有価証券報告書-第95期(平成31年3月1日-令和2年2月29日)

【提出】
2020/05/25 16:42
【資料】
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【項目】
173項目

事業等のリスク

当社グループは、リスクマネジメントを、グループ各社・各部署において責任を持って取り組むべき重要な経営課題として位置付けています。一方、個社で対応できないリスクについては、「イオン・マネジメントコミッティ(最高経営会議)」のもとに「リスクマネジメント委員会」において、審議・意思決定を行っています。
当社グループの事業に関してリスク要因となると考えられる事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在における当社による判断、目標、一定の前提又は仮定に基づく予測等であり、実際の結果と異なる可能性があります。また、以下に記載する事項は、当社グループの事業に関する全てのリスクを網羅的に記述するものではありませんのでご留意下さい。
① 新型感染症、地震や台風等の災害、テロ活動等に関するリスク
2019年12月以降に中華人民共和国湖北省武漢市において新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生が報告されて以来、世界各地で感染者数の増加の報告が続いております。当社グループが事業を展開する日本をはじめとするアジア地域においても感染拡大は続いており、販売活動やその他の事業活動への影響が避けられないものとなっております。日本国内では4月、政府から緊急事態宣言が発令され、全国規模での外出自粛、学校の休校措置、大規模イベントの中止、施設や店舗の営業自粛、渡航禁止措置等により、消費意欲の後退をはじめ、わが国の消費活動全体への影響も懸念されます。
このような社会的影響力の大きい新型感染等の流行の他、当社グループの店舗・施設の周辺地域においては、大地震や台風、津波等の自然災害、火災或いは予期せぬ事故等による店舗・施設への物理的な損害、暴動、テロ活動、コンピュータウィルス等によるシステム障害の発生、その他当社グループの供給業者もしくは仕入・流通ネットワークに影響する事象が発生する可能性があります。当該事象に備え、当社グループにおいては、事業継続計画に基づき情報インフラの整備、防災拠点の設置や店舗の耐震強化、地方自治体との防災協力協定の締結、不測の事態が生じた際の資金調達手段の確保等の対策を講じておりますが、想定を上回る事象の発生により当社グループの販売活動や流通・仕入活動が阻害された場合、さらに人的被害があった場合、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。
② 気候変動に関するリスク
当社グループは、店舗運営におけるエネルギーの使用、冷凍・冷蔵ケースでの代替フロン冷媒の利用が多いことから、地球環境に大きな負の影響をもたらす地球温暖化問題に早くから取り組んでいます。脱炭素社会の実現を目指す「イオン 脱炭素ビジョン2050」に基づき、省エネルギーの推進、再生可能エネルギーへの転換等に取り組んでいますが、環境に関する法的規制の強化や社会的要請の高まりにより想定以上のエネルギー費用や対策コストが発生した場合、また、気候変動に伴い農・水産物の品質・収量に著しい変化が生じた場合、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。
③ 顧客情報の漏洩に関するリスク
当社グループは、総合金融事業の顧客のほか、当社グループが営むその他の事業の顧客から得た個人情報を保管・管理しております。当社グループは、かかる個人情報の漏洩が生じないよう、情報システムのセキュリティを確実にする等、最大限の対策を講じておりますが、顧客に関する個人情報が何らかの事情により漏洩、改ざん、不正使用等が生じた場合、被害者に対する損害賠償義務やサービスの大規模な停止による損害及び対応費用の発生のほか、当社グループの社会的信用の低下により、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。
④ 他企業の買収(M&A)等に関するリスク
当社グループは、グループ各社がそれぞれの分野・地域でナンバーワンへと成長するため、既存の事業モデルの革新をはかるとともに、新しい成長モデルを確立してまいります。当社グループは成長戦略の一環として他企業の買収または他企業への投資を行うことがあります。買収を行う際には、対象企業の財務内容や契約関係等について詳細な事前調査を行い、極力リスクを回避するように努めておりますが、買収を実施した後において、偶発債務や未認識債務の発生、被買収企業に対し当社グループの内部統制を適切かつ有効に適用できないことにより不正行為やコンプライアンス上の問題等が発生する可能性も考えられます。また、買収によって新たにのれんが発生し、その償却費用が増加する可能性があります。これらの要因により、期待する成果を達成できない場合、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。
⑤ 商品の安全性及び品質の水準低下に伴うリスク
当社グループは、多様化するお客さまの声に応えるため、プライベートブランド(PB)をはじめ様々な商品を取り扱っております。
当社グループは、商品の品質、安全性を経営の最重要課題の一つと考えており、商品開発にあたっては、厳しい基準を設けて入念な品質検査を実施する等「安全」と「安心」を守るための様々な取り組みを進めております。しかしながら、当社グループのPB商品に起因する事故等が発生した場合、また異物混入等が発生し商品の販売自粛の措置をとる場合、売上の低下に加えお客さまからの信頼の失墜を招きブランドが毀損する可能性があります。これらの要因により、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。
⑥ 商業施設の開発に関するリスク
当社グループは、地域行政と連携し、地域に根ざした商業施設の開発を進めております。日本国内における都市計画法、建築基準法及び大規模小売店舗立地法や、海外におけるそれぞれの国や地域の法令諸規制の適用により、都市計画の内容等によって郊外地域における店舗開設に制限が課されたり、当初の計画通りに店舗の新規開発や既存店舗の増改築及び業態変更等を行うことができなくなり、当社グループの成長戦略に支障が生じたり店舗の開設に要する費用が増加したりする可能性があります。
また、不動産価格の上昇、大規模災害の復旧需要等による建設業界の慢性的な人材不足や建築資材価格の上昇により、不動産取得コストや建築コストの上昇、工期の長期化が発生する場合があります。
これらの要因により当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。
⑦ 競合激化及び消費動向等の影響に関するリスク
当社グループは、売上高ベースの国内シェアが高く、その収益は日本の小売市場に大きく依存しております。そのため、今後の日本経済の悪化及び個人消費の落ち込みや異常気象による天候不順、人口減少による市場の縮小、業種・業態を超えた競争の激化等により、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。
海外においては、中国、アセアンを中心に事業を展開しており、また国内で販売する商品の一定程度を海外から輸入しております。海外において、経済成長の鈍化、不安定な政治・経済情勢、法律や政策の変更等により、当社グループの海外における販売活動や流通・仕入活動、課税等に問題が発生した場合、またこれらに起因して為替・金利が異常な変動をした場合、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。
⑧ 人材の確保に関するリスク
当社グループの事業活動は人材に大きく依存しており、店舗運営をはじめとした各分野において優秀な人材を確保・育成することは成長に不可欠であるため、当社グループは国内外で将来を担う人材を積極的に採用・育成を進めております。しかしながら、少子高齢化の進行による人口構成の変化等により、その計画が予定通りに進まない場合や、労働需給の逼迫等により従業員にかかる費用が増加する場合、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。
⑨ 減損及び評価損に関するリスク
当社グループは、店舗に係る有形固定資産及びグループの拡大に伴って発生したのれん等多額の固定資産の他、金融市場で取引される様々な資産を保有しています。当社グループは、店舗の収益性の低下により各店舗の簿価が回収できない場合、市場の混乱等により保有資産の価値が下落した場合等、当該有形固定資産、のれん及びその他の資産について減損または評価損処理を行うことがあり、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります
⑩ 繰延税金資産に関するリスク
当社グループは、現行の会計基準に基づき、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して将来の課税所得を合理的に見積り回収可能性の検討をした上で繰延税金資産を計上しております。グループ各社の業績や経営環境の著しい変化により、繰延税金資産の全部または一部に回収可能性がないと判断した場合や、税率変更を含む税制改正、会計基準の改正等が行われた場合、当該繰延税金資産は減額され、当社グループの財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。
⑪ 資金調達及び金利変動に関するリスク
当社グループは、2020年2月期末時点において3兆66億円の社債及び借入金等の有利子負債があります。当社グループは常に多様な資金調達手段を検討しており、金融環境の変化に迅速に対応できる体制を整えておりますが、景気の後退、金融収縮等の全般的な市況の悪化や、信用格付けの格下げ等による信用力の低下、事業見通しの悪化等の要因により、当社グループが望む条件で適時に資金調達できない可能性があります。
また、今後、長期金利や短期金利が上昇した場合、借入コストの増加により当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。