがあります。
なお、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延により、当社においてもテレワーク等の勤務体制の変更、出社時における検温・マスク着用・アルコール消毒等の励行、事業の分散運営等により社員の安全の確保に努めておりますが、感染の再拡大や影響がさらに長期化した場合、受注活動やソフトウェア開発の遅延により当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(7)業績の季節変動について
当社グループの属する情報サービス業においては、お客様への出荷や納期が9月および3月に集中する傾向があります。これにより、連結会計年度における各四半期の売上高、営業利益等との間に変動があり、今後も同様の傾向が続く可能性があります。
前連結会計年度および当連結会計年度の業績変動の状況は以下の通りであります。
前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期連結会計年度計
売上高(千円)2,729,7283,605,3753,677,9945,226,37115,239,470
(構成比)(17.9%)(23.7%)(24.1%)(34.3%)(100.0%)
営業利益(千円)192,327475,031205,032856,1871,728,578
(構成比)(11.1%)(27.5%)(11.9%)(49.5%)(100.0%)
経常利益(千円)228,745491,572243,717875,9361,839,971
(構成比)(12.4%)(26.7%)(13.3%)(47.6%)(100.0%)

当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期連結会計年度計
売上高(千円)3,429,3854,014,9583,560,6095,285,01716,289,970
(構成比)(21.1%)(24.6%)(21.9%)(32.4%)(100.0%)
営業利益(千円)289,733567,915422,436906,7852,186,871
(構成比)(13.2%)(26.0%)(19.3%)(41.5%)(100.0%)
経常利益(千円)320,601586,672472,796937,6442,317,713
(構成比)(13.8%)(25.3%)(20.4%)(40.5%)(100.0%)

(8)業務提携等について
当社グループは、今後も当社グループ事業の拡大と安定を図るための業務提携等を積極的に進めていく方針ですが、当社グループが当初想定したシナジー効果が生じない場合や提携・出資先企業の業績によっては、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(9)株式価値の希釈化について
当社は、過去に会社法第236条、第238条および第239条の規定に基づく新株予約権を発行しておりますが、権利行使がなされた場合、株式価値の希釈化が起こり、当社株価に影響が出る可能性があります。なお、当社は敵対的買収防衛策として、2006年6月開催の定時株主総会において当社株式の大規模買付行為への対応策を導入することを決議し、2019年6月21日開催の株主総会で、その改訂を決議しておりますが、当該諸条件が満たされない場合は無償割当ては行われませんので、株主および投資家の皆様の権利・利益に直接的な影響が生じることはありません。
当該諸条件が満たされた本新株予約権無償割当てが実施された場合、当社取締役会が別途設定する割当期日における株主の皆様に対し、その保有する株式1株につき2株の割合で本新株予約権が割当てられますので、当該株主の皆様につきましては株式の希釈化は生じません。
本新株予約権の割当て後、当社は、敵対的性質が存する買付者以外の株主の皆様の本新株予約権を取得する手続きを取り、その旨該当する株主の皆様に通知いたします。株主の皆様は、金銭等を払い込むことなく、当社による本新株予約権の取得の対価として当社普通株式を受領することになります。一方で、敵対的性質が存する買付者に割当てられた本新株予約権につきましては、当社はこれを取得しません。また、当該買付者が有する本新株予約権は行使することができません。以上の結果、当該買付者はその保有する当社株式について議決権割合が低下するのみならず、経済的に著しい損失を被ることになります。