四半期報告書-第62期第1四半期(平成27年4月1日-平成27年6月30日)

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2015/08/13 9:07
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)業績の状況
当社を取巻く事業環境は、エネルギーの自由化に対するリアリティーが増すと共に、最近では明らかに従前とは異なる様相を呈して参りました。エネルギー業界の様々な領域で、垣根を越えた合従連衡に関わる発表がなされ、電気とガスのセット販売、通信とエネルギーのセット販売を中心に、異業種連携の議論が活発に報道されて来ています。
当社に於きましては、長年この自由化を目途に必要な構造改革を進めて参りました。まずは電気とガスのセット販売に向けてのプラットフォーム(利用者獲得のための仕組み)を、消費者サイドから見て、安全と安定供給を担保しつつ、新たな付加価値や利便性に資するプラットフォームに仕上げる事が、極めて重要であると考え様々な連携協議を進めています。この事に現在、実践の場で様々な検証試験を繰り返しております。異なるエネルギー事業や異業種とのボーダレスな連携運用を、効率的に機能させるためのICT(情報通信技術)クラウドシステム開発は、その中でも最重視をして取り組んで来た所であります。まだまだ課題は多いものの、全体をクラウド対応で進めていることで、従来のバックヤードの効率性とは、格段に差のある事業効率性と保安システムの高度化が実現し、決算内容に色濃く反映されております。当社における異業種連携議論は、電力の自由化まで一年、都市ガスの自由化まで二年を切った状況で、現在最後の仕上げに入っており、自由化後の労働生産性のタイトな競争環境に耐え得る、且つ地域のエネルギー事業者との連携シナジーを創出するための、様々な要件をシステムに取り込む作業を推進中であります。
一方で、海外の自由化市場で厳しい戦いに挑戦し体得した知見を活かし、プロテクトメンバーサービスなど新たな営業パッケージを次々と実践の場に投入し、戦術的差別化やブランディング戦略の取り組みを続けながら、資本市場の厳しい要請に応える形で、企業統治の取締役会改革をコーポレートガバナンスコードに準拠した形でいち早く進め、資本市場との会話を重視したIR活動にも注力して参りました。今期は自由化に向けて、資本市場を意識した将来の企業価値創出のためのセットアップ投資に、従前にも増して注力して参ります。
当第1四半期連結累計期間の売上高につきましては、お客様数は順調に増加いたしましたが、ガス販売量が高く推移した気温・水温の影響を受け前年同四半期に比べ減少したことに加え、LPガス事業において原料価格の低下をお客様に還元したこと等により、287億9千万円(前年同四半期比6.9%減)となりました。
なお、当第1四半期連結会計期間末の当社グループのお客様数は、前年同四半期末に比べ43千戸増の1,121千戸となっております。
利益面につきましては、業績の向上に貢献した社員にインセンティブを与えることを目的とした新人事制度の導入に伴う労務費の増加がありましたものの、原料価格が前年同四半期に比べ低く推移し売上原価が減少したこと等により、営業利益は35億6千1百万円(前年同四半期比65.0%増)、経常利益は34億3千8百万円(同66.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は22億1千5百万円(同78.7%増)と、いずれも大幅な増益となりました。
なお、当社グループの売上高及び利益面におきましては、性質上季節的変動が著しいガス事業の占めるウェイトが高いために、下期に偏る傾向にあります。
当第1四半期連結累計期間のセグメント別の概況は次のとおりであります。
[LPガス事業]
LPガス事業におきましては、家庭用のお客様数の順調な増加がありましたが、ガス販売量が高く推移した気温・水温の影響を受け前年同四半期に比べ減少したことに加え、家庭用ガス料金の値下げを実施したこと等により、当第1四半期連結累計期間の売上高は166億3百万円と前年同四半期に比べ16億1百万円(前年同四半期比8.8%減)の減収となりましたが、セグメント利益(営業利益)は、原料価格が低く推移し売上原価が減少したこと等により、26億2千7百万円と前年同四半期に比べ13億5千6百万円(前年同四半期比106.7%増)の増益となりました。
[都市ガス事業]
都市ガス事業におきましても、LPガス事業と同様の理由で家庭用ガス販売量が前年同期に比べ減少したこと等により、当第1四半期連結累計期間の売上高は121億8千6百万円と前年同四半期に比べ5億3千7百万円(前年同四半期比4.2%減)の減収となりましたが、セグメント利益(営業利益)は、原料価格が低下し利幅が拡大したこと等により、9億3千万円と前年同四半期に比べ4千7百万円(前年同四半期比5.4%増)の増益となりました。
(2)財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ49億3千8百万円(4.0%減)減少し、1,189億7千2百万円となりました。これは主に、季節的要因により現金及び預金と受取手形及び売掛金が減少したこと等によるものです。
当第1四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ69億4千万円(7.8%減)減少し、820億1百万円となりました。これは主に、返済が進んだことにより借入金が減少したことと、季節的要因により支払手形及び買掛金が減少したこと等によるものです。
当第1四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ20億1百万円(5.7%増)増加し、369億7千万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上と配当金の支払いによる利益剰余金の増減を反映したものです。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ2.9ポイント向上し、31.1%となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりです。
1.基本方針
当社グループが企業価値を維持・向上するためには、当社の供給エリアである関東一円の一般家庭に、安全且つ安定的に、より安価にガス体エネルギーを供給し続けるとともに、その特性である快適性、経済性、省エネ性、環境性などを提供することが不可欠であると考えております。そのためには、消費者の生活を支えるライフライン・社会資本ともいうべき、ガス本支管等の既存設備の経年管理に、積極的且つ創造的な再投資に努めて参るとともに、緊急災害時に対応する基幹設計の更なる充実と、新たな供給システムの開発に積極的に取り組むなど、長期的な観点から財務及び事業の方針を決定し、消費者・地域社会をはじめとするステークホルダーズとの信頼関係を構築していかなければなりません。当社取締役会は、このような長期的な観点から当社の財務及び事業の方針を決定することを嫌い、当社がこれまで築き上げてきた地域社会や使用人、協力会社、金融機関等ステークホルダーズとの信頼関係を破壊し、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を損なうおそれのある株式買付行為を行う者について、当社の方針の決定を支配する者として、適切ではないと考えております。
2.基本方針実現のための取組み
当社は、上記基本方針を実現するための取組みとして、平成18年2月9日開催の取締役会により、企業価値向上プランを導入した後、平成18年6月9日、平成19年6月12日、平成21年6月8日に一部改正をし、平成25年6月27日開催の第59回定時株主総会において継続の承認を得ております。その概要は、以下の通りであります。同プランの全文は当社ホームページにおいて閲覧することができます。
(http://www.nichigas.co.jp/ir/pdf/torikumi.pdf)
Ⅰ.「日本瓦斯グループの経営理念~持続的成長を目指して~」の策定
当社は、中長期的観点から持続的成長を可能とするため、当社経営陣により、あらかじめ経営理念(日本瓦斯グループの経営理念~持続的成長を目指して~)を策定・公表した上で経営を行い、株主の皆様に業績評価をして頂くことが、当社経営陣の経営責任の明確化に資すると考え、当社グループの現在の状況を踏まえ、次のとおりグループ経営理念を策定します。
①地域社会に対する貢献
②企業の持続的成長を目指す
③人的資源の尊重
Ⅱ.経営評価委員会の設置
当社は、上記経営理念の公表と合わせて、企業価値及び株主共同の利益の維持・向上に向けた取り組みについて、外部から客観的な意見を求めてガバナンス機能を強化するため、当社取締役会から独立した外部有識者をメンバーとする経営評価委員会を設置しました。現在委員には、井手秀樹慶應義塾大学商学部教授を委員長として、山田剛志成城大学大学院法学研究科教授、能勢元東京フィナンシャル・アドバイザーズ株式会社代表取締役が就任しております。
Ⅲ.企業価値向上プランの導入
1.企業価値向上プラン導入の目的-企業価値・株主共同の利益の維持・向上
当社取締役会は、特定の株主グループによる当社発行済株式(当社保有自己株式を除く)の株券等保有割合が20%以上となる買付提案(以下、単に「買付提案」といいます。)又は買付行為が、当社の企業価値・株主共同の利益を毀損する買収類型に該当するか否かを判断するためのルール(以下、「企業価値向上プラン」といいます。)を策定し、企業価値・株主共同の利益を毀損する買収類型に該当すると判断した場合には、企業価値及び株主共同の利益の維持・向上という目的のために、対抗措置として取得条項付新株予約権の無償割当てを行うことといたしました。
2.当社株式の買付提案及び買付行為への対応方針
(企業価値向上プランの内容)
(1)企業価値向上プランの対象となる買付者
企業価値向上プランの対象となる買付者は、特定の株主グループによる当社発行済株式(当社保有自己株式を除く)の株券等保有割合が20%以上となる買付提案又は買付行為を行おうとする者(以下、「買付者」といいます。)です。
(2)必要情報提供手続
買付者には、当社発行済株式(当社保有自己株式を除く)の株券保有割合が20%以上となる買付行為(以下、「大規模買付行為」といいます。)を行う前に、当社取締役会に対して、買付提案を行っていただきます。当社取締役会は、買付者の買付提案が具体的に当社の企業価値及び株主共同の利益を毀損するものではないかを判断するために、買付者からの買付提案を受けた後、5営業日以内に、必要情報の提供を要請します。買付者から十分な情報提供がなされた場合又は複数回にわたる情報要請にかかわらず買付者から十分な情報提供がなされなかった場合、当社取締役会は受領した情報を、直ちに独立の外部専門家3名により構成され、別に設置される経営評価委員会に上程します。
(3)経営評価委員会及び取締役会による検討手続
当社取締役会から必要情報の上程を受けた経営評価委員会は、外部専門家の助言を受ける等しながら、買付提案の検討・分析を行い、当社取締役会が買付者から受領した必要情報の上程を受けてから60営業日以内(但し、経営評価委員会は、必要がある場合には、この期間を30営業日に限り延長することができるものとします。)に、当社取締役会に対して、対抗措置の発動の要否について勧告します。
(4)経営評価委員会による検討・分析事項
経営評価委員会は、以下の事項の該当性につき検討・分析し、いずれかに該当すると判断した場合には、当社取締役会に対して対抗措置の発動を勧告し、いずれにも該当しないと判断した場合には、対抗措置の不発動を勧告します。
①買付者が当社取締役会より複数回にわたる情報提供の要請を受けたにもかかわらず、株主が当社株式を買付者に譲渡するか、保持し続けるかを判断するために十分な情報を提供しない場合であり、且つ当該時点で対抗措置を発動しない場合には当社の企業価値及び株主共同の利益を毀損するおそれがあると認められる。
②濫用的買収者である(以下のいずれかに該当すること)
(ⅰ)買付者が、真に当社の経営に参加する意思がないにもかかわらず、ただ株価をつり上げて高値で株式を当社又は当社の関係者に引き取らせる目的で、当社株式の買付提案又は買付行為を行っている(いわゆるグリーンメイラーである)ことが客観的かつ合理的に認められる。
(ⅱ)買付者が、当社の経営を一時的に支配して当社の事業経営上必要な知的財産権、ノウハウ、企業秘密情報、主要取引先や顧客等を当該買付者や、そのグループ会社等に移譲させる等、いわゆる焦土化経営を行う目的で、当社株式の買付提案又は買付行為を行っていることが客観的且つ合理的に認められる。
(ⅲ)買付者が、当社の経営を支配した後に、当社の資産を当該買付者やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する予定で当社株式の買付提案又は買付行為を行っていることが客観的且つ合理的に認められる。
(ⅳ)買付者が、当社の経営を一時的に支配して当社の事業に当面関係していない不動産、有価証券等、高額資産等を売却等処分させ、その処分利益をもって一時的な高配当をさせるか、あるいは一時的高配当による株価の急上昇の機会を狙って株式の高価売り抜けをする目的で、当社株式の買付提案又は買付行為を行っている場合等、当社を食い物にしようとしていることが客観的且つ合理的に認められる。
(ⅴ)買付者が、二段階での強圧的な買付(最初の買付条件を有利に、二段階目の買付条件を不利に(あるいは明確にしないで)設定するような行為のことをいい、最初の買付行為に応じなければ不利益を被るような状況を作り出し、株主の皆様に売り急がせる買付手法のことをいいます。)を予定して、当社株式の買付提案又は買付行為を行っていることが、客観的且つ合理的に認められる。
③買付後の経営計画又は事業計画が著しく不合理であり、買付者による買付後に当社の企業価値及び株主共同の利益が毀損されることが明らかである。
④(現経営陣の経営計画又は事業計画が、経営評価委員会に上程された場合で)買付後の経営計画又は事業計画が、現経営陣の経営計画又は事業計画(買付者による買付提案に対する代替案を含みます。)と比較して、明白に劣っており、買付者による、買付後に当社の企業価値及び株主共同の利益が毀損されることが明らかである。
(5)経営評価委員会による勧告の尊重
当社取締役会は、経営評価委員会の勧告を受け、対抗措置発動の要否を決定します。その判断の際には、経営評価委員会による勧告を最大限尊重いたします。
(6)取締役会の検討内容の開示
当社取締役会は、対抗措置を発動する旨の決議をした場合、速やかに、当該決議をした旨及びその理由を開示いたします。また、対抗措置を発動しない旨の決議をした場合でも、買付提案が当社取締役会の経営計画又は事業計画(買付者による買付提案に対する代替案を含みます。)に劣り、当社の企業価値及び株主共同の利益の維持・向上に反すると判断した場合には、その旨の意見表明を行い、当社取締役会の経営計画又は事業計画(買付者による買付提案に対する代替案を含みます。)を適切な時期に開示し、株主の皆様のご判断を仰ぎます。
3.対抗措置の内容
対抗措置として割当てられる取得条項付新株予約権の概要は、以下の通りです。
(1)新株予約権の割当対象となる株主及びその条件
当社取締役会が対抗措置を発動する旨の決議をした後に開催される取締役会の決議で、決定される割当期日(以下、「割当期日」といいます。)時点における最終の株主名簿又は実質株主名簿に記載又は記録された株主に対し、その保有株式1株につき1個の割合で新株予約権を割当てる。
(2)取得条項
新株予約権の割当てに関する決議を行う取締役会において、決定される取得条項成就日が到来することを条件として、当社はこの新株予約権を取得し、代わりに当社普通株式3株を限度として交付する。
(3)取得条件
買付者及び買付者を含む特定の株主グループに属するものが、新株予約権の割当を受けた場合には、当該新株予約権者である買付者及び買付者を含む特定の株主グループに属する者から、その保有する新株予約権を取得し、代わりに当社普通株式を交付することを行わない。
3.基本方針実現のための取組みについての取締役会の判断及びその理由
上記取組みのうち、「Ⅰ.『日本瓦斯グループの経営理念~持続的成長を目指して~』の策定」及び「Ⅱ.経営評価委員会の設置」については、当社事業の特性に基づいて、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を維持・向上することを直接の目的として行われるものであるから、基本方針に沿い、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社会社役員の地位の維持を目的とするものではございません。また、「Ⅲ.企業価値向上プランの導入」につきましても、以下の理由から、基本方針に沿い、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社会社役員の地位の維持を目的とするものではございません。
(1)買収防衛策に関する指針の要件を完全に充足していること
本プランは、経済産業省および法務省が平成17年5月27日に発表した企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針の定める三原則を充足しており、平成20年6月30日に企業価値研究会が公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」に適合しております。
(2)株主意思を重視するものであること
本ルールは、平成18年6月29日開催の第52回定時株主総会において、定款変更議案及び本プランの継続をご了承いただいたことによって、株主の皆様のご信任を得ております。また、今後も、取締役選任議案(企業価値向上プランの継続を支持する取締役の選任をお諮りします。)として、株主の皆様の意思を反映させていくことを予定しております。
(3)独立性の高い社外者の判断の重視と情報開示
経営評価委員会は、有事にも当社取締役会の恣意的行動を厳しく監視するとともに、その判断の概要については、当社ホームページにおいて株主の皆様に情報開示されており、本プランの透明な運営が行われる仕組みが確保されています。
(4)合理的な客観的要件の設定
本ルールは、合理的且つ客観的な要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しているものといえます。
(5)デットハンド型やスローハンド型買収防衛策ではないこと
本プランは、今後も株主総会において、取締役選任議案を通じて株主の皆様の意思を反映させていくことを予定しておりますので、株主総会決議により廃止できない又は時間を要する、いわゆるデットハンド型・スローハンド型の買収防衛策ではございません。
(4)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、4百万円であります。