有価証券報告書-第79期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/25 16:29
【資料】
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【項目】
117項目

業績等の概要

(1) 業績
当期の経営環境は、政府の経済政策や日銀の金融政策などにより、企業収益や雇用情勢に改善が見られ景気は緩やかな回復基調が続きました。一方で消費税率引き上げの影響に加え、円安にともなう物価上昇や実質賃金の低下などにより消費マインドの回復は遅れ、個人消費は先行き不透明な状況が続きました。
このような環境のもと、当社グループでは3ヵ年の中期経営計画をスタートし、平成28年度の連結営業利益360億円以上、ROE6%以上を目標に収益力強化に向けた施策をすすめ、企業価値向上に取組んでまいりました。
この結果、当期の連結売上高は4,049億47百万円(前期比2.8%減)となりましたが、売上総利益は、カード事業の好調が寄与し1,581億44百万円(同1.6%増)となり、営業利益は280億42百万円(同3.3%増)、経常利益は280億2百万円(同1.1%増)とともに6期連続の増益となりました。また、特別損失に利息返還損失引当金繰入額126億52百万円を計上いたしましたが、特別利益に投資有価証券売却益を120億94百万円計上したことなどにより、当期純利益は160億36百万円(同4.1%増)と4期連続の増益となり、1株当たり当期純利益は58円87銭(同4.6%増)となりました。
セグメント別の状況は次のとおりです。
(小売・店舗事業)
小売・店舗事業では、少子高齢化や消費者ニーズがモノからコト・サービスへ大きく変化するなかで、これまでの若者・衣料品を中心とした商売の見直しをすすめ、年代を越えた幅広いお客様の様々なライフスタイルニーズにお応えすることで、ご利用客数の拡大をめざしております。
店づくりでは、消費環境の変化に対応するため、従来の仕入販売中心の百貨店型店舗から、定期借家契約によるテナント導入により、ライフスタイル全般をカバーする丸井独自のショッピングセンター(SC)型店舗への転換をすすめてまいりました。初のSC型店舗としてリニューアルした「町田マルイ」は、地域のお客様の声を取り入れ、雑貨や飲食カテゴリーを強化したことで客層が拡がり、オープン以降の入店客数は1.3倍、買上客数は2.6倍と前年を大きく上回って推移いたしました。今後もSC型店舗への転換は、全館改装や売場区画ごとの改装など、店舗の状況に応じた最適な手法により順次拡大してまいります。
また、九州初出店となる博多新店については、来年春の開業に向け、地域のお客様との企画会議やアンケートを数多く重ね、新しいマルイの店づくり、モノづくりを着実にすすめております。
商品面では、お客様と一緒に開発した新PB商品の拡大に努めてまいりました。とりわけレディスシューズは、お客様参加の企画会議を繰り返し実施するとともに、靴の総合コミュニティサイト「シューズLABOプラス」でも、多数のご意見・ご要望をいただきながら新商品の開発をすすめてまいりました。テレビCMと連動し、売場において履き心地の良さや豊富なデザイン・サイズ展開の訴求を強化したことで、平成22年に販売をスタートした「ラクチンきれいパンプス」は、累計販売点数が180万足を超える商品に成長いたしました。
増加している訪日観光客への販売促進策としては、海外提携先とのカード会員の相互送客や優待サービスの拡充により、ご来店客数の増加に取組んでまいりました。
以上の結果、売上高は3,076億11百万円(前期比6.2%減)と、消費税率引上げの影響に加え、SC化の推進により従来の商品売上高が賃料収入に置き換わることなどから減収となりました。利益面では、固定費の削減をすすめましたが営業利益は80億74百万円(同23.6%減)となりました。
(カード事業)
カード事業では、カード会員の拡大とお得意様づくりによるご利用額の拡大をすすめ、事業基盤の強化に取組んでまいりました。
カード会員の拡大では、丸井店舗での募集に加えネット入会を強化したほか、企業や商業施設との提携カードやファンクラブカードなど、エポスカード独自の「コラボレーションカード」により様々なチャネルを開拓し全国展開を着実にすすめてまいりました。
「コラボレーションカード」では、来年春の博多新店の開店に向けて重点的に取組んでまいりました九州地区において、新たに福岡ソフトバンクホークス株式会社様、九州旅客鉄道株式会社様との提携により提携先は5社となり、九州地区の会員数は約8万人まで拡大いたしました。また、「MONA新浦安」(千葉県)、「させぼ五番街」(長崎県)など商業施設との提携では、丸井店舗でのノウハウを活かしたカード会員向け優待セールやポイント付与により、施設の集客や売上増にも貢献するなど順調にスタートいたしました。
ネットからの入会は、全国規模のテレビCMに加え、入会申込み専用アプリの提供や丸井店頭でのカード受取りサービスの開始などにより順調に拡大いたしました。
このような取組みにより、丸井グループ外での入会が前年の1.6倍と新規会員の約2割までに拡大し、カード会員数は前期比9.0%増の591万人となりました。
お得意様づくりでは、支払照会やお得なキャンペーンに簡単にアクセスいただける「エポスカード公式アプリ」の配信開始や、ゴールドカード会員向けに人気公演や宿泊施設の会員優待を充実させるなど、サービスの向上につとめてまいりました。
以上の結果、ショッピングでのご利用額は前期比15.9%増と引き続き高伸長し、また、カードキャッシングの取扱高も前期比7.5%増と着実に拡大したことから、エポスカードの取扱高は平成18年の発行スタート以来、初めて1兆円を突破し、年間取扱高は1兆1,138億円(前期比14.8%増)となりました。
なお、利息返還については、増加傾向であった請求件数が第2四半期をピークに減少に転じたことにより、将来発生が見込まれる利息返還についてより合理的な見積りが可能になったため、利息返還損失引当金の再計算を行い、引当金繰入額126億52百万円を特別損失に計上しております。
さらに、家賃保証や銀行ローン保証などの関連ビジネスについても順調に拡大したことから、カード事業の売上高は706億23百万円(前期比14.3%増)、営業利益は201億26百万円(同28.7%増)と3期連続の増収増益となりました。
(小売関連サービス事業)
小売関連サービス事業では、商業施設の開発・運営など丸井グループで培ったノウハウと専門性を活かし、お取引先との継続的な取引を強化してまいりました。しかしながら、前期に内装工事の大口受注があったことなどにより、売上高は561億49百万円(前期比5.6%減)、営業利益は33億33百万円(同26.3%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が240億1百万円と前期より20億75百万円減少したものの、カード事業において、債権流動化による資金調達を行ったことで営業債権の増加による支出が164億70百万円と前期より272億83百万円減少したことなどにより、123億10百万円の収入(前期は92億27百万円の支出)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出が108億74百万円と前期より14億34百万円増加したものの、投資有価証券の売却による収入があったことなどにより、前期より29億23百万円減少し38億67百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の増加による収入が129億12百万円と前期より80億53百万円減少したことや、自己株式の取得による支出が150億16百万円あったことなどにより、72億67百万円の支出(前期は161億41百万円の収入)となりました。
以上の結果、当期末の現金及び現金同等物は、312億29百万円となり前期末に比べ11億76百万円増加いたしました。