有価証券報告書-第59期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 15:06
【資料】
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【項目】
147項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、お客様の課題解決と価値創造のために、グループシナジーを最大限に発揮し、創意と誠意をもって価値ある技術を基にした情報・商品・サービスをよりスピーディーに提供できるNo.1企業を目指してまいります。
(2)経営戦略等
当社グループの主要なお客様の多くが係わる半導体市場及び半導体製造装置市場では、短期的な調整局面は想定されるものの、5G(次世代通信規格)の本格的普及の他、IoTやAI(人工知能)などの新たな技術による半導体需要の増加等を背景とした中長期的な成長が見込まれております。
このような事業環境のもと、当社グループには、より一層の技術革新や製品コスト競争力のほか、幅広い需要の変化への対応力や提案力が求められると考えられ、グループシナジーを最大限に発揮して、「トータル サプライチェーン プランナー企業」としての経営基盤を構築するため、引き続き、商社機能、製造機能、R&D機能、保守メンテナンス機能の4つの機能の強化、充実を図り、当社グループの更なる価値向上を目指して取り組んでまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、重要な経営指標を多面的、総合的に判断すべきと考えています。
当社グループは、半導体市場や半導体製造装置市場における半導体の需要動向の影響を強く受ける傾向にありますが、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、連結配当性向25%程度を目標としながら、業績に応じた配当を継続することを基本とし、企業価値の向上を重視した経営を行ってまいります。
(4)経営環境
現在、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により国内外の経済活動は大きな影響を受けており、今後ともその動向を注視することが必要となっておりますが、当社グループの主要なお客様の多くが係わる半導体市場や半導体・FPD製造装置市場におきましては、5Gの本格的な普及に向けたロジック/ファウンドリ系半導体の需要増に加え、データセンター向けのメモリ投資も回復傾向にある他、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための対応を契機としたテレワーク及びオンライン授業の加速や医療機器向けのIC需要拡大など、IoT、AI、5Gを中核に引き続き中長期的な成長が見込まれております。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループを取り巻く事業環境からみた課題は、短期的には、新型コロナウイルス感染症の拡大による業績、財務状況に対する影響への対応及び、社員の感染等による事業継続リスクへの対応があります。
また、中長期的には、5Gの本格的な普及やIoT、AIの拡大等による半導体需要の増加等を背景とした半導体市場及び半導体製造装置市場の中長期的な成長への対応があります。
[短期的課題:新型コロナウイルス感染症の拡大による影響への対応]
① 需要減少等による業績や財務状況に対する影響への対応
現在、売上等の業績や財務状況に特段の影響はございません。
しかしながら、今後、お客様の需要等が縮小した場合に備え、生産性の向上や合理化、コストダウン等の施策を進めております。また、財務面では、現預金の潤沢な確保を行っておりますが、急激な資金需要に備え、別途、各金融機関にコミットメントラインを設定しております。
② 社員の感染による事業継続リスクへの対応
本年1月末に新型コロナウイルス感染症の拡大に備えるため、社長執行役員を本部長としたBCP(事業継続計画)対策本部を設置し、いち早く、テレワーク、時差出勤、公共交通機関利用を控えた車輛による通勤、日々の消毒、出勤前の健康状況確認の他、様々な感染予防、感染拡大防止に向けた施策を立案、実施しております。

③ サプライチェーン上の支障発生への対応
商品や資材の調達等、サプライチェーン上の支障発生の場合に備え、お客様や仕入先様とのコミュニケーションを図り、安定した在庫の確保を行い、影響の最小化を図っております。
[中長期的課題:半導体市場及び半導体製造装置市場の中長期的な成長への対応]
前期に引き続き、以下の3施策を行ってまいります。
① トータル サプライチェーン プランナー企業としての基盤構築
グループシナジーを最大限発揮できるトータル サプライチェーン プランナー企業としての経営基盤を構築するため、引き続き、商社機能、製造機能、R&D機能、保守メンテナンス機能の4つの機能の強化、充実を図り、当社グループの更なる価値向上を目指します。
《商社機能の強化》
技術商社として、お客様の幅広いニーズの先取りに注力し、蓄積されたノウハウに基づく技術提案型営業により、単なるサプライヤーとしてではなく付加価値を提供するバリューチェーンにて仕入先様とお客様を繋いでまいります。
また、今後の受注増加に即した物流センターの建設等の設備投資を推し進めるとともに業務の効率化、合理化を図り、市場における当社の優位性を構築してまいります。
《製造機能の強化》
当社グループが従来から取り組んでいる(*)MDMS機能の一層の強化を図り、受託製造から自社開発に至るまで、多彩な製品ラインナップを可能にする、高生産力メーカーとしての製造機能強化に取り組んでまいります。
《R&D(Research & Development: 研究開発 )機能の強化》
お客様の様々なニーズやその変化を先取りすることができるよう、R&D機能の強化に取り組んでまいります。
当社グループの中核事業である半導体関連事業は勿論のこと、今後成長が期待される新しい商品、市場、事業に関する情報も幅広く調査・収集し、研究・分析・蓄積してまいります。
こうして蓄積した情報データを活用し、技術力、開発力の向上を図りながら、新市場、新商品開発にも積極的に挑戦してまいります。
《保守メンテナンス機能の強化》
MDMS機能の一角を担う保守メンテナンス機能の強化を図り、お客様満足度の一層の向上を図ってまいります。
(*)MDMS機能(Mechatronics Design & Manufacturing Services)とは、当社グループの調達・販売機能と受託製造機能を一体化させ、さらに外部ネットワーク等を活用し、主要なお客様である装置メーカーに「設計から製作・設置、保守・維持管理まで」を一貫して提供する機能のことであります。
② 人材の育成
トータル サプライチェーン プランナー企業を支えるために教育・研修の充実により、営業における提案力、コンサルティング能力や製造における設計力・開発力・技術力など高い専門性を有する人材の育成を図り、市場における優位性を確保してまいります。
③ 経営管理体制の強化
コーポレートガバナンス・コードの趣旨に沿った当社のコーポレートガバナンス方針を着実に実践し、経営管理体制の継続的な改善を行うことで、その強化を図ってまいります。
コンプライアンス、情報管理、リスク管理、財務管理等の実効性のある運用を実践することで、内部統制システムにおける各体制の強化、充実を図ってまいります。
グループ最適化の観点から間接部門を中心に事業経営の合理化を推進してまいります。